画像生成 AI を始めよう! 第 10 回:つい手に取りたくなるビールのパッケージを Adobe Firefly で生成する

4 月 23 日は地ビールの日です。クラフトビールに思いを馳せて、今回は Firefly にビール缶のパッケージデザインを生成してもらうことにします。準備は、ブラウザで Firefly Web 版を開くだけです。

Firefly には、生成される画像の構図を指定できる「構成参照」という機能がありますが、最近のアップデートで、類似した機能の「シーンから画像生成(Beta)」が追加されました。今回はこちらを使ってみることにします。

「シーンから画像生成」で構図を指定するには、まず 3D 空間内に 3D オブジェクトを配置します。例として、ビール缶に見立てた円筒を 3 つ並べてみました。

そして、カメラの位置を操ります。ぐっと円筒に近づいて、立体的な「遠近」カメラを使うと、以下のような画になります。

このように構図を指定して画像を生成できるため、もし、ビール缶の配置やパースペクティブをいろいろと試したいと思ったら、画像をその都度調達しなければならない「構成参照」を使用するよりも、「シーンから画像生成」を使う方がずっと楽です。

早速、円筒を少し長くして、一本を横にして、カメラの位置も若干ずらします。これで画像を生成してみます。

海をイメージしたパッケージになるように、プロンプトは、「ソリッドなグラデーションで海の深みを表現した、クールなデザインのラベルが貼られた缶ビール3本。ビールの名前はそれぞれ「Beach Lemon Ale」「Seaside Honey Ale」「Ocean Scent IPA」。」とします。

「3D シェイプの適用量」は「100%」です。「コンテンツタイプ」には「写真」を指定します。

指定した構図通りです!接地面もちゃんと生成されました。綺麗なグラデーションのパッケージですが、これだと中身がビールであることが伝わらないので、シーンから一番右の缶を削除します。

そして、空いたスペースには、プロンプトを使って、ビールの注がれたグラスを生成するように指示します。

新しいプロンプトは、「夕焼けの海がテーマのミニマルでモダンなパッケージデザインのラベルの缶ビール 2 本。ビールの名前はそれぞれ「Seaside Honey Ale」「Ocean Scent IPA」。隣にはビールが注がれたビアグラスも置かれている。」です。

開けたスペースにビアグラスが生成されました。やや無理やりな感もありますが、ビールらしさが伝わるようになったので、プロンプトは一旦これで良しとします。図案は、AI っぽさがあるものの、複雑すぎず悪くありません。右はクラシックな雰囲気の絵柄です。

テイストの異なるパッケージを生成するために、スタイルの「効果」を追加します。まず、新表現主義と、背景の海をぼかすためのボケ効果(視覚的な適用量 6%)を指定してみます。

背景も含めて色がきれいです。ラベルのデザインもすっきりしています。右のパッケージデザインの構図にはオリジナリティが感じられます。

いい具合に背景がボケてくれたので、ボケ効果はそのままにします。そして、新表現主義の替わりにパレットナイフを指定して生成します。

アーティスティックな絵のパッケージデザインになりました。

色合いは良いとして、文字があまりきれいに生成されないのと、もっとシンプルなデザインにしたいので、プロンプトに具体的な形状(円と四角)を記述して、ラベルの文字数を減らします。全体的に暗いため、背景も、夕焼けから昼の海に変更します。

新しいプロンプトは、「クリーンなデザインの銀色のビール缶、1 本はシンプルな黄色の丸と「ALE」の文字、もう1本はシンプルなブルーの四角と「IPA」の文字。隣にはビールが注がれたグラス。背景は真昼の海。」です。

さらに。Adobe Stock で見つけた下の画像を「スタイル参照」に指定します。適用量は 100% です。

ビール缶が明るくなるよう、「効果」にスタジオ照明とボケ効果(視覚的な適用量 6%)を指定します。

全体的に明るくなりました。左の画像は正面に影が無いのは、スタジオ照明の効果でしょうか。参照画像を指定した影響か、文字は生成されたりされなかったりです。どの缶もこれまでになかったテイストのデザインになったので、「スタイル参照」はこのまま使用することにします。

スタジオ照明以外の「効果」も探ってみましょう。まず、アールヌーヴォーとボケ効果(視覚的な適用量 6%)の組み合わせで生成します。

どちらも特徴のある意匠で、ちょっと不思議なデザインになりました。

次は、「効果」を、フォービズムとボケ効果(視覚的な適用量 6%)にして生成します。

形が歪になっていますが、切り絵のようなデザインで、オリジナリティがあります。

さらに「効果」を試します。今度は、シュールレアリスムとボケ効果(視覚的な適用量 6%)です。

左側の画像は、円が多色の組み合わせになって手が込んでいます。また、画像全体の色味がきれいです。右の画像は、色の対比が美しい 2 本が生成されています。

文字がなかなか生成されないようなので、それらしい「効果」を使ってみます。グラフィティとボケ効果(視覚的な適用量 6%)です。

プロンプトに指定した文字とは異なりますが、タイポグラフィがくっきり表示されました。線などもはっきりしていて、歪みが少ないポップな印象です。右の画像のグラスはやや残念な感じになってしまいました。

文字は諦めることにして、もう少しだけスタイルを試します。「効果」に、製品写真とボケ効果(視覚的な適用量 6%)を指定して生成します。

ビール缶に光が当たる感じや、ピントが合っているあたりは、やはり製品写真といったところでしょうか。左の画像の右側のパッケージは、映画のチラシに使われていそうなデザインです。

もう一つだけ「効果」を試します。ライトペインティングとボケ効果(視覚的な適用量 6%)です。

スタイル参照している素材とペインティングをかけ合わせたような、オリジナリティのあるデザインになりました。左の画像の抽象的なデザインはちょっと手に取りたくなる雰囲気があります。右の画像の円の周囲のペイントは色も良くて面白いデザインになりました。

今回の一枚はこれ↓にします。パイナップルのような形がフレーバーを表現しているように見えますし。背景の海の色にもマッチしていて、真夏のビーチで見かけたら思わず手が伸びてしまいそうです。

グラスの影だけは残念ですが、今回の目的はパッケージデザインですので目をつぶることにします。グラスも 3D オブジェクトとしてシーン内に配置していれば、影は揃っていたのかもしれません。この辺りは、「シーンから画像生成」を使う際の注意点になりそうです。

<番外編 >

いつものように、プロンプトはそのまま、「スタイル参照」にギャラリーから選んだ画像を指定して生成してみました。「効果」は無しに戻してあります。

参照画像:「グラフィック」の 6 番目(graphic 6)

エナジードリンク風の光るパッケージになりました。左はビールグラスが生成されていません。3D シェイプの適用量と、スタイル参照の適用量を、どちらも「100%」にすると、プロンプトの指定に対する忠実度はやや下がるのかもしれません。

参照画像:「グラフィック」の 10 番目(graphic 10)

こちらも気になる点はあるものの、デザイン性の高い仕上がりになりました。パッケージも背景もグラフィック処理されていて、洒落た感じです。

参照画像:「写真スタジオ」の 11 番目( photo studio 11)

ポップでトロピカルな雰囲気です!ビアグラスが消えてしまったのは残念です。

※設定:上記全て、シーンの参照/3D シェイプの適用量:100%、シーンの参照/カラーの適用量:0%、スタイル効果/視覚的な適用量:6%、【シーン】環境:デフォルト、カメラ:遠近、【アスペクト比】正方形