【イベントレポート】札幌でAdobe FireflyとAdobe Expressの可能性を体感!SaCSS主催セミナー

生成 AI でスピードと安心感を得る

2024年5月11日(土)、札幌市民ホールにてSaCSS(サックス)主催のオフラインセミナーイベント『SaCSS Season2 Special04 : Adobe特集』が開催されました。主催のSaCSSは、札幌で主にWebデザイナー向けにフロントエンドの技術やデザインに関連するイベントを開催しているコミュニティで、今回はAdobe FireflyとAdobe Expressを中心に、生成AIのツールの使い方や特徴についてお話しいただきました。

『生成AIを安心して使うための著作権の知識とAdobe Fireflyのススメ』

イベント1つ目の内容は、アドビ株式会社の轟啓介さんによる「生成AIを安心して使うための著作権の知識とAdobe Fireflyのススメ」と題した講演で、生成AI「Adobe Firefly」の活用方法と著作権に関する注意点が解説されました。

生成AIが注目を浴びていることもあり、画像生成自体を試したことがある参加者もいましたが、Adobe Fireflyを利用したことがある参加者は全体の2割ほどしかおらず、今回の内容について参加者の皆さんも興味津々の様子でした。

生成AI は同じ結果を出さない

Adobe Fireflyは、プロンプト(テキストに書かれた内容)を用いて画像を生成します。そして、生成AIは似たような結果を出すことはあっても、全く同じ結果は出しません。このため、セミナーの講師を行う人は、事前チェックと当日の結果が異なることから、いつもドキドキしているのではないでしょうか。生成AIはまだまだセミナーの登壇者泣かせなツールでもあります。

モデルによる生成品質の違い

Adobe Fireflyでは、生成に利用されるモデルにバージョンがあり、そのバージョン違いでも生成の品質が変わります。イベントの告知を始めた時期では「Image 2」モデルが使われていましたが、今回のイベント開催時には「Adobe Firefly Image 3(プレビュー)モデル」がリリースされていました。

「Image 2」モデルより「Image 3」モデルの方が高品質で、特に人の生成は「Image 2」と比較するとプロンプトに入力した内容に近いものが出てきます。

短すぎるプロンプトでは予測の幅が広がってしまい、意図しない結果が出ることが多いです。試しに、同じ短めのプロンプトで「Image 2」と「Image 3(プレビュー)」のモデルを切り替えて試してみました。

Image 2 モデルで「Adobe Firefly - クリエイティブのための生成AI」とプロンプトにいれて生成した場合の例

Image 3(プレビュー) モデルで「Adobe Firefly - クリエイティブのための生成AI」とプロンプトにいれて生成した場合の例

上記のキャプチャのように、モデルが変わると同じプロンプトかつ同じ設定でも全く違うイメージが出てきます。

Adobe Firefly と著作権

Adobe Fireflyは著作を侵害しない実装になっているため、安心して利用できます。

著作権とは「著作物」を創造した者(「著作者」)に与えられる、自分が創造した著作物をコピーされたり、インターネットで利用されない権利。

著作権って何? | 著作権Q&A | 公益社団法人著作権情報センター より抜粋 https://www.cric.or.jp/qa/hajime/index.html

著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

著作権法第2条第1項第1号
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048

著作権侵害にあたるのは?

類似性があり、依拠性(既存の著作物に接した上で、真似や複製を行うこと)もある場合、つまり、誰かの作品と知っていて似たものを作った場合は著作権侵害にあたります。

生成AIの著作権で気をつけるポイント

Adobe Fireflyは、アドビがライセンスを取得しているAdobe Stock画像やパブリックドメインの作品(著作者の没後70年[※日本の場合]が経過した著作物)、オープンライセンスされた作品で学習しているため、著作権を侵害していない設計になっています。

色々できる Adobe Firefly

轟さんのセッションのまとめ

イベントの合間に『椅子ヨガ』

2つのセッションの合間に、SaCSSのイベントでは恒例になっているリフレッシュも兼ねた「椅子ヨガ」を行いました。イベントでも仕事でも、座りっぱなしの時間が長くなるので、短時間でも体を動かしてリフレッシュ!

