“人生を変えた”アドビに新卒で入社! 壁を乗り越え大きな成果を上げたそのキャリアを語る- 心、おどる、この人に会いたい!(2)

ユニークな才能あふれるアドビ社員を紹介するオンラインインタビュー「Adobe Japan Talent Discovery Talk Show 心、おどる、この人に会いたい!」。今回は、新卒採用の予定がなかった当時に熱心な売り込みでアドビに入社した寺尾 健登さん。入社後はDMe(デジタルメディア事業統括本部)に配属され、現在はDX(デジタルエクスペリエンス事業統括本部)パートナーセールスマネージャーを務めています。寺尾さんはアドビに出会ってから創作に目覚め、どうしても新卒でアドビに入社したかったとのこと。しかしその後、仕事で壁にぶつかり悩む日々が続きましたが、逆境を克服して大きな成果を上げるまでになりました。その軌跡をご紹介します。
(聞き手:マーケティング本部 小池 晴子)

創作活動に自信がもてなかった自分が目覚めた理由

寺尾:はい、その年に同期は私を含めて4人入社しているんですが、マルケトをアドビが買収した時期で、私以外は全員マルケトからの入社組なんです。新卒は私1人でした。

小池:どのような経緯でアドビに新卒入社したのでしょう?

寺尾:私は小学校3年生から中学の終わりまで米国で過ごし、帰国後は国際バカロレア教育の学校に通って英語で授業を受けていました。その後、国際基督教大学で経営学や情報科学を学んでいたのですが、そこでAdobe Creative Cloudに出会ったんです。

DXパートナーセールスマネージャー・寺尾 健登さん

小池:そのCreative Cloudで人生が変わったと伺っています。

寺尾:そもそも私は自分の創作活動に全く自信が持てず「クリエイティブなタイプではない」と自分でも言っていました。しかしどういうわけかダンスサークルに所属している知り合いから「公演用の動画を制作してほしい」と依頼されたんです。

頼まれたからにはちゃんとやりたいと思い、インターネットで調べたところ、必ず検索結果に表示されるのがアドビでした。そこで学割でCreative Cloudを契約して独学で学びながら動画制作に取り組みました。やってみると、YouTubeにチュートリアルもたくさんあるし、ユーザーコミュニティも充実していて、自分のクリエイティビティに自信がなかった私でも動画が作れるようになったんです。

作った動画を公演で流したところ、大きな反響があって、みなさんスタンディングオベーションで拍手してくれました。自分が制作したものをみんなが喜んでくれて、すごいねと声をかけられ、拍手して感動してくれて——その体験がとても強烈で、忘れられなくなったんです。それ以降、動画や写真など次々とCreative Cloudで制作し、本当に人生が変わりました。「そんな体験を多くの人が経験すれば、いろんな生き方のオプションが得られるのではないか」と考え、アドビを志望したんです。

自らの手で新卒入社を勝ち取った行動力

小池:ところがその年は新卒募集をしていなかったので、寺尾さん自ら自身の動画作品と履歴書を人事に送って入社の扉を開けたそうですね。

寺尾:いま振り返るとすごいことをしましたよね。あの時は就職活動もある程度終わっていて、Adobe Photoshopで画像編集をしていたんです。するとPhotoshopのアイコンが突然動き始めました。アップデートの告知だったんですが、その動いているアイコンを見て「アドビは新卒採用をしていないのかな」とふと思ったんです。

小池:Photoshopに呼ばれた感じですね。

寺尾:はい、呼ばれました。その時はインターンを打診されたのですが、就職活動の終盤だったのでインターンという選択肢はありませんでした。そこで一所懸命思いを伝えながらインターンを断ったところ、新卒採用を検討いただいて、面接を経て入社しました。

新卒で配属されたDMe、弱点を克服して大成果

小池:その突破力は素晴らしいですね。配属先はどちらでしたか?

寺尾:新卒で入社したので1週間置きのジョブローテーションがあり、さまざまな部門を経験後、人事の方や部門の方とお話ししてデジタルメディア(DMe)事業部のパートナーセールスに配属になりました。Creative CloudとDocument Cloudを扱う部門です。そこで大手ITディストリビューターのお客様の担当となりました。

小池:DMeには2年間在籍したそうですが、いかがでしたか。

寺尾:いま思い返すと一瞬だった感じです。日本型コミュニケーションにカルチャーショックを受けることもありました。一方で、働き方や仕事について深く学ぶことができた、充実した2年間だったと思います。

その一方、「自分には実力がないのではないか」と思い悩んだ日々でもありました。同期の4人のうちDMeに配属された新卒は私1人でしたし、私以外は実績も経験も豊富な先輩方で、私から見たらスーパーマンのような存在の方々ばかりです。この人たちを目標にするべきか、自分路線を突き進むべきか、とても悩みました。

小池:そこをどのように克服したのでしょう?

