【初級】#4 マスクを自由に使いこなそう|初心者のための「本当はむずかしくない」はじめてのPhotoshop
第4回は、バナーデザインの模写を通してPhotoshopの「レイヤーマスク」や「クリッピングマスク」について学びます。
Photoshopの基本的な操作については、第1回の記事「【初級】バナーの模写でPhotoshopをマスター」をご覧ください。ファイルの作成から文字の入力、制作したデータの書き出しまで解説しています。
※第1回で解説している機能の解説は本記事では割愛しますので、はじめてPhotoshopを使う方は過去の記事をご覧ください。
今回の記事で模写するバナーデザイン
今回は「旅行代理店のキャンペーン」のバナーデザインを模写します。海や山を満喫できる国内旅行のプランが、最大30%お得に購入できるキャンペーン広告です。
次の画像を右クリックメニューから保存してください。
今回模写するバナーデザイン
使用している写真素材は、以下のAdobe Stock無料素材からダウンロードをお願いします。
- 山の写真:https://stock.adobe.com/jp/397930380
- 海の写真:https://stock.adobe.com/jp/207137691
- 女性の写真:https://stock.adobe.com/jp/287856250
目次
- 新規ドキュメントの作成と模写用バナーの配置
- 人物画像の切り抜きと配置
- 背景画像の切り抜きと配置
- テキストや帯の配置
- ファイルの保存と画像の書き出し
新規ドキュメントの作成と模写用バナーの配置
Photoshopを起動したら、まずは新規ドキュメントを作成して模写用のバナーデザインを配置します。一連の手順は、第1回の記事「【初級】バナーの模写でPhotoshopをマスター」をご覧ください。
模写の準備が整った状態
また、バウンディングボックスを表示すると選択状態のレイヤーが囲まれるので、操作の判別が容易になります。
[移動ツール]を選択するとオプションバーに[バウンディングボックスを表示]の項目が表示されるので、チェックします。
人物画像の切り抜きと配置
バナーデザインの中央に旅行代理店のアテンダントを配置することで、閲覧者の注目を集めています。人物の顔には高い誘目性があるので、おすすめの表現方法です。
左右を比較すると右側の人物に目がとまる
ダウンロードした人物画像の切り抜きを行います。人物画像をPhotoshopで開き[選択範囲]メニューから[被写体を選択]をクリックします。すると女性の周囲に選択範囲が作成されます。
選択範囲を作成した状態
続いて[レイヤー]メニューから[レイヤーマスク]→[選択範囲外をマスク]をクリックします。
選択範囲で[レイヤーマスク]をかけて、人物を切り抜くことができました。
人物が切り抜かれた状態
なお、人物の切り抜きは背景が複雑なほど難易度が上がります。Adobe Stockで人物画像を選ぶときは、白背景やピントが被写体のみに合っている写真がおすすめです。
切り抜いた画像は[ファイル]メニューから[保存]を選択して、フォーマットを[Photoshop]形式で保存します。
模写用のPSDファイルに戻り、[ファイル]メニューの[リンクを配置]から、切り抜きを行ったPSDファイルを配置します。
背景(下絵)と比較しながら、[移動ツール]を使ってサイズや位置を少しずつ調整して配置します。
切り抜いたPSDファイルを配置した状態
アテンダントの背景に円を配置することで、円の内側へ注目を集めます。また、円の中に収めることで自由な配置でのレイアウトが可能です。
「青い円」は[楕円形ツール]で作成します。円のカラーは「#0167e9」を指定して、人物画像のひとつ下のレイヤーへ配置します。
青い円を配置した状態
模写用バナーの人物は、胸から下が青い円と同じ形に切り抜かれています。青い円でクリッピングマスクをかけると頭も切り抜かれるので、レイヤーマスクを使い[ブラシツール]で調整して切り抜きを行います。
レイヤーマスクは「白と黒のグレースケール」を利用して、レイヤーの切り抜きを行います。白で塗られたエリアは表示され、黒で塗られたエリアは非表示となり切り抜かれます。
