時代は「インハウス動画制作」へ!Adobe Video Meetup #4 レポート

グラフィカル ユーザー インターフェイス, カレンダー 自動的に生成された説明

目次

  • 2023年の総決算
  • Creative Cloudビデオ製品・サービス最新アップデート
  • 1人からチームへ。ぶつかった「3つの壁」とは?
  • 紙媒体の制作チームが動画制作をリスキリング
  • インハウス動画制作までの道のり
  • 次回もお楽しみに!

2023年の総決算!

年の瀬も迫った2023年12月5日、年内最後の開催となる Adobe Video Meetup #4が開催されました。

同年春から始まった本イベント。今回は、一般企業の内部で動画制作を行う「インハウス制作」が大枠のテーマ。まずは、毎回恒例の概要説明がアドビの三好 航一郎氏から行われました。

「プロによる」専門的なノウハウはむしろ書物などでアクセスする手段もありますが、企業内で試行錯誤の積み重ねで得られたノウハウに触れられる機会はとても貴重!冒頭から、会場全体に大きな期待感が漂います。

今回の登壇者および発表内容

Creative Cloudビデオ製品・サービス最新アップデート

最初は、こちらも恒例になっているアドビの高橋 絵未氏による「Creative Cloudビデオ製品・サービス最新アップデート」紹介。

モニター画面に映る文字 自動的に生成された説明

ビデオ製品やサービスの最新アップデートを紹介

アドビ・高橋 絵未氏

今回のテーマであるインハウス動画制作に即戦力で使える、最新の情報が紹介されます。

一般企業内で広がりをみせる「インハウス動画」

あらゆる「情報」が氾濫する現代において、それをクリエイティブの力で「体験」にまで高めたコンテンツの需要は大きくなる一方。それに伴い、外注による分業だけでなく、よりスピーディな展開が可能なインハウス制作のニーズも一層高まっています。

コンテンツの需要は爆発的に増加中

動画や音声素材の共有のみならず、レビューやバージョン管理といった様々なフェーズをカバーするサービス「Frame.io」。専門的なものという印象も強い同サービスも、実際に使用するとそのハードルは意外なほど低く、インハウス制作でも大きな力を発揮します。

撮影素材の共有やレビューを大幅に効率化する「Frame.io」

今回は、会場で撮影した動画を即座にFrame.ioで共有するデモも実施。Premiere Pro内のパネルとも連動し、収録〜編集のプロセスが大幅に効率化されます。

その場で撮影した映像を即座にFrame.ioで共有するデモ

また、ブラウザ上の操作で容易に本格的なクリエイティブコンテンツを作れる「Adobe Express」は、画像生成AIの「Adobe Firefly」との融合で革命的にパワーアップ!

2023年最大のトピックとなった生成AIのAdobe FireflyとAdobe Expressの融合

元はシンプルなテキストも、少しの操作で非常に凝ったデザインへと変化し、膨大な操作法を覚えることなくインパクトのあるコンテンツ発信が可能となります。

テンプレートと生成AIの組み合わせにより、短時間で目を引くデザインが!

1人からチームへ。ぶつかった「3つの壁」とは?

ゲストによる最初の発表は、求人情報メディア大手のエン・ジャパン株式会社のインハウス動画制作の立ち上げにおける試行錯誤を「3つの壁」として紹介。

インハウスの立ち上げ時に得た貴重な経験を共有!

スピーカーの西春 博矢氏は、入社当初のセールス部門から広報に異動した後、まったく未経験の状態からインハウスでの映像制作組織を立ち上げる事になります。

エン・ジャパン株式会社 西春 博矢 氏

まったく違う畑から動画制作の担当に

同社では、外部へのPRのみならず、「YouTube社内報」といった試みで社内でのコミュニケーションにも動画を活用。こうした事例からは「動画が全ての人のツールになった」という事がよく理解できます。

バラエティ豊かなYouTube社内報

社内での組織構築において最初に遭遇したカベが「社内の理解」。 先述のYouTube社内報など社内向けの取り組みは、理解促進の面でも大きな役割を果たしました。

最初に立ちはだかる壁が「社内理解」

2つ目のカベは、動画担当者の採用にまつわるもの。動画そのものの作り方と違い、一般にほとんど出る事の無い、それでいて普遍的な課題のため、会場の注目もひときわ高まります。

動画担当者の採用においても様々な試行錯誤が

特に、まだ制作実績や組織も十分でない未整備の状態で、一からチャレンジしていけるという事は、魅力にもなるというお話には多くの気付きにあふれていました。

未整備の状態からのチャレンジは魅力の一つ!

