Adobe Photoshopのメジャーアップデート:「選択範囲」「穴埋め」「レビュー用に共有」など
スプラッシュスクリーン(提供:Danner Orozco)
本日のAdobe Max 2022にて、Adobe Photoshopのメジャーアップデートを発表しました。
- Adobe Photoshopデスクトップ版
- Adobe Photoshop iPad版
- Adobe Photoshop web版(一部地域でベータ版での提供)
また、Adobe Camera Rawプラグインにも革新的な新機能を追加し、「コンテンツ認証イニシアチブ(CAI)」および「Adobe Fresco」もそれぞれアップデートされました。これは、Adobe Photoshopファミリー製品にとって大きな意味のあるリリースです。
以下、新機能をご紹介します。
Adobe Photoshopデスクトップ版
選択機能の強化
2020年にリリースした「オブジェクト選択」ツールは、画像内の選択したいオブジェクトの上にカーソルを重ねるだけで自動的にオブジェクトを選択してくれますが、この自動選択の精度と品質が強化され、Adobe Photoshopが認識できるオブジェクトの種類が増えました。
今回のアップデートで、空や建物、水、植物、さまざまな種類の床材、地面(山、歩道、道路など)といった複雑なオブジェクトや領域をオブジェクト選択ツールが認識できるようになりました。これにより、細かいディテールやエッジを保ったまま、より短時間で正確かつ高品質な選択がおこなえます。
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「領域の削除と塗りつぶし」がワンクリックで
Adobe Sensei搭載のオブジェクトツールの手軽さとインテリジェンスが「コンテンツに応じた塗りつぶし」の魔法のような機能と連動し、使い慣れたシンプルなショートカットを使うだけで不要なオブジェクトをすばやく削除できるようになりました。
操作は、不要なオブジェクトをクリック選択し、Shift+Deleteキーを押すだけです。削除された領域にはコンテンツに応じた塗りつぶしが自動的に適用されるため、すべてが一瞬で完了します。
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Adobe Illustratorから編集可能テキストをコピー&ペースト
昨年、Adobe PhotoshopにAdobe IllustratorのエレメントをレイヤーとしてAdobe Photoshopにコピー&ペーストする機能が導入され、ベクターシェイプとパス、複合シェイプとパス、クリッピングマスクを含むAdobe Illustratorレイヤーを、視覚的忠実度、相対位置、レイヤー構造を維持しながら、Adobe Photoshopに読み込みまたはペーストできるようになりました。
本日のアップデートにより、Adobe Illustratorのテキストを、Adobe Photoshopのレイヤーとして編集可能な状態でコピー&ペーストできるようになりました。フォント、文字スタイル、サイズ、配置、方向、トラッキング、カーニング、カラーといった属性は保持されます。また、エリア内文字、パス上文字、タッチ文字などの高度な組版オプションもサポートしています。
Adobe Photoshopユーザーの多くはAdobe Illlustratorユーザーであり、なかでもテキストは両製品で最も頻繁にやりとりされるエレメントです。Adobe Illustratorで作成したテキストを編集可能な状態でAdobe Photoshopに持ち込めるようになったことで、連携が一層強化されました。
この新しいエキサイティングな相互運用性をぜひご体験ください。詳しくはこちらをご覧ください。
ニューラルフィルターの強化と新フィルターの追加
機械学習を利用したニューラルフィルターは、複雑な編集や処理を画像に数秒で適用することができます。本日のアップデートでは、新しいニューラルフィルターを1つ追加しています。
写真を復元
「写真修復」は、古い写真や破損した写真をよみがえらせるのに役立ちます。写真の傷やその他の細かい欠陥を、Adobe Senseiの機械学習を使って自動的に検知し、除去します。
レビュー用に共有(ベータ版)
毎日、何百万人ものユーザーが、レビューやフィードバックを依頼するためにAdobe Photoshopファイルをクライアントや関係者と共有しています。本日のアップデートでは新機能「レビュー用に共有」を導入し、レビューなどのフィードバックをより迅速かつ手軽に集め、アプリを離れずにデザインに反映させることを可能にします。
この機能では、作業進行中のドキュメントの共有用スナップショットを任意のタイミングで作成し、関係者をそのレビューに招待してコメントを依頼することができます。コメントはAdobe Photoshop内のパネルにリアルタイムで表示されるため、アプリを離れずに対応できます。共有用スナップショットを更新すればレビューアーが更新または次回開いたときに変更が反映されるので、デザイナーは1つのPSDで作業を続行することができます。
