AIが実現する次世代のクリエイティビティ
ロサンゼルスで本日開催されたAdobe MAXにおいて、Adobe Creative Cloudの最新バージョンを発表しました。Adobe Photoshop、Adobe Illustrator、Adobe Premiere Proをはじめとする製品に、アドビ独自の生成AI「Adobe Firefly」が可能にした魔法のような機能など、100以上の新機能を導入しています。これには、Adobe Fireflyの画像、ベクター、デザインの3つのカテゴリーからなるモデルによる新しい機能も含まれています。今回のアップデートではさらに多くのAIイノベーションが、毎日の制作ワークフローに組み込まれた形でクリエイターの手元に届けられます。
次世代の生成AI「Adobe Firefly」がより高い品質、コントロール、クリエイティブワークフローへの統合を提供
Adobe Fireflyの勢いは、目を見張るばかりです。クリエイティブコミュニティはこれまで今年3月にAdobe Fireflyを発表してから30億枚もの画像を生成してきました。昨月一か月だけでも10億枚もの画像を生成しています。本日、アドビはAdobe Fireflyのイメージモデルの新バージョンを発表しました。これには、大幅な改善と画像生成機能の強化を伴うメジャーアップデートが含まれています。Adobe Firefly web版のベータ版として提供を開始するこのアップデートは、市場で最も先進的なAIモデル「Adobe Firefly Image 2 Model」を搭載し、人物のレンダリング品質の向上や、より柔軟なクリエイティブコントロールなどにより、さらに高品質な画像やイラストの生成が可能です。この次世代の生成AIは、より高負荷な生成にも対応しており、画像生成のレベルが改善され、ユーザーのクリエイティブなビジョンを高品質なコンテンツとして、早く、簡単に実現できるようになりました。また、初代モデルの「Adobe Firefly Image 1 Model」と同じタイプのコンテンツでトレーニングされているため、商用目的のコンテンツ生成にも使用することができます。
Adobe Fireflyで生成:プロンプト「黒一色のサイクロラマで撮影されたナマケモノのシネマティックなスタジオポートレート」
「Adobe Firefly Image 2 Model」は 生成Match 機能を含む、Adobe Fireflyのテキストから画像生成の機能を強化し、既存の画像のスタイルを複製した画像を生成することができます。生成Matchは、参考にする画像を選択することで、その参照画像に沿った一貫したルック&フィールを持つ複数の画像を生成することができます。また、自分の参照画像をアップロードすることもできます。また、生成された画像には、被写界深度、モーションブラー、視野など、マニュアルカメラのレンズで行うような 写真設定 を適用し調整できます。また、生成された画像の視覚的な強度を調整 して、より写実的、芸術的、または超現実的な画像にすることもできます。
「生成Match」を使用すれば、独自のスタイルをすばやく仕事に適用でき、ブランドの見た目や雰囲気との整合性を確認しながらコンテンツ制作をスケールアップする必要があるマーケティング担当者にとって、大幅な時間の節約になります。また、この機能が責任を持って使用されるように、強力なセーフガードを設けています。
また、2つの新しいAdobe Fireflyモデル「 Adobe Firefly Vector Model」および「Adobe Firefly Design Model」 も発表しました。これはAdobe IllustratorやAdobe Expressのワークフローにおいて、商用利用にも安心なコンテンツを生成するように設計されています。
さらに、Adobe Fireflyアプリで生成したアセットを他のクリエイティブワークフローにより簡単に取り込めるようになりました。使用したテキストプロンプトの情報を含む 生成画像へのリンクを共有 できるため、同様の画像を作成する方法が他のユーザーにも共有できるようになります。Adobe Fireflyで生成した画像をCCライブラリに保存 すれば、Adobe PhotoshopやAdobe IllustratorなどのAdobe Creative Cloudアプリからも開くことができます。
デスクトップまたはモバイルのブラウザでAdobe Firefly web版にアクセスすれば、Adobe Fireflyの新しいアップデートのすべてを本日からお試しいただけます。
Adobe Creative Cloudに導入されたクリエイティブプロフェッショナル向けのAI搭載新機能
まだ1か月も経っていないうちに、私たちはAdobe Photoshopに生成AIのパワーをもたらす「生成塗りつぶし」と「生成拡張」を正式リリースしました。これらのAdobe Firefly搭載機能は、制作ワークフローにおける副操縦士として、ユーザーの完全なクリエイティブコントロールを損なわずにあらゆる創造的ビジョンを実現することができます。なお、今年初めに「生成塗りつぶし」をベータ版として導入して以来、Adobe Photoshopで生成されたアセットの数は20億を超えました。
以下にご紹介する、Adobe Illustrator、Adobe Lightroom、Adobe Premiere Pro、Adobe After Effects、Adobe Stockに実施した今回のアップデートからわかるように、私たちは継続してクリエイティブアプリにAIのパワーを搭載していきます。これらの新機能はお使いのアプリを最新バージョンにアップデートするだけでお使いいただけます。
- Adobe Illustrator:新たなAdobe Firefly モデル「Adobe Firefly Vector Model」を搭載した革新的な生成AI機能「テキストからベクター生成」の最初のバージョンを、デスクトップ版にベータ版として導入します。この機能を使えば、アイコン、シーン、パターンなどの編集可能なベクターグラフィックスを、シンプルなテキストプロンプトからすばやく簡単に生成できます。インスピレーションを得たり、新しいプロジェクトをすぐに開始したり、自身の作品のスタイルを再現したグラフィックスの生成をしたりするのに最適な機能です。生成されたベクターグラフィックスは完全に編集可能かつ拡大縮小が自在であり、既存のコンテンツを壊さないように新規レイヤー上に作成されるので、その後の編集や調整も思いのままです。これは、生成AIでAdobe Illustratorを強化し、ベクターグラフィックスの制作ワークフローに革命をもたらす旅路の始まりに過ぎません。
