初心者でも楽しく作れる!オリジナル地図デザイン【#3_完成した地図で魅力的なDMを作ろう!】
Illustrator歴8000日、ディレクター兼DTPデザイナーの「いとくに」です!
『PsとAiを実践的に学ぶ!クリエイター直伝のテクニック集』Season 4の第3回へようこそ!
これまでの連載では、道路や建物を作り、地図の形を整えてきました。
今回は、地図にタイトルやフッターを追加し、地図をさらに魅力的に仕上げます。
文字の配置バランスやデザインの工夫を少し加えるだけで、地図の情報をより分かりやすく伝えられます。初心者の方でも試しやすいテクニックを交えつつ、完成度を高めるコツを学んでいきましょう!
こんな方におすすめ:
- Illustratorを始めたばかりの方
- オリジナルデザインに挑戦したい方
- 店舗や観光地のプロモーションに役立つ地図を作りたい方
完成目標
記事で使用するIllustratorのバージョン
Illustrator 2025(v 29.2.1)
目次
- 準備
- ファイルを開く
- フッターを作る
- フッターのテキストを作成する
- メインタイトルを作る
- サブタイトルを作る
- MAPの下にキャッチコピーを作る
- 完成
- まとめ
- 最後に
準備
Illustratorの画面レイアウト
この記事では、Illustratorのワークスペースの設定を[初期設定(クラシック)]の状態で解説します。ワークスペースとはIllustratorのパネルのレイアウトのことです。
メニューバーの[ウィンドウ]→[ワークスペース]→[初期設定(クラシック)]を選んでください。
補足:すでに[初期設定(クラシック)]が選択されている場合
メニューバーの[ウィンドウ]→[ワークスペース]→[初期設定(クラシック)をリセット]
単位の設定
⌘ + K(Windowsの場合はCtrl + K)を押して[環境設定]ダイアログボックスを表示し、[単位]を以下のように設定してください。
- 一般:ミリメートル
- 線:ポイント
- 文字:ポイント
サンプルファイルのダウンロード
サンプルファイルをダウンロードすると、本記事の解説を実際に試せます。
ぜひ一緒に地図を作りましょう!
ダウンロードすると、以下のファイルが含まれています。
- 作業用ファイル:Map_challenge_03.ai
※前回(第2回)からの継続データ - 完成データ:Map_kansei_itokuni.ai
ファイルを開く
前回(第2回)の続きですので、データを継続して使うか、「Map_challenge_03.ai」を開いて作成を進めましょう。
フッターを作る
フッターとは、ページの下部に配置されるエリアのことです。
以下の手順でフッターを作成しましょう。
レイヤーの管理をする
<今回のサンプルデータを使用する場合>
レイヤー設定はすでに完了しているため、そのまま使用できます。
<前回(2回目)から引き続きご自身のデータを使う場合>
「下絵」レイヤーは不要なので、「下絵」レイヤーを選択し、右下にあるゴミ箱のアイコンをクリックします。アラートが表示されるので、「はい」をクリックして削除します。
レイヤーパネルの全てのレイヤーを表示し、間違えて操作してしまわないように「フッター」レイヤー以外のレイヤーはロックします。
続いて、「フッター」レイヤーをクリックして編集対象にしましょう。
「フッター」の背景を作成する
[ツールバー]の[長方形ツール]を選択し、アートボード上でクリックすると[長方形]ダイアログボックスが表示されます。
以下の数値を入力し、「OK」をクリックして長方形を作成しましょう。
- 幅:106mm
- 高さ:13.5mm
長方形の「塗り」と「線」を設定
使用するカラーは、すべて「スウォッチ」に登録されているため、簡単に配色できます。
[プロパティ]パネルの[アピアランス]で、以下を参考に「塗り」と「線」を設定します。
- 塗り:赤茶色
- 線:なし
続いて、長方形を選択した状態で、[プロパティ]パネルの[整列]で「水平方向中央に整列」と「垂直方向下に整列」をクリックして、アートボードの下端の中央に長方形を移動します。
キレイな印刷物に仕上がるように、長方形の位置を「裁ち落とし」まで移動する
「裁ち落とし(塗り足し)」とは、仕上がりサイズよりも3mm程度大きめに絵柄を広げるエリアのことです。
印刷物は、最終的に仕上がりサイズにカット(断裁)されます。このとき、端まで背景や画像を作成する場合、断裁のズレが出ることがあります。
そのズレを考慮して仕上がりサイズよりも外側の「裁ち落とし(塗り足し)」と呼ばれるエリアまでデザインを延長することで、端までキレイに印刷された仕上がりになります。
では、以下の手順で長方形を仕上がりサイズの下3mmに移動しましょう。
- [ツールバー]にある[選択ツール]に切り替え、長方形を選択した状態で「Enter」キーを押します。
- 「移動」ダイアログボックスが表示されるので、「垂直方向」に「3mm」と入力し「OK」をクリックします。
フッターのテキストを作成する
主催者名を入力する
[ツールバー]の[文字ツール]を選び、アートボード内をクリックし、「森音町探索委員会」と入力します。
