アニマルとインフルエンサー:カリスマ的キャラクターへの飽くなき渇望 - Adobe Stock ビジュアルトレンド2023
クレジット:Adobe Stock / master1305
消費者の仕事、遊び、買い物を彩るリアルまたはバーチャルな相棒
テレビCMの愛らしい生き物からSNS広告やメタバースのクリエイティブに登場する人工的なインフルエンサーまで、業界を問わずあらゆるブランドが表現力豊かでカリスマ性のあるキャラクターを起用し、消費者の興味と関心を引き付けています。ポップカルチャーの歴史は、ミッキーマウス・クラブやKeyboard Catの時代から現在まで変わらず、魅力的な動物のマスコットやブランドキャラクター、最近ではクリックベイトの例であふれています。コロナ禍で生じたステイホームカルチャーによって、アメリカでは小動物を飼育する人が30%増加しました。またオンラインでショッピングをする人も増加しましたが、これに大きく寄与したのがインフルエンサーによる情報発信でした。これら2つのパワーを統合したのが今回紹介するトレンド「アニマルとインフルエンサー」です。ここには、消費者の仕事、遊び、買い物を彩るリアルまたはバーチャルな相棒がずらりと揃っています。
クレジット:(左上)Adobe Stock / Loreta Isac/Minty、(右上)Adobe Stock / Hero Images/Hero Images、(下)Adobe Stock / Gorodenkoff
インフルエンサーとインフォテインメント
インフルエンサーカルチャーは、これまで長年にわたり、その底知れぬ影響力をまさに証明してきました。インフルエンサーが発信するチュートリアルやトラブルシューティング、ストーリーテリング、親近感のわく失敗談がブランド力の向上に寄与する一方、消費者はインフルエンサーのこうした口コミに反応、共感してブランドの製品やサービスを購入します。そして影響力という点では、動物も負けてはいません。インスタグラムでは、動物動画の投稿アカウントである@animalsdoingthingsから、ランキングアカウントの@weratedogs、農場や自然界における動物保護を扱うアカウント、@jiffpomのようなセレブの個人アカウントに至るまで、動物がテーマのアカウントはいずれも絶大な人気です。
動物たちが生まれ持った魅力は明らかです。かわいい、面白い、おまけに、しばしば人間の行動や感情を模倣しているように見え、さらにアニメ化されれば際限のない擬人化能力を発揮します。多くの人が幼い頃から動物と特別な関係を持ちますが、これは共感力や非言語コミュニケーションスキルの発達にとって重要です。趣味でバードウォッチングを楽しむ、猫の動画を延々と見続ける、水族館や動物園に通うなど、多くの人が生涯にわたり動物の行動観察に興味を持ち続けます。理由はシンプルで、動物を見ると普段のストレスから解放され、愉快で楽しい気分になるからです。だからこそ人は動物を(信頼できないものの象徴とされてきた種を除いて)インフルエンサーと同じく圧倒的に信頼できる存在だと感じるのです。たとえ、その動物が明らかに人間によって生命や声を与えられたものだったとしても。
クレジット:(左)Adobe Stock / Sternfahrer、(右)Adobe Stock / Uncanny Valley
バーチャルな動物もまた、日常生活に非現実的な感覚をもたらします。たとえば自動車保険のように、面白みとは無縁の商品だとしても、バーチャルなヤモリがセールスすれば、奇抜で愉快に感じられるのです。発売間近のゲーム『Cat & Capybara』の予告編を掲載しているMatatoGamesのように、人々を果てしなく虜にさせるバーチャルな動物には合理性など一切必要ないのです。
バーチャルなつながり
エンターテインメントや交流プラットフォームの多くがバーチャルへ移行する中、バーチャルな表現に対する消費者の共感がますます高まっています。ネットゲーム愛好者はマイクロトランザクション(ゲーム内課金)に何百ドル、何千ドルを喜んでつぎ込み、自分のアバター用にアップグレードや新しい衣装、アクセサリーを購入し、ZoomやBetterHelp、Fortnite、どうぶつの森(英語サイト)といった交流プラットフォームで1日に何時間もアバターを介した交流を楽しむのです。
