多様化する動画制作の姿を多面的に紹介!Adobe Video Meetup #2 レポート

目次

  • 動画の内製化がもたらす変化
  • インハウス動画クリエイターが生み出す「価値」
  • ツールとの連携も進化するAdobe Stock
  • Adobe Fireflyとコンテンツ認証イニシアチブ(CAI)
  • 次回は2023年9月下旬

春から初夏へのうつろいも感じ始めた2023年5月25日。アドビのオフィスにてAdobe Video Meetup #2が開催されました。このイベントは、映像制作をより一層効率化できるビデオ製品・サービスの新機能などの情報や、実際にAdobe Creative Cloudを映像制作に活用されている実践者の講演などと共に、企業ユーザー同士の交流・情報交換の場を提供する目的で開催され、今回が3月に続いての2回目となります。

まずは、司会進行を務めるアドビの三好 航一郎氏が本日の概要を説明。

概要説明するアドビ・三好 航一郎氏

今回は、アドビからの3名と、1名のゲストスピーカーをお迎えして、あらゆる角度から動画制作の最新状況に迫ります。

今回の登壇者一覧

動画の内製化がもたらす変化

トップバッターはアドビの高橋 絵未氏。ライブ配信などのサービス系の企業を経て、今年からアドビに入社されたニューフェイスです。

アドビ・高橋 絵未氏

今回の発表テーマは「動画内製化がもたらすビジネスチャンス」。ここ数年の動画市場の中でも、最もホットな話題の一つなので、会場からも注目が集まります!

高橋氏の発表タイトル

動画をはじめとする様々なクリエイティブの内製化が進むにつれ、影響は労働市場にも波及。クリエイティブツールスキルの保有者は、月給が平均3.8万円も高いとう驚きの調査結果が示されます。

労働市場で価値を上げるクリエイティブ・スキル

発表は、動画内製にも活躍するAdobe Premiere Proの新機能紹介へ。正式に搭載されたばかりの「文字起こしベースの編集」は、文章を扱う感覚での動画編集を実現し、まさに「クリエイティブの民主化」を象徴するような存在となっています。

Premiere Pro注目の新機能「文字起こしベースの編集」

話題はコンテンツサプライチェーン管理に。高度な専門性がなくても扱えるクリエイティブツールの登場は、あらゆる場面でのコスト削減につながり、企業の収益向上に大きく貢献します。

コンテンツサプライチェーン管理の現状を俯瞰

Prudential Financialなどの大企業にも実際に導入されているAdobe Expressを紹介。テンプレートの文字や画像を変更するだけで高品質な制作物が完成する様子は、一種のカルチャーショックも交えて注目されます。

一般ユーザーでも使いやすいAdobe Expressを紹介

動画内製化に関するあらゆる情報が提示された所で、実際に一般企業内でクリエイティブ業務に関わるゲストの発表へとつながって行きます。

インハウス動画クリエイターが生み出す「価値」

今回のゲストスピーカーは、株式会社メルカリで社内クリエイターとして活躍する熊田 勇真氏。

発表するメルカリ・熊田 勇真氏

クリエイティブの内製化が進んでまだ日が浅い事もあり、インハウスのクリエイターには多彩な人材が存在する傾向がありますが、熊田氏も制作会社勤務やフリーランスなど様々な経験を経て、メルカリへと入社しました。

熊田氏は制作会社勤務、フリーランスを経てメルカリのインハウスクリエイターに

メルカリには、動画担当のほかにグラフィックやWebのクリエイター、そして全体を統括するマネージャーの計10名が在籍。その少数精鋭で、1000以上にものぼる社内のあらゆるプロジェクトのクリエイティブを担当しています。

少人数で膨大なプロジェクトを処理するメルカリのクリエイティブチーム

一般企業内の動画編集というと、以前はSNS向けのライトなものなどが主流でしたが、メルカリ内では本格的なプロモーション動画から、記者会見等のライブ配信に至るまで、専業の制作会社をも超えるレベルでの多岐にわたる制作が行われています。

あらゆる場面での動画活用が進むにつれ、作られる動画の種類も多彩に

内製化のメリットは「コスト削減」と言われますが、それはダイレクトな予算面だけでなく、各部門との細かなやりとりといったコミュニケーションの面でも絶大な効果を発揮。

クリエイティブが内製化されることによるメリット

熊田氏が考えるインハウスクリエイターの理想的な人物像は「クリエイティブは課題解決と思える人」。コンテンツを作る事を目的化してしまわず、社内のあらゆる業務との連携で課題を解決する「実務」としての役割は、今後ますます拡大するでしょう。

インハウスのクリエイターに求められる人物像に、会場からは納得の声

内製化に積極的に取り組む大企業の最前線で活躍する熊田氏の貴重なトークには、会場内からも真剣な眼差しが注がれていました。

ツールとの連携によって進化するAdobe Stock

休憩をはさみ、アドビの川島 修治氏による発表に。

発表するアドビ・川島 修治氏

今回は、素材数・利用者数共に拡大の一途をたどるAdobe Stockを、特に動画制作への利用にフォーカスした形で紹介しました。

今回は動画制作に特化した観点からAdobe Stockを紹介

Adobe Stockでは動画や画像だけでなく、テンプレート、3Dモデル、音楽といったあらゆる素材が展開されており、それらはアドビの各アプリケーションと密接に関わりながら、高い利便性を実現しています。

Adobe Stockは、アドビのあらゆるツールと密接に連携

その好例と言えるのが、Premiere Pro内の「エッセンシャルサウンド」による、BGM素材のプレビュー機能。購入前の楽曲を、編集中の動画へと実際に重ねて試聴することができ、かつてないレベルでの高度なマッチングを実現しています。

Premire Pro内からAdobe Stockの音楽素材を直接プレビューするデモ

Adobe Fireflyとコンテンツ認証イニシアチブ(CAI)

今回の最後は、アドビの宇野 香織氏による発表。

発表するアドビ・宇野 香織氏

テーマは、もはや一般のニュースでも扱われる事もあるほど話題沸騰のジェネレーティブ(生成)AI「Adobe Firefly」と、制作過程でのコンテンツ認証機能に関する取り組みに関して。

大きな話題を集めるAdobe Fireflyと、コンテンツ制作時のコンテンツ認証イニシアチブ(CAI)がテーマ

生成系のAIは、大小問わず世界中のIT企業が最も熱心に取り組むテーマの一つ。画像生成の分野も例外ではありませんが、Adobe Fireflyには、長年クリエイティブのトップランナーとして走り続けてきたアドビの持つ様々なノウハウやテクノロジーが投入され、企業でも安心して使えるものとなっています。

生成AIが乱立する中、アドビは長年の蓄積も活かした差別化を展開

本イベントの開催直前には、Photoshop ベータ版の中に「生成塗りつぶし」が実装され、新たな画像要素がテキストによる指定で違和感なく生成される様には、各方面から驚きの声があがりました。

Photoshopのベータ版に搭載された生成塗りつぶし機能

こうした高度な機能が進化するほど、あわせて求められるのが、コンテンツの「信頼性」。アドビのツールでは、制作過程でコンテンツに加えられた改変などを来歴情報として記録することで、完成後でも「何が行われてきたのか」を確認できる、今後大幅に重要度を増すコンテンツ認証機能が実現されています。

クリエイティブのあらゆる過程でコンテンツに加えられた変更が把握可能に

次回は2023年9月下旬

これにて、今回の発表は全て終了。次回は2023年9月下旬に開催予定です。

変化のスピードが上がり続ける動画制作の世界、次回の開催時には、いったいどんな状況となっているのか?今から非常に楽しみです!