アドビの新しいPDFテクノロジー Acrobat Services API

Adobe Acrobat Services APIは、Adobeが提供するクラウドベースのAPI群で、PDFドキュメントをプログラムから操作したり、様々なドキュメントワークフローを自動化したりするためのものです。

これにより、開発者は、Webアプリケーションやスクリプトから、Acrobatで事項できるPDFファイルの生成、編集、変換、アクセシビリティ分析や自動タグ付け等だけでなく、PDFの構造解析やe-シールの自動署名、フォームデータへのインポートやエクスポート等の様々な処理を自動化することが可能です。

Adobe Document Services APIの利用は、アドビが所有するクラウド上のサービスにアクセスして処理を実行する為、ユーザ側のリソースを消費しないという利点があります。この記事では、それぞれの機能の紹介と、意外とシンプルなAPIの利用方法を紹介していきます。

是非とも最後までお読みいただけますと幸いです。

ダイアグラム 自動的に生成された説明

Adobe Acrobat Service APIとは?

Adobe Acrobat Services APIは、クラウドベースのWebサービスを通じて、ドキュメントの生成、操作、変換を自動化するためのAPI群です。主なAPIには以下のものがあります

  • PDF Services API: ドキュメントの操作やPDFワークフローの自動化を行います。例えば、OfficeファイルをPDFに変換したり、PDFを圧縮・最適化したりできます。
  • PDF Embed API: WebアプリにPDFの閲覧機能を簡単に追加できます。
  • Document Generation API: JSONデータとWordテンプレートをマージして高品質なPDFやWordドキュメントを生成します。
  • PDF Extract API: PDFを解析し、テキストや図、表を構造化されたデータとして抽出します。
  • Accessibility Auto-Tag API: PDFコンテンツにタグを付けてアクセシビリティを向上させます。
  • Adobe PDF Accessibility Checker API:PDF文書に対して一連のテストを実行することにより、文書のアクセシビリティを大規模にチェックします。
  • PDF Electronic Seal API: デジタル証明書を使用してPDFに電子シールを適用します。
  • Import and Export PDF Form Data APIs(Beta):フォーム形式のPDFに対して各フィールドへのデータの差し込みや抜き出しを行います。
    テキスト, タイムライン 中程度の精度で自動的に生成された説明
    グラフィカル ユーザー インターフェイス 自動的に生成された説明

なお、Adobe Acrobat Services APIを活用した官公庁の次世代業務については、以下のような革新的なサービスが期待されています。

1,行政手続きのオンライン申請システムの高度化

PDF Services APIを用いて各種申請書類を動的に生成し、Document Generation APIで住民データベースと連携した書類の自動作成が可能となります。また、PDF Embed APIにより、ブラウザ上で申請書類のプレビューや入力が完結できます。

2,行政文書管理の自動化

PDF Extract APIを活用することで、紙文書のデジタル化時に自動的にメタデータを抽出し、文書管理システムへの効率的な登録が実現できます。また、OCR機能により過去の紙文書資産をテキストデータとして活用できるようになります。

3,省庁間や自治体間での文書連携の効率化

PDF Services APIを用いて文書フォーマットを標準化し、APIによる自動連携を実現することで、行政機関同士の情報連携がスムーズになります。

アドビのAPIを活用することで、行政サービスのデジタル化を一層進め、市民の利便性向上と業務効率化を同時に実現することが期待されています。

PDF Service API

PDF Services APIを利用することで、以下のようなことが可能になります。

主な特徴:

  • PDFの生成: テンプレートやデータからPDFファイルを動的に生成できます。
  • PDFの編集: 既存のPDFファイルにテキストや画像を追加したり、削除したりできます。
  • PDFの変換: PDFファイルをWord、Excel、画像などの他の形式に変換できます。
  • PDFの解析: PDFファイル内のテキスト、画像、表などを抽出し、構造化されたデータとして取得できます。
  • PDFのセキュリティ: PDFファイルにパスワードを設定したり、デジタル署名を付加したりできます。
  • PDFの最適化: PDFファイルのサイズを縮小したり、印刷品質を向上させたりできます。
  • グラフィカル ユーザー インターフェイス, アプリケーション 自動的に生成された説明

デモ動画:【Youtube】Adobe Acrobat Serviceで業務をデジタル化

Acrobat Embed API

Adobe Acrobat Embed API(PDF Embed API)は、WebアプリケーションにPDFの表示機能を簡単に組み込むためのAPIです。これを使うと、ユーザーはブラウザ上で直接PDFを閲覧、操作できるようになります。

※)このAPIは無料で利用でき、Adobe IDを作成するだけで始められます。

主な特徴:

  • PDFの簡単な埋め込み表示:HTMLに数行のコードを追加するだけで、PDFビューアをWebページに埋め込むことができます。
  • カスタマイズ可能なUI:ビューアの外観や機能をカスタマイズして、アプリケーションのデザインに合わせることができます。
  • アノテーション機能:コメントや描画ツールを使って、PDFに注釈を追加することができます。
  • アナリティクス:PDFの閲覧状況やユーザーの操作をトラッキングする機能も提供されています。

Embed API利用例:WebのPDF体験が変わる! PDF Embed APIを使いこなそう

グラフィカル ユーザー インターフェイス, アプリケーション 自動的に生成された説明

Document Generation API

Adobe Acrobat Embed API(PDF Embed API)は、WebアプリケーションにPDFの表示機能を簡単に組み込むためのAPIです。これを使うと、ユーザーはブラウザ上で直接PDFを閲覧、操作できるようになります。

