今から始める画像生成 AI 第 7 回:時を忘れる南の島の海岸を Adobe Firefly で生成しよう!

年度末を迎えて、仕事に追われている方も多いことと思います。そこで、今回は Adobe Firefly を使って、「時を忘れる南の島の海岸」をテーマに画像を生成したいと思います。

準備は、ブラウザで Firefly web 版を開くだけです。早速、プロンプト入力欄に「南の島の砂浜」を入力して、生成ボタンをクリックします。

いかにも AI 任せで生成しましたという画になりました。砂浜も見えてはいますが、ごつごつした岩と荒々しい波がリゾート気分を邪魔しています。植物には、南の島らしさが足りないようです。

そこで、プロンプトに欲しいイメージを具体的に記述してみます。「南の島の湾曲した白い砂浜、クリアブルーの海のおだやかな波。海岸沿いに並んだヤシの木々がやさしく風に揺れる風景」と入力します。

そして、クイックモードを「OFF」にします。今回は西洋画を目指したいのですが、「ON」だと、絵画的な表現が苦手っぽいためです。早速、生成してみましょう。

穏やかな南の海岸らしい風景になりました。右側はちょっと面白い構図です。

ただ、コンテンツの種類を「自動」にしておくと、写真が生成されがちになるので、明示的に「アート」を指定します。さらに、スタイルの「効果」から、「テクニック」カテゴリの「油絵」を指定します。これで西洋画らしくなるでしょうか?

勢いのある筆づかいの、油絵らしい絵が生成されました。透明感、波の動き、光の反射など、ダイナミックに表現されています。左は、砂浜の中の水たまりが印象的です。

次は「油絵」に替えて、「テクニック」カテゴリの「パレットナイフ」を試します。

ちゃんとパレットナイフで仕上げたような油絵になりました。元気の良いヤシの木と濡れた砂浜の表現に特徴があります。嵐が過ぎた後の海岸のような雰囲気です。

続けて、南仏の風景を期待しつつ、「流行」カテゴリの「印象派」を指定してみます。

太陽の光が強く、思っていたよりも熱帯っぽい風景になりました。水面の反射の表現に、青系だけでなく、緑、白、黄、オレンジなどを、筆で細かく乗せてある辺りが印象派っぽい感じです。

いくつか効果を替えてみましたが、タッチがそれほど変わらない絵が生成されたので、「印象派」と他の効果の組み合わせを試してみることにします。下は、「印象派」に「流行」カテゴリの「キュービズム」を追加して生成した画像です。

タッチが劇的に変化しました。面で捉えたオレンジと青の対比が特徴的です。特に左は、空の雲、砕ける波、砂浜などが独特の表現です。

次は、「キュービズム」に替えて、「印象派」に「テクニック」カテゴリの「リノカット」を追加します。

黒に近い色の影や激しい波の細やかな表現が版画作品ぽいかもしれません。絵の具の痕がくっきりしています。夏の日差しを感じられます。

「印象派」をベースにあと 2 つ。下は、「テクニック」カテゴリの「スケッチ」を追加して生成したものです。

絵の具の塗りがやや薄くなりました。筆使いは直線的で、少しかすれています。プロンプトの「クリアブルーの海の色」がうまく表現され、海の色の透明感がよく出ています。

最後に、「印象派」に「テクニック」カテゴリの「水彩画」を追加してみます。

「印象派」だけ指定した際に生成された油絵と比べると、こちらの方が海の透明さを感じられます。また空の蒼さに重厚感があります。

ちなみに、「水彩画」だけで生成してみると、下のようになります。

筆使いが緻密で、上手なだけでなく、色遣いも綺麗です!全体的に明るく柔らかい色調になり、上と比べて熱帯らしさはなくなりました。アニメのワンシーンに出てきそうな雰囲気です。

今回の一枚はこれにします。「水彩画」と「印象派」の相性は良いようで、浜辺に寄せるさざ波の優しい音が聞こえてきそうです。手つかずの自然が残る南国の美しいビーチにいる気分になれます。

<番外編>

Firefly は著作権の切れた過去の作品を学習しているはずです。ということで、プロンプトの最後に著名な画家の名前を入れるとどうなるかを試してみました。効果を何も設定しないと上手くいかなかったため、以下の全ての生成画像に「テクニック」カテゴリの「油絵」を設定してあります。

最初は、「南の島の湾曲した白い砂浜、クリアブルーの海のおだやかな波と奥行きのある空。海岸沿いに並んだヤシの木々がやさしく風に揺れる風景。ゴーギャン風。」です。

色味が深く鮮やかになりました。ゴーギャンぽい画風かと言われると、やや違うかもですが。

次は、ムンクです。「南の島の湾曲した白い砂浜、クリアブルーの海のおだやかな波と奥行きのある空。海岸沿いに並んだヤシの木々がやさしく風に揺れる風景。ムンク風。」と入力して生成します。

作風に明らかな変化があります。明るい砂浜なのに見ていると不安な気持ちになるような気も。

「◯◯ 風」と追加するだけでは、はっきりと特徴が出ないようなので、作風もプロンプトに追加してみます。「南の島の湾曲した白い砂浜、クリアブルーの海のおだやかな波と奥行きのある空。海岸沿いに並んだヤシの木々がやさしく風に揺れる風景。柔らかい光と淡い色彩の重なりとぼやけた雰囲気のモネ風。」はどうでしょうか?

プロンプトに記述した特徴は出ているようですが、ちょっとプロンプトを頑張るだけで、モネの絵らしくするのは難しいようです。

次は、抽象絵画で知られるモンドリアンです。プロンプトは「南の島の湾曲した白い砂浜、クリアブルーの海のおだやかな波と奥行きのある空。海岸沿いに並んだヤシの木々がやさしく風に揺れる風景。幾何学的な直線と原色の正方形、非常にミニマルな抽象表現のモンドリアン風。」とします。

原色っぽい色が使われていたり、空に矩形のミニマルな色彩が塗り重ねられているところがモンドリアン風と言えなくもない結果になりました。

最後に、人物画のイメージが強いクリムトです。「南の島の湾曲した白い砂浜、クリアブルーの海のおだやかな波と奥行きのある空。海岸沿いに並んだヤシの木々がやさしく風に揺れる風景。金箔や華やかな模様を多用し、象徴的で官能的な雰囲気のクリムト風。」で生成します。

金箔が追加されて、他とは違う面白い絵になりました。ぱっと見クリムトとは言えないかもですが、特徴が出ていない訳ではないので、こんな使い方を覚えておくと役に立つ日が来るかも?しれません。

※設定:上記全て、モデル= Firefly Image 3、縦横比=正方形、合成=なし、スタイル【視覚的な適用量】=中、スタイル【強度】=中、効果【カラーとトーン】=なし、効果【ライト】=なし、効果【カメラアングル】=なし