2 枚の画像から印象的なロゴアニメーションを Firefly web 版でつくる:現場で役立つ Adobe Firefly 第 6 回

本連載では、デザインの現場ですぐに役立つ Adobe Firefly の活用ノウハウやヒントをお届けします。第 6 回は、タマケンから Adobe Firefly web 版の「画像から動画生成」機能を使い、2 枚の画像からロゴアニメーションをつくる方法を紹介します。

上の動画と、この記事の内容は同じです。お好みに合わせてご覧ください。今回使用しているサンプル(ZIP: 1.2MB)はこちらからダウンロードできます(個人学習以外の目的での利用はご遠慮ください)

Firefly でロゴアニメーションを作るメリット

ブランドを訴求するロゴアニメーションは、Web サイト、SNS 広告、プレゼンテーション動画、YouTube のイントロ など、さまざまなシーンで活用することができます。皆さんもよく目にしているのではないでしょうか?

ロゴをアニメーションさせるには After Effects などの専門ツールを使用することが一般的ですが、Firefly web 版を使えば、2 枚の画像を用意するだけでロゴアニメーションを生成できます。

もちろん、After Effects のように細部まで思い通りにコントロールすることはできません。それでも、Photoshop で合成やデザインができれば、十分イメージに合った動画を生成できますし、何より After Effects を使いこなせるスキルや細部までつくり込む時間が無くても、業務で利用できる品質の動画が生成できる点は大きな魅力です。

Firefly web 版の「動画を生成」機能とは?

2025 年 2 月、Firefly web 版に、動画を生成する機能がベータ版として追加されました。これはアドビが独自に開発した動画生成モデルで、著作権に配慮した素材のみを学習しているため、安心して商用利用できます。

動画生成の手段は、「テキストから動画生成」と「画像から動画生成」の 2 種類があります。今回使用する「画像から動画生成」は、最初のキーフレーム、または最初と最後のキーフレームの画像を指定して、プロンプトと組み合わせて動画を生成する機能です。

Firefly でロゴアニメーションを生成

提供されているサンプルデータを使用する場合は、あらかじめダウンロードしておくと以下の作業をスムーズに進められます。

1. 最初と最後のキーフレームに使う画像を用意する

まず、動画の最初と最後のフレームにしたい画像を選びます。今回は、以下の 2 枚の画像を使用します。ブランドロゴが主役の動画になるように、動画の始まりには背景の一部にロゴが写った画像、動画の終わりにはロゴが大きく目立つ画像を用意しました。

画像を用意する場合は、動画の流れがスムーズになるように、最初の画像と最後の画像のつながりを意識することが大切です。また、視認性を高めるために、ロゴの大きさや配置にも注意しましょう。

2. Firefly web 版を表示して必要な情報を指定する

ブラウザで Firefly web 版を開き、「動画」のタブを選択して、「画像から動画生成」のボタンをクリックします。これで、画像から動画生成するための画面が表示されます。

画面左側のメニューから、生成する画像のサイズに「ワイドスクリーン(1920 × 1080) 」を選択します。これで、16:9 の横長の動画が生成されます。

続けて、プロンプト入力欄の左側にある 2 つのキーフレーム欄に、画像をドラッグ&ドロップします。上が動画の始点(最初のキーフレーム)に使われる画像、下が動画の終点(最後のキーフレーム)に使われる画像になります。今回は、上にロゴが看板に写った写真を、下にロゴ画像を設定します。

なお、上の 1 枚だけ設定して生成することもできます。

3. プロンプトを入力する

プロンプト入力欄に、文章で動画の動きを説明します。今回は、下記のプロンプトを入力します。

「看板にゆっくりズームインして、光が差して白い背景のロゴに変わる様子」

プロンプトには、最初のキーフレームから最後のキーフレームまでどのように場面が移るのかをできるだけ詳しく記述します。画像を 2 枚指定した場合は、最初と最後のカメラの状態が確定しているため、途中のストーリーの記述に注力するとよいでしょう。

効果的なテキストプロンプトの記述をまとめた記事も公開されていますので、よろしければ参考にしてみてください(動画生成の効果的なテキストプロンプトの記述)。

4. 動画を生成する

生成ボタンをクリックすると、動画の生成が開始されます。フル HD の 5 秒の動画を生成するのに、平均して 1~2 分程度時間かかります(生成時間は環境によって異なります)。

これで、指定した 2 枚の画像をつなぐロゴアニメーションができました。

「ダウンロード」ボタンから、生成した動画を MP4 ファイルに書き出せます。

生成するたびに結果が変わるので、気に入らなければ繰り返し試してみることもできます。

ロゴアニメーションのその他の例

上の例では、画像内の風景を活かしたロゴアニメーションを生成しました。キーフレームに使う画像を工夫することで、さまざまなトーンのロゴアニメーションを作成できます。

また、シンプルな画像を使用すると、テキストプロンプトで表現を指定しやすくなります。次の例は、テレビ画面に表示されるロゴテキストにズームするだけのカットですが、グリッチ表現を指定することで、興味深いアニメーションが生成されました。

使用した画像は以下の 2 枚です。

プロンプトに、「テレビの画面にズームしてタイトルに変わる様子 グリッチ表現」を指定して生成した動画が以下になります。

その他にも、2 枚の画像で生成したアニメーションを複数用意してから、動画編集ツールを使用してそれらをつなぎ合わせることで、より長尺でストーリー性のある動画を作成することができます。動画編集ツールを使うことにはなるものの、生成した動画をタイムラインに並べて書き出すだけですので、時間が無い場面でも十分に使えるアイデアです。

以下の例は、11 枚の画像を使用して 10 本の動画を生成してから、それらを一つにまとめました。組み合わせる画像次第でユニークな映像表現を楽しめることがわかる例になっています。

動画生成に使用したプロンプトはそれぞれ異なります。冒頭の動画のプロンプトは「ネオンのライトが灯る様子」です。生成したすべての動画をつなぎ合わせたものが下の動画です。

プレミアム機能と生成クレジット

Firefly の機能の中で、生成処理の負荷が大きい機能は、プレミアム機能として提供されます。今回紹介した「画像から動画生成」は、プレミアム機能です。プレミアム機能を利用するには、Adobe Firefly プランの購入が必要ですが、現在は、Creative Cloud プランにも、プレミアム機能を無料で試すための体験版(2 つの動画生成および 40 秒の翻訳)が付属しています。

Adobe Firefly プランは、4月 28 日までの早期アクセスとして 1580 円/月から購入できます。動画生成に必要な生成クレジットは、一秒あたり 100 クレジットです(現在は期間限定で一秒あたり 20 クレジット)。詳細はアドビのヘルプページをご覧ください。

まとめ

Adobe Firefly web 版の「画像から動画生成」機能を使い、2 枚の画像からロゴアニメーションをつくる方法を解説しました。手間のかかる動画編集ツールを使うことなく、直感的な操作で時間をかけずにアニメーションをつくれる点が大きな魅力です。

SNS の投稿やプレゼン動画、YouTube のイントロなど、さまざまな用途に活用できるので、ぜひ試してみてください。