デザイン初心者でもできる「シンプルで印象的なロゴ」の作り方
こんにちは、デザイナーのベーコンです。
今回は、デザイン初心者にもできるロゴづくりを解説します。
まずは、これから作成する ロゴの完成形 をご覧ください。
本記事のロゴは最終的には着色して使いますが、まずはモノクロで制作します。
モノクロで制作する理由は、配色とレイアウトを同時に進めてしまうと、どっちもつかずのデザインになってしまうことが多いから です。特にデザイン初心者は工程を分解してひとつずつ作業をするのがおすすめです。
まずはモノクロで作り、色に惑わされずレイアウトに集中しましょう。
●最終的にカラーをつけた例:1色でも番組ロゴのように見える
このロゴは、番組のロゴだけでなく、さまざまな場面で活用できます。
- 企業のロゴ
- 同人誌の表紙のタイトルロゴ
- 自社商品のロゴ
ロゴは身近な場所にたくさんあります。例えば、コンビニアイスの定番「チョコモナカジャンボ」の商品パッケージに大きく表示されている商品名もロゴ です。ひとつのロゴを商品POPやWebサイトで繰り返し使用することで、統一感のあるブランディングができます。
こんな方に役立ちます
デザイン初心者や次の方たちに役立つ記事です。
- 動画クリエイター
- イラストレーター・漫画家
- プレゼン資料を作るビジネスパーソン
- PTAの資料を作る方
みなさんのお仕事や活動に、今日からすぐに役立ち、さらに 長期的にも効果を発揮するデザインスキル をお伝えします。
目次
- ただのテキストを魅力的なロゴにしよう
- Step 1:サンプルファイルを開く
- Step 2:文字を2行にする
- Step 3:文字サイズを極端に変化させる
- Step 4:左右を揃える
- Step 5:文字サイズ調整とパターン検証
- Step 6:縦書きを使ってかたまり感を出す
- Step 7:小さな文字を入れる
- 完成
- まとめと補足コンテンツ
ただのテキストを魅力的なロゴにしよう
今回は、ロゴタイプを作っていきます。ロゴタイプとはシンボルマークを使わず、文字のみで構成されるロゴです。
今回使用するフォントはすべてAdobe Fontsから選びます。前回の記事「初めてのロゴ制作にも!Adobe Fontsおすすめフォント5選」も合わせてご覧いただくと理解が深まります。
Step 1:サンプルファイルを開く
Illustrator、Adobe Expressのサンプルファイルを用意しました。
どちらかのアプリでサンプルファイルを開いてください。
- Illustrator用:サンプルファイルをダウンロード
- Adobe Expressサンプルファイル:リンクをクリックするとブラウザが開く。右上の三点リーダーのメニューアイコンから[ファイルを複製](環境によっては[Duplicate File])を選び、ファイル名を設定
今回はIllustrator、Adobe Expressの操作方法については詳しく解説しませんが、画像を真似しながら作業を進めることでロゴの制作のポイントが理解できます。
サンプルファイルを開くと「ロゴを作るテクニック」の文字が表示されます。
今回使うフォントは「VDL ロゴJrブラック BK」です。その名のとおり、文字を入力するだけでロゴのような印象を与えられます。
前回の記事で紹介したようなロゴ制作におすすめなフォントを使うと、比較的簡単にロゴが作成できます。ただし、フォントがコンセプトに合っているかは慎重に判断しましょう。
Step 2:文字を2行にする
文字を2行に分けてみます。
サンプルファイルでは「ロゴ」と「を作る」と「テクニック」に文字が分割されているので、下記の図を参考に配置してください。
あとで位置を調整するのであえて揃えていません。
今回作るロゴのポイントは「かたまり感」を出すことです。
「かたまり感」とは、文字が密集して一つの塊のように見える状態 のことを指します。「かたまり感」は、今回作るような力強いロゴデザインを作るときに非常に重要な考え方で、ロゴの視認性や記憶のされやすさを高めます。 かたまり感のあるロゴは、遠くからでも一目で認識でき、印象を強く残します。なお、かたまり感のあるロゴを作るときには太めのゴシック体を使うのがおすすめです。
今回は2行に文字を分けましたが、文字の長さや状況に応じて改行位置を変えたり、3行にすることもあります。目的は文字の大小関係を作りやすくするためです。
Step 3:文字サイズを極端に変化させる
文字サイズに極端な変化をつけます。
Step 2の改行位置では、文字サイズの変化をつけづらいので「ロゴ」を別の行のように配置します。1行目にある「を作る」を2行目に移動して位置を微調整します。
さらに、次に一番伝えたい「ロゴ」の文字を大きくします。大胆に大きさに差をつけるのがポイントです。
Step 4:左右を揃える
位置を調整したり、文字サイズを変更して文字の端と端を揃えていきます。全体が長方形に収まり、一つの塊として見えるようになりました。
Step 5:文字サイズ調整とパターン検証
Step 4で完成としてもよいのですが、別の方向性を試していきます。