寺尾:2つあります。1つは自分の弱みをさらけ出す覚悟を決め、上司に相談したり、自分の思いをありのままに話すようにしたことです。もう1つは同期の存在ですね。同期に対してもお互いに悩みや課題を打ち明けあったことで「自分ひとりだけではない」と実感できました。

小池:悩みを乗り越えたところで、大きな分岐点に当たったそうですね。

寺尾:はい。それが2020年のVIP MarketPlaceのローンチです。これはパートナー企業経由で契約したCreative CloudやDocument Cloudを自動更新する仕組みです。それまではAdobe.comでアドビと直接契約した場合以外のパートナー企業経由の契約では、自動更新の仕組みはありませんでしたが、VIP MarketPlaceの実装によって自動更新が可能になりました。

VIP MarketPlaceは2019年の年始の全体会議からグローバルでローンチされ、海外ではいろいろなディストリビューターさんが積極的に実装していました。実装には海外のマーケットプレイスの担当者とのコミュニケーションが必要ですし、資料もすべて英語だったので、これは自分にしかできないと思い、全力でVIP MarketPlaceのローンチに取り組んだんです。

私が担当していたディストリビューターさんは、実装のプランのタイミングが少し遅かったのですが、自分なりにいろいろ考えてコミュニケーションを取った結果、最終的にどのパートナーさんよりも早くローンチできたという実績を残すことができました。

左から寺尾さん、寺尾さんの同期の3人、アドビの会長兼CEOのシャンタヌ・ナラヤン(右下)。2019年にラスベガスで開催された会議の最終日のパーティーで撮影された一枚。

小池:ご自身の強みを理解したうえで、成果につなげたんですね。

寺尾:はい、この成功体験によって、自分がオーナーシップを持ちながらいろいろな物事にチャレンジしていく楽しさや、自分でもスーパーマンになれるんだという感覚をつかむことができました。

DXパートナーセールスに異動、新しい成功体験を目指して奮闘中

小池:その後、DX事業部のパートナーセールスに異動なさったんですよね。

寺尾:はい。そもそも私はCreative Cloudのアドビしか知らなかったので、OJTでジョブローテーションしていた時から「なぜアドビがデジタルトランスフォーメーションをやっているんだろう」って興味を持っていたんです。そんな時、DMeの上司がDXも兼任して見ることになり、「私もチャレンジさせてください」ということでDXのパートナーセールスを担当することになりました。DMeでは先輩方が築き上げてきたパートナーさんとの関係性を前提に、試行錯誤しながら自分なりの付加価値を提供することにまい進しましたが、新しいDXで自分がその関係性をどう立ち上げていくのかチャレンジしたいという思いがあったんです。

小池:仕事内容はいかがですか。

寺尾:本質的な部分はあまり変わりはないと思いますが、DXはこれから立ち上げる段階です。そういう意味では、営業の方やDXのコンサルタントの方にDXのパートナー企業の魅力や、さまざまなサービスが連携し合うエコシステムの強さをもっと訴求していく必要があります。

またパートナー企業の担当者も、それこそ経営幹部や役員の方が多く、メールやミーティングの準備、資料の作成にも十二分に時間をかけなければなりません。正直、何が正解かわからないこともあります。でも自分のなかに「もっとできるはずだ」という思いがあるので、いつかそのもっとできる自分に出会う日を待ちながら、いまできることを最大限にやっています。

小池:いまチャレンジしていることを教えてください。

寺尾:取り組み始めているのは、自分がDMe時代にパートナーさんとどのようなコミュニケーションを取り、どんな活動をしていたのかという外向きの活動と、またアドビ社内の営業の方々や他部署の方々とどのように関わっていたのかという内向きの仕事のおさらいをしています。

いまのDXはまっさらな状態なので、やろうと思えば何でもできますが、やり方によっては効率が悪くなります。初心にかえる気持ちで、当時自分はどういうことをやっていて、いまできていないことは何かをしっかりつかみたいと思っているんです。DMe時代の私は、自分の立ち位置もわかりませんでしたが、いまはDMeの経験値があるので、あの時の成功体験以上の成果を残したいと考えています。

小池:ありがとうございました。

聞き手:小池 晴子

アドビ マーケティング本部 執行役員 本部長(Adobe Express & エデュケーション)。教育関連企業にて通信教育事業、教室事業などの商品開発責任者を務めた後、米国のEdTechベンチャーの日本オフィス立ち上げに参画。2017年アドビ入社、教育市場部長などを経て2022年12月より現職。