明朝体のきほん|文字とフォントのことはじめ03

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Adobe Fonts|明朝体

伝統的な日本語書体・明朝体

文字という情報をよりわかりやすく、伝わりやすく使うための、文字、フォント、デザインの情報をお届けする連載「文字とフォントのことはじめ」、第3回は明朝体について取り上げます。

明朝体は日本語書体におけるスタンダードとも言えるものです。出版物や広告、web等あらゆる分野で使われるだけでなく、戸籍等行政の現場でも標準的に採用されており、日本語のコミュニケーションにおいて非常に重要な役割を持っています。
ここでは明朝体の特徴、バリエーションから、Adobe Fontsで利用可能なフォントまで紹介していきましょう。

明朝体ってどんな書体?

日本語における明朝体とは、どのような書体なのでしょうか。その特徴はおもに漢字に表れています。細い横画に対して太い縦画、画線の終わりや角の部分にはウロコとよばれる△があしらわれ、トメ、ハネ、ハライといった書の要素が正確に再現されています。筆書きの文字をベースとしている楷書体に比べると(下図)、画線は水平・垂直に整えられており、かたちも整理されていることがわかります。
見やすく、読みやすい文字のかたち、それこそが明朝体の漢字が持つ最大の特徴と言えるでしょう。

Adobe Fonts|明朝体の特徴

明朝体(上)と楷書体(下)の比較。しんにょう(辶)の処理などにも違いが見られる

続いて、ひらがなを見てみましょう。
カッチリとした漢字に対して、ひらがなは筆書きのような文字が組み合わされています。
書体による差異が少ない漢字に対して、かなは軽やかな筆跡のものから、どっしりとした重厚なものまで、さまざまなバリエーションがあります。
日本語の文章では、漢字よりもひらがなが多く使われるため、かなのデザインは書体が生み出すイメージに大きな影響を与えます。たとえ同じ漢字であっても、かなを変えるだけで印象は大きく変わることもあり、ひらがなやカタカナのみの「かな書体」が用意されているのも、日本語フォントならではの特徴と言えます。

Adobe Fonts|フォント見本

楷書体のひらがな(左)と明朝体のひらがな(右3点:左から清和堂明朝/しっぽり明朝/凸版文久見出し明朝)

手書き文字から整理された骨格を持つ漢字と手書き感の残るかな。
日本語書体における明朝体は、このふたつを組み合わせたものということができます。
漢字、ひらがな、カタカナが組み合わされたものを見ると、楷書体とはまた違った見やすさ、読みやすさ、独特の風合いを感じることができるのではないでしょうか。

Adobe Fonts|フォント見本

楷書体(左)と明朝体(右3点:左から清和堂明朝/しっぽり明朝/凸版文久見出し明朝)

オールドスタイルとモダンスタイル

つづいて明朝体のデザインの違いについて見ていきます。
明朝体には大きく分けて、オールドスタイルとモダンスタイル、2つのスタイルがあります。
オールドスタイルに分類される書体の多くは、漢字に比べてかながやや小さい/フトコロ(文字の中にあるカウンタースペース)が狭い/かながやや縦長に設計されている/やわらかい線質を持つ、などの特徴を備えています。縦組みの文章を組んだときに、幅の広い漢字と幅の狭いかなによって、豊かな抑揚が生まれます。
一方、モダンスタイルの書体は、大ぶりなかな/しっかりとした骨格/フトコロが広いといった特徴を持ち、縦組み、横組みいずれでも高い可読性を発揮します。
明朝体は必ずしも、オールドスタイル/モダンスタイル、いずれかに分類されるというわけではありません。中間的なものやそれぞれの特徴を取り入れたもの、ここで取り上げた特徴に当てはまらない書体も存在します。オールド/モダンの分類はあくまでひとつの目安と考えるとよいでしょう。

Adobe Fonts|スタイルの違い

左:筑紫Aオールド明朝/右:ヒラギノ明朝

広がる明朝体のバリエーション

明朝体は日本語書体のスタンダード……それゆえ、各社、それぞれの特徴を打ち出した書体をリリースしています。
一見、同じように見える漢字も、よく見ると線の抑揚の付けかたやウロコのかたち・大きさに違いがあり、線の質感も金属活字(活版印刷時代に使われていた金属でできた凸型の文字)のようにシャープなものから、写植文字(写真の原理を応用して紙に焼きつけた文字)のようにやわらかいものまで、実に多彩です。
ほかにも、明朝体の特徴を踏まえつつ、にじみやボケのようなデザイン処理を加えた書体も増えており、従来の明朝体の枠組みにとらわれない、多様なバリエーションが生まれています。

Adobe Fonts|フォント見本

漢字の「一」を拡大したもの。線の太さ、先端処理、ウロコのかたちに違いが見られます

Adobe Fontsで使える明朝体

Adobe Fontsで使える明朝体にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、いくつかのカテゴリに分けて紹介していきます。

モダン&ベーシックな明朝体

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オールド&クラシックな明朝体

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力強くインパクトがある明朝体

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独特のアレンジを加えたオリジナル明朝体

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UD(ユニバーサルデザイン)書体

Adobe Fonts|フォント見本

このほかにも、Adobe Fontsの画面から「分類」→「明朝」を選択することで、さらに多くのフォントを見つけることができます。Adobe Fontsでは定期的に新しいフォントが追加されているので、以前は見かけなかった気になる書体が、いまは追加されているかもしれません。
ぜひ、一度、Adobe Fontsをチェックしてみましょう。

Adobe Fonts|検索画面

Adobe Fonts|背景
Adobe Fonts|イメージ

文字の表現力を広げるフォントが揃うAdobe Fonts

アドビでは、クリエイティブには欠かせない道具のひとつであるフォントを、より自由に、柔軟に使えるクラウドフォントサービス「Adobe Fonts」を展開しています。2023年5月現在、その数は日本語フォント650超、Adobe Fonts全体では25,000以上。膨大なフォントをメディアを問わず、商用/非商用問わず、自由に使うことができます。

今回の記事で紹介した明朝、ゴシック、丸ゴシック、筆書体、デザイン書体といった書体の分類から探すこともでき、イメージしたフォントにすばやく辿り着けるようになっています。

“もっといろいろなフォントを見てみたい、使ってみたい!”

そう思えたらまずは一度、Adobe Fontsを開いてみましょう。
そこには高品質でユニークなデザインの書体が待っているはずです。

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Adobe Fonts|フォント見本

おもな記事使用フォント

A:清和堂明朝 Open

B:しっぽり明朝 Open

C:凸版文久見出し明朝(StdN)  Open

D:筑紫Aオールド明朝  Open

E:ヒラギノ明朝  Open

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Adobe Fonts|フォント見本

おもな記事使用フォント

F:游明朝体  Oepn

G:秀英明朝(Pr6N)  Oepn

H:ZENオールド明朝  Oepn

I:秀英にじみ明朝  Oepn

J:丸明オールド  Oepn