どのようなツールで作成してもPDFすべて同じ?

現在、Internet上ではメールの添付ファイルも含めて数百億のPDFファイルが流通しているといわれておりますが、そのPDFファイルは、すべて同じセキュリティ強度、再利用性、検索性等を持っているわけではありません。
本記事では、PDFに対する一般的な認識や誤解を明確にし、PDFの作成方法によりどのような違いが生じるかといった点から、ビジネス要件に合うPDFについて解説いたします。

PDFに対する認識

PDFに対する一般的な認識:

  1. レイアウトが崩れない: 異なるデバイスやコンピュータ環境で開いても、元のレイアウトが保たれるという点が最も高く評価されています。
  2. 印刷品質が高い: 高画質な印刷物を作成できるため、印刷物として利用する際に重宝されています。
  3. セキュリティが高い: パスワードを設定したり、編集を制限したりできるため、機密性の高い文書のやり取りに適していると認識されています。
  4. 様々なソフトウェアで開ける: Adobe Acrobat Readerをはじめ、多くのソフトウェアで開けるため、互換性が高いという評価があります。

PDFに対する誤解や課題:

  1. 編集できない: PDFは読み取り専用というイメージが強く、編集できないと誤解されているケースが多いです。しかし、一部のPDFには編集可能な箇所が含まれているものもあります。
  2. ファイルサイズが小さい: どのようなPDFでもWordやPowerPointなどに比べてファイルサイズが小さくなると考えられがちですが、変換の方法や元ファイルの情報の持ち方などにより必ずしもファイルサイズが小さくなるとは限りません。
  3. 検索が難しい: スキャンした画像をPDFにした場合など、テキスト検索が難しいという課題も指摘されています。
  4. アクセシビリティ: 視覚障害者など、一部の人々にとってはアクセスが難しいという課題も存在します。

PDFとは

PDFとは、アドビが開発した「電子文書」のファイル形式です。

PDFの正式名称は「Portable Document Format(ポータブル・ドキュメント・フォーマット)」で、日本語に訳すと「携帯しやすい文書フォーマット」です。

なぜ「携帯しやすい」かというと、PDFファイルはデバイス(PC、スマホ、タブレットなど)やOS(Windows、macOSなど)といった環境に左右されず、紙に印刷したようなレイアウトで文書を保存・表示できるからです。

つまり、文書をわざわざ紙に印刷しなくても、いつでもどこでも表示できるということです。
また、メールやチャットなどでカンタンに共有できます。

PDFに対する国際基準:

PDFは電子文書交換の国際規格ISO32000に準拠しているほか、長期保管用のPDF/A、エンジニアリング用のPDF/E、印刷用のPDF/Xなど、特定の目的に対応した規格にも適合しています。障害を持つユーザーが使いやすいように、様々なアクセシビリティ標準に準拠したPDFを作成することもできます。

PDFがISOに準拠するということは、国際的な標準規格に則って作成されていることを意味します。これは、PDFの信頼性や互換性を高める上で非常に重要な意味を持ちます。

ISO準拠のメリット:

PDFの構造:

PDFファイルは、一見するとただの文書ファイルに見えますが、その内部は非常に複雑な構造をしています。様々な種類の情報を格納し、表示するために、多くの要素で構成されています。

PDF作成環境

PDFを作成するには、Adobe Acrobatのような有償のソフトウェアから無償ツール、Officeソフトウェアからの変換等、様々な方法が存在しますが、なぜ有償や無償、通常使っているOfficeからの作成等様々な方法があるのでしょうか?

それは、ISOへの 準拠のレベル が異なるからです。

簡単に言うと、低コストのツールほど、プレゼンテーション層(表示レベル)への対応のみでプロパティやメタ情報等を保持していなかったり、文字がイメージデータになり検索が行えない、再利用ができない、元のファイル形式に変換するとレイアウトが崩れたり文字化けが 発生するといったことが起きやすくなります。

Adobe Acrobatを使用するメリット

Adobe AcrobatがPDF作成に高く評価される理由は、そもそもPDF自体を開発したアドビがPDFの提供とともに提供を開始したPDF専用ツールであることや、その総合的な機能の高さと長年の実績にあります。

Adobe Acrobatが評価される主な理由:

Adobe Acrobatが他のPDF作成ツールと異なる点:

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