PDFをベースとしたDXを行う意味
IT業界において、20年以上前からペーパーレスは訴えられておりますが、日本ではなかなか紙を使った業務プロセスの改善が進んでいません。ITベンダーも紙を削減することによる紙や保管コスト削減を目的とした提案も多く、実際の紙自体のコストとシステム化のコスト削減が見合わなかったことも一因だと考えられます。現在、コロナ渦を経てリモートワークが進み、システムを活用した業務効率化の動きが加速しております。ここで、紙が業務プロセスに存在することにより、業務のデジタル化における効率化の阻害要因になることが明確になり、業務のデジタル化による効率化を目的とした紙業務のデジタル化の検討が進んでおります。本記事では、紙業務のデジタル化の観点でPDFを活用如何にDXへ活用するかを解説します。ぜひ最後までお読みください。
PDFとは
PDFとは、Portable Document Formatの略で、アドビが開発したファイル形式です。PDFファイルは文書を紙に印刷したときと同じレイアウトで保存でき、PCやスマホなど、どんな環境で開いても基本的に同じように表示できるのが特長です。文書をパスワードで保護でき、印刷代や紙代の削減にもつながるので、契約書類やマニュアルなど、様々な文書に採用されています。
PDFを活用する理由
紙のメリット
- 再現性:長期間保管したものやコピーしたものを取引先などへ渡した場合でも、相手がどのような環境であっても正確な情報が伝わる
- 信頼性:デジタルデータに比べて改ざんの可能性が低く、情報に対する信頼性が高いと捉えられる
- 保存性:紙媒体は、特別な機器がなくても長期保存が可能であり、災害時など、デジタルデータが失われるリスクがある場合でも、情報を残すことができる
紙のデメリット
- コスト:紙自体のコストに加え、印刷時にコストがかかる
- 保管:頻繁に使わなくても、専用のスペースが必要となり、外部ストレージの利用においては、追加の費用が派生する
- 再利用性:紙の資料を利用して別の資料を作成したり、一部分を再利用するといったことが難しい
- 検索性:特定の情報を探し出す際に、紙の資料を一つ一つ確認する必要があり、時間がかかってしまう
- 紛失・破損リスク:紛失したり、破損したりするリスクが常に存在
- バージョン管理:同じ資料の異なるバージョンを管理する場合、どのバージョンが最新のものか、混乱が生じる可能性がある
PDFのメリット
- レイアウトの再現性:紙に印刷したときとほぼ同じレイアウトで表示できるため、視覚的な情報が正確に伝わりやすく、誤解が生じる可能性が低減
- デバイスやOSへの依存:特定のソフトウェアやOSに依存せず、様々なデバイスで同じように表示できるため、共有がスムーズ
- 検索性:テキスト検索機能を利用することで、大量の資料の中から必要な情報を見つけ出すことが可能
- 注釈やコメント機能:資料に直接注釈やコメントを追加できるため、共同作業やレビューが効率的
- セキュリティ設定:パスワード設定や編集制限など、セキュリティ設定を行うことで、情報の漏えいを防止
- 保存性:長期保存に適しており、劣化や破損の心配が少ない
- 共有の容易さ:メールやクラウドサービスなどを通じて、簡単に共有可能
- 印刷の容易さ:必要に応じて、いつでも印刷が可能
PDFを活用したDX
業務における紙の利用は、業務フローの中に人が介在するため、自動化の阻害要因となってしまいます。
これまでの紙の利点を生かしたうえで、デジタル化 / 自動化による効率性を業務にもたらすためには、PDFの活用が重要なポイントとなります。
以下にPDFを業務に活用することでデジタル化による業務効率化の方法や事例をご紹介いたします。
重要書類のセキュリティ対策
取引先へ送付したり、Webサイトなどで外部へ公開するドキュメントは、ファイルとして外部の人が入手出来てしまうため、分署管理システムなどで管理することはできません。そのため、PDF自体にセキュリティ制御の設定を埋め込む必要があります。PDFにはパスワードによる暗号化で参照の可否やコピー・印刷の制御を行うことが可能です。
また、外部へ公開する場合に一部の情報へマスクをかけて表示だけでなく、そのデータ自体を消してしまう“墨消し”機能を活用し、安全に情報を公開することが可能です。
情報共有と回覧作業(組織内外)
Acrobatでは、共有の保管先を意識することなく、手軽に組織内外へドキュメントを公開し、複数人で同時にコメントを付けるなどのレビュー作業を手軽に行うことが可能です。これにより、ファイルをメールで送ることによるバージョンの不整合や共有ストレージにファイルを保管してセキュリティ設定を行うといった面倒な作業が必要なく、ドキュメントの編集作業が行えます。
外部外との手続きや取引の電子化
Adobeが提供するAcrobat Sign(Acrobatにて簡易機能を提供)を活用し、外部企業との契約書の電子化を安全に行うことが可能です。
Acrobat Signの強力なドキュメントの真実性の証明機能により、行政機関の利用事例では、外部との契約だけでなく、申請業務に対する認可や認定書類の発行業務への活用も進んでおります。
Adobe Document Cloud活用事例
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- 奈良県庁様:給付金電子申請システムて行政サービスの効率化を実現
- 株式会社電通デジタル様:Acrobatの機能を活用した業務改革を推進
- 株式会社 MonotaRO様:通販カタログ・チラシのレビュー作業をPDF 活用で劇的に効率化
- 加賀ソルネット株式会社様:紙の業務フローをまるごとデジタル化し、紙の削減や業務効率化、セキュリティ向上に貢献
- ソニー銀行株式会社様:ペーパーレスな住宅ローン契約を実現し、契約締結までの期間も大幅に短縮
- 三菱UFJ トラスト投資工学研究所様:Adobe PDF Extract API によりPDF をテキスト自動抽出するスピードと精度が向上
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