AIエンジンがバーチャルコンテンツを生成する能力も日々進歩しており、今や現実と見分けがつかない、もしくは現実を超越する域に達しています。私たちの世界はもはや物理的な現実に限定される必要はないという感覚が強まっており、それはインフルエンサーにも広がっています。1996年のウィリアム・ギブソンが近未来小説『Idoru』で予言したとおり、人工的なパーソナリティが無限の魅力を開花させている今こそ、アニメやインタラクティブなキャラクターを創造し、メタコマース市場に参入する絶好の機会です。日本のバーチャルYouTuberキズナアイは、3つのYouTubeチャンネルで登録者数400万人以上、さらに中国の動画プラットフォームBilibiliで登録者数100万人を誇り、アニメの美少女からドル箱スターへと昇華しました。彼女は日清カップヌードルのキャンペーンリーダーを現在務めるほか、ゲーム会社と提携も組み、さらにはアニメ映画出演の可能性もあります。映画プロジェクトでは他にも、細田守監督作品のベルのように、バーチャルスターをインスタグラムなどのプラットフォームに登場させることで、映画公開前のプロモーションを大成功させた例があります。
クレジット:(左)Adobe Stock / Colin Anderson/Stocksy、(右)Adobe Stock / Digital Storm
この2年間で世界のアニメ需要は118%増加しました。これはすなわち、アニメの手法やテクニックを採用することで、この需要増を活用できるチャンスが飛躍的に拡大することを意味します。バーチャルインフルエンサーと実在するリアルインフルエンサーを比較した調査によると、人間はバーチャルインフルエンサーに対してより信頼感、親近感を抱きやすく、ファッション、ソフトウェア、食品、ペット用品、高級品、飲料の各業界全体でバーチャルインフルエンサーがリアルインフルエンサーの3倍エンゲージメントを創出するといいます。市場参入するバーチャルインフルエンサーは年々増加しています。今こそ、ポートフォリオにアニメ、イラスト、写真、3Dレンダリングを加えて、バーチャルインフルエンサーによる盛況な市場シェアを存分に活用する絶好のチャンスです。バーチャルインフルエンサーの世界市場は2027年に454億ドルに達すると予測されています!
クレジット:(左)Adobe Stock / Uncanny Valley、(右)Adobe Stock / Amith
遊び心がもたらすパワー
「アニマルとインフルエンサー」でキーワードとなるのは、カリスマ性です。このトレンドは人々にエネルギーとエンターテイメントをもたらすことが特長で、これは現実世界のかわいらしい動物や彼らを愛する人々であっても、バーチャルなキャラクターや生き物であっても、もしくはこの2つの超現実的な、組み合わせであっても、すべてに共通します。バーチャルイラストレーターやバーチャルアニメーターで、親しみやすく魅力的なブランドキャラクターの創作に意欲を燃やす人に、このトレンドは完全にフィットします。さらに、読みやすく親しみやすい、そしてちょっと癖のあるスタイルの欧文フォント*を選択することで、このトレンドの魅力である豊かな表現性や童心のような熱狂が一層際立ち、あらゆるキャンペーンをエネルギッシュに盛り立てることができます。
*「申し訳ございません。このページは見つかりません」というエラーが出る場合は、ページ下の言語設定を「English」に変更してください。
このトレンドは、アナログ志向のクリエイターの皆様にも活躍の機会を豊富に提供します。インターネットはそもそも、重苦しいほど膨大な猫コンテンツを保持するために発明されましたが、新たなコンテンツのための余地は常にあります。人の心を掴んでお金を稼げるフワフワのかわいい動物を、働かせずに放っておく手はありません。そして、イラストレーターの皆様も、あらゆるかわいいキャラクターを人々が利用できる形で提供する場として、ぜひこのトレンドを活用してください。今や、リアルかバーチャルかに関係なく、最も信頼を勝ち得たアンバサダーが人々をリードする時代なのです!
クレジット:Adobe Stock / damedias
いかがだったでしょうか? Adobe Stockでは写真やイラストといった通常アセットに加え、HDビデオの素材も利用いただけるサブスクリプションプランも提供しています。現在、年間サブスクリプションが初月無料となるキャンペーンを実施中ですのでお試しください。
また、 Adobe Stockにアーティストとして参加されたい方は、こちらからコントリビューター登録をしてください。取り扱われる素材の種類については、各種ガイドラインをご覧ください。皆さんのご利用をおまちしています。