フレンドリー&やさしい文字で世の中を明るく照らすタイプラボ|Adobe Fontsパートナー紹介07
文字に豊かな表現力を与えるフォントは、クリエイティブには欠かせない道具のひとつです。アドビが展開する「Adobe Fonts」は、グラフィックデザインやweb、動画といったさまざまなフィールドでフォントをより自由に使えるようにするクラウドサービスで、2022年8月現在、600を超える日本語フォント、Adobe Fonts全体で2万以上のフォントを利用することができます。
この記事では、Adobe Fontsに参加する170を超えるフォントメーカーのなかから、一社をピックアップし、歴史や特徴、オススメのフォントを紹介していきます。
佐藤豊さんが描くフレンドリーでやさしい文字
今回、紹介するフォントメーカーはタイプデザイナー・佐藤豊さんが代表を務めるタイプラボです。1951年生まれの佐藤さんは1969年ごろ、10代にして佐藤豊デザイン室を始め、1977年にスタジオ・タイプラボと改称して書体デザインを本格化。1993年には法人として有限会社タイプラボを設立しました。
手がけた書体の多くは自社での販売およびメーカーにライセンスするかたちで提供されているため、佐藤さんが手がけた文字は、フォントメーカーのみならず、さまざまなところで目にすることができます。
佐藤さんがライセンスした書体はフォントワークス(赤)、モリサワ(青)などからリリースされている(あられ、アニトシリーズ以外はかな部分のみ。アニトは成澤正信さんとの共同制作)。名称は異なるがタイプラボN、NTLG、ニタラゴは同一書体
タイプラボ書体に共通するのは、親しみやすさ、あたたかみ、やさしさを感じる文字のかたち、そして高い可視性と可読性です。ニュートラルな「ルイカ」「レラ」、クラシックな「墨東」、元気が出そうな「わんぱくゴシック」、かわいらしい「キャピー」「ハッピー」、モダンなデザインフォント「タイプラボゴシック」(ニタラゴ)等々、スタイルの幅広さも魅力で、デザインワークには欠かせないウェイト展開も十分。フォントとして品質、仕様ともに非常に高いクオリティを備えています。
これまで数多くの名書体を世に送り出してきた佐藤さんは、10代のころからレタリングを学び、仕事としてデザイン、写植、版下作成を手がけながらも、レタリングコンテストや書体コンテストにも積極的に参加していました。
当時の二大写植機メーカー・写研とモリサワが主催する書体のコンテストでも多数の入賞は果たしており、両コンテストで最高賞を獲得した書体デザイナーは佐藤さんただひとり。欧文部門でも二位入賞を果たしていることは、佐藤さんの文字に対する卓越した技量を証明していると言えるでしょう。
左:1986年・第9回 石井賞 創作タイプフェイスコンテスト 和文部門1位受賞書体/右:1996年・第5回モリサワ賞 国際タイプフェイスコンテスト 和文部門金賞書体「あさがを」
こうした受賞がきっかけで、製品化された書体もあります。その一例が1985年に写研から発売された「ラボゴ」です。この書体は1978年に第33回日美展特別部門金賞を受賞した「YS-1979」をもとに作られたもので、ボディいっぱいの字面にアウトラインで文字が描かれています。40年以上の時を経たいま見てもなお、そのユニークなデザインは色褪せることがありません。
写研「ラボゴ」のメインプレート
タイプラボでは基本のゴシック体、丸ゴシック体から、多種多様なデザインフォントまで、非常に多くのフォントを扱っています。Adobe Fontsで利用できるのはそのうち11書体ですが、各シリーズから1書体ずつセレクトされているので、タイプラボ書体の魅力、バリエーションの豊富を十分に堪能することができるでしょう。
https://fonts.adobe.com/foundries/type-labo
豊富なバリエーションで魅せる&彩る書体たち
Adobe Fontsで提供されているタイプラボの書体を紹介しましょう。
「ルイカ」はニュートラルな印象を持つ、使いやすい角ゴシック体です。佐藤さんがそれまでに制作したかな書体・わんぱく、ニュータイプラボゴシック、墨東、ハッピーに組み合わせられる基本総合書体として作られました。フォントとしては、全9ウェイトがあり、Adobe Fontsではもっとも太いものを利用することができます。 *以下の見本には商品版を含む全ウェイトを掲載。うちAdobe Fontsで使用可能なものは白で表示しています。
ルイカ-09 https://fonts.adobe.com/fonts/ruika
「ニタラゴルイカ」「わんぱくルイカ」「ハッピールイカ」「墨東ルイカ」は、ルイカの漢字にそれぞれ「ニタラゴ(ニュータイプラボゴシック)」「ニューわんぱくゴシック」「ハッピー」「墨東21」を組み合わせた書体です。