まず、青い円を使って選択範囲を作成して、レイヤーマスクのベースを作成します。
(1)青い円の[レイヤーサムネール]にマウスカーソルを重ねます。[commandキー(Ctrlキー)]を押しながらクリックして選択範囲を作成します。
選択範囲を作成した状態
(2)人物画像のレイヤーを選択した状態で、[レイヤー]メニューから[レイヤーマスク]→[選択範囲外をマスク]をクリックします。
レイヤーマスクで切り抜かれた状態
(3)作成したレイヤーマスクを選択した状態で[ブラシツール]を選択します。
(4)[オプションバー]から[ブラシプリセットピッカー]を開き、以下の値を指定します。
- 直径:13px
- 硬さ:100%
- ブラシの種類:[汎用ブラシ]→[ハード円ブラシ]
(5)[ツールバー]から[描画色]を開き、カラーに[#ffffff]を指定します。
はみ出た部分をドラッグして、レイヤーマスクに頭部を追加します。
レイヤーマスクに頭部が追加された状態
背景画像の切り抜きと配置
美しい海と山のイメージ写真を使うことで、自然を満喫できる国内旅行の魅力が伝わります。これらの画像はクリッピングマスクで切り抜きます。
バナーデザインの幅が300pxなので、中央で左右に分割します。[長方形ツール]で幅150px、高さ260pxの長方形を2つ作って並べます。
また、片方のシェイプの色を変えると、シェイプ同士の境目がわかりやすいです。
[ファイル]メニューの[リンクを配置]から、海の画像を配置します。画像の高さが260pxになるよう、[移動ツール]で[バウンディングボックス]を調整します。
海の画像レイヤーを右クリックして[クリッピングマスクを作成]を選びます。レイヤーにクリッピングマスクを適用すると、矢印のアイコンが表示されます。
また、模写用バナーデザインと位置を比較しやすいように、レイヤーパネルの[レイヤーの表示/非表示]を切り替えると調整しやすいです。
同じように山の画像を配置します。
背景画像を配置した状態
テキストや帯の配置
続いてテキストを入力します。フォントは「小塚ゴシック Pr6N」を使用しています。テキストの背景にシェイプツールで帯を敷いたり、縦書きや斜体を使ってテキストを入力します。これらの方法は第1回の記事で紹介しています。
また、配置した背景画像が重なり模写用バナーが見えないので、海や山のレイヤーを非表示にすると作業しやすいです。
テキストや帯を配置した状態
海や山のレイヤーを表示すると、文字の視認性が低いことがわかります。バナーデザインは閲覧者が意図しないタイミングで表示されるので、文字の視認性は高く指定します。
海や山の画像と重なるテキストの視認性が低い
模写用バナーでは、海や山のレイヤーの上に不透明度30%の黒いシェイプレイヤーを重ねることで、白い文字の視認性を高めています。写真の上に文字を配置するときに効果的な方法です。
不透明度30%の黒いシェイプレイヤーを重ねた状態
ファイルの保存と画像の書き出し
お疲れ様でした! これで今回のバナーデザインの模写は完了です!
最後に、ファイルの保存と、作成した画像の書き出しを行いましょう。書き出し方法は、第1回の記事「【初級】バナーの模写でPhotoshopをマスター」をご覧ください。
別パターンのデザイン模写にチャレンジ
同じ素材を使って別パターンのバナーデザインを用意しました。
アテンダントが問いかけているイメージを、吹き出しで表現しています。その他にも変化している箇所があるので、じっくり観察して模写にチャレンジしてください。
また、模写が完成したバナーデザインは「#はじめてのPhotoshop」のハッシュタグを付けて、SNSでシェアしてみましょう!
まとめ
今回はレイヤーマスクやクリッピングマスクなど、マスクを使った切り抜きについて解説しました。
- 「クリッピングマスク」は部分的にはみ出す表現ができない
- 「レイヤーマスク」はブラシツールでマスクの範囲を広げ、はみ出す表現ができる
- 「レイヤーマスク」は白と黒で不透明度を変更する
次回は、シェイプツールを使ったさまざま図形の作り方を解説する予定です。