※)このAPIは無料で利用でき、Adobe IDを作成するだけで始められます。

主な特徴:

  • テンプレートタグ:Wordテンプレートにタグを設定し、データに基づいて動的に内容を置き換えます。
  • カスタマイズ:条件付きロジックや繰り返し要素を使用して、複雑な文書を生成できます。
  • 署名の統合:Adobe Acrobat Signと連携して、署名付きの文書を生成できます。
グラフィカル ユーザー インターフェイス 自動的に生成された説明

デモ動画:【Youtube】Adobe Acrobat Serviceで業務をデジタル化

PDF Extract API

AdobeのPDF Extract APIは、PDFドキュメントからテキスト、画像、表などのコンテンツを抽出するためのAPIです。このAPIはAdobe Senseiの機械学習技術を活用しており、PDFの構造を理解し、内容をJSON形式で出力します。

主な特徴:

  • テキストとデータの抽出:段組みや改ページをまたぐテキスト、表、画像を正確に抽出します。
  • 構造の解析:見出し、リスト、脚注などの文書要素を分類し、自然な読み順を保持します。
  • プラットフォーム非依存:RESTful APIとして提供され、クラウドやオンプレミスのアプリケーションとシームレスに統合できます。

Extract API事例:三菱UFJトラスト投資工学研究所様

ダイアグラム 低い精度で自動的に生成された説明

Accessibility Auto-Tag API

Accessibility Auto-Tag APIは、PDFドキュメントに自動的にタグを付けてアクセシビリティを向上させるためのAPIです。このAPIはAdobe SenseiのAI技術を活用しており、見出し、段落、リスト、テーブルなどの構造を識別し、適切なタグを付けます。

主な特徴:

  • 自動タグ付け:PDFの内容を自動的に解析し、適切なタグを付けます。
  • 読み上げ順序の識別:スクリーンリーダーなどの支援技術に適した読み上げ順序を提供します。
  • スケーラビリティ:大量のPDFドキュメントに対しても効率的にタグ付けを行うことができます。

タブ付きPDF例

QR コード が含まれている画像 自動的に生成された説明

PDF Accessibility Checker API

PDF Accessibility Checker APIは、PDFドキュメントがPDF/UAおよびWCAG 2.0の機械検証可能な要件を満たしているかどうかを確認するためのAPIです。このAPIは、アクセシビリティチェックの結果を要約したレポートを生成します。

主な特徴:

  • アクセシビリティ検証:PDFがアクセシビリティ基準を満たしているかどうかをチェックします。
  • レポート生成:検出された問題点をまとめたレポートを提供し、手動で修正するためのガイダンスも含まれます。
  • ページ指定:特定のページ範囲に対してチェックを実行することができます。

PDF Electronic Seal API:

AdobeのPDF Electronic Seal APIは、PDFドキュメントに電子シールを適用するためのクラウドベースのソリューションです。この電子シールは、組織のデジタル証明書を使用して、文書の整合性と信頼性を保証します。
※ 参考:総務省e シールに係る指針 https://www.soumu.go.jp/main_content/000942602.pdf

主な特徴:

  • デジタル証明書:クラウド署名コンソーシアム(CSC)に準拠した信頼サービスプロバイダー(TSP)から発行されたデジタル証明書を使用します。
  • 改ざん防止:電子シールは文書が改ざんされていないことを証明します。
  • 柔軟なシール形式:画像、テキスト、またはその組み合わせでシールをカスタマイズできます。
グラフィカル ユーザー インターフェイス 中程度の精度で自動的に生成された説明

e-Seal API Live Demo:https://acrobatservices.adobe.com/dc-eseal-playground/index.html

e-シールについて:[官公庁様向け]行政サービスに活かすアドビのPDFテクノロジー

Import and Export PDF Form Data API

AdobeのImport and Export PDF Form Data APIは、PDFフォームにデータをインポートしたり、PDFフォームからデータをエクスポートしたりするためのAPIです。このAPIは、Adobe Experience Manager Formsの一部として提供されており、フォームデータの統合を簡単に行うことができます。

※)この機能は、2024年11月現在 β版での提供となっています。

主な特徴:

  • データのインポート:XMLデータソースを使用して、PDFフォームにデータを読み込むことができます。
  • データのエクスポート:PDFフォームからデータを抽出し、XML形式で保存することができます。

フォーム形式のPDF例:

テーブル 自動的に生成された説明

Adobe Acrobat Service APIのご利用について

ご利用の開始方法:

Acrobat Service APIは、

  • 毎月 500 件の無料ドキュメント トランザクション
  • PDF 抽出、PDF アクセシビリティ自動タグ API、ドキュメント生成

など、15 以上の PDF サービスすべてにアクセスできます

数分で簡単にサインアップして認証情報を作成できます。クレジットカードや契約は必要ありません。

https://udp.adobe.io/document-services/pricing/main/

Adobe PDF Services APIにおけるトランザクションの考え⽅

グラフ が含まれている画像 自動的に生成された説明

https://developer.adobe.com/document-services/docs/overview/pdf-services-api/dcserviceslicensing/

トランザクション数の計算⽅法 (メトリクス) ドキュメントトランザクションは50ページ毎にカウントされます (⼀部機能を除く)

グラフィカル ユーザー インターフェイス 自動的に生成された説明

Adobe PDF Services APIの処理制限

以下の処理制限を超えるAPIコールはエラーになります。

その他リソース:

リファレンス情報

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