ベテランほど知らずに損してるIllustratorの新常識 2025
第2回「アップデートしたい古い常識(画像の配置とリンク編)」

テキスト AI によって生成されたコンテンツは間違っている可能性があります。

長年Illustratorを使っていると、「こうやる」と覚えた操作や、「これはできない」という制限事項が、まるで常識のように固まってしまいがちです。

Illustratorは2025年3月でリリース38周年。人間でいえば“アラフォー”にあたります。年月を経て、ツールも大きく進化してきました。実際、昔はできなかったことが、今では可能になっているケースも多くあります。配置画像の取り扱いについても実はたくさんあります。

この記事では、Illustratorにおける画像の配置、リンクと埋め込み、クリッピングマスク関連で「今はできるようになっている」ことをまとめてご紹介します。

知らないまま損している操作もあるかもしれません。この記事を通して、ご自分のIllustratorの常識をアップデートしてみませんか?

古い常識(1)[配置]コマンドで実行できるのは1つのファイルのみ

[ファイル]メニューの[配置]コマンドからファイルを配置するとき、従来は1つずつしか実行できませんでした。ダイアログボックス内でshift+クリック(連続)command(Ctrl)+クリックを使って複数のファイルを選択できます。

現在、[配置]ダイアログボックスで複数のファイルを選択できるようになっています。
なお、選択した枚数と粗いプレビューが、マウスポインターの近くに表示されます。

猫, オレンジ, 座る, グレー が含まれている画像 AI によって生成されたコンテンツは間違っている可能性があります。

古い常識(2)画像の配置時に大きさを指定できない

[配置]コマンドでファイルを選択後、Illustratorのドキュメント上でドラッグすれば、配置する大きさを指定できます。

オリジナルサイズのまま配置してしまって後で拡大縮小するより、最初に調整しておいた方が作業効率がアップします。

先述の内側描画と組み合わせると最強です。

古い常識(3)クリッピングマスクを設定するにはパスが必要

配置画像を部分的に表示する場合、「クリッピングマスク=配置画像+パス」で行うのが基本です。

しかし、現在のIllustratorでは、パスをあらかじめ用意しなくてもマスクを作成できるようになっています。

配置画像を選択し、[プロパティ]パネルに表示される[マスク]ボタンをクリックすると、画像と同じ大きさの長方形パスが自動で生成され、そのままクリッピングマスクとして機能します。図形を用意する手間が省け、スピーディに作業を進めることができます。

グラフィカル ユーザー インターフェイス AI によって生成されたコンテンツは間違っている可能性があります。

さらにこの方法では、マスク作成後にクリッピングパスが選択された状態になります。バウンディングボックスをドラッグすれば、表示範囲を直感的に調整することができます。

⌘ + 7(macOS)や Ctrl + 7(Windows)のキーボードショートカットでも、同じようにマスクを作成できます。

古い常識(4)図形内に配置できない

「先割りレイアウト」など、すでに配置したいオブジェクトがある場合には、クリッピングマスクを正攻法で使うのは遠回りです。

〈内側描画モード〉機能を使うことでInDesignでフレーム内に配置するように、Illustratorでもオブジェクト内に画像を配置することができます。

次の手順で行います。

  1. 配置したいオブジェクトを選択してshift + Dキーを2回(オブジェクトの四隅に破線のカギ括弧が表示される)
  2. 画像を配置し、大きさや位置を調整
  3. 余白でダブルクリックして終了

結果としては、単なるクリップグループが作成されます。

古い常識(5)[リンク]パネルのアイコン、埋め込み画像にはアイコンが付いている

Illustratorのアップデートにより、[リンク]パネルのアイコン表示が刷新されています。

グラフィカル ユーザー インターフェイス AI によって生成されたコンテンツは間違っている可能性があります。

次のように埋め込み/リンクでアイコンの表示が逆になっています。

リンクに関する3つのステータスをアイコンで表示するようになったと考えるとよいでしょう。

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古い常識(6)入稿時にはリンクファイルを自力で探して添付する

パッケージ機能を使えば、リンクファイルを「Links」フォルダーにまとめてくれます。

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古い常識(7)[リンク]パネルでファイル名をコピーすることはできない