リンク共有に対応したあらゆるアプリケーションで、リンクを共有することができます。また、レビュアーがAdobe Creative Cloudにサインアップやサインインをする必要はなく、どんなブラウザからでもドキュメントを確認できます。
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ガイドの機能強化
ガイドの機能強化により、ドキュメントごとにより詳細なガイドの設定とカスタマイズが可能になり、Adobe Photoshopでの作業がより効率化します。ガイドのカスタマイズとカラーの割り当て、属性の編集、ガイドへのキーボードショートカットの割り当てが可能で、右クリックのコンテキストメニューから直接オプションにアクセスすることもできます。さらに、Deleteキーでガイドを削除することも、複数のガイドを選択して一括編集や移動することも可能になりました。
今回のガイドの機能強化にはInDesignで得られた知見が応用され、より多くのオプションの提供により、Adobe Photoshopをさらに思い通りに使いこなせるようになります。
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コンテンツクレデンシャル機能
コンテンツクレデンシャル機能により、Adobe Photoshopから帰属情報を添付した画像を書き出せるようになり、その作品が自分に帰属するものだとユーザーが表明することが可能になります。また、改変や加工がされた画像の編集履歴を追跡することもできます。
コンテンツクレデンシャル機能は、Adobe Photoshopにおいてはユーザーが自主的に有効化する機能として利用できます。この機能が有効である間は、作業中の画像から編集内容やID情報が収集され、書き出し時にそれらの安全なメタデータが画像に添付されます。これは、クリエイティブなプロフェッショナルやカジュアルなアーティストが作品の来歴を自ら開示する新しい方法を提供するとともに、デジタルコンテンツを閲覧する人々にとってもデジタルコンテンツの信頼性を判断する根拠になります。
画像のコンテンツクレデンシャル機能は、こちらの「Verify」ツールで誰でもそのコンテンツの来歴を確認することができます。
このたび、Adobe Stockのアセットには、ダウンロード時に自動的にコンテンツクレデンシャル機能が含まれるようになりました。ダウンロード画像をAdobe Photohsopデスクトップ版に読み込んだり、Verify webサイトにアップロードすれば、そのアセットがAdobe Stockから取得されたことが確認できます。
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Adobe Substance 3Dマテリアル
Adobe Photoshopデスクトップ版で正式にAdobe Substanceマテリアルがサポートされ、パラメトリックなAdobe Substanceマテリアルをプロジェクト内のレイヤーとして適用できます。Adobe Substanceマテリアルは、Asobe Photoshopの2Dパターンによく似ていますが、カスタマイズの幅が非常に広いのが特徴です。
デザイナーは、この「スマート」なマテリアルを武器にアイデアを手軽に実行し、デザインのパラメーターを調整しながら、ほぼ無限に創造的な可能性を追求できます。Adobe Substanceマテリアルは、木、大理石、石、自然素材など、現実世界のさまざまな素材をデジタル化したもので、スマートなフィルターレイヤーとして適用されます。Adobe Substanceマテリアルのパラメトリック(パラメーターを変更可能)な性質により、各マテリアルレイヤーの表面特性や照明効果を非破壊で編集することができます。
また、Adobe Substance 3D Collectionを購入すれば、追加で数千ものフォトリアリスティックな3Dマテリアルにアクセスすることが可能です。
Adobe Photoshop iPad版
アドビは、今年もAdobe Photoshop iPad版に数多くの新機能を追加し、どこにいようと創造性を発揮できる最高のPhotoshopをお届けできるようさらに努力していきます。ここでは、最も手軽かつすばやい編集作業を可能にし、最高の作品を作れるようにするハイライト機能に絞っていくつかご紹介します。
ワンタップ操作の「背景を削除 」
「背景の削除 」は、オブジェクト選択ツールのテクノロジーを応用して背景からメインの被写体を切り抜き、自動的にレイヤーマスクを適用することで時間を節約します。これにより、被写体を他の画像内に配置したり、背景を他のシーンに置き換えたりすることができます。画像の中で最も目立つ被写体(人物、動物、乗り物、おもちゃなど)を選択して背景を削除するまでがワンタップで完了します。
Adobe Photoshopデスクトップ版に搭載済みの背景の除去は今や最も人気のある機能の1つですが、本日のアップデートでiOS版にも搭載されたため、iPadユーザーの編集体験がさらに向上します。
