Photoshop を使ったビジュアル制作に使えるエフェクトの生成と合成術:現場で役立つ Adobe Firefly 第 5 回

本連載では、デザインの現場ですぐに役立つ Adobe Firefly の活用ノウハウやヒントをお届けします。第 5 回は、パパが Adobe Photoshop を使ったビジュアル制作に使えるエフェクトを生成し、合成する手順を紹介します。

コラージュやビジュアル制作に欠かせない雨や炎などのエフェクトは、Photoshop から離れることなく Adobe Firefly の生成 AI 機能を使って生成し、そのまま利用できます。類似のバージョンをいくつも生成できるので、素材を検索する手間を省いて、試行錯誤をスムーズすに行えます。

今回は「雨」「砂埃」「炎」の 3 つのエフェクトを生成して画像に合成する例を紹介します。合わせて、エフェクトを合成する際のコツや注意点も解説します。

上の動画と、この記事の内容は同じです。お好みに合わせてご覧ください。今回使用しているサンプル(ZIP: 1.1MB)はこちらからダウンロードできます(個人学習以外の目的での利用はご遠慮ください)

雨のエフェクトを生成、遠近を分けて合成

下の画像に生成した雨のエフェクトを合成します。ポイントは、雨を遠景、中景、前景と分けて合成することです。このひと手間をかけることで、よりリアルな合成を行うことができます。

【1】雨のエフェクトを生成する

Ctrl + A (mac: ⌘ A) でカンバス全体を選択し、コンテキストタスクバーから「生成塗りつぶし」を選択します。プロンプトに「雨のエフェクト 黒い背景」と入力し、「生成」をクリックします。

生成が完了すると、雨のエフェクトが 3 つ生成されて、プロパティパネルに表示されます。ここから一つ選択します。

【2】被写体を複製する

生成した雨のエフェクトのレイヤーを非表示にしてから背景レイヤーを選択し、ツールバーから「クイック選択ツール」を選択します。

そしてオプションバーにある「被写体を選択」横のプルダウンメニューを「クラウド(クラウド詳細な結果)」に変更し、「被写体を選択」をクリックします。これで自動的に選択範囲がつくられます。

Ctrl + J (mac: ⌘ J) で被写体を複製します。

【3】遠近に分けて雨を配置する

生成した雨のエフェクトのレイヤーを表示してから Ctrl + J (mac: ⌘ J) を 2 回押して、複製を 2 つ作成します。それぞれ、遠景、中景、前景の雨として使います。すべての雨のレイヤーは、描画モードを「スクリーン」にしておきます。

上の2つの雨のレイヤーを非表示にします。そして、一番下の雨のレイヤーを、複製したモデルのレイヤーの下に移動します。

メニュー>フィルター>ぼかし>ぼかし(ガウス)を選択し、ダイアログ内の「半径」を 4 pixel にして、一番下の雨のレイヤーをぼかします。これが遠景の雨になります。

次に上から 2 番目の雨のレイヤーを表示します。Ctrl + T (mac: ⌘ T) で自由変形をして、少しだけ大きくします。

続けて、メニュー>フィルター>ぼかし>ぼかし(ガウス)を選択し、ダイアログ内の「半径」を 1 pixel にしてぼかします。これが中景の雨になります。

最後に、一番上の雨のレイヤーを表示します。Ctrl + T (mac: ⌘ T) で自由変形をして、はっきり雨粒が見えるくらいまで大きくします。

メニュー>フィルター>ぼかし>ぼかし(ガウス)を選択し、ダイアログ内の「半径」を 15 pixel にして強めにぼかします。これが近景の雨になります。

下図の左側は遠景、中景、前景にわけずに合成した画像です。右側のように、遠近によってエフェクトを分けることで、よりリアルな表現が可能になります。

砂埃を生成、動きをつける

下の画像に、生成した砂埃のエフェクトを合成します。ポイントは、モーションブラーを付けることです。これにより、砂埃の動きを演出できます。

【1】砂埃を生成する

Ctrl + A (mac: ⌘ A) でカンバス全体を選択し、コンテキストタスクバーから「生成塗りつぶし」を選択します。そしてプロンプトに「砂埃 白い背景」と入力し、「生成」をクリックします。

