初心者でも楽しく作れる!オリジナル地図デザイン【#2_魅力的な建物や名所で地図を彩ろう!】

Illustrator歴8000日、ディレクター兼DTPデザイナーの「いとくに」です!
PsとAiを実践的に学ぶ!クリエイター直伝のテクニック集』Season 4の第2回にようこそ!

第1回では、道路や線路といった基礎パーツを作成し地図デザインの土台を作りました。
今回(第2回)はその土台を発展させ、建物や名所を描いて地図に命を吹き込みます。
前回学んだ「パス上オブジェクト」のテクニックも応用しながら、初心者の方でも楽しくデザインできるよう、丁寧に解説します!

こんな方におすすめ:

今回の完成目標

記事で使用するIllustratorのバージョン

Illustrator 2025(v 29.1)

目次

  • 準備
  • ファイルを開く
  • ペンションのイラストを作る
  • 吹き出しを作成する
  • ロープウェイを作る
  • 山を描画する
  • 公園のエリアを描画する
  • 完成
  • まとめ
  • 次回予告

準備

Illustratorの画面レイアウト

この記事では、Illustratorのワークスペースの設定を[初期設定(クラシック)]の状態で解説します。ワークスペースとはIllustratorのパネルのレイアウトのことです。
メニューバーの[ウィンドウ]→[ワークスペース]→[初期設定(クラシック)]を選んでください。

補足:すでに[初期設定(クラシック)]になっている場合

メニューバーの[ウィンドウ]→[ワークスペース]→[初期設定(クラシック)をリセット]

単位の設定

⌘ + K(Windowsの場合はCtrl + K)を押して[環境設定]ダイアログボックスを表示し、[単位]を以下のように設定してください。

サンプルファイルのダウンロード

サンプルファイルをダウンロードすることで、本記事の解説内容を一緒に試せます。ダウンロードして、ぜひ一緒に地図を作りましょう!

上記をダウンロードすると以下のファイルが入っています。

ファイルを開く

前回(第1回)の続きですので、データを継続して使っていただくか「Map_challenge_02.ai」を開いて作業しましょう。

ペンションのイラストを作る

ペンションを含む地図上のアイコンで使用するカラーは、全て「スウォッチ」に登録されていますので、そちらを利用して配色しましょう。

レイヤーの管理をする

レイヤーパネルの「アイコン」レイヤーと「下絵」レイヤーを表示し、「アイコン」レイヤーのロックを解除します。間違えて操作してしまわないように「アイコン」レイヤー以外のレイヤーはロックし、「アイコン」レイヤーをクリックして編集対象にします。

長方形で「外壁」を作成する

ツールバーから[長方形ツール]を選択し、アートボード上でクリックすると、[長方形]ダイアログボックスが表示されるので、以下の数値を入力し「OK」をクリックして長方形を作成します。

長方形の「塗り」と「線」を設定

[プロパティ]パネルの[アピアランス]で、以下を参考に塗りや線を設定します。

「屋根」となる長方形を作成する

[長方形ツール]を使い、以下の数値を参考に長方形を作成します。

長方形の「塗り」と「線」を設定

以下を参考にカラーを設定します。

「外壁」と「屋根」を組み合わせる

「外壁」と「屋根」となる長方形の位置を調整

外壁と屋根の位置を調整しましょう。

①「屋根」と「外壁」を両方選択します
②[プロパティ]パネルの[整列]で「垂直方向上に整列」をクリック
③続いて「水平方向中央に整列」をクリック

続いて、屋根の位置を調整します。
「屋根」だけを選択して、「Enter」キーを押すと「移動」ダイアログボックスが表示されるので「垂直方向」に「-3mm」と入力し「OK」をクリックします。

「屋根」を台形にする

アートボード上の何もない場所(空白部分)をクリックし、すべての選択を解除してから以下の手順で台形を作成しましょう。
①ツールバーから[ダイレクト選択ツール]を選びます。
※[ダイレクト選択ツール]は、オブジェクトの一部(アンカーポイントやパス)を個別に選択し、編集できるツールです。
②[ダイレクト選択ツール]で「屋根」の上辺をクリックして選択します。選択状態になると、すべてのアンカーポイントが白い四角形で表示されます。
③「屋根」の上辺が選択された状態で、ツールバーの[拡大・縮小ツール]をダブルクリックすると、「拡大・縮小」ダイアログボックスが表示されます。
④以下の数値を入力し「OK」をクリックして台形を作成します。

