Adobe Fireflyで生成されたバービーのパッケージデザインがこのホリデーシーズンに店頭に登場

GIF of Barbie packaging.

世界的な玩具およびファミリーエンターテインメント企業であるマテルは、毎年数千点もの新商品を世に送り出し、それらのパッケージが店頭を飾ります。それは新しいバービーやホットウィールを手に入れようと待ち望む子供たちや親、ファンの興味と想像力をかき立てますが、商品数に比例してパッケージの数も膨大になり、その一つひとつについて社内のさまざまなクリエイティブチームやマーケティングチームの間でデザイン、承認、修正が繰り返されます。これだけの規模で、素晴らしいパッケージデザインのコンセプトの実装を高いレベルで維持しつつ、より効率的に、より早く商品を市場に投入するためにマテルが注目したのは、生産前のプロセスの見直しです。マテルのクリエイティブプロセスを強化し、話題の新しい玩具をこれまで以上に早く子供たちの手に届ける理想的なソリューションとして導入されたのは、アドビの生成AI Adobe Fireflyでした。

パッケージングのアイデアを現実のものに

以前は、マテルのデザイナーは「ブルーライン」と呼ばれるものを使いバービーのパッケージの初期コンセプトを作成していました。これらのスケッチは、バービーが配置された周囲に何が描かれるかをラフに示すものであり、デザイン以外の部門のチームがそのクリエイティブなビジョンを完全に理解できないという欠点がありました。そのためデザインチームは複数の案を作成して社内のレビューアーに提示する必要がありました。このようなレビューサイクルでは、フィードバックループを何度か回してブルーラインに変更や修正を加える作業が常に必要であり、時間がかかるプロセスでした。

Adobe Fireflyを使用することで、マテルのデザイナーはシンプルなテキストプロンプト(Firefly webアプリとAdobe Creative Cloud アプリケーション経由)を使用し、高品質なパッケージングコンセプトを瞬時に作成できるようになりました。Adobe Fireflyは、初期のアイデアの中核となる部分を正確にデジタルペーパー上に描くことができ、多くの場合、デザインチームを驚かせるような想像力豊かなクリエイティブ要素を含んでいます。できあがったコンセプト画像を社内のレビューに回す際も、いくつかの参考画像も併せて生成することにより、担当者が最終パッケージにより近いレンダリングをイメージできるようになります。

GIF of Barbie packaging.

承認が下りると、マテルのデザイナーはAdobe Photoshopでコンセプト画像そのものを簡単に編集し、完成に向けて洗練させることができます。生成拡張を使用して背景をパッケージのサイズに合わせて拡張したり、生成塗りつぶしでさまざまなクリエイティブ要素を追加したり削除したりすることができます。この新しいプロセスにより、玩具を店頭に並べるまでの時間が大幅に短縮されました。

バービーのパッケージングデザイナーであるサル ベラスケス(Sal Velazquez)氏は、次のように述べます。「Adobe Fireflyをデザインプロセスに取り入れたことで、クリエイティブチームとマーケティングチーム間の連携が改善され、パッケージデザインの洗練と仕上げのスケジュールを圧迫する、時間のかかるレビューサイクルを排除することができました。このようなプロセスの効率化は組織全体で歓迎されましたが、それと同時に、私たちは、テキストプロンプトからAdobe Fireflyが生成する想像力豊かなイメージに今でも感銘を受け続けています。」

お近くの店舗で販売予定

Adobe Fireflyを使ってデザインされたパッケージに入ったバービーは10月26日より、お近くの店舗で販売開始予定です。マテルのデザイナーは「Barbie Signature 2024 Holiday Doll」を、「ゴールドの四角い彫刻フレームに絡み合う赤いリボン、ゴールドのリボンが付いた赤いプレゼント、白い背景」 というシンプルなFireflyプロンプトからクリエイティブプロセスを開始しました。いくつかのバリエーションを同時に生成することで、レビュープロセスはスムーズに進みました。承認された画像をデザイナーがPhotoshopでさらに磨き上げ、バービーの新しいパッケージが完成しました。

GIF of Barbie packaging process.

女子プロバスケットボールの成長の道筋を切り開いた記録破りのスポーツレジェンドを称える「Sue Bird Barbie Role Model Doll」のパッケージデザインにおいては、Adobe Fireflyがバスケットボールコート上の興奮を捉えるのに役立ちました。Adobe Fireflyのプロンプト 「スタジアムのバスケットボールコート、背景に観客席、コートに立って外を見ている様子、バスケットボールのボードとネットの角度のある視点、サイドから見た3/4ビュー」 を使用することで、マテルのデザイナーは頭の中のコンセプトを素早く視覚化することができました。また、Adobe Fireflyはスタジアムの照明などの予期せぬ要素も捉え、パッケージングのコンセプトに活気と興奮をもたらしました。

GIF of Barbie packaging process.

アドビは当初からAdobe Fireflyを安全に商用利用できるように設計し、最高品質のAdobe Stockアセットと著作権が切れたオープンライセンスのパブリックドメインコンテンツでトレーニングしました。 同時に、対象となるプランを利用している企業ユーザーはIP補償を受けることができ(条件が適用されます)、安心して商用利用できます。ユーザーは、Adobe Firefly webアプリにアクセスするか、Adobe Photoshopなどのアプリケーションに組み込まれたAdobe Firefly搭載機能を使うことで、生成AIを日常業務に簡単に導入することができます。反響は予想をはるかに上回るもので、Adobe Fireflyはリリース以来、世界中で120億枚以上の画像を生成しています。 企業ユーザーがこの技術を、デジタルマーケティングキャンペーンからブランド再構築の取り組みまで、さまざまな用途で活用していることに、私たちはいつも感銘を受けています。

マテルのケースでは、Adobe Fireflyの導入によってパッケージデザインのプロセスを再構築することで製品の市場投入が早まり、新しい形のクリエイティブ表現が可能になりました。アドビがAdobe Fireflyを開発した理由のひとつが長く定着している制作プロセスの補完で、とくにデザインワークフローの中で反復作業が多く、組織の非効率性を生み出していた部分に焦点を当てました。米国在住のクリエイティブプロフェッショナル400人を対象にしたアドビの調査(英語)によると大半のクリエイティブプロフェッショナルにとって、実際のクリエイティブ作業に費やせるのは与えられた時間の約30パーセントにすぎないことがわかりました。この問題の解決により、マテルのデザイナーは自分たちが得意とすることにリソースを集中させ、ブランドのファンたちの想像力をかき立てるような、魅力的でワクワクするようなバービーのパッケージの作成に専念できるようになったのです。このケースはまた、初期のアイデアをデジタルペーパー上で即座に形にするという手法の威力を示しています。このプロセスにより、同社はより迅速に製品を出荷し、高まる消費者需要を捉えることが可能になりました。 次にどんな作品が生まれるのか、今から楽しみです。

マテルのパッケージングおよびEコマース クリエイティブ担当バイス プレジデントであるジェイミー ダン(Jamie Dunn)氏によるAdobe MAX 2024のセッションは、「Barbie, Hot Wheels & More: Unboxing Content at Scale with Mattel Packaging.(バービー、ホットウィールなど:マテルのパッケージデザインにおける大規模なコンテンツ制作プロセスの裏側)」でご覧いただけます。

この記事は2024年10月11日(米国時間)に公開された Barbie packaging powered by Adobe Firefly Generative AI hits store shelves this holiday season の抄訳です。