メニューバーの[ウィンドウ]→[書式]→[文字]で[文字]パネルを開き、フォントを「FOT-UD丸ゴ_ラージ Pr6N DB」にしましょう。
※「フォント名」にフォント名の一部を入力すると「検索」フィールドとして利用できるので「FOT-UD丸」と入力し、検索結果から「FOT-UD丸ゴ_ラージ Pr6N DB」を選択します。
続いて、「フォントサイズ:7.5 pt、文字間のカーニングを設定:メトリクス」を設定し、[OpenType]タブをクリックして[OpenType]パネルを開き、[プロポーショナルメトリクス]にチェックを入れましょう。
※[プロポーショナルメトリクス]にチェックを入れると、フォントが持っている詰め情報を参照します。「メトリクス+プロポーショナルメトリクス」を設定することで、意図しない文字詰めのズレを防ぐことができるので、セットで使用します。
基本的には「メトリクス+プロポーショナルメトリクス」、詰め情報のないフォントには「オプティカル」を選択しましょう。
白バック(白い背景)を作成する
テキストを選択した状態で、[プロパティ]パネルの[アピアランス]で「塗り」を「なし」にします。続いて、右下の「…」をクリックして[アピアランス]パネルを開きます。
左下にある「新規塗りを追加」を2回クリックして「塗り」を2つ追加しましょう。
[アピアランス]パネルに「塗り」が2つ追加されているので、以下のように色を設定します。
- 上の塗り:赤茶色
- 下の塗り:白
[アピアランス]でテキストの背景に白の長方形を作成する
以下の手順で、テキストの白い塗りを長方形化しましょう。
①下の「塗り」を選択する
②[新規効果を追加]をクリック
③[形状に変換]をクリック
④[角丸長方形]をクリックして[形状オプション]ダイアログボックスを表示
⑤以下の数値を入力
- 幅に追加:3mm
- 高さに追加:1mm
- 角丸の半径:1mm
テキストと白背景が天地中央になっていないので、次の工程で修正します。
テキストと白背景の位置を調整する
次に、テキストと白い背景を天地中央に揃えます。
[オブジェクトのアウトライン]を使うと、文字を図形のように扱えるようになり、より正確に背景と揃えることができます。
①白の「塗り」を選択した状態で[新規効果を追加]をクリック
②[パス]をクリック
③[オブジェクトのアウトライン]を適用する
※文字をアウトライン化したように扱うことができるようになりました
④[オブジェクトのアウトライン]を[角丸長方形]の上へ移動し、[オブジェクトのアウトライン]の後に[角丸長方形]を適用させる
「電話番号」と「代表者名」を入力する
テキストを入力する
[文字ツール]を使って電話番号と代表者名を入力し、[プロパティ]パネルの[アピアランス]で「塗り」を白にして、[文字]パネルで以下の設定をしましょう。
※見本は、先ほど作成した赤茶色の長方形の上に文字を入力しています。
- フォント:FOT-UD丸ゴ_ラージ Pr6N DB
- フォントサイズ:7.5 pt
- 文字間のカーニングを設定:メトリクス
続いて、[OpenType]パネルを開いて、[プロポーショナルメトリクス]にチェックを入れます。
文字詰めを調整する
「000-000-0000」と「(代表:佐藤)」の間と「:」の左右が少し離れています。
原因は[文字組み]が「行末約物半角」に設定されているからです。「行末約物半角」は、行末以外のほとんどの約物が全角の間隔設定になります。
※約物(やくもの)とは、文章の構成に使用する句読点や括弧類など記号類の総称のことです。
[段落]タブをクリックして[段落]パネルを開き、[文字組み]を[なし]にすることで「0」と「(」の間が詰まり、「:」の左右も詰まります。
ハイフンの位置を調整する
現在、「-(ハイフン)」が「0」の垂直方向中央に揃っていません。これは欧文であることが関係しています。
欧文フォントには「エックスハイト」と呼ばれるものがあり、アルファベットの「x」の高さを基準とした小文字の高さのことです。フォントのデザインによって異なりますが、一般的に小文字や記号(ハイフンなど)はエックスハイトを基準に配置されます。
そして、数字は「エックスハイト」よりも大きな「キャップハイト」を基準に作られています。このため、「0」の中央とズレてしまっています。
調整は[文字]パネルで行うので、[文字]タブをクリックして開きましょう。
[文字]パネルを開き、右上のパネルメニューから「オプションを表示」をクリックし、オプションを表示します。
[文字ツール]で「-(ハイフン)」を選択し、[ベースラインシフト]を0.5ptに設定します。「-(ハイフン)」は2つあるので、両方同じ設定にしましょう。
※[ベースラインシフト]を使うと、ベースラインに沿って文字を上下に移動することができます(縦組みの場合は、左右に移動)。
「代表者名」を調整する
電話番号を強調し、代表者名を小さくすることで、心理的に別の情報として認識しやすくします。
[文字ツール]で「(代表:佐藤)」を選択し、[垂直比率]と[水平比率]を「80%」に設定しましょう。
これで、電話番号も主な情報として目に入りやすくなり、補足情報としての代表者名も、自然に伝わるようになりました。
フッターの背景とテキストのバランスを調整する
[選択ツール]や[整列]パネルを使って、テキストの位置を整えましょう。