「窓」を作成する

「窓」となる長方形を作成する

[長方形ツール]を使い、以下の数値を入力して長方形を作成します。

次に、以下を参考にカラーを設定しましょう。

[直線ツール]を使用して「窓」の中心に配置する線を描く

ツールバーから[直線ツール]を選択し、アートボード上でクリックします。
[直線ツールオプション]ダイアログボックスが表示されるので、以下の数値を入力し「OK」をクリックします。
※「線」の色は最終的に白になりますが、わかりやすいようにサンプルでは「青」で表示しています。

「直線」を「長方形」の中央に配置する

①「長方形」と「直線」を両方選択します
②[プロパティ]パネルの[整列]で「水平方向中央に整列」をクリック
③ 続いて「垂直方向中央に整列」をクリック

「直線」の色を変更する

「直線」を選択して、[プロパティ]パネルの[アピアランス]で、「線」のカラーを白、線幅を「0.25pt」にします。
続いて、「長方形」と「直線」 を調整しやすいようにグループ化します。「長方形」と「直線」を両方選択して右クリックし、「グループ」を選びましょう。

「窓」を2つにする

「窓」を選択した状態で「Enter」キーを押し、表示された「移動」ダイアログボックスで「水平方向」に「3mm」と入力し「コピー」ボタンをクリックします。

「窓」を4つにする

以下の手順で窓を増やします

①2つの「窓」を選択した状態で「Enter」キーを押す
②「垂直方向」に2.2mmを設定
③「コピー」をクリックして複製する
④4つの窓を全て選択して右クリックする
⑤「グループ」を選び「グループ化」する

「ドア」を作る

「ドア」の元となる長方形を作る

[長方形ツール]を使い、以下の数値を入力して長方形を作成します。

長方形を配色する

以下を参考にカラーを設定します。

長方形の上辺を角丸にする

下記の手順で上辺を角丸にしましょう。

①長方形を選択した状態で、[プロパティ]パネルの[変形]で右下の「…」をクリックし、[アピアランス]パネルを表示する
②[角丸の半径値をリンク]オプションをクリックしてオフに
③上辺左右の「角丸の半径」を0.5mmに設定する

「ドアノブ」を作る

[楕円形ツール]を使って以下の手順で正円を作りましょう。

①ツールバーの[長方形ツール]を長押し
②[楕円形ツール]をクリック
③アートボード内をクリックし、[楕円形]ダイアログボックスを表示
④以下の数値を入力し、OKをクリック

「ドア」と「ドアノブ」を組み合わせる

ドアノブの「塗り」を黒に設定し、下記を参考にドアを完成させましょう。

「窓」と「ドア」を組み合わせる

グループ化した「窓」と「ドア」の位置を、以下を参考に調整しましょう。

「窓」と「ドア」、両方のオブジェクトを選択し、[整列]パネルの「水平方向中央に整列」と「垂直方向下に整列」をクリックして中央の下揃えにします。
「ドア」のみを選択し、[Enter]キーを押すと表示される[移動]ダイアログボックスで、垂直方向に2.2mm移動しましょう。

「窓+ドア」と「壁」を組み合わせる

[整列]を使い、「窓」と「ドア」の位置を調整しましょう。

①「窓」と「ドア」、両方を選択して右クリックする
②「グループ」を選び「グループ化」する
③「窓+ドア」と「壁」を選択
④[整列]パネルの「水平方向中央に整列」をクリック
⑤[整列]パネルの「垂直方向下に整列」をクリック

屋根の模様を作る

「線」を作る

グループ化した「窓」と「ドア」の位置を、以下を参考に調整しましょう。
[直線ツール]を選び、アートボード内をクリックして以下の数値を入力し、水平な「直線」を作成します。

※視認しやすくするため、下記の例では背景を黒くしています

「線」を配色する

「線」を選択した状態で、以下のように線のカラーと線幅を設定しましょう。

「線」を複製する

「線」を選択した状態で「Enter」キーを押して[移動]ダイアログボックスを表示させ、「垂直方向」に1mm入力し「コピー」を押すと、移動しながら2本目の「線」を複製できます。

「線」を5本にする

メニューバーの[オブジェクト]の[変形]から「変形の繰り返し」を選択すると、先ほど作成した「線」と同じ数値で「移動+複製」ができます。
「変形の繰り返し」は以下のショートカットを使うと効率的です。

ショートカットを3回繰り返し、5本の「線」を作成しましょう。

「5本の線」と「屋根」の位置を調整する

①「5本の線」を全て選択して右クリックする
②「グループ」を選び「グループ化」する
③「5本の線」と「屋根」、両方のオブジェクトを選択
④両方を選択した状態で、「屋根」をクリックする
 ※「屋根」のエッジが太く表示され、整列の基準となる「キーオブジェクト」に設定される
⑤[整列]パネルの「水平方向中央に整列」をクリック
⑥[整列]パネルの「垂直方中央に整列」をクリック

