人間の創造性の拡大のために〜Adobe Stock、画像生成AIで作成したコンテンツについて新たなガイドラインを制定
画像提供（左から）Adobe Stock Art Master、Adobe Stock Robert Kneschke、Adobe Stock Forest Spirit
3億2,000万点以上のクリエイティブアセット（素材）を販売するAdobe Stockは、画像生成AI（ジェネレーティブAI）を使って作成したイラスト投稿に関する新たなガイドラインを制定しました。その目的は、ユーザーの皆様のクリエイティブプロジェクトを強化する可能性を拡げることです。画像生成AIには、その登場初期からテクノロジーの適切な使用について疑問が挙がっていました。アドビはこれらの疑問を深く考察し、Adobe Stockにおいてはコントリビューター（コンテンツを投稿する提供者）と利用者の双方によってAIテクノロジーが責任を持って使われることを保証できる新たな投稿ポリシーを制定・施行することにしました。
画像生成AIは、機械学習の驚異的なパワーを活用し、言葉やスケッチ、ジェスチャーを使ってイメージを膨らませることで、より速くアイデアを出すことができる、クリエイターにとって大きな飛躍となる技術です。Adobe StockのコントリビューターがAIツールや関連テクノロジーを利用すれば、作品ポートフォリオの多様化、創造性の拡大、それらに伴う収入の増加といった可能性を高められますが、今後そのような作品の投稿はAI生成コンテンツに関するアドビのガイドラインを満たす必要があります。その一環として、コントリビューターには画像生成AIを使った投稿である旨の明示が求められます。
「画像生成AIを正しく統合する方法はあります。アドビのように大規模に展開しているサービスなら可能でしょう。責任をもってツールが使われるようコミュニティに働きかけることに成功した企業が、それを誰よりも先に手にすることになります」
アレックス Q（Alex Q）氏
画像提供：Adobe Stock / Bnetto
登場間もない頃の画像生成AIはいくつかの正当な懸念を提起しましたが、アドビはこの革新的なテクノロジーを人間の想像力に置き換えるのではなく、アーティストに力を与えるツールとして進化させていくことをお約束します。適切に構築・使用され、そのことが利用者に開示された画像生成AIは、創造性を高める強力なツールであり、デジタルアセットの利用者と、それらのアセットを生み出すコントリビューターの、双方のコミュニティに利益をもたらすかたちで創造的プロセスを加速させることが可能です。
アドビはまた、自ら主導するコンテンツ認証イニシアチブ（Content Authenticity Initiative＝CAI）に基づき開発したデジタル証明技術など、作品の帰属表明のイノベーションにも継続的に投資しています。CAIは800以上のメンバーを擁し、クリエイターが作品の帰属先を表明したり、デジタルコンテンツの真正性と来歴情報に関する透明性を提供したりすることを、アドビ以外の製品でも可能にしています。
アドビの新しい画像生成AIポリシーは、これらのツールの力をアーティストの手に委ね、AI生成コンテンツであっても他のコンテンツと同様に取り扱います。また、コントリビューターが当社のロイヤリティガイドラインに則り通常通りロイヤリティを獲得できるように定めます。
画像提供（左から）Adobe Stock / IlzeLuceroPhoto、Adobe Stock / Kris Kashtanova
「私はAI肯定論者であり、AIがアートの未来にどう影響するのかに注目しています。最初に見たときよりずっと良くなっているアプリもあります。アドビのような企業が画像生成AIをクリエイティブツールにどのように統合していくのか、楽しみです」
マディソン B（Madison B）氏
ロイヤリティガイドラインとコンテンツのモデレーション
Adobe Stockは、AI生成コンテンツのような新しいタイプのアセットに対しても、ユーザーの皆様のニーズに対応するため、他の投稿コンテンツと同じポリシーを適用してモデレーション（作品の審査）を実施します。つまり、特定できる人物や知的財産の情報を含めるには引き続きリリース（許諾）が必要であり、アセットに関して万が一クレームが発生した場合の標準的な知財免責も適用されます。また、アドビの画像生成AIポリシー（英語のみ）では、適切な許諾なしに、第三者のコンテンツを元に作成したコンテンツ（例：人、場所、知的財産、アーティストのスタイルなどに言及したプロンプトで生成されたもの）を投稿することを禁止しています。
AI生成コンテンツは、他のコンテンツと同じライセンス条件のもとで提供されます。アドビのポリシーでは、投稿するコンテンツがAIで生成されている場合、コントリビューターがその旨を自主的に明示するよう求めています。また、アドビはこの種のコンテンツの透明性をさらに高めるための機能の追加を予定しています。美しく、かつ、使い勝手が良いコンテンツを作成するために画像生成AIが適切に使われ、そのことが明示されていれば、ユーザーは選択したアセットの出所を明確に理解したうえで使うことができます。アドビは、そのようなコンテンツが私たちのストックコレクションにふさわしいと信じています。
この記事は2022年12月5日（米国時間）に公開された Amplifying human creativity: Adobe Stock defines new guidelines for content made with generative AI の抄訳です。