[選択ツール]に切り替えて「000-0000-0000(代表:佐藤)」を選択し、「森音町探索委員会」の白背景の右端に「000-0000-0000(代表:佐藤)」の左端を揃えます。
「000-0000-0000(代表:佐藤)」を選択した状態で、[Enter]キーを押して[移動]ダイアログボックスを表示し、「水平方向」に「2mm」を入力し「OK」をクリックしましょう。
続いて、裁ち落としを省いた背景の天地左右中央に揃えましょう。
メインタイトルを作る
テキストを配置する
レイヤーパネルで「タイトル」レイヤーのロックを解除し、「タイトル」レイヤーをクリックして編集対象にします。
[ツールバー]の[文字ツール]に切り替えて、アートボード内をクリックし、「森音町おでかけMAP」と入力します。フォントは「わんぱくルイカ-08」を指定しましょう。
テキストを調整する
[プロパティ]パネルの[文字]で「フォントサイズ:25pt、文字間のカーニングを設定:オプティカル」にして、以下のようにカラーを設定してください。
※「わんぱくルイカ-08」は詰め情報のないフォントのため、「メトリクス」ではなく「オプティカル」を設定しています。
- 塗り:赤茶色
- 線:なし
サブタイトルを作る
タイトルを入力し、フチ文字にする
メインタイトルをコピー&ペーストして[文字ツール]で選択し、「週末リフレッシュ」に打ち替えて、[プロパティ]パネルの[文字]で「フォントサイズ」を「16pt」にしましょう。
続いて[プロパティ]パネルの[アピアランス]で「塗り」をなしに設定し、「新規塗りを追加」で「塗り」を2つ追加します。
[アピアランス]パネルに「塗り」が2つ追加されているので、以下のように色を設定します。
- 上の塗り:白
- 下の塗り:赤茶色
[アピアランス]でテキストの背景に長方形を作成する
下の「塗り」を選択して[新規効果を追加]から[形状に変換]をクリックし、[角丸長方形]を指定します。「形状オプション」ダイアログボックスが表示されるので、以下の数値を入力して長方形を作成しましょう。
- 幅に追加:5mm
- 高さに追加:1mm
- 角丸の半径:1mm
テキストと背景の位置を調整する
赤茶色の「塗り」を選択した状態で[新規効果を追加]をクリックし、[パス]を選択して[オブジェクトのアウトライン]を適用します。
続いて[オブジェクトのアウトライン]を[角丸長方形]の上へ移動し、[オブジェクトのアウトライン]の後に[角丸長方形]が適用されるようにする
テキストに「線」を適用する
「線」を選択して白の「塗り」の下に移動し、以下の設定をしましょう。
- カラー:黄色
- 線幅:0.25pt
「塗り」と「線」の位置をズラして、目を引くデザインにする
[アピアランス]パネルの「線」を選択した状態で[新規効果を追加]をクリックし[パスの変形]の[変形]で[変形効果]ダイアログボックスを表示させ以下の設定をしましょう。
- 水平方向:0.2mm
- 垂直方向:0.2mm
タイトルの位置を調整する
「サブタイトル」と「メインタイトル」を以下の手順で整列しましょう。
①「サブタイトル」と「メインタイトル」の2つを上下に並べる
②[プロパティ]パネルの[選択]の右下にある「…」をクリックして[オブジェクトの整列]パネルを表示
③右上の「メニュー」をクリックする
④[プレビュー境界を使用]をクリックする
※[プレビュー境界を使用]にチェックを入れると、パスの線幅も含んだ整列が可能になります。
⑤「水平方向左に整列」をクリック
MAPの下にキャッチコピーを作る
テキストを入力する
[文字ツール]を使って「あなたの日常に ちょっとした特別を」と入力し、フォントを「AB-kokoro_no3 Regular」にしましょう。
続いて、[プロパティ]パネルで以下の設定をしましょう。
- 塗り:濃いグレー
- フォントサイズ:12.5 pt
- 文字間のカーニングを設定:オプティカル
全てのオブジェクトの位置を調整する
「フッター」レイヤー以外のロックを解除して、タイトルやMAP、フッターのバランスを調整しましょう。
完成
これで完成です。
まとめ
Illustratorの基本操作
[アピアランス]を活用した文字装飾
制作内容
タイトルやフッターをデザインし、DMを完成させる
ポイント
- テキストの配置バランスを整えることで、情報が伝わりやすくなる
- アピアランスを使って、文字を装飾できる
- 視認性を考えたデザインの工夫で、より魅力的に仕上がる
最後に
これで全3回の連載が完結しました!ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
地図の土台作りから、建物やランドマークの配置、そしてタイトルやフッターの装飾まで、Illustratorを使った地図デザインの基本を学んできました。
また、アレンジしやすいように「テキスト」レイヤーは空のまま残してあるので、今回紹介したテクニックを活用して、自分だけのオリジナル地図を作ってみてください!
作った地図は #いとくにMAP を付けてXでポストしていただければ、見に行きます!!
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