わすか15分ほどの運動ですが、次のセッション登壇者の濱野さんも息が上がるほどに

『初心者でもわかるAdobe Express活用法』

イベント2つ目の内容は、株式会社IMAKE代表の濱野将さんによる「初心者でもわかるAdobe Express活用法」と題した講演で、初心者向けデザインツール「Adobe Express」の魅力が紹介されました。基本的な使い方から、AI生成による他のアドビアプリとの連携方法まで、具体的な活用事例を交えながら解説され、参加者は実際にAdobe Expressの操作をデモで見ることができ、その手軽さと可能性を実感していました。

Adobe Express について

Adobe Fireflyと同様、今回のイベントではAdobe Expressの利用者もほとんどいませんでした。濱野さん曰く、ノンデザイナーでも使いやすい最低限の機能を搭載したデザインアプリとのこと。テンプレートも豊富で、選んで感覚的に編集するだけで自分好みの制作物をデザインできるため、デザイン経験が少ない人でも活用できます。

SNSに連携して、作成した画像をそのまま投稿や予約投稿にできることで、SNS活用の幅も広がるツールです。

デザイン経験者でも、納期が短いときの時短ツールや、予算がないクライアントへの提供、アイデアの着想を得るためのきっかけツールとしても利用できます。

バナー作成の実演

セッションの途中で、バナー作成の実演も行いました。参加者にはAdobe Expressを触ったことがない人がほとんどだったので、実演を通じてどのようなツールかを知ってもらう時間となりました。

濱野さんのセッションのまとめ

Adobe Firefly と Adobe Express の 筆者の感想と活用

Adobe Firefly と Adobe Express は、デザインスキルがない筆者にとって大変ありがたいツールです。デザイナーに依頼したり予算の関係で制作工数を増やせないようなクライアントワークでも重宝するツール(活用できるツール)だと思います。

例えば、デザイン作成時やSNS運用時に「こんな画像がほしい」と思ったときに、Adobe Stock で近い画像を探すこともありますが、なかなかイメージに近い画像を見つけられないこともあります。見つからない場合は撮影を行ったり、自ら作成する費用も必要になるかもしれません。しかし、予算に撮影や画像作成の費用が含まれていないこともあります。

そんな時に、Fireflyで生成した画像を利用することで、費用も工数も抑えられる可能性があります。求めている画像通りにならない可能性もありますが、生成AIを利用して理想に近い画像が出てきたら、費用は大幅に抑えられるのではないでしょうか。このフローはノンデザイナーにとってシンプルで簡単であり、利用する人も増えていくのではないでしょうか。

Expressは、SNSに投稿する画像にテキストを加えたり、少し工夫を加えて予約投稿をするなどの使い方ができるため、SNS運用を行う人にも運用サポートとして便利なツールと言えます。ノンデザイナーでも豊富なテンプレートの中から「こんなイメージにしたい」というサンプルを見つけ、テキストや画像を変えるだけで簡単に画像が作れるのは非常に魅力的だと感じました。

まだどちらのツールも基本的な使い方しか理解していませんが、これからも活用したり勉強会を通して周りの人の使い方を学んでいきたいと思っています。

イベント全体のまとめ

今回のセミナーは、生成AIとデザインツールの最新情報を学ぶ絶好の機会となりました。参加者は、Adobe FireflyとAdobe Expressの可能性を体感し、今後のクリエイティブ活動に活かせる知識とスキルを習得できたのではないでしょうか。

札幌ではプログラマー系のセミナーやイベントはよく開催されていますが、デザインの実際に手を動かしているところを見られるようなイベントは少ないため、今回のようなセミナーは、今後も開催をしていきたいです。