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ワンタップ操作の「コンテンツに応じた塗りつぶし」
背景の不要なオブジェクトを消したり、画像に発生したノイズをスムーズにブレンドしたりできます。ワンタップ操作の「コンテンツに応じた塗りつぶし」機能は、写真に写り込んでしまった人物を消したり、不要なアイテムやホコリを削除するのに最適です。アドビのAI技術により、削除して空白になった領域を周囲のピクセルに馴染むように自動的に塗りつぶします。
Adobe Photoshopデスクトップ版の最も画期的な機能の1つ「コンテンツに応じた塗りつぶし」が、今回のアップデートによりiOS版でも利用可能になりました。
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自動トーン補正、自動コントラスト、自動カラー補正
「自動トーン補正」、「自動コントラスト」、「自動カラー補正」コマンドを使えば、色調の問題やカラーのアンバランスをワンタップで手軽に修正できます。
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人物写真の被写体選択機能の強化
アドビのAIテクノロジーの活用で被写体選択のアルゴリズムが進化し、たった1回のタップ操作で人物、動物、オブジェクトなどの被写体を識別し、毛髪や衣服のエッジなどの細かいディテールを完璧に選択して微調整できるようになりました。
人物が写ったポートレート写真で「被写体を選択」を実行すると、髪の毛やエッジの詳細な選択が自動的に完了します。確定した選択範囲をマスクや調整レイヤーとして使えば、シンプルなポートレートをより魅力的な写真にすばやく仕上げることができます。
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Adobe Photoshop web版(ベータ版)
昨年ローンチしたAdobe Photoshop web版(ベータ版)の開発も進展を見せています。Adobe Photoshopのパワーをwebに解放し、より多くのユーザーの手元にAdobe Photoshopの高品質な画像編集・作成機能のメリットをお届けできるよう、より親しみやすく直感的なUXとともに、より多くのAdobe Photoshopのコアツールや機能を搭載するべく取り組んでいます。
まだAdobe Photoshopのすべての機能を搭載しているわけではありませんが、業界をリードするAdobe Photoshopならではの人気の選択機能の多く(オブジェクト選択ツール、背景の削除、Adobe Camera Rawの画像調整、コンテンツに応じた塗りつぶしなど)が、今回のアップデートによりweb版でも利用できるようになりました。写真をより綺麗にしたり、不要なオブジェクトを削除したり、合成したりと、Adobe Photoshopならではの斬新なアウトプットを可能にする機能が豊富に用意されています。
web時代にふさわしいAdobe Photoshopを世に出すための取り組みはまだ始まったばかりです。私たちは限定公開中のベータ版の提供を通じて集中的にテストやリサーチならびにwebエクスペリエンスの最適化を推進しています。Adobe Photoshopを含むAdobe Creative Cloudのアクティブなサブスクリプションをお持ちのユーザーは、Adobe Photoshop web版のホーム画面からベータ版アプリケーションにアクセスすることができます。
Adobe Camera Raw
本日、Adobe Camera Raw(ACR)プラグインのアップデートもリリースされました。これまでになく簡単にマスク作成を可能にしたり、不要な要素を除去できる新機能を追加したほか、AIマスク機能を活用したプリセットがACR内で利用できるようになり、ワークフローがさらに効率化します。
注目すべきは「人物を選択」、「オブジェクトを選択」、「コンテンツに応じた削除」、そしてポートレートに対応したアダプティブプリセットなどです。Adobe LightroomおよびAdobe Camera Rawの新機能について詳しくはこちらをご覧ください。
Adobe Fresco
Adobe Frescoにも、ゆがみツール、自動選択ツール、新しいピクセルブラシとベクターブラシの追加など、アーティストやイラストレーターのための新機能が追加されています。詳細はこちらをご覧ください。
Thank you
Adobe Photoshopを使って素晴らしい画像を生み出している世界中の皆さんに感謝します。そして、本日リリースしたアップグレードの内容をすべて気に入っていただければ幸いです。皆さんは、私たちのインスピレーションの源泉です。
この記事は2022年10月18日(米国時間)に公開された Photoshop releases majorupdate to Selections, Hole-filling, adds Share for Review Collaboration, and much more の抄訳です。