アドビ × 筑波大学 Adobe Expressを活用した社会課題解決ワークショップを開催

ポーズをとる男女のグループ 自動的に生成された説明

アドビと筑波大学は、2024年12月7日、社会課題解決の産学連携のワークショップを開催しました。医学類で学ぶ学生たちが、慢性腎臓病に対する認知を高め、早期段階での医療アクセスを促すための方法についてグループワーク形式でディスカッション。その解決策として、Adobe Expressで制作したコンテンツによるコミュニケーションを考案し、プレゼンテーションを行いました。

アパートのビル 中程度の精度で自動的に生成された説明

会場となった筑波キャンパス西地区の医学エリア

アイデアをカタチにするための思考整理のプロセスと表現力、伝達力のスキルアップ

このワークショップの目的は、社会課題の解決手段を協働で探究することで、1) アイデアをカタチにするための思考整理のプロセスを学ぶ、2) クリエイティブツールを使ってコミュニケーションを取りながらアイデアをカタチにする表現力と伝達力を向上させることの2つです。具体的には、慢性腎臓病(CKD)における早期発見と治療の重要性を若年層に知ってもらうため、デジタルチャネル(コンテンツ)でどのような呼びかけができるかという課題に挑戦します。医学類の1〜5年生32名が7つのグループに分かれ、4時間半にわたるワークショップに真剣に取り組みました。

将来に役立つ知識と経験を

まず最初に医療医学系の山縣邦弘教授から、ワークショップの意義について「このワークショップはディスカッションによる探究、さらにデジタルを活用した資料作成やプレゼンスキル向上の場として活用してください。慢性腎臓病は、高血圧や糖尿病と異なる特性を持つ新たな国民病として多くの患者がいらっしゃいます。原因には多様な背景がありますが、早期発見と予防がとても重要です。この機会に慢性腎臓病に関する理解を深め、将来に役立ててほしいと思います。」とお話いただきました。

手に持っている男性 中程度の精度で自動的に生成された説明

腎臓内科学の権威、山縣邦弘教授によるごあいさつ

画像生成AIを活用した名刺で自己紹介

次いでウォーミングアップとして、Adobe Expressで名刺を作成してグループ内で自己紹介する時間が設けられました。

机の上に座っている人々 低い精度で自動的に生成された説明

Adobe Expressの生成AIを活用した名刺作成

初めてアプリに触れる参加者も多い中、制作に使える持ち時間は8分しかありません。最初は戸惑いながら作り始めたものの、名刺のテンプレートを選択して文字と画像を差し替えていくだけという簡単操作に誰もが順調に作業を進めます。Adobe Expressに搭載されている最先端の生成AI Adobe Fireflyを使って、文字入力だけで個性的な画像を作る楽しさに学生たちは早速大盛り上がり。自己紹介が終わる頃には、これから協働していくチームの連帯感が醸成されていました。

ノートパソコンで作業をしている人たち 自動的に生成された説明

8分間で作成した名刺で楽しく自己紹介

慢性腎臓病(CKD)と疾患啓発の必要性

ワークショップのテーマである『慢性腎臓病(CKD)について多くの人が理解を深め、健康な生活をできるだけ長く保つために10代-20代の若年世代に向けて、デジタルチャネルでどのように早期の疾患啓発ができるか?』を再確認したのち、まずは慢性腎臓病の基礎知識を、医学医療系の臼井俊明講師よりレクチャーいただきました。

電話をしている男性 中程度の精度で自動的に生成された説明

慢性腎臓病について説明する臼井俊明講師

3段階で意見をまとめ、アイデアをカタチにしていくワークショップ

早速始まったワーク1では、対象となる患者および身近な人の悩みをカテゴライズして深掘りし、どのような課題が存在するかを明確化していきます。誰が何を書いているかがリアルタイムで把握できるAdobe Expressの共有機能を活用することで、個々の考えが黙殺されることなく活発な意見交換を行うことができました。最終的には、患者や周囲の人々の悩みを洗い出した結果から見えてきた「疾患啓発における訴求内容」をどんな人にアプローチするのか、ターゲットのペルソナを作り上げていきます。