●「ロゴ」より「作る」が目立ってしまい、伝えたいことを誤った例
●「ロゴ」の文字を大きくした例
いったん「を作る」の文字を置いておき 「ロゴ」の文字を大きくすることで「ロゴ」と「テクニック」でかたまり感ができ、よいバランスになりました。 この方向で仮決定し、進めていくことにします。
Step 6:縦書きを使ってかたまり感を出す
上の例で「ロゴ」と「テクニック」がかたまり感があるロゴらしいバランスになりました。しかし、「を作る」が余ってしまったため、縦書きにして配置することでかたまり感を出すことにします。
横書きの文字を縦書きにするには文字を再度入力する必要はありません。次の方法で縦書きにしましょう。
- Illustrator:メニューバーの[文字]>[書式]>[組み方向]>[縦組み]にチェックを入れる。
- Adobe Express:2024年7月現在、縦組みの機能はないので1文字ずつ改行して縦組みを再現します。
かたまり感がありつつも、すべての文字が読めるサイズになった
縦書きを使うと、横書きでは収まりきらない文字を効果的に配置できます。ロゴ制作に必ず縦書きを使う必要はありませんが、覚えておくと便利なテクニック です。
なお、「を作る」を配置するため「ロゴ」の文字は少し小さくしています。ロゴでかたまり感を作ることは パズル のようなものです。形が合うようにピースを調整していくイメージで制作してみてください。
縦書きを使わなくてもパズルを成立させる方法として、次のように文言を変える方法もあります。
このテクニックが使える状況は少ないかもしれませんが、文字サイズの変更以前に、文言によってデザインのバランスが大きく変わることを覚えておくとよいでしょう。
Step 7:小さな文字を入れる
最後にロゴの下に小さな文字を入れます。 ふりがなや創業年、強調したい文言、企業や商品の理念(タグライン)を添えることで、見た目にもロゴと認識しやすくなります。
「タグライン」とは、企業やブランドの特徴や価値を簡潔に表現したフレーズのことです。例えば、ニトリの 「お、ねだん以上。」 や、ファミリーマートの 「あなたと、コンビに、」 のようにブランドのメッセージを効果的に伝えられます。
今回は「Let's have fun」(楽しもう)という本記事への思いを込めたタグラインを入れました。
ただし、すべてのロゴにタグラインが必要というわけではありません。状況や用途に応じて、タグラインの有無を選択するのが一般的です。
完成
太いゴシックのロゴが完成しました。
プレゼンテーションの表紙やYouTubeのタイトルなど、デザインのパーツとしても使えるロゴです。
完成したロゴは次のようなさまざまな場面で活用できます。
- 名刺のデザインに組み込む
- 店舗の看板に使用する
- 商品パッケージのデザインに取り入れる
- SNSのプロフィール画像やヘッダーに使用する
今回は、太いフォントを使ったかたまり感のあるロゴタイプを作成しました。 注意点としては、ひらがなや丸い漢字を使うとかたまり感を出すことが難しくなり、今回お伝えしたテクニックでは 対応が難しくなります。
このような太いフォントで作られたロゴは、実はさまざまな場面で活用されています。街中を歩けば、ホテルのロゴ、駐車場の看板、イベントポスターのタイトルなど、さまざまな場所でかたまり感のあるロゴを目にすることができるでしょう。かたまり感のあるロゴは、比較的簡単に作成できながらも、プロフェッショナルな印象を与えられます。
●かたまり感がある東急REIホテルのロゴ
まとめと補足コンテンツ
今回は、デザイン初心者でも作成できるシンプルで印象的なロゴの制作方法 を紹介しました。最後に学んだポイントを振り返ってみましょう。
- 太いフォントを使う(例:VDL ロゴJrブラック BK)
- かたまり感を意識する(文字を密集させて一つの塊に見せる)
- 極端に大きさの差をつける(メインの文字を特に大きく)
- パズルのように組み立てる(縦書きや文言の変更を活用)
- 小さな文字(タグライン)を効果的に使用する
これらのテクニックを組み合わせることで、プロフェッショナルな印象を与えるロゴ を作成できます。
●完成までの流れを短い動画にしました
ロゴ制作は最初は難しく感じるかもしれませんが、何度も試作を重ねることで、徐々に理想のロゴに近づいていきます。 本記事で紹介したテクニックを参考に、ぜひ自分だけのロゴ制作にチャレンジしてみてください。
最後にお伝えしておきたいのですが、今回の作例「ロゴを作るテクニック」は厳密にいうと、ロゴではありません。ロゴは組織名や商号、商品名などの文字を図案化したものですが、今回は理解しやすく伝えるために「ロゴを作るテクニック」という言葉をロゴのようにデザインしました。
しかし、ロゴ制作でも活かせるテクニックですのでご安心ください。
今回出てきた 「かたまり感」を出す方法の具体例 をもっと知りたい方は私のブログ「ベーコンさんの世界ブログ」内のかたまり感の使用方法という記事をぜひご覧ください。
次回はこのロゴを使った応用例をご紹介します。