- Adobe Illustratorのその他のAI機能:Adobe Illustratorには、ワークフローをスピードアップする新たな2つのAIツールも追加されます。Adobe Illustratorデスクトップ版(ベータ版)に導入された「Retype」は、Adobe Fontsで一致するフォントを識別することにより、画像や写真に含まれるテキストをAdobe Illustratorの編集可能テキストに変換します。Adobe Illustratorデスクトップ版(ベータ)に導入された「モックアップ」では、Adobe Illustratorで作成したベクターグラフィックスを印刷物、看板、衣類、製品パッケージ、デジタル機器など実際の立体物にインテリジェントに配置したモックアップを作成してプレビューできます。
- Adobe Premiere Pro「文字起こしベースの編集」の強化:数々の賞を受賞した文字起こしベースの編集がメジャーアップデートされ、新機能「フィラーワード検出」がAdobe Premiere Proデスクトップ版に追加されました。文字起こしベースの編集 ワークフローで書き起こされた会話に含まれる「あの」や「えーと」を自動的に検出して削除できるようにする機能です。フィラーワードだけでなく無音の「間」や、その他の不要な言葉を一括処理によりワンステップですばやく削除することも可能です。また、Adobe Premiere Proの最新バージョンには、編集を5倍にも高速化するタイムラインパフォーマンスの大幅な改善 や、新しいカラー環境設定と改善されたトーンマッピングが含まれ、より簡単に優れたカラーを得ることができます。Adobe Premiere Pro(ベータ版)として提供されている Frame.io のレビュー用に共有 は、より迅速なコンテンツの共有とコラボレーションを実現する真のネイティブ体験を提供します。Adobe Premiere Pro(ベータ版)では、新たにFacebook、TikTok、YouTubeとの連携により、SNS上でのコンテンツの作成と共有がこれまで以上に簡単になりました。
- Adobe After EffectsのAI搭載ロトブラシ:Adobe After Effectsの ロトブラシ は、映像内のオブジェクトをすばやく分離するためのツールで、これを使って前景のオブジェクトを背景から切り抜くことでビジュアルエフェクトやコンポジションを作成できます。この人気のロトブラシツールに新しいAIモデルが搭載され、重なり合った手足、毛髪、透明度のあるエレメントなどこれまで切り抜きが難しかったオブジェクトも背景から簡単に分離できるようになりました。
- Adobe Lightroom:AIを搭載した新機能「ぼかし(レンズ)」がAdobe Lightroom、Adobe Lightroom Classic、Adobe Lightroomモバイル版に導入され、写真の任意の領域に簡単に美しいぼかし効果を適用できるようになりました。また、Adobe Lightroomモバイル版の編集エクスペリエンスの刷新 により、頻繁に使用するツールが優先的に表示され、スマートフォンを使った写真編集がよりスピーディーかつ直感的なものになりました。またAdobe Lightroomに「HDRに最適化」が導入され、ハイダイナミックレンジ(HDR)対応ならではの、より明るいハイライト、より深いシャドウ、より鮮やかなカラーが表現された写真を誰でも編集して書き出せるようになりました。
- Adobe StockにAdobe Fireflyが搭載:「テキストから画像生成」 により、Adobe Stockユーザーはテキストプロンプトをユニークで魅力的な画像に変換できます。また、「生成拡張」 により、AI生成されたコンテンツで余白を埋めることで、画像を任意のサイズに拡張できます。
Adobe Expressで生成AIをすべての人に
Adobe Expressは、SNS投稿、ビデオ、ドキュメントなどをすばやく作成できる、AIファーストでオールインワンのコンテンツ作成アプリです。一部を除いたAdobe Creative Cloudプランには、Adobe Expressのすべてのプレミアム機能とアセットにアクセスできる、Adobe Expressのプレミアムプランが含まれています。本日発表したアップデートには、新しいデザイン生成AI モデル「Adobe Firefly Design Model」に実装されたAdobe Expressの新機能「生成塗りつぶし」と「テキストからテンプレート生成(ベータ版)」も含まれています。これらはテキストから画像生成やテキスト効果などの既存機能を発展させたもので、Adobe Expressを使った作品づくりを生成AIのパワーでさらにスピードアップしてくれます。
Adobe Expressの「生成塗りつぶし」はAdobe Photoshopの「生成塗りつぶし」と同じテクノロジーを使っており、ユーザーは簡単なテキスト記述だけで画像にオブジェクトや人物を挿入したり、削除したり、置換したりすることができます。「テキストからテンプレート生成(ベータ版)」は、テキスト記述からSNS投稿、チラシ、カードなどに最適化された編集可能なテンプレートを生成する機能です。プロンプト入力でトピック、スタイル、用途など説明するだけで、ニーズに正確に沿った、ユニークでカスタマイズ可能なテンプレートを生成することができます。
ここで取り上げた新機能は、アドビが今回リリースしたすべての機能のほんの一部です。全く新しい生成AIモデルから新機能、パフォーマンスの強化やバグ修正まで、私たちはワークフローを刷新し、これまで以上のスピードで革新を続けています。アドビは、皆様がどのような作品を制作されるのか、今から楽しみにしています!
この記事は2023年10月10日(米国時間)に公開された Adobe MAX 2023: Introducing the next generation of creativity, powered by AI の抄訳です。