グラフ, バブル チャート 自動的に生成された説明

ワークシートにマッピングすることで「悩み」を具体化する

ノートパソコンを使っている女性 自動的に生成された説明

Adobe Expressの共有機能を活用した協働作業

ノートパソコンのキーボードの上に置かれている 自動的に生成された説明

訴求したい内容からアプローチ対象のペルソナを設定

続くワーク2では、ターゲットに対する疾患啓発のアプローチ方法を、“5W1H”のフレームで検討します。まずはワーク1の内容を「言語化」して整理、そしてワーク3に向けてどんな手段でどんな体験を提供するかを検討します。こうして何を、誰に、なぜ、いつ、どこで、どうやって伝えるかを明確化することで、伝えたいことをシンプルに記述したキャッチコピーが生まれ、クリエイティブのイメージが浮かんできます。

ノートパソコンで作業をしている人たち 中程度の精度で自動的に生成された説明

対面でディスカッションしながら共有されたワークシートにまとめていく

さらにワーク3ではメッセージを伝えるためのクリエイティブを作成します。ショート動画広告やポスター、ソーシャルメディア向けの素材など表現手段は自由。初心者でも簡単にビジュアル表現できるAdobe Expressを用いて、全員が参加することが条件です。

とはいえ、普段あまり接することのないクリエイティブ制作を、限られた時間内で完成させることはなかなか難しいもの。そこで、それぞれが生成AIを駆使した画像を作る分業体制をとることで、グラフィックを制作するチームが多く見られました。そうした作業中にも活発な意見交換が行われ、グループワークの楽しさとアウトプットをまとめる難しさを経験する場となりました。

ノートパソコンを使っている人 中程度の精度で自動的に生成された説明

分業して素材を作成し、グラフィックを制作

机の上のノートパソコン 自動的に生成された説明

凝ったアニメーションと効果音のタイミングをタイムラインで編集中

多様な視点と創造性が発揮されたプレゼンテーション

いよいよ一日の成果を発表する時間です。各チームが順番にスクリーンに映し出したAdobe Expressの画面を活用してプレゼンテーションを行いました。ワークシートベースの議論を経ているため論点が明確化されており、訴求したい内容がよく伝わってきます。各チームからは、

など個性的なアイデアが披露され、社会課題解決ワークショップのゴールにふさわしいアウトプットとなりました。

机に並んだ人々 自動的に生成された説明

作品だけでなく、背景となるストーリーやコンセプトを語るプレゼンターと見守るメンバー

会議室でポーズをとる男性たち 中程度の精度で自動的に生成された説明

グループワークの成果を熱く伝えるプレゼンテーションが繰り広げられた

受賞グループの発表と講評

その後筑波大学教員の皆様とアドビのスタッフによる審査が行われ、各賞の受賞グループと評価ポイントが発表されました。

総合優勝: チーム「レイブンクロー」

概要:若年層にクイズ形式の動画でアプローチし、親世代への波及を狙うプラン

評価ポイント:絞り込んだターゲットへのキャッチーなアプローチと親世代への広がり

ビデオゲームのスクリーンショット 中程度の精度で自動的に生成された説明

生成AI画像や動画、音声素材などを巧みに編集した完成度の高い動画

クリエイティブ賞: チーム「ゲルニカ」

概要:慢性腎臓病に罹患する若手社会人の人生を描いたアニメーションの絵コンテを制作

評価ポイント:起承転結が明確なストーリー、短時間で完成度の高いクリエイティブ

グラフィカル ユーザー インターフェイス 自動的に生成された説明

多数の生成画像を使ってリアルなストーリーを訴求

ソーシャルイノベーション賞: チーム「HIPPO」

概要:SNS世代に向けてインパクトある広告をインスタグラムに展開するプランと老年層に向けた俳句募集ポスター

評価ポイント:課題への理解と探究の深さ、アイデアの独創性

グラフィカル ユーザー インターフェイス 自動的に生成された説明

生成画像による人目を引く画像を使用した画像を制作

医療従事者の活躍の場を広げるリテラシーを

最後に、この産学連携ワークショップの開催にむけて企画からご尽力いただいた吉原雅大助教より、「みなさんの積極的な参加に感謝します。今後人々が健康でいるために、医療従事者による病院外での啓発活動が重要になってきます。医学部としての知識に加え、デジタルコンテンツを作ってアウトリーチするリテラシーを持つことで、みなさんの仕事の幅が広がっていくものと思います。」とコメントをいただき閉会となりました。

スーツを着た男性 自動的に生成された説明

運営側として学生を温かく見守ってくださった吉原助教

今回のワークショップでは、若者をターゲットにした啓発活動の考案を中心に、多様な視点と創造性が発揮されました。今回経験したアイデアをカタチにするための思考整理のプロセスと、表現し伝達することの楽しさと難しさを将来に役立てていただければ幸いです。