のべ子「ねこの毛並みもフワフワに描きあげられるAdobe Fresco」Adobe Fresco Creative Relay 35

のべ子|メイン|画面ショット

アドビでは毎月、Twitter上でAdobe Frescoを使ったイラストコンテストを実施しています。応募は簡単、Twitterで アドビ公式アカウント をフォローして、 #Frescoイラコン をつけてTwitterへ投稿するだけです。
2月のテーマは2月22日の猫の日にちなんで「ねこ」。愛猫を描いてもよし、キャラクター化、擬人化してもよし。かわいいねこのイラストをAdobe Frescoで描き、#Frescoイラコン をつけて投稿しましょう。
そして、この企画に連動したAdobe Frescoクリエイターのインタビュー「Adobe Fresco Creative Relay」、第35回は大人気ねこ漫画『シャム猫あずきさんは世界の中心』シリーズで知られる、のべ子さんに登場いただきました。

ふわふわ&もふもふ!愛くるしいねこの日常

のべ子|イラスト

「“ねこ”というテーマをいただいて、“おそらく求められているのは、あずきちゃんのような目がポヨンとしたねこだろうな”と思ったのですが、そのままあずきちゃんを描いてもおもしろくないので、まずはAdobe Frescoにあるブラシをひと通り使ってみて、感触を確かめることから始めました。
Adobe Frescoのブラシは種類も豊富でどれも使いやすかったので、今回はこの質感を活かしつつ、ねこのシルエットをきれいに出せるように、モチーフには黒ねこを選んでいます。
選んだブラシは普段なら描けないような細かい毛並みまで、しっかり描くことができました。ねこのしっぽって、意外と好きな人が多くて、一部の人には“ぱや毛”なんて言われているんですけど、ビックリしたときにモコモコっとなるのがたまらない(笑)。ここがうまく描けたのがよかったですね」

ポケモンを通じて絵と触れあう子ども時代

現在、漫画家として、イラストレーターとして活躍するのべ子さんが絵に興味を持ち、その道を目指すきっかけは何だったのでしょうか。幼少期から振り返っていただきました。

「幼稚園のころから絵を描くのが好きだったみたいです。“みたい”というのは、当時のことを全然覚えていないせいなのですが、自分の記憶では絵よりもゲームのほうが好きだったと思っています。
家ではずっとゲームをやっていて、学校ではゲームができない代わりに絵を描いていたんじゃないかな。とにかくずっと遊んでいる人間でした(笑)」

のべ子|ポケモン

小学校時代に描いていたポケモンイラスト

より明確に絵を描くことを意識したのは中学生のとき。あるライトノベルとの出会いがきっかけでした。

「電撃文庫から出ている『キノの旅』という作品があって、表紙はイラストレーターの黒星紅白さんが描かれていました。黒星さんの絵を見たとき、直感的に“自分もこんなふうに絵でごはんが食べられるようになりたい!”と思ったんです。
いまの絵からは想像できないかもしれませんが、最初は黒星さんのような絵を描くイラストレーターになりたかったんですね(笑)」

のべ子|キノの旅

電撃文庫『キノの旅 -the Beautiful World-』著:時雨沢恵一/発行:KADOKAWA

“電撃文庫の表紙を描けるイラストレーターになりたい”
中学生ののべ子さんは目標を定めて練習を重ねるも、高校生になり突如として方向を転換します。

「高校生のある日、“絵をちゃんと描くのってめちゃくちゃ面倒くさいな”って気づいたんですよ。絵の上手なイラストレーターさんの描きかた講座を見てみたら、まずアタリを取ります、下描きをします、ペンを入れますと、とにかく工程数が多い。“これは……無理!”って思いました(笑)。
ただ、絵は描きたかったので、どういうものを描いたらいいのかとひと通り頭を悩ませた結果、“スーパーミルクちゃんみたいなシンプルな絵を描こう”と思い至りました。実際に描いてみるとこれはこれでうまく描くのは難しいのですが、このとき、デフォルメされたキャラクターを描くようになったことが、いまにつながっていると思っています」

高校生から同人誌の世界、そして美大へ

目指す方向性は変わったものの、変わらず絵を描き続けていたのべ子さん。
そのひとつのモチベーションは同人誌づくりにありました。

「高校生のころ、『三國無双』というゲームのアンソロジー4コマ漫画を見て、“自分で自由に物語を作ってもいいんだ”と思って。それから二次創作を始めました。
自分で話を作って描くうちに、どうせなら自分でも本を出したくなって、原稿用紙に漫画を描いて、おたクラブさんでコピーして製本して……即売会にも参加するようになりました。人がやっていると自分もやってみたくなる。自己顕示欲のカタマリなんです(笑)」

のべ子さんのエピソードから見えてくるのは並々ならぬ決断力と行動力。そのモチベーションは即売会を通してさらに高まっていきました。

「即売会では基本的にmixiや個人サイトでつながりのある人が買いに来てくれたのですが、はじめて知らない人が買ってくれたとき、ものすごく脳汁が出て。それからはもうアホみたいにイベントに出ましたね。毎回、新刊を作っては即売会で売っていたのですが、いま冷静に思い返すと、我ながら『三國無双』だけでよくそんなに話が描けたな、って思います(笑)」

「吸血鬼すぐ死ぬ」×マリオンクレープコラボイラスト

絵を描くこと、絵を通して人とつながること。高校時代の経験は、美大への進学を決意させるのに十分なものでした。高校を卒業後、のべ子さんは大阪芸術大学・キャラクター造形学科へと進学。当時は里中満智子さんや日野日出志さん、永井豪さんが教鞭を執っていた時代でした。

