ジェネレーティブAI 「Adobe Firefly」が提案するビデオ編集ワークフローの未来
NAB Showに先立ち、アドビはAdobe Premiere Proの「文字起こしベースの編集」や「自動トーンマッピング」などのイノベーションを発表し、Adobe After Effectsの30周年を祝いました。 また、Frame.ioの対応を映像だけでなく拡大して写真やPDFドキュメントのレビューを可能にし、遠隔地に散らばるマーケティングチームでも、一元化された直感的なクラウドハブでコンテンツアセットを管理し、繰り返し改善できるようになりました。
Adobe Premiere Pro「文字起こしベースの編集」
アドビのビデオおよびオーディオ製品は、30年以上にわたり、世界中の最も才能あるクリエイティブプロフェッショナルに選ばれてきたツールです。今年だけでも、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(作品賞、編集賞ほか)をはじめとする10本のアカデミー賞ノミネート作品に、アドビのアプリケーションが活用されました。Adobe Substance 3D Designerを開発したクリエイターは、映画芸術科学アカデミーから科学技術賞を受賞し(アドビにとって3度目の受賞)、20203年のサンダンス映画祭では、上映作品の約3分の2がAdobe Premiere Proで編集されています。
ジェネレーティブAI 「Adobe Firefly」を Adobe Creative Cloudに
Adobe Premiere Pro「Adobe Firefly」(開発中)
これまで10年以上にわたって、アドビは独自の人工知能(AI)と機械学習のプラットフォームであるAdobe Senseiを通じ、何百ものAI搭載機能を提供してきました。Adobe Premiere Proの「オートリフレーム」や「リミックス」、Adobe After Effectsの動画版「コンテンツに応じた塗りつぶし」などの機能は、すでに世界中の映像や音声のプロフェッショナルに活用されており、魅力的なコンテンツを素早く作成するのに役立っています。
ジェネレーティブAIは、クリエイターとコンピューターの自然な会話を可能にします。つまりプロのための最先端のクリエイティブアプリケーションワークフローと、自分の言葉やジェスチャーといったシンプルな操作方法が組み合わさることで、これまでにないクリエイティブ表現が可能になる新しい時代が訪れたことを意味します。
その次のステップとして、私たちは先月、創造性と生産性のAI支援における大きな進化であるAdobe Firefly(英語)を発表しました。Adobe Fireflyは、クリエイティブなジェネレーティブAIモデルのファミリーで、画像やテキストエフェクトの生成が可能です。私たちの最初のモデルは、Adobe Stock画像、オープンライセンスコンテンツ、著作権が失効したパブリックドメインコンテンツでトレーニングし、安全に商業利用できるコンテンツを生成するよう設計されています。Adobe Fireflyは現在ベータ版として提供されていますが、私たちは近い将来、Adobe FireflyをAdobe PhotoshopやAdobe Illustratorなどアプリケーションに統合する計画(英語)も発表しています。
ビデオ製品にAdobe Fireflyが統合された未来
私たちは今まさに動画の黄金時代を迎えており、ニュース、SNS、エンターテインメントではショート動画が溢れています。こうした飽くなき需要の増加、増え続ける配信チャネル、制作チームの世界的な分散化といったトレンドを踏まえると、質の高いクリエイティブな作品の制作を効率的かつ大規模に行うことが、さらに重要になっていくと予想されます。
だからこそ、私たちはクリエイターのビジョンをより簡単かつ迅速に形にするAdobe Fireflyの能力を活用し、ビデオやオーディオのコミュニティの皆さんとともにその可能性を切り開き、イノベーションを起こすことを楽しみにしています。Adobe Fireflyをクリエイティブな”副操縦士”として活用すれば、インスピレーションの発見やアイデア出しのプロセスを超高速化し、ポストプロダクションの時間を数日から数分に短縮することが可能です。そして、ジェネレーティブAIがワークフローに直接統合されれば、その強力な機能の数々がいつでも利用できる状態になります。 動画のシーンの昼夜を瞬時に変更したり、関連するBロールを自動的に探したり、クリップの無限のバリエーションを生成したりできるパワーを想像してみてください。それらすべてが、クリエイターの創造性の出発点として利用できるのです。
私たちはまず、以下のようなユースケースを検討しています。
- テキストによるカラー調整: 収録済み動画の配色や時間帯、季節を変更したり、特定のトーンや感触を想起させるように瞬時にムードや設定を変えることが可能です。「このシーンを暖かく、心地よい雰囲気に」といった簡単なプロンプトで、イメージしたものがすぐに完成形になります。
- 高度な音楽とサウンドエフェクト: クリエイターは、仮トラックと本トラックの両方で、特定の感情やシーンを反映したロイヤルティフリーのカスタムサウンドや音楽を簡単に生成することができます。
- 美しいフォント、テキストエフェクト、グラフィック、ロゴ:クリエイターが簡単な文章を入力すると、ほんの数分で字幕、ロゴ、タイトルカードが生成され、カスタムアニメーションを追加することが可能です。
- 強力な脚本解析およびBロール機能: 脚本テキストをAIで解析し、ストーリーボードやプリビジュアライゼーションを自動生成するほか、ラフカットやファイナルカット用のBロールクリップを提案するなど、プリプロダクション、プロダクション、ポストプロダクションのワークフローを劇的に加速します。
- クリエイティブガイド機能: ジェネレーティブAIによってパーソナライズ生成された「ハウツーガイド」により、ユーザーは新しいスキルを習得し、最初のビジョンから制作、編集までの過程を加速させることができます。
今年後半からは、ビデオ、オーディオ、アニメーション、モーショングラフィックスデザイン向けの新たなジェネレーティブAI機能の導入を開始します。私たちのアプリケーション全体で、Adobe FireflyやジェネレーティブAIの活用について、皆さんのご意見やご要望をぜひ伺いたいと思っています。Adobe Fireflyのベータ版へのお申し込みはこちら(英語)です。また、Discordを通じてフィードバックをお寄せください。
この記事は2023年4月17日(米国時間)に公開されたReimagining our video and audio tools with Adobe Fireflyの抄訳です。