生成が完了すると、砂埃のエフェクトが 3 つ生成されて、プロパティパネルに表示されます。ここから一つ選択します。もし気に入ったものが生成されなかったら、プロパティパネル内の「生成」をクリックてし再度生成することもできます。

【2】砂埃を合成する

生成された砂埃のレイヤーの描画モードを「乗算」にし、Ctrl + T (mac: ⌘ T) で自由変形をして、タイヤ部分に砂埃がかかるようにサイズと位置を調整します。

レイヤーマスクを選択した状態で、描画色が黒、硬さが 0 のブラシで画像の境界線を塗って馴染ませます。

【3】砂埃に動きを付ける

砂埃のレイヤーを選択した状態で、メニュー>フィルター>ぼかし>ぼかし(移動)を選択します。

ダイアログ内の「角度」を 30°、「距離」を 15 pixel ほどにして、モーションブラーを表現します。OK をクリックすれば完成です。

炎のエフェクトを生成、照り返しを表現

下の画像に生成した炎のエフェクトを追加します。ポイントは、被写体に炎の照り返しを追加することです。これにより、エフェクトとの馴染みをよくします。

【1】炎のエフェクトを生成する

Ctrl + A (mac: ⌘ A) でカンバス全体を選択し、コンテキストタスクバーから「生成塗りつぶし」を選択します。そして、プロンプトに「焚き火 黒い背景」と入力し、「生成」をクリックします。

生成が完了すると、焚き火のエフェクトが 3 つ生成されて、プロパティパネルに表示されます。ここから一つ選択します。

再度 Ctrl + A (mac: ⌘ A) でカンバス全体を選択し、コンテキストタスクバーから「生成塗りつぶし」を選択します。そして、今度はプロンプトに「焚き火 火の粉 黒い背景」と入力し、「生成」をクリックします。

生成が完了すると、火の粉の舞う焚き火のエフェクトが 3 つ生成されて、プロパティパネルに表示されます。ここから一つ選択します。

【2】被写体を複製する

生成した 2 つのエフェクトのレイヤーを非表示にします。そして背景レイヤーを選択し、ツールバーから「クイック選択ツール」を選択します。次にオプションバーにある「被写体を選択」横のプルダウンメニューを「クラウド(クラウド詳細な結果)」に変更し、「被写体を選択」をクリックします。これで自動的に選択範囲がつくられます。

Ctrl + J (mac: ⌘ J) で被写体を複製します。

【3】炎を合成する

焚き火のレイヤーを表示して、描画モードを「スクリーン」にします。

そして、焚き火のレイヤーをドラッグして複製したモデルのレイヤーの後ろに移動します。Ctrl + T (mac: ⌘ T) で自由変形をして、位置とサイズを調整します。

火の粉の舞う焚き火のレイヤーを表示して、描画モードを「スクリーン」にします。

そして、火の粉の舞う焚き火のレイヤーも同様に、Ctrl + T (mac: ⌘ T) で自由変形をして、位置とサイズを調整します。

【4】炎の映り込みを表現する

複製した モデルの レイヤーを選択して、レイヤーパネル下の調整レイヤーのアイコンをクリックし、「トーンカーブ」を作成します。

そして、トーンカーブのレイヤーを右クリックして、「クリッピングマスクの作成」を選択します。

プリセットから「RGB」を「レッド」に変えます。グラフを上にドラッグして赤を強め、炎の照り返しを表現して完成です。

まとめ

Photoshop でカンバス全体を選択範囲にして、生成塗りつぶしでエフェクトを生成すると、Photoshop から離れることなく、様々なエフェクトを画像に追加することができます。また、生成したエフェクトの合成も、ひと手間加えることで、ぐっとクオリティがあがります。今回紹介した合成のテクニックは、雷や雪などいろいろなエフェクトに応用できます。是非みなさんの作品づくりに取り入れてみてください。