[内側描画]で屋根の内側に直線を配置する

5本の「線」を選択し、右クリックして[カット]をクリックします。
台形を選択した状態で、ツールバー下部の[描画方法]パネルから[内側描画]を選択します。台形の周囲に点線のガイドが表示されるので、その状態でメニューバーの[編集]→[同じ位置にペースト]をクリックすると、5本の線が台形の内側に配置されます。

ペンションを完成させる

ツールバー下部の[描画方法]パネルから[標準描画]を選択し標準に戻します。
ペンションのオブジェクトを全て選択して右クリックし「グループ」を選び「グループ化」しましょう。

ペンション名のテキストを作る

ツールバーの[テキストツール]を選び、アートボード内をクリックし、「ペンション鷹野」と入力します。
テキストの「塗り」を黒にして、[プロパティ]パネルの[文字]で、以下を設定します。

続いて、[段落]を[中央揃え]にします
※[中央揃え」にすると、文字が中央から広がるため、イラストの下部に配置した後に編集がしやすくなります。

補足:任意のフォントを早く見つける方法

検索ウィンドウにフォント名の一部を入力すると、探しやすくなります

ペンションとテキストの位置を調整する

テキストをペンションよりも下の位置に置き、ペンションとテキストを選択します。 続いて、[整列]パネルの「水平方向中央に整列」をクリックして、位置を調整しましょう。

吹き出しを作成する

レイヤーを準備する

レイヤーパネルで以下のレイヤーを表示しましょう。

正円を作成する

[楕円形ツール]を使い、直径8.6mmの正円を作成し、以下のようにカラーを変更します。

正円と三角形を組み合わせて、吹き出しにする

[ペンツール]を使い、三角形を描画します。
ツールバーから[ペンツール]を選択し、始点、中間点、終点をクリックして三角形を作ります。続いて「正円」と「三角形」 を両方選択して、[プロパティ]パネルの[パスファインダー]で、[Option(WindowsはAlt)]キーを押しながら「合体」をクリックして「複合シェイプ」を作成しましょう。

※パスファインダーを使えばオブジェクトを組み合わせて新しいシェイプを作成できます。
例で使用した「合体」は、背面の形状に前面オブジェクトのエリアを追加できます。
合体する際に[Option(WindowsはAlt)]キーを押してクリックすると「複合シェイプ」となり、正円と三角形を個別に動かしたり変形できるため、調整がしやすくなります。

吹き出しとペンションの、位置と重ね順を調整する

「吹き出し」と「ペンション」 を重ねると、「吹き出し」が前面になっています。
「吹き出し」を選択して右クリックし、[重ね順]の[最背面へ]をクリックして、背面に送ります。「下絵」レイヤーを非表示にして確認してみましょう。

ロープウェイを作る

ゴンドラを作る

作業しやすくするため、「下絵」レイヤーと「アイコン」レイヤーを表示させます。
[長方形ツール]を使って、以下の数値で長方形を作成します。

続いて、長方形のカラーを設定します。

正方形を作ります。

[長方形ツール]を使い、幅と高さが1.5mmの正方形を作成し、下記のようにカラーを設定します。。


[直線ツール]を選択し、アートボード内をクリック。以下の数値を入力し、垂直な「直線」を作成します。

続いて、「直線」を以下の設定で配色しましょう。

オブジェクトを整列する


作成した「長方形」「正方形」「垂直の線」の3つのオブジェクト全てを選択し、[整列]の「水平方向中央に整列」と「垂直方向下に整列」をクリックして整列します。
続いて、右クリックしてグループを選択し、グループ化しましょう。
※グループ化をしておかないと、後工程で使用する[パス上オブジェクトツール]を使用時に「長方形」「正方形」「垂直の線」の3つのオブジェクトがバラバラに配置されてしまいます。

ゴンドラを複製する

①「ゴンドラ」を選択する
②「Enter」キーを押して[移動]ダイアログボックスが表示させ、以下の数値を入力する

③「コピー」をクリックして「ゴンドラ」を複製する
④⌘ + D(Windowsの場合はCtrl + D)で変形を繰り返し、ゴンドラを4つ作成する

ロープを作る

[ペンツール]を使い、直線でロープを描画します。[ペンツール]での直線の書き方は、第1回目の記事の「道路を描画する」も参考になります。

①ツールバーから[ペンツール]を選択
②始点をクリックし、[Shift]キーを押しながら上方の中間地点と右下の終点をクリックする
 ※[Shift]キーを押しながらクリックすると 45° 単位の角度で描画できます
③キーボードの「V」を押してロープの描画を終了し、4つのゴンドラとロープを両方を選択します