アプリケーション上で合成フォント等の機能を使って書体を組み合わせることなく、漢字、かな、英数字を含むフルセットの書体として使用することができます。4書体はいずれもルイカ同様、9つのウェイトを備えており、Adobe Fontsでは太めの各1ウェイトを使用することができます。
ニタラゴルイカ-06 https://fonts.adobe.com/fonts/nitalagoruika
わんぱくルイカ-08 https://fonts.adobe.com/fonts/wanpakuruika
ハッピールイカ-05 https://fonts.adobe.com/fonts/happyruika
墨東ルイカ-07 https://fonts.adobe.com/fonts/bokutohruika
「レラ」はルイカをベースに開発された丸ゴシック体です。ルイカ同様、クセのないニュートラルな印象で、メディア、ジャンルを問わずに安心して使えるデザインになっています。全6ウェイトがあり、Adobe Fontsでは本文等で使いやすい細めのウェイトを利用することができます。
レラ-2 https://fonts.adobe.com/fonts/rera
「ニタラゴレラ」「わんぱくレラ」「キャピレラ」「墨東レラ」は、レラの漢字にそれぞれ「ニタラゴ丸」「わんぱく丸」「キャピー」「墨東丸」を組み合わせた書体です。レラ同様、各6ウェイトを揃え、Adobe Fontsでは細めの各1ウェイトを使用することができます。
ニタラゴレラ-3 https://fonts.adobe.com/fonts/nitalagorera
わんぱくレラ-4 https://fonts.adobe.com/fonts/wanpakurera
キャピレラ-1 https://fonts.adobe.com/fonts/capirera
墨東レラ-5 https://fonts.adobe.com/fonts/bokutohrera
「セプテンバーN」は、佐藤さんが25〜35歳のころにロットリングで描いていた文字をベースに作られた手書き系書体です。10代からロゴや喫茶店メニューを手書きしていた佐藤さんならではの、抜けのよい、さらっとした心地よさが感じられます。
1982年、第7回 石井賞 創作タイプフェイスコンテストで佳作を受賞した書体のアイデアをもとに、1998年から制作を開始し、8mm角の原字をスキャン、トレースしてデジタル化。2003年に最初のセプテンバーが完成したのち、2016年にはウェイト、字種を拡張した「セプテンバーN」が発表されました。2〜5の全4ウェイトのうち、Adobe Fontsでは細めの1ウェイトを使用することができます。
セプテンバーN3 https://fonts.adobe.com/fonts/september-n
タイプラボの文字には、文字をほがらかに、楽しそうに見せる不思議な力があります。印刷物からweb、映像まで幅広く使える汎用性の高さ、そして、細いものから太いものまで、デザインのニーズに応えるウェイト幅も十分。まずはAdobe Fontsでその魅力の一端に触れてみましょう。
商品版フォントはBOOTHから購入可能。「えれがんと」はLINEスタンプとしても販売されている
タイプラボ書体が集結!親しみやすさが魅力のフォントパック
Adobe Fontsで使用可能な多くのフォントのなかから、イメージや目的にあわせて厳選して提供する「フォントパック」に、すべてのタイプラボ書体を収録した「親しみ&やさしさあふれる書体パック」が追加されました。このフォントパックには、角ゴシック体「ルイカ」とその組み合わせ4書体、丸ゴシック体「レラ」とその組み合わせ4書体、手書き系書体「セプテンバーN」が含まれます。
どんなデザインにもフィットするタイプラボ書体の魅力に触れてみましょう。
角ゴシック系
- ルイカ-09
- ニタラゴルイカ-06
- わんぱくルイカ-08
- ハッピールイカ-05
- 墨東ルイカ-07
丸ゴシック系
- レラ-2
- ニタラゴレラ-3
- わんぱくレラ-4
- キャピレラ-1
- 墨東レラ-5
手書き系
- セプテンバーN3
Adobe Fontsでフォントパック「親しみ&やさしさあふれる書体パック」を見る
https://fonts.adobe.com/collections/friendly-gentle
Adobe Fontsを無料で試してみる
https://fonts.adobe.com/
Adobe Fontsでタイプラボのフォントを見る
https://fonts.adobe.com/foundries/type-labo
タイプラボ
web|https://www.type-labo.jp/
BOOTH|https://typelabo.booth.pm/
商品版購入|https://www.type-labo.jp/DLkounyuwaku.html