ハイブリッド型ワークによりオフィス印刷はどのように進化し続けるのか

2020年は、人々の働き方、ビジネスのあり方において転換期となりました。企業は、ほぼ一夜にして在宅勤務型モデルに切り替えざるを得ない状況にありました。その結果、ハイブリッド型ワークが新たな現実となり、今では多くの社員がリモートワーク(完全または部分的に)で働くようになりました。リモートワークがきっかけとなり、職場における印刷が大きく変化しました。印刷は根本的なビジネスニーズです。アドビプリントチームが実施した調査によると、調査対象の企業の約30%が、パンデミック後に印刷の予算を増加させたことがわかりました。この記事では、企業とナレッジワーカーの視点から、オフィス印刷に影響を与えている、いくつかの変化について解説します。

企業への影響

パンデミックにより、社員は自宅のプライベートネットワークを使用して、リモートで働き、プリンターはオフィスの敷地内に設置されたままという現実が生じました。社員はその場しのぎで自宅にオフィスを構え、多くの企業は社員がプリンターを購入することを認めざるを得ませんでした(その費用は会社が負担しました)。中には、自宅で印刷できるように、プリンターを社員に発送した企業もありました。家庭用プリンターはA4サイズが主流です。そのため、オフィスではA3サイズのプリンターの使用が続く一方、印刷の分散化により企業ではA4サイズのプリンターへの関心がさらに強まると予想されます。さらに、企業がインク、トナー、消耗品、その他のサービスなどの費用も負担する必要があり、この費用を最小限に抑える方法を模索することが予想されます。

企業は、プリンターや必需品の費用を負担するため、業務に関係のない印刷を最小限に抑えたいとも考えています。印刷が自宅のネットワークや、モバイル、クラウドなど複数のネットワークを経由して行われるようになったため、攻撃に対しより無防備な状態になっています。企業にとって、セキュリティと印刷管理は大きな関心事です。安全に印刷でき、プリンター機器の使用状況の監視を可能にするソリューションを企業が求めると、アドビは予測しています。

多くのビジネスプロセスでは、標準的な家庭用プリンターでは実現することが難しい、より高いレベルの印刷品質が要求されます。社員が自宅で印刷できるようにする場合、企業はより高性能でハイエンドなA4サイズのプリンターを好むことが予想されます。また、企業は、社員が既存のプリンターでより優れた出力品質を実現できるワークフローも求めることになるでしょう。

今や社員はリモートで働き、企業内に設置されたプリンターとは異なるネットワークを使用しています。そのため、ユーザーとプリンター機器が同じネットワークを使用するという依存性を排除する、ネットワークに依存しない印刷がビジネスニーズとして存在しています。また、社員はデスクトップだけを使用して業務を行っているわけではありません。モバイルやタブレットの使用頻度も増加しています。時にはこれらのデバイスから印刷することもあります。そのため、複数のネットワークにまたがる複数のデバイスに対応する必要があります。今日のクラウド印刷では、これを実現することが可能です。今回のアドビの調査によると、企業の69%が既にクラウド印刷のワークフローを社員に提供しています。今後、ますます多くの企業が、すべての社員を対象にした、クラウド印刷ソリューションの導入を検討することになるでしょう。

ナレッジワーカーへの影響

ここで、ナレッジワーカーの視点から、その影響を確認してみましょう。現在、自宅からより多くの業務を行う機会が増えたことで、これまで家庭用プリンターを持っていなかった人が、プリンターを購入する必要性を感じています。より多くの社員が自宅にプリンターを設置するようになると、プリンターの設定、ドライバーのインストール、カートリッジの交換など、自分自身でテクニカルサポートを行う必要性が生じます。企業は社員がテクノロジに精通することを期待するほかありません。そのため、プリンターメーカーは、デバイスやインターフェイスの設定や利用、トラブルシューティングを容易にすることに、注力する必要があります。

自宅にプリンターを設置している社員は、これまで写真や子供の宿題などの一時的な印刷作業にプリンターを使用していました。現在では、仕事上の印刷ジョブも定期的に自宅のプリンターに送信するようになり、印刷枚数も増加しています。このような印刷の増加をうけ、より耐久性の高い家庭用プリンターの需要が創出されています。

社員は自宅で枚数が多いドキュメントを印刷するため、用紙の両面に印刷し枚数を減らしたいと考えています。そのため、両面印刷に対応したプリンターのニーズが高まると予想されます。アドビの調査では、ユーザーの約35%が、自宅で仕事用のプリンターを購入する際に、両面印刷を最重要機能として考えていることがわかっています。

コワーキングスペースを利用してリモートワークを行う社員が増加しています。社員は、面倒なドライバーのインストールに悩まされることなく、シームレスにプリンターに接続できることを望んでいます。アドビは、そのようなシナリオを可能にする、ドライバーレスやクラウド印刷の導入が増加すると予測しています。

プリンターを持っていない、またはコワーキングスペースを利用できない社員は、プリントショップやキオスク、あるいはオンラインで印刷を依頼するかもしれません。仕事上のドキュメントをこのようなサードパーティと外部で共有することは、さらなるセキュリティ上のリスクをともないます。このようなニーズに対応するため、安全な印刷を可能にするキオスクソリューションや印刷のデリバリーサービスの需要の増加が見込まれます。

まとめ

ハイブリッド型ワークやリモートワークといったニューノーマルは、オフィス印刷に大きな変化をもたらし、未来への移行を加速させました。印刷機器メーカーやソリューションプロバイダーなどの企業が、このような変化を最大限に活用できる、新たな機会が創出されています。

ページ記述言語(PDL)としてのPDFは、これらの機会や新たな要求に対応できます。PDLとしてのPDFは、すべてのコンテンツと定義を印刷ファイル内に埋め込み、サイズを縮小してネットワーク上ですばやく転送できるため、印刷プロセスにおいて品質や効率を高めます。PDFでは、今日の企業が必要とする品質の向上やドキュメントのセキュリティを強化するためのワークフローを追加できます。今日、すべてのドライバーレス印刷パスとクラウドベースの印刷ソリューションでは、PDF印刷が好まれています。アドビは、オフィス印刷における重要な分岐点を注視しながら、今後も高速かつ高品質で、将来に対応するPDF印刷テクノロジを構築していきます。拡大するハイブリッド型ワークにおける、ドキュメント処理要件の変化にPDFがどのように対応しているかについては、こちらのIDC Analyst Connectionのホワイトペーパーをダウンロードしてご覧ください。

※この記事は2022年11月17日(米国時間)に公開されたブログの抄訳です。