ゴンドラをロープに沿って配置する

[パス上オブジェクトツール]を使って、ゴンドラをロープ上に配置します。第1回目の記事「線路の上に駅名を配置する」の応用になります。

①ロープと全てのゴンドラが選択された状態で、ツールバーの[パス上オブジェクトツール]をクリック
②ロープをクリックし、ゴンドラをパス上に配置する
③「スペースウィジェット」を左へドラッグして、間隔を「3.06mm」にする
※「スペースウィジェット」は左にドラッグすると間隔が狭くなり、右にドラッグすると間隔が広がります

動画(間隔の調整)

ゴンドラの位置を調整する

ゴンドラの「すべて移動ウィジェット」の「◇」をドラッグすると、ロープに沿って移動できるので、「下絵」を参考に位置を調整します。
続いて、[プロパティ]パネルの[パズ上オブジェクトのオプション]で以下の設定をします

「すべて移動ウィジェット」の「◇」をドラッグして、位置を微調整する

動画(位置調整)

山を描画する

[多角形ツール]で三角形を作る

①ツールバーの[長方形ツール]を長押し
②[多角形ツール]をクリック
③アートボード内をクリックし、[多角形]ダイアログボックスを表示
④以下の数値を入力し、OKをクリック

三角形の高さを低くする

①ツールバーの[ダイレクト選択ツール]をクリック
②三角形の先端をクリックする
③「Enter」キーを押し、[移動]ダイアログボックスを表示
④以下の数値を入力し、OKをクリック

三角形のカラーを変更する

以下を参考にカラーを変更します。

[内側描画]で描画する

三角形を選択した状態で[内側描画]をクリックします。
続いて[ペンツール]を選択し、以下を参考に「塗り」と「線」の設定をしましょう。

山の緑を描く

[ペンツール]で緑のエリアを描きます。
左下の始点は、山よりハミ出る位置をクリックします。次にジグザグになるようペンツールでクリックしていきます。
終点は始点と同じポイントの位置にカーソルを置くと、ペンツールポインターの横に小さい円が表示されるので、クリックしてクローズパスにします。
※クローズパスとは:始点と終点を互いに結合することでシェイプを形成する、接続された一連の線分のこと。

山の影を描く

[ペンツール]を選択したまま、「塗り」をグレーに変更します。
始点は、山の先端より少し上の辺りでクリックし、右下へドラッグして「ハンドル」を広げます。続いて中間点となる、山の右下をクリックします。最後に始点と同じポイントをクリックしてクローズパスにしましょう。

影を馴染ませる

上記で描画した影を、山と馴染ませます。

影を選択した状態で、[プロパティ]パネルの[アピアランス]で「不透明度」をクリックし[透明]パネルを開き、「描画モード」を「通常」から「乗算」に変更し、「不透明度」の数値を50%に設定します。
続いて、ツールバー下部の[描画方法]パネルから[標準描画]を選択します。
最後に、この記事内の「ペンション名のテキストを作る」を参考に「森音山」のテキストを作成しましょう。

※乗算とは:
ベースカラー(オブジェクトを作成する際に指定する色)にブレンドカラーを掛け合わせるものです。見た目は暗いカラーになり、影が山に馴染んで見えるような効果が得られます。

いままで作成した以外にも、マップには街のシンボルとなる施設がたくさん存在します。
ダウンロード素材で施設のイラスト(Illust_item.ai)を用意していますので、「下絵」レイヤーを確認しながら配置しましょう。

公園のエリアを描画する

レイヤーを管理する

作業しやすくするため、「下絵」レイヤーを非表示にして、「背景」レイヤーをクリックして編集します。

描画の準備をする

[ペンツール]を選び、カラーを以下の設定に変更しましょう。

[ペンツール]で三角形を作る

[ペンツール]で公園のエリアを囲みます。周囲の道路のセンターをなぞるときは、道路からハミ出ないように囲みましょう。

完成

施設の位置を微調調整して完成です。

まとめ

Illustratorの基本操作

[内側描画]を活用したイラストの描画方法
[パス上オブジェクト]の活用方法

制作内容

街の施設のイラストを描画

ポイント

四角を変形させて台形など様々な形を作ることができる
[内側描画]を活用することで、簡単に台形の内部へ描画可能
点線のガイド表示を確認しながら作業でき、視覚的にも直感的な操作が可能
正円と三角で吹き出しができる

次回予告

第3回では、地図デザインの仕上げとして、「タイトル」と「フッター」の飾り付けを行います!
これまで作成した地図にタイトルを加えてテーマを強調し、フッターで情報を補足することで、作品全体をより魅力的に仕上げます。デザインに一工夫を加えて、完成度の高い地図デザインを目指しましょう!