[リンク]パネルで画像を選択し、パネルメニューから[情報をコピー]コマンドでファイル名を拾えるようになりました。コピーした文字列(ファイル名)を使ってドライブ内でファイル検索するときに役立ちます。

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古い常識(8)再リンクしたいファイルが同じディレクトリにあってもひとつずつ解決する

[リンク]パネルの[リンクを再設定]ボタンを押すと表示されるダイアログボックス内の[このフォルダー内の見つからないリンクを検索]オプションをONにすると、そのフォルダー内のリンク切れを一挙に解決してくれます。

グラフィカル ユーザー インターフェイス, テキスト, アプリケーション, メール AI によって生成されたコンテンツは間違っている可能性があります。

次のような条件でリンク切れが発生しているとき、再リンクの作業時間が劇的に減ります。

ただし、この神機能、現時点では消えてしまっています(復活の予定はあるようです)。

古い常識(9)リンク切れの場合、×が表示される

リンクが切れてしまっても、低解像度のプレビュー画像が表示されます。レイアウトの確認は継続可能ですが、そのまま印刷したり、入稿してしまわないように要注意です。

古い常識(10)埋め込み画像はリンクに戻せない

埋め込み画像は[リンク]パネルの[埋め込みを解除]コマンドでリンク画像に変換できます。さらに、現在は複数のファイルをまとめてリンクに変換できます。

グラフィカル ユーザー インターフェイス, テキスト, アプリケーション AI によって生成されたコンテンツは間違っている可能性があります。

なお、変換されるファイル形式はPSDまたはTIFF形式のみです。

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古い常識(11)リンク画像を軽くするにはPhotoshopに戻って作業し、再配置する

Illustratorドキュメントに必要以上に大きな画像を配置していると、リンク配置であっても保存や出力に時間がかかってしまいます。この問題を解決するには、Photoshopで画像サイズを適切に修正して再配置するのがセオリーです。

今のIllustratorには、[オブジェクト]メニュー内にある[画像の切り抜き]という機能が用意されています。

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〈画像の切り抜き〉は、クリッピングマスクとは異なり、画像自体のピクセル情報を削除してトリミングを行います。マスクと異なり、切り抜いた後に非表示部分を復元することはできません。

ただし、画像の解像度を下げて保存することもできるため、ドキュメントの軽量化に役立ちます。印刷物のような高精細データには不向きですが、Web用画像や簡易的な資料作成などには適しています。

〈画像の切り抜き〉はクリップグループに対して実行できません。

リンク画像の場合には画像が埋め込まれます。

古い常識(12)リンク画像にはEPS形式を使う

「EPS形式はアドビから非推奨とされている」という話題になると、驚かれる方がいらっしゃるのですが、かれこれ15年以上前から非推奨です。

毎年アップデートされる『PDF&出力の手引き』というアドビ公式ドキュメントにも記載されています。

※従来一般的であったEPS形式は現在のワークフローには適していません。特別な場合を除き、EPS以外のファイル形式をご利用ください。

グラフィカル ユーザー インターフェイス, テキスト, アプリケーション, メール AI によって生成されたコンテンツは間違っている可能性があります。

「配置画像はEPS、テキストはアウトライン化して、ネイティブファイルで入稿」から「配置画像は埋め込み、テキストのアウトライン情報は埋め込み、PDFを1ファイルで入稿」のように大きな世代交代が(けっこう前に)起きています。

「昨日もEPSだったから明日もEPS」でなく、アップデートを続けましょう。

まとめ

今回は、Illustratorにおける画像の配置、リンクと埋め込み、クリッピングマスク関連で「今はできるようになっている」ことを紹介しました。

同じディレクトリにあるリンク切れを一括で更新する[このフォルダー内の見つからないリンクを検索]オプションがイチオシの神機能なのですが、2025年1月以降、Illustrator 2025では使えなくなってしまっています(遠くない将来に復活予定とのことです)。Illustrator 2024では使えますので、ぜひお試しください!

ご自分のIllustratorの常識をアップデートし、より快適なデザイン制作を実現しましょう!