ロゴのカラーバリエーションを簡単にたくさん作るテクニック

こんにちは、デザイナーのベーコンです。

まずは今回作成するカラーバリエーションをご覧ください。

前回の記事で作ったロゴの カラーバリエーションをIllustratorの機能を使って簡単に作るテクニックを紹介 します。サンプルファイルを用意しましたので、この記事の内容を実際に試してみることができます。ぜひダウンロードして、一緒に手を動かしながら学んでいきましょう。

こんな方に役立ちます

この記事は、デザイン初心者や次の方たちに役立つ記事です。

みなさんのお仕事や活動に、今日からすぐに役立ち、さらに 長期的にも効果を発揮するデザインスキル をお伝えします。

過去の記事、「初めてのロゴ制作にも!Adobe Fontsおすすめフォント5選」「デザイン初心者でもできる「シンプルで印象的なロゴ」の作り方」も合わせてご覧いただくと理解が深まります。

カラーバリエーションを簡単にたくさん作るテクニック

まずは前回の記事で作ったロゴを、楽しい雰囲気に着色したデータを用意しました。今回はこちらを使って進めていきます。

サンプルファイルのダウンロード

このデザインのサンプルファイルを用意しましたので、ダウンロードしてIllustratorで開いてください。

[オブジェクトを再配色]でカラーバリエーションを作る

カラーバリエーションを簡単に作るには、[オブジェクトを再配色]が便利です。

[オブジェクトを再配色]を使用すると、ランダムに色を入れ替えたり、デザイン内の複数の色を一括で変更 したりして、手軽にカラーバリエーションを作成できます。

①カラー配列をランダムに変更したバリエーションを作る

サンプルファイルの①ロゴを選択します。

メニューバーの[編集]>[カラーを編集]>[オブジェクトを再配色]をクリックします。

手作業だと手間がかかる色の入れ替えも、[カラー配列をランダムに変更]を使えば簡単にバリエーションを作成できます。

[オブジェクトを再配色]ダイアログボックスの[カラー配列をランダムに変更]をクリックします。

この操作を繰り返すことで、カラーバリエーションを作成できます。たくさんのバリエーションを作成し比較することで、ロゴの用途や求める印象に最適な色の組み合わせを見つけられます。

色が入れ替わったバリエーションが完成しました。

②明度を調整したバリエーションを作る

アートワーク全体をまとめて明るくしたバリエーションを作成してみましょう。

サンプルファイルの②のロゴを選択します。

[オブジェクトを再配色]を開き「明度」のスライダーを右に動かすと、選択したオブジェクトすべての明度を同時に上げることができます。

「明度」スライダーを右端いっぱいまでドラッグしてください。

明度を上げたバリエーションが完成しました。

③彩度を調整したバリエーションを作る

続いてアートワーク全体をまとめて彩度を下げたバリエーションを作成してみます。

サンプルファイルの③のロゴを選択してください。

まず、[オブジェクトを再配色]ダイアログボックスを開き、「彩度と色相をカラーホイールに表示」ボタンを押します。

次に、「彩度」のスライダーを左に動かすと、選択したオブジェクトすべての彩度を一度に下げることができます。

「彩度」スライダーを左にドラッグして、図の位置まで調整してください。

彩度を下げたバリエーションが完成しました。

カラーリングを終えた後に個別に調整するのは手間がかかりますが[オブジェクトを再配色]を使うことで、色全体を簡単に微調整できます。

④色のバランスを変えずに異なるカラーバリエーションを作る

次は 色のバランスを変えずに全体の色調を変更したバリエーション を作成してみましょう。

サンプルファイルの④のロゴを選択してください。

[オブジェクトを再配色]を開いてカラーホイールのハンドルをドラッグすると、色のバランスを保ちながら色味を一括で変更できます。

ハンドルは円周に沿って動かすことで色相を変更しつつ彩度を一定に保てますが、外側や内側へドラッグすると彩度が大きく変わります。

[ハーモニーカラー]のボタンがONになっていないと、個別に色が変更してしまいますのでONになっていることを確認しましょう。

下記の図を参考にハンドルをドラッグして、色を変更してください。

続いて、サンプルファイルの④-2のロゴで新しいカラーバリエーションを作ります。ロゴを選択して[オブジェクトを再配色]を開き、下図を参考にハンドルを操作してください。

[オブジェクトを再配色]で色のバランスを保ったまま、印象の異なるバリエーションを作成できました。アートワークの調和を保ちながら、求める印象に合わせて素早くバリエーションを制作できるのが便利です。

⑤複数の色を1つに統一したバリエーションを作る

複数の色を1つに統一するときも[オブジェクトを再配色]を使うと簡単です。

サンプルファイルの⑤のロゴを選択してください。

[オブジェクトを再配色]の[詳細オプション]をクリック。

次の2つの設定をしておくと、[オブジェクトを再配色]が使用できない状態を回避し、意図せず色が変更されてしまうことを避けられます。

  1. 左下の[オブジェクトを再配色]にチェックを入れる
  2. [配色オプション]ダイアログボックス内にある[着色方法]を[色調をスケール]から[変更しない]に変更

図のように黄色のバーを緑色のバーに[ドラッグ&ドロップ]してみましょう。

下図のようになっていれば、色が変更されます。

黄色をすべて緑色に変更することで、ロゴ全体に統一感を持たせることができました。

[オブジェクトを再配色]の詳細オプションでは色の統一や、1色だけの微調整をしやすいです。
今回のロゴのように複数の色がある場合でも、手軽に色の調整ができるのでバリエーション制作に役立ちます。

