Photoshop でテクスチャを生成して活用するデザインアイデア:現場で役立つ Adobe Firefly 第 13 回

本連載では、デザインの現場ですぐに役立つ Adobe Firefly の活用術をお届けします。第 13 回は、Adobe Photoshop の「画像生成」を使用してテクスチャを生成し、デザインに適用する方法のご紹介です。

※ この記事の内容は、8 月 19 日(火)に配信された「Photoshop 生成機能をもっと使いこなす 4 つのヒント | Firefly Camp【中級】」で、コネクリが紹介した内容に基づいています。当日の動画は以下からご覧になれます。(3 分 42 秒あたりから)

動画内で使用しているサンプル(ZIP: 90MB)はこちらからダウンロードできます。(個人学習以外の目的での利用はご遠慮ください)

テクスチャ生成のメリット

下の画像の例のように、テクスチャはデザインに様々に利用されます。生成 AI が登場して、テクスチャに使用する素材を生成できるようになりました。テクスチャを生成することには、いくつかのメリットがあります。

1 つ目は時間短縮です。以前であれば、素材サイトで探したり、場合によっては自分で撮影したりしていたものが、簡単に生成できます。

2 つ目は、色や質感をプロンプトなどを駆使して生成画像の調整ができることです。生成 AI の登場以前は、素材画像を後加工することのみが可能でした。

3 つ目は、短時間で目的に合ったテクスチャを入手できるために、幅広い場面で活用しやすくなることです。準備に伴う時間が大幅に減れば、その分クリエイティブに集中できるようになります。

金のテクスチャを生成して金文字に

それでは、実際にテクスチャを生成し、デザインに活用する例を紹介します。最初の例は、生成した金のテクスチャを文字に適用して、金文字を作成するというものです。

白い文字が背景の上に配置された状態からスタートします。

まずは、Photoshop の画像生成を使用して、金のテクスチャを生成します。ツールバー下部の画像生成ボタンを選択して、ダイアログが表示されたら、プロンプトに「明るい金、テクスチャ」と入力し、コンテンツタイプは「写真」を選びます。そして、生成ボタンを押します。(プロンプトには「テクスチャ」を付けた方が、素材感のあるものが生成される傾向があるようです。)

生成された画像の中から、テクスチャとして使用する 1 枚を選びます。生成レイヤーと文字レイヤーの間を、Mac は Opt、Windows は Alt キーを押しながらクリックすると、生成レイヤーがマスクされて、文字の形にテクスチャが適用されます。

生成したテクスチャの質感が強いため、ぼかして少し柔らかい見た目にします。生成レイヤーを選択した状態で、フィルターメニューから、ぼかし → ぼかし(ガウス)と選択します。半径に 20 を指定して OK をクリックすると、綺麗なグラデーションができました。

続いて、レイヤースタイルで加工します。文字レイヤーを選択した状態で、スタイルパネルからあらかじめ作成しておいたレイヤースタイルを追加すると、下図のようにスタイルが適用されます。このレイヤースタイルはサンプルファイルに含まれています。

ここで適用したレイヤースタイルには、立体感を追加するための「ベベルとエンボス」および「境界線」、メリハリを付けるための「境界線」、そして影を付けるための「ドロップシャドウ」が含まれています。

グランジテクスチャを使ったかすれ加工

2 つ目の例は、グランジテクスチャを使ったかすれ加工です。

ベタ塗りの背景レイヤーの上に、ステッカーのレイヤーを配置した状態からスタートします。

先の例と同様に、画像生成ダイアログを表示したら、プロンプトに「グランジテクスチャ、白黒」を入力し、コンテンツタイプに「写真」を選択します。そして、生成ボタンを押します。

生成された画像の中から 1 枚を選び、かすれ具合を調整します。まずは、レイヤーパネル下部の「調整レイヤーを新規作成」アイコンをクリックして、表示されたリストから「2 階調化」を選択します。

次に、プロパティパネルのスライダーを使って、白い領域の範囲を調整します。白い領域がかすれ具合になるため、多すぎるとステッカーの視認性が落ちてしまいます。これを適当な範囲に調整します。

続けて、選択範囲を作成します。チャンネルパネルを開き、RGB を選択します。レイヤーパネルに戻って、追加したレイヤーを非表示にしてから、ステッカーのレイヤーを選択します。

この状態で、Mac は Opt、Windows は Alt キーを押しながら、「レイヤーマスクを追加」アイコンをクリックします。これでマスクが作成され、ステッカーだけにグランジテクスチャが適用された状態になります。

その他のテクスチャの例

今回紹介した以外にも、デザインに使いやすいテクスチャはいくつもあります。下の図はその一部です。

テクスチャを生成すると、作業の時短になるだけでなく、表現の幅も広がります。ぜひ、いろいろと試してみてください。

頂いた質問への回答

Q: 例えばレンガのブロックが大きく生成されたりなど、テクスチャが意図した大きさで生成されないことがあります。テクスチャを意図した大きさで生成する方法はありますか?
A: 生成ではありませんが後から調整することは可能です。縮小してスペースを生成塗りつぶしで埋めるといった作業をよく行います。

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その他の生成クレジットに関するよくある質問は、こちらのページをご覧ください。