学生時代の学びでいまにつながるユニークなエピソードをひとつ紹介しましょう。『シャム猫あずきさんは世界の中心』シリーズでも見られるように、のべ子さんがコマを割らず、背景を描かない、その理由がここにあります。

「漫画だからと言って、コマを割らなくてもいいと思ったのは大学生のときです。なぜ背景を描かないのかというと……背景を描きたくないからなんです(笑)。コマを割ってしまうとキャラクターの後ろに背景を描かなくちゃいけませんよね。でもコマがなければ、背景を描く必要はありませんから。
それに気づかせてくれたのが、とある漫画家の先生の授業でした。先生曰く、“コマを割らずにお花を散らせたら、背景を描くことなく華やかになるからいい”と。それを聞いたとき、“なんて頭いいんだろう…!”と感動すら覚えて。それでいまのかたちになりました」

大学卒業後、就職をしたのべ子さん。勤務時間は9〜16時だったため、その後の時間はすべて趣味やSNS経由で届いた絵の仕事に割り当てることができました。

「それまで描いていたデフォルメキャラだけでは、イラストレーターとして活動するのは難しいと思っていたので、等身やタッチを変えたイラストもSNSにポストするようにしました。自転車と同じで一度覚えたものは、しばらく間が空いても手が覚えているんですよね」

さまざまなイラストを描くなか、「戦国コレクションイラストコンテスト」では優秀賞を受賞。これをきっかけにゲームイラストなども手がけるようになっていき、イラストの仕事が増えてきたことをきっかけに会社を退職、独立を果たすことになります。

のべ子|イラストコンテスト

戦国コレクションイラストコンテスト 優秀賞受賞作品(2011)

のべ子|あずきさん

もうひとつ、のべ子さんを語るうえで外すことができないのが漫画『シャム猫あずきさんは世界の中心』です。2013年から飼いはじめ、2019年から漫画として描かれるようになったあずきさんシリーズはどのように生まれたのでしょうか。

「当時、同人活動でハマっていたジャンルが途切れ、次に何を描こうか……と考えたとき、“あずきちゃんはかわいいし、このかわいさをみんなに伝えよう!”と思ったのがきっかけです。最初から漫画を描いていたわけではなくて、自分用にグッズを作ったり、コミックエッセイのようなものを描いていました。いわば自分のペットの二次創作ですね。
わたしは無から有を生み出すことができないタイプだと自覚している反面、キャラクターがいればそこからいくらでもストーリーを作ることはできますし、むしろ描きたいものに筆が追いつかないタイプなんです。あずきちゃんの漫画も、毎日何か変なことをするから、“あ、これ、漫画にしよう”と思えるんですよね」

のべ子|あずきさん漫画

あずきさんは国内外で人気になり、発信方法も漫画として定着。SNSで話題になるとついに出版の話が来るように。一躍、ネット漫画の世界で、ねこ好きの世界で知られる存在になりました。

「実はわたし自身、いまでも“プロなのかな?”と思っているくらいで。好きなように絵を描いていたら、Twitterのフォロワーが増え、あずきちゃんの漫画を見たKADOKAWAさんから“本を出しませんか?”と言っていただいて、いまに至る。本当にそんな感じなんです」

のべ子|シャム猫あずきさんは世界の中心

『シャム猫あずきさんは世界の中心』は2023年2月16日現在3冊が既刊、2月25日に4冊目が刊行される予定(発行:KADOKAWA)

のべ子|あずきさんグッズ

あずきさんは海外でも人気は高く、2023年1〜3月には上海、 深圳でコラボカフェを展開

直感で触って、直感で描けるAdobe Fresco

普段はWindowsマシン+ペンタブレットでイラスト、漫画を描いているのべ子さん。
今回使った、Adobe Fresco Windows版をどのように感じたのでしょうか。ファーストインプレッションを伺いました。

「わたしは説明書をあまり読まないタイプなんですけど、Adobe Frescoは直感で触って、直感で絵を描くことができました。“なんか使えるやろ”みたいな感じで(笑)。
基本的にアナログ人間なので、Adobe Frescoに限らず、PCソフトには慣れていないのですが、そんなわたしでも使いやすいと感じることができました」

のべ子|制作環境

下書きを画像として取り込み、デジタルで仕上げるのべ子さんにとって、Adobe Frescoのカラーパネルも便利なポイントでした。

「写真を読み込んだときに、写真に含まれる色からカラーパレットを自動で作ってくれる。この機能はすごく便利ですね。毎回違った色で描くイラストレーターさんなら気にならないかもしれませんが、漫画のように決まった色で描く場合、作った色をライブラリに保存できるのはとても助かります」

のべ子|Adobe Fresco画面

のべ子さんは今後、Adobe Frescoをどのように活用していくのでしょうか。最後に伺いました。

「甥っ子が生まれたので、その子に絵本を作ってあげようと思っているんです。絵本はやっぱりアナログらしい線のほうがいいので、Adobe Frescoで使ったブラシで描いてみたいですね。
いま使っているペイントソフトは、こういうタッチは苦手なので、アナログで描こうと思っていたところに、ちょうどいいツールが見つかって本当によかったです。
今回はWindows版を使いましたが、今後はiPad版でもまずはメモ書き、落書きに使ってみようと思っています」

のべ子
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