そして3つ目のカベは、ある意味永遠のテーマとも言える「育成・協働」に関するもの。「教わった側がマニュアルを加筆・修正」など、目からウロコものの実践的な取り組みが紹介されました。

常にアップデートを重ねながらの進化

また、個々人のスキルレベルを可視化するためのスキルマップ作成や、工数の推移をウォッチするという、あらゆる現場にすぐ導入できそうな具体的取り組みの紹介も。

グラフ 中程度の精度で自動的に生成された説明

スキルレベルの把握も重要なポイント

「人材そのもの」を扱う事業を行う同社ならではの、人に重きを置いた数々の施策は、参加した多くの方々にとって非常に大きな知見となった様子でした。

紙媒体の制作チームが動画制作をリスキリング

2組目は、通販事業を行う株式会社ベルーナにおける、元々冊子のカタログなど紙媒体を扱っていた社内制作チームによる、動画制作のリスキリングがテーマです。

発表担当は、同社の新井 孝史氏。新井氏は入社から20年以上、紙媒体の制作チームで業務にあたられてきました。

株式会社ベルーナ 新井 孝史 氏

これまで同社から発信される媒体は、その7割が紙媒体だったものの、紙の高騰などの理由でネット、とりわけ動画の活用が急務となりました。

状況の変化に伴って媒体を変革

当初はすでに動画のスキルを保持していた2名が担当する予定が、退社等の理由により、紙媒体の制作担当者が動画制作のスキルを習得することに!

紙媒体の担当者が動画制作に従事!

制作体制の構築は、人材、育成、環境などの側面できちんと整理・分析され、計画的に遂行されています。

社内での動画制作の軌跡には、あらゆる知見が

体制の構築には、株式会社火燵の安部 貴士氏がコンサルに入り、豊富な実績に基づくノウハウを提供。コンサルの活用により、着実かつ計画的なワークフローの構築が実現しました。

アドビのイベントにも出演した 安部 貴士氏によるコンサルを活用

通販という事業の性質上、ハイクオリティな撮影も制作の大きな要に。社内スタジオの稼働により、社内完結しながらもより品質の高い制作を行える環境が整います。

クオリティ向上の要となった

また、社外でのロケ撮影においても、機材の選定から使用法までコンサルが入り、ノウハウの構築が行われました。

ロケのノウハウ構築にもコンサルを活用

こうした取り組みが重ねられた結果、社内完結で非常に高品質な動画制作が可能に。参考に上映された、同社が運営するリゾートホテルの求人動画のクオリティに、会場にも感嘆の様子が広がります。

社内での制作とは思えないクオリティに!

最後にまとめられた「3つの取り組み」は、簡潔な中に、インハウス制作体制を着実に構築するためのヒントにあふれたものになっています。

制作体制確立のために行われた「3つの取り組み」

インハウス動画制作までの道のり

3番目は、NTTコムウェア株式会社における、オンライン配信まで含めたインハウス制作体制構築の事例紹介。

オンライン収録を含めたニーズへ対応した貴重なノウハウの一端が

最初に、同社の谷脇 洋文氏が、社内で行うウェビナーの配信や収録の進化過程について紹介。

NTTコムウェア株式会社 谷脇 洋文 氏

当初は、多くの企業がそうであるように「普通の会議室」で収録・配信。この段階でも、照明の具合などについて様々な工夫が行われます。

ただの「会議」とは違ったノウハウの必要性を認識

その後「オンライン専用会議室」が設けられ、毎回セッティングする手間も大きく軽減!機材は、短納期で入手できる民生用のものが活用されます。

オンライン収録専用の部屋を用意

それでも、他の会議室の音が入る、カメラ目線が難しいなど、質が上がるほどに様々な細かいアラが目立ってきます。

そしてついに、本格的な照明、グリーンバック、ワイヤレスマイク、プロンプターなどが導入され、別室からのオペレーションも可能な本格仕様へと進化を遂げます。

さらに本格的な環境へと改造!

収録体制の整備と同時に、編集に関してもアップデートが重ねられます。ここから、スピーカーは同社で同じく動画制作に携わる高山 奈都氏にバトンタッチ。プロダクトの社内共有のための動画制作に関する取り組みが紹介されます。

NTTコムウェア株式会社 高山 奈都 氏

制作部門だけで完結させてしまわず、社内の各担当者を巻き込んでの躍動的な動画制作が行われています。

スキルをスキルで終わらせず、さらなる実践へ!

事前にイメージを固めるためのヒアリングシートを活用するなど、社内において依頼から納品までの流れがスムーズに運ぶよう整備されています。

Premiere ProやAfter Effectsの利点も大いに活用!

制作の実務上では、Premiere ProやAfter Effectsといったアドビのツールもフルに活用。より効率的・効果的なワークフローが築かれていきます。

社内で依頼から納品までのフローが整備済み

こうした取り組みの結果、習得したスキルを活かし、着実にわかりやすい内容を備えた動画の制作が社内のみで可能となりました。

着実にわかりやすい表現を備えた動画制作を実現

社内でインハウス動画のメリットについてアンケートを実施したところ、1位となったのは、外注において大きな手間となる「契約」が不要な点が挙げられました。

インハウス動画制作には様々な利点が

一方デメリットの1位は、なんと「特にない」!この答えから、同社のインハウス制作が非常に「うまく回っている」ことがうかがい知れます。

インハウスのデメリット1位はなんと「特にない」!

次回もお楽しみに!

2023年に開始され、毎回さまざまな知見が共有されて盛況となった Adobe Video Meetup。2024年も継続予定ですので、今後の開催情報もぜひこまめにチェックされた上で、どうぞお楽しみにお待ちください!