Photoshop & Adobe Fontsで文字をもっときれいに見せる!|もっとAdobe Fonts!06
Photoshopの文字表現をさらに深掘り!
「Adobe Photoshop」は、写真・グラフィックのプロフェッショナルにとって、欠かすことができないクリエイティブツールのひとつです。
その用途は幅広く、フォトグラファーやレタッチャーのように写真・画像の編集を行なうケースもあれば、バナーや動画サムネイルなどweb・映像のためのグラフィック制作に使うケースもあります。
この記事では 前回 に引き続き、「Adobe Fonts」との組み合わせで、文字をよりクリエイティブに仕上げるヒントをご紹介。2024年8月アップデートで搭載されたPhotoshopの新機能についても触れているので、お見逃しなく!
Adobe Photoshop|フォント設定のおさらい
まずは、前回のおさらいをしながら、テキスト機能をさらに深掘りしていきましょう。
Photoshopの文字ツールには 「横書き文字ツール」「縦書き文字ツール」「縦書き文字マスクツール」「横書き文字マスクツール」 の4種が用意されています。
文字ツールでクリックすると、クリック地点を基準に「ポイントテキスト」が生成され、自身で改行しない限り、横(または縦)にテキストは伸びていきます。
文字ツールでドラッグすると、ドラッグした範囲に「段落テキスト」が作られます。このボックス内ではテキストは自動で改行されるので、ある程度、長さのある文章に向いています。
テキストを入力すると、カーソル付近に表示されるコンテキストタスクバーの表示がテキスト編集用に変わり、以下の設定を変更することができるようになります。
- フォントの種類
- 大きさ
- 色
- 文字揃え(左揃え・中央揃え・右揃え/横組みの場合)
- 行間(行送り/詳細オプションから設定)
- 字間(トラッキング/詳細オプションから設定)
文字の見た目をさらに細かく設定したい場合には、「文字」パネルや「段落パネル」を使います。この2つのパネルを使うことでAdobe Illustratorと同じように文字を調整することができます。
- 1…文字のサイズの調整
- 2…文字の行間の調整(行送り)
- 3…字間の調整(カーニング/文字同士の字間)
- 4…字間の調整(トラッキング/文章全体の字間)
- 5…文字の位置の調整(ベースラインシフト)
- 6…文字の色の変更
- 7…文字揃えの変更
- 8…日本語の文字組みに関する設定
- 9…箇条書きの設定 *2024年8月アップデートで搭載
3「カーニング」 と 4「トラッキング」 は、いずれも文字と文字の間のスペース=字間を調整する機能です。
2つの文字の間を調整するときには「カーニング」を、全体の文字間を一括で調整するときには「トラッキング」を使います。下図では文字間を狭くしていますが(このような作業を“文字をツメる”と言います)、逆に広くすることも可能です。
「カーニング」には、数値を指定して字間を調整する方法のほかに、フォントがもつ文字の幅の情報を使って字間を調整する 「メトリクス」カーニング と、アプリケーションが文字の適切な並びを判断して字間を調整する 「オプティカル」カーニング という2つの調整機能があります。
この機能を使うには、カーソルを文字と文字の間に置くのではなく、適用したいテキスト全体を選択しておき、「カーニング」の項目でいずれかを選択します。
「メトリクス」カーニング を日本語のテキストに適用すると、外国語のテキストと同じように、文字の幅によって適切な文字の並びにすることができます。縦組み、横組みいずれでも適用できますが、フォントによってはこの機能に対応していないこともあります。
「オプティカル」カーニング は横組みにしか対応していませんが、「メトリクス」カーニングでは字間が調整できないフォントにも適用できるというメリットがあります。
Adobe Fontsで利用可能なフォントのなかには、「メトリクス」では字間を調整できないものもあります。その場合には「オプティカル」を使うことで、自然な文字の並びにすることができるでしょう。
段落テキスト使用時は「禁則処理」と「文字組み」を設定
前述のように、Photoshopのテキストには、クリックで作成する「ポイントテキスト」と、ドラッグで作成する「段落テキスト」の2種類があります。
段落テキストはエリア内で自動的に改行してくれる便利な機能ですが、使用時にはいくつか注意点があります。
たとえば、横組みの段落テキストを行揃えが「左揃え」のままにしていると、行末がガタガタに見えてしまいます。これを揃えるためには行揃えを「均等配置(最終行左揃え)」に設定します(縦組みの場合は「均等配置(最終行上揃え)」になります)。
また、「禁則処理」は「弱い禁則」または「強い禁則」を割り当て、「文字組み」は「なし」のままにせず、「行末約物半角」などを割り当てるようにすると、段落テキスト内で文字がきれいに組めるようになります。
フォント:貂明朝アンチック
新機能|テキストをリスト化できる「箇条書きと段落番号」
フォント:DNP秀英角ゴシック銀
2024年8月のアップデートによって、Photoshopにも 「箇条書き」 機能が追加されました。フォトレタッチや画像の編集がメインのユーザーには恩恵が少ないかもしれませんが、上図のようなバナー制作等を主業務にするユーザーにとっては便利な機能と言えるでしょう。
スタイルは行の先頭に「・」がつく「箇条書き」と、改行ごとに先頭に数字を振る「段落番号」の2種類があり、適用方法は、テキストを編集状態にして「段落」パネルの一番下にある「箇条書きと段落番号」から、スタイルを選ぶだけ。「箇条書き」と「段落番号」はいつでも切り替えることができます。
Adobe Fontsで広がるフォントのバリエーション
Photoshopには前回の記事で紹介したような表現力を高める機能だけでなく、文字をきれいに組むためのさまざまな機能があります。こうした機能や設定をしっかりと使いこなすことで、高品質なグラフィックをより効率的に制作できるようになります。
ここにさらに、バリエーション豊富なAdobe Fontsのフォントを組み合わせれば、どんなデザインにも柔軟に対応できるようになるでしょう。
PhotoshopでAdobe Fontsのフォントを利用する場合、
- Adobe Fontsのサイトから「ファミリーを追加」または「フォントを追加」を行なう
- Photoshopの「文字」パネルから探して追加する
という2つの方法があります。
Adobe Fontsのサイトではサンプルを見ながらフォントの選択、追加が可能
PhotoshopでAdobe Fontsのフォントを探すには、「文字」パネルのフォントを選ぶプルダウンから「その他のフォント」を選びます。
「自分のフォント」を選んでいる場合、フィルターでAdobe Creative Cloudのアイコンをオンにすることで、すでに追加されているAdobe Fontsのフォントだけをフォントメニューに表示することも可能です。
文字の表現力を広げる多彩なフォントが揃うAdobe Fonts
クリエイティブには欠かせない道具のひとつであるフォントをより自由に、柔軟に使えるクラウドフォントサービス「Adobe Fonts」。2024年8月現在、日本語フォント650超、Adobe Fonts全体では25,000以上のフォントをメディアを問わず、商用/非商用問わず、自由に使うことができます。
書体名がわからなくても書体の分類や文字の特徴、表現したいイメージから探すこともでき、目的のフォントにすばやく辿り着けるようになっています。
“もっといろいろなフォントを見てみたい、使ってみたい!”
そう思えたらまずは一度、Adobe Fontsを開いてみましょう。
無料でも使えるたくさんのフォントで、デザインをよりふさわしく彩りましょう。
Adobe Fontsを無料で試してみる