現実と非現実への逃避：アドビクリエイティブトレンド2025

クレジット: Adobe Stock/Thanapipat.

現代社会は時に圧倒的で、日常的にテクノロジーに頼る生活を送る中、多くの人がスクリーンから離れるひとときを求めています。そのような状況で、消費者が「現実逃避」と「現実」を同時に求めるという興味深い動きが見られます。確かに、人々はどこかへ「逃れたい」という願望を持っています。Mastercardによると、旅行や体験への支出は2019年から2023年の間に65％増加しました。

今年のアドビのクリエイティブトレンドで、この「現実逃避」と「現実」の両方を求める欲求が2025年の主要トレンドとして反映されており、クリエイターたちは想像力豊かで超現実的な新たなビジュアル、ユーモラスな視点、没入型体験などに注目しています。この進化するクリエイティブの世界を探り、2025年の主要トレンドについて学ぶことで、あなたのクリエイティブ制作に役立つヒントを得ることができます。さらに深くトレンドを知りたい方は、アドビクリエイティブトレンド2025のレポート をご覧ください。

2025年のクリエイティブトレンドを探る

ファンタスティックフロンティア（Fantastic Frontiers）

ファンタスティックフロンティアのトレンドは、ユーザーを魔法のような未踏の世界へ誘い、想像力豊かで非現実的な新たなビジュアルを通じて「現実逃避」への欲求を映し出します。

ファンタスティックフロンティアはテクノロジーと文化を融合し、私たちの創造力が真に無限となる未来を示唆しています。特にゲーム分野で長年培われてきたデジタル空間での緻密な世界作り（ワールドビルディング）が、この変化への準備を整え、こうした夢のようなビジュアルへの消費者の欲求を刺激してきました。

生成AIは創造性に革命をもたらし、クリエイターがこれまで不可能だったことを実現できるようにしています。そして現在、このトレンドはAI生成コンテンツだけでなく、従来の方法で制作された商業プロジェクトにも同様に広がっています。

「ファンタスティックフロンティア」素材集を見る

雰囲気を軽やかに（Levity and Laughter）

ユーモアは長らくメディアの「隠れた秘訣」とされ、消費者の90％が真面目な広告よりも面白い広告を記憶に留めると言われています。2023年のカンヌ国際映画祭では、受賞作の52％がコメディで、これは2022年の43％増に当たります。

ブランドメッセージにおけるユーモアの新しい潮流を表す「雰囲気を軽やかに」のトレンドは、ユーモアを活用してコンテンツをより魅力的で記憶に残るものにすることが特徴です。ブランドは、ミームやユーモアのある投稿がSNSで真面目な投稿よりも多くシェアされることに気づき、より多くの人々にリーチするためにユーモラスな投稿を作成していますさらに、オンラインで使われるカジュアルで遊び心のあるトーンを取り入れることで、企業は消費者とより親密なつながりを築き、ブランドをより親しみやすく、人間味のあるものにしています。

このトレンドにより、クリエイターは深刻な問題に対しても押し付けがましさや対立を避けつつ取り組むことができ、喜びと意味を両立させた共有しやすい体験を通じてエンゲージメントを高めることが可能になります。

「ユーモアと笑い」素材集を見る

タイムワープ（Time Warp）

宇宙産業が拡大し、2040年までに年間収益が1兆米ドルに達すると予測される中、レトロフューチャリズムの台頭も同様に見られます。

AIによって加速された「タイムワープ」トレンドは、未来的な要素と歴史的、ヴィンテージな要素を融合し、古代ローマや1920年代、1970年代などのスタイルを取り入れて、懐かしくも新しい美学を生み出します。生成AIは、異なる時代の要素を試したり組み合わせたりすることを容易にし、このスタイルの普及において重要な役割を果たしました。しかし、この美学が主流として広く受け入れられるようになるにつれ、従来の手法で制作された（非AIによる）商業プロジェクトも、このスタイルで急増しています。

過去と未来の融合は、Z世代の注目も集めています。彼らは直接体験していない過去に対して、ますます興味を示し、時には憧れさえ抱くようになっています。世界は急速に変化しており、「タイムワープ」トレンドは異なる時代を融合させ、未来に向けて歴史を再構築しています。

「タイムワープ」素材集を見る

イマーシブアピール（Immersive Appeal）

スクリーンを見る時間が増える中、五感を刺激する体験の需要も高まっています。イマーシブアピールトレンドは、触覚、音、香りなど視覚を超えた感覚を刺激し、喜びや驚きを生み出す体験を提供します。没入型のアートインスタレーションやテーマパークから体験型ショッピングに至るまで、このトレンドの例は視覚を超えて、触覚、聴覚、さらには嗅覚にまで広がっています。

消費者がより多くの感覚的体験を求め、現代のテクノロジーがそれを可能にする中、物理的に私たちを包み込む形で展開されるマーケティングキャンペーンが増えています。ブランドは「ワールドビルディング」と呼ばれる物語や設定を通じて没入感のある独自の世界を作り上げ、消費者に感情的なつながりや記憶に残る体験を提供する手法を活用し、詳細に作り上げられた独自の世界観を構築することで、私たちをその世界に引き込みます。

この代表的な例が2023年の映画「バービー」のマーケティング現象です。映画のマーケティングだけでなく、現実世界でのイベントやプロモーション活動、さらに「バービーコア」と呼ばれるファッションやライフスタイルのトレンドを巻き込みました。

イマ―シブアピールのトレンドは、ユーザーを素晴らしいインタラクティブな世界に招待し、受動的な消費ではなく、深く心に響く体験を優先することで、デジタル疲れを癒します。

「イマ―シブアピール」素材集を見る

クリエイティブ制作のプランにさっそく取り組もう

クリエイターやAdobe Stockユーザーの皆様、ぜひご紹介したアドビのクリエイティブトレンドの素材集をチェックしてみてください。また Creative Trends Sneak Peek ウェビナー (英語)を視聴したり、クリエイティブトレンド2025のレポート を読んだりして、今すぐ使える素材やアイディアを見つけましょう。新しいトレンドを取り入れて、プロジェクトをもっと魅力的にアップデートし、2025年もお客様とより深い関わりを持てるようになることを願っています。

いかがでしたでしょうか？ 2025年のクリエイティブトレンドが、皆様の効果的なビジュアルコミュニケーションに役立てれば幸いです。

Adobe Stockをまだご利用でない方は30日間無料でお試しできますので、6億点以上もあるAdobe Stockのクオリティの高い素材をお試しください。

また、Adobe Stockでは皆様からの作品も広く募集しております。作品販売に興味のある方はこちらからご参加ください。

この記事は2024年12月03日にBrenda Milisにより作成＆公開されたEscaping to the familiar — and the surreal: Adobe 2025 creative trends forecastの抄訳です。