⑥ほかのオブジェクトから色を抽出したバリエーションを作る

ほかのオブジェクトから色を抽出したバリエーションを作るには[カラーライブラリ]からの再配色が便利です。

今回、「ひろしまクリエイターズギルド」のロゴをお借りしましたので色を抽出してみましょう。

ひろしまクリエイターズギルドは、クリエイターの学びと交流を支援するコミュニティ。主な活動内容は、月1回のセミナー・交流会イベント開催、月2回のバナー勉強会開催(メンバー限定)、コミュニティ内での気軽な相談や雑談など。2024年8月現在、全国から430名以上のメンバーが在籍中。https://guild.hiroshima.jp

まずはサンプルファイル内の、ひろしまクリエイターズギルドのロゴを選択します。

ロゴを選択したまま、[カラー]パネルの[新規カラーグループ]をクリック。

[新規カラーグループ]ダイアログボックスが表示されるので、[名前]に「ひろクリギルドカラー」と入力し、[OK]をクリックします。

ひろしまクリエイターズギルドの色が抽出され[スウォッチ]パネルに追加されました。

今回は、ひろしまクリエイターズギルドのロゴで印象的な色(水色、ピンク、黄色)を使用したいため、使わない黒と白のスウォッチを選択して削除します。

まず黒のスウォッチを選択して削除。

同じように白のスウォッチも削除します。

削除すると下図のようになります。

ひろしまクリエイターズギルドのロゴの色の抽出が完了し、準備が整いましたので、着色を進めましょう。

サンプルファイルの⑥のロゴを選択してください。

[オブジェクトを再配色]を開き、[カラーライブラリ]から[カラーグループ]>[ひろクリギルドカラー]をクリックします。

ひろしまクリエイターズギルドのロゴから抽出した色を使用して、ロゴのカラーバリエーションを作成できました。[カラー配列をランダムに変更]や彩度や明度を調整して用途に合わせた配色にするのもよいでしょう。

[オブジェクトを再配色]のカラーライブラリで配色すると、過去に作ったデザインや用途に応じた色を簡単に取り入れられます。作業の手間が減り効率的にバリエーションを作成できるので、比較検討により多くの時間を割けるのが大きなメリットです。

モックアップ機能でロゴを魅力的に見せよう

提案などの場面で作ったロゴを魅力的に見せたいときには、[モックアップ]機能を使うのがおすすめです。

実際に使用する商品に合成するのもよいですし、まだ用途が具体的に決まっていないロゴでも、モックアップを適用することで具体的な使用方法が見えてくることもあります。

使用方法は簡単です。モックアップを適用したいロゴを選択し、右クリック > [モックアップ(Beta)]> [モックアップをプレビュー]の順にクリックします。

[モックアップ(Beta)]パネルに、選択されたオブジェクトを合成した画像のサムネールが表示されます。適用したい画像を選んで[カンバスに配置]をクリックしましょう。

ロゴが合成された状態の封筒がアートボードに配置されます。ロゴをドラッグすると位置の調整ができます。

[モックアップ]機能は曲面のある写真にも対応しています。以下の動画では、帽子にロゴが自動的に変形して合成される様子がわかります。

さらに[モックアップ(Beta)]パネルからカテゴリを選択すると、デジタルデバイスやパッケージなど多彩なジャンルの写真が用意されています。

自分で用意した写真にもモックアップを適用できます。

[アートボード]内に写真を配置します。

[アートボード]に配置された写真と合成したいロゴの両方を選択し[右クリック]>[モックアップ(Beta)]>[モックアップを作成] をクリック。

写真が解析されたら、ロゴを表示したい位置にドラッグして配置し、完成です。

ロゴは通常、名刺やチラシ、グッズなど、さまざまな媒体で使用されます。モックアップ機能を活用することで、それぞれの媒体でのロゴの見え方やサイズ、周囲との調和を事前に確認できます。実際の使用場面に近いイメージでロゴデザインの効果を把握できるため、非常に効果的です。

まとめと補足コンテンツ

今回は、ロゴのカラーバリエーションを簡単に作るテクニックをたくさん紹介しました。

[オブジェクトを再配色]は、通常の配色作業からカラーバリエーションの作成まで、幅広く使える非常に役立つ機能です。ぜひ活用してください。

今回紹介した ロゴをさらにアレンジする方法を 知りたい方は、私のブログ「ベーコンさんの世界ブログ」内の「Illustratorの生成AIを使ってロゴのアレンジをしてみた」という記事をぜひご覧ください。

3回にわたる「ロゴ制作」の連載は今回で完結です。ご覧いただいたみなさま、ありがとうございました!

この連載は、非デザイナーからデザインを仕事にしている人まで、幅広い読者に役立つ内容をお届けしました。

ロゴ制作におすすめのフォント、シンプルで印象的なロゴの作り方、効率的なカラーバリエーションの作成テクニック。どれもビジネスや日常の活動ですぐに使える実践的なスキルです。

当連載で学んだテクニックを活用し、様々な場面でロゴ制作スキルを活かしてください!

今後の『PsとAiを実践的に学ぶ!クリエイター直伝のテクニック集』連載の予定