構成参照と Adobe Illustratorで実現する立体的なテキスト表現:現場で役立つ Adobe Firefly 第 3 回
本連載では、デザインの現場ですぐに役立つ Adobe Firefly の活用ノウハウやヒントをお届けします。第 3 回は、コネクリが Adobe Illustrator のベクターアートと Firefly の構成参照を使って、立体的なテキストを表現するためのアイデアを紹介します。
上の動画と、この記事の内容は同じです。お好みに合わせてご覧ください。今回使用しているサンプル(ZIP: 0.2MB)はこちらからダウンロードできます(個人学習以外の目的での利用はご遠慮ください)
構成参照とは?
構成参照は、「構図やレイアウトを、画像を使って Firefly に伝える」機能です。
下の画像は Firefly Web 版で、「透明感のあるピンクの宝石でできた文字、シンプルな黒い背景」というプロンプトで生成した結果です。左は参照画像なし、右は参照画像ありです。
参照画像ありで生成した右側の画像は、右下の水色の文字画像と同じ形状の文字が生成されています。
構成参照のメリットは以下のとおりです。
- 文字のフォントや人物のポーズなど言葉では難しい表現を指示できる
- デザインのバリエーションを短時間で簡単につくり出せる
Illustrator のベクターアートと Firefly の構成参照の活用アイディア
Illustrator は例えば文字を立体的にする・形状を変える・装飾するなどの加工や、イラストのラフ絵を描くといった作業が行いやすいため、参照画像を作成するツールとして非常におすすめです。
今回は Illustrator で立体的な文字の画像を作成し、それを Firefly Web 版の構成参照に使用することで生成結果をコントロールします。
Illustrator で参照画像を作成
まず、Illustrator で新規ドキュメントを作成し、文字を配置します。今回は「LOVE」というテキストにします。
次に、文字を立体的な表現にします。[選択ツール]で文字を選択してから、[効果]メニューから、[3D とマテリアル]>[押し出しとベベル]と選択します。
続けて、文字の見た目を調整します。[3D とマテリアル]パネルから、[奥行き:80]、[X:20][Y:20][Z:−10]と指定します。
出来上がった立体的なテキストを画像として書き出します。[ファイル]メニューから、[書き出し]>[スクリーン用に書き出し]を選択します。
[書き出し先]を設定して、[アートボードを書き出し]をクリックすると、画像が書き出されます。
Firefly Web 版で画像を生成
ここからは Firefly Web 版を使用します。Illustrator で作成した画像は構成参照の素材に使用して、画像を生成します。
Firely Web 版の[テキストから画像生成]画面を表示します。サイドバーの[一般設定]は、[モデル:Firefly Image3][縦横比:横(4:3)]、[コンテンツの種類:写真]とします ❶。
続いて、[構成]の[参照]から、[画像をアップロード]をクリックします ❷。ダイアログウインドウが表示されたら、先ほど Illustrator から書き出した画像を指定します。
[強度]のスライドバーを最大にします ❶。これにより、参照画像の構造に忠実な画像を生成できます。文字加工の場合は特に[強度]の設定が重要です。
[ピンクの宝石でできた文字、シンプルな黒い背景]というプロンプトを入力します ❷。「シンプルな黒い背景」を指定したのは、生成後に文字の切り抜きを行いやすくするためです。後から Photoshop などでデザインに落とし込む素材として使う際に便利です。
[生成]をクリックすると4つの画像が生成されます。
生成された画像から、イメージに近いものを選択します。
こちらが今回の完成画像です。
文字加工のバリエーション
プロンプトを変えるだけで、簡単にバリエーションを作成できます。
左上からグミ、お菓子、クッキー、金、岩、木と、ロゴで使えそうなワードを使って生成しています。
デザインのアイディア出しにも利用できます。例として、グラフィティ、水彩画、油絵、花火、クリスマス、新年というプロンプトで生成しています。
まとめ
Illustrator のベクターアートと Firefly の組み合わせを活用するメリットは大きく 2 つあります。
- Firefly の構成参照を使うと、イメージはあるのに時間やスキルの都合で諦めていた表現を自分のデザインに取り入れることができる
- Illustrator はイメージを自由に表現するための手助けになる
今回、Illustrator で作成した立体的な文字をベースに Firefly で画像を生成しましたが、この手順の前提は、立体的な文字のつくり方を知っていることです。
ツールやデザインに関するこうした知識あるいはスキルがあれば、文字をゼロから作成したり、複雑な装飾や加工をした文字を参照画像として制作し、Firefly でイメージを膨らませることが可能です。すなわち、Firefly は培ったスキルの延長として活用できます。
Illustrator と Firefly をかけ合わせることで時短や新たな表現につなげることができます。ぜひ活用してみてください!