グラフィックと文字をつなぎ、フォントの新たな可能性を提示するMoolongType|Adobe Fontsパートナー紹介10

MoolongTypeメインビジュアル

文字に豊かな表現力を与えるフォントは、クリエイティブには欠かせない道具のひとつです。アドビが展開する「Adobe Fonts」は、グラフィックデザインやweb、映像といったさまざまなフィールドでフォントをより自由に使えるようにするクラウドサービスで、2022年11月現在、600を超える日本語フォント、Adobe Fonts全体で2万以上のフォントを利用することができます。
この記事では、Adobe Fontsに参加する170を超えるフォントメーカーのなかから、一社をピックアップし、歴史や特徴、オススメのフォントを紹介していきます。

フォントが持つデザインの可能性、表現の可能性を追求する

今回紹介するフォントメーカーは、タイプデザイナーの木龍歩美さんが2021年に設立したMoolongType(ムーロンタイプ)です。
木龍さんが文字に興味を持つようになったのは、日本大学芸術学部在籍中に受けたタイポグラフィの授業がきっかけでした。興味はやがて文字の組みかた、さらには文字そのものへと移り変わり、文字のかたちを活かしたグラフィックに取り組むようになります。
“グラフィックよりも文字をしっかりやりたい”と考えていた木龍さんは卒業後、「丸明」「iroha gothic(いろはゴシック)」「丸丸ゴシック」等で知られる砧書体制作所に入社。片岡朗さんから教えを受けるかたちで、タイプデザイナーとしてのキャリアをスタートしました。

砧書体制作所では「山本庵」「芯」「砧明朝体」ファミリー等、主要書体の制作に関わるかたわら、極端な簡略化と直線化によってデータの軽量化を目指した未来Font「魁」、“動く文字”をコンセプトに作られた「うゴ」といったバリアブルフォントにも取り組むなど、文字とグラフィック、静的表現と動的表現をテクノロジーによって結びつける、さまざまな挑戦を重ねてきました。
独立後もそのチャレンジ精神は変わらず、現在開発中の「Moolong Chocolate」では、チョコレートが溶ける動きをバリアブルフォントとして実装。“グラフィックでありながら映像、アニメーションの要素もあるフォント表現”を目指して制作を進めています。

“グラフィックとして魅せる文字”として、木龍さんが砧書体制作所時代に手がけた書体が「砧 きりこ かな」です。手書きのストロークではなく、はさみで切った紙のかたちを組み合わせるように作られたこの書体は、文字の造形そのものがこれまでのフォントにはない、グラフィカルな魅力を備えています。
「砧 きりこ かな」ではさらにフォントの文字そのものに色がついたカラーフォントも制作し、“その文字を使うだけで、グラフィックデザインとして成立するフォント”として提示。新しいフォント技術を積極的に取り入れながら、文字が持つ可能性、フォントが持つ可能性を追求し続けています。

砧 きりこ かな

砧 きりこ かな https://fonts.adobe.com/fonts/kiriko-kana

「きりこ かな」の漢字

木龍さんは現在「きりこ かな」の漢字を制作中。完成後はMoolongType版きりことしてリリース予定

一見すると、木龍さんが手がけているのは、デザイン書体ばかり……と思えますが、こうした書体は、本文書体制作中に並行して作っているもの。
一度、書体を作るとなると、長い時間をかけて、非常に多くの文字と向き合うことになります。それが本文書体ともなると、“読ませる”文字を作る反動で、“見せる”デザインフォントのアイデアが生まれることがあるそうです。木龍さんはそのアイデアをAdobe Illustrator iPad版で描きとめながら新しい書体の可能性を探り、書体としてまとめられそうなものがあればフォントにしています。
試作やコンセプトワークをそのまま眠らせることなくフォントにする。そこには“タイプデザイナーとしてフォントとして文字を使うことに価値を見出したい”という木龍さんの矜持があります。

Illustrator iPad版で描かれた文字のスケッチ

Illustrator iPad版で描かれた文字のスケッチ

現在、Adobe Fontsで提供されているMoolongTypeのフォントは「Moolong トカツキ」2書体です。
使いかた次第で文字としてもかたちとしても、そして色としても楽しめる、木龍さんならではの文字の表現力を体験してみましょう。

Adobe Fonts

https://fonts.adobe.com/foundries/moolongtype

Adobe Fontsで使えるMoolongTypeフォント

「Moolong トカツキ かな R」は、丸いカーブと鋭い先端で構成されたユニークな造形の書体です。文字のひとつひとつが非常にグラフィカルで、一文字ではロゴマークや図形にしか見えないものも、並べてみると文字としてすらっと読める、不思議な魅力を備えています。
楽しさ、親しみやすさを出したいときや、文字以外にデザイン素材がないときには「Moolong トカツキ」を試してみましょう。驚くほど、デザインに動きが生まれるはずです。

Moolong トカツキ かな R

Moolong トカツキ かな R https://fonts.adobe.com/fonts/moolong-tokatsuki-kana

もうひとつはフォントの文字そのものに色がついた「Moolong トカツキ かな」カラーフォント版です。「Moolong トカツキ かな Color」では、文字に立体的なフチが加えられ、標準では文字色が黄色、フチは赤に設定されています。フォントを使用するアプリケーション側でこの配色を変更することはできませんが、Adobe Photoshopのような色を変更できるアプリケーションと組み合わせることで、さらにさまざまな配色を楽しむこともできます。

Moolong トカツキ かな Color

Moolong トカツキ かな Color https://fonts.adobe.com/fonts/moolong-tokatsuki-kana
黄色に赤フチは標準の配色、右はPhotoshopで色を変えたもの

カラーフォント

カラーフォントなら標準テキストでも色を使った表現が可能

『Moolong トカツキ』が日本タイポグラフィ年鑑2023にてベストワークを受賞

この度「Moolong トカツキ」が日本タイポグラフィ年鑑2023にてベストワークを受賞されました。
木龍さん、おめでとうございます!
AdobeFontsで使える「Moolong トカツキ」2書体、是非使ってみてください。

日本タイポグラフィ年鑑2023受賞者発表

欧文カラーフォントも試せる、試して楽しいフォントパック

Adobe Fontsで使用可能な多くのフォントのなかから、イメージや目的にあわせて厳選して提供する「フォントパック」に、グラフィカルな文字とカラーフォントが楽しめる「文字のかたちとカラーを楽しむパック」が追加されました。遊び心のあるフォントの文字でデザインを楽しく、華やかに彩りましょう。

Adobe Fontsでフォントパック「文字のかたちとカラーを楽しむパック」を見る
https://fonts.adobe.com/collections/letter-shape-and-color

フォントパック見本

Adobe Fontsを無料で試してみる
https://fonts.adobe.com/

Adobe FontsでMoolongTypeのフォントを見る
https://fonts.adobe.com/foundries/moolongtype

MoolongType
web|https://www.moolongtype.net/