AI共創時代のクリエイティブ・ルネサンス | Adobe Firefly Meetup 2025 #2
2025年8月26日、アドビ東京オフィスにてAdobe Firefly Meetup #2が開催されました。企業内のユーザーが抱える生成AIに関する問題や悩みなどをカジュアルに意見交換できるエンタープライズ向けのイベントです。
今回のテーマは「AI共創時代のクリエイティブ・ルネサンス」。 AI技術の普及によってクリエイティブ業界が根本的な変革期を迎えていることを表現しています。
「AI共創時代」とは、生成AIがプロセス設計や自動化にまで拡張し、クリエイティブの常識を塗り替えている現状において、AIと人間が対立するのではなく協働してクリエイティブワークを行う新しい時代を指しています。「クリエイティブ・ルネサンス」という表現は、この技術革新が単なる効率化ツールを超えて、創造活動そのものの新たな黄金時代を切り開くことを意味しています。AI時代だからこそ、人間の感性、創造性、判断力といった「人間らしさ」がより鮮明に浮かび上がり、その価値が研ぎ澄まされていく必要があります。技術の進歩に翻弄されるのではなく、AIを味方につけて自分らしい表現を見つける道筋を探求し、人間とAIが共に創造する新しい時代の到来を宣言したものといえるでしょう。
今回は4つのセッションで構成されており、トップバッターの加藤修一 氏(アドビ株式会社 デジタルメディア事業統括本部 営業戦略本部 Creative Cloud Specialist)は、Adobe Fireflyの最新機能をデモを交えて現場課題にマッチしたユースケースで紹介し、実務での活用を促しました。私、境(Adobe Community Evangelist / Adobe Creative Educator (ACE) Innovator)は「Fireflyボード」の利用方法と、Firefly Image Model 4やFirefly Video Modelによる生成成果を他社技術と連携して品質向上させるための実践的な事例を示しました。
ゲストスピーカーである横山真之介 氏(株式会社 博報堂 クリエイティブ局 AIフィルムディレクター / プロンプトライター)は、AIが創作の民主化を進める時代において、人間が果たすべき新たな役割を深く探究し、AIを味方にする思考法や具体的なワークフローを解き明かしました。最後のセッションは、コンスタンス リカ 氏(株式会社アマナ EVOKE Chief Creative Officer / Director)と堀口高士 氏(株式会社アマナ EVOKE Chief Brand Officer / Director)が、AIがより理解しやすいプロンプト設計や組織全体で品質を維持する「マスタープロンプト」構築術について、現場で検証されたテンプレートとともに再現性の高いノウハウを深堀りして披露していただきました。
もくじ
- Adobe Firefly 最新情報とその活用シーン
- 生成AI最新動向とAdobe Fireflyのベストプラクティス
- AIは進化した。人間はどうする。
- AIと対話する技術と感性
- まとめ
Adobe Firefly 最新情報とその活用シーン
最初のセッションは、アドビの加藤修一 氏による「Adobe Firefly 最新情報とその活用シーン」です。ここではプレゼンテーションの内容を抜粋してまとめたいと思います。

冒頭では、Adobe MAX 2024のSneaksで披露された開発中の新技術に触れ、Illustratorのベータ版に実装された「ターンテーブル」機能を紹介、クリエイティブ作業の効率化につながる方向性が示されました。「ターンテーブル」は、2Dベクターイラストを3Dモデルのように回転表示できる革新的な機能です。従来は一から描き直す必要がありましたが、この機能により、AIが描かれていない部分を補完し、スライダー操作だけで360度の回転ビューを生成できます。
特にキャラクターデザインやパッケージデザインにおいて、従来の手作業を大幅に削減し、デザイナーの生産性向上に寄与する技術として注目されています。
2Dベクターイラストを3Dモデルのように回転表示できる革新的な機能
続いて、加藤氏は現代のクリエイティブチームが「コンテンツ爆発」ともいえる状況に直面していると指摘。パーソナライズされたコンテンツへの需要が高まり、膨大な量のアセット制作が必要となっているとし、ひとつの試算を提示。それによると、8つの製品を15のマーケティングチャネルで展開し、35の言語と10のバリエーションに対応、年に12回内容を更新する場合、合計で50万ものアセットが必要になるとのことです。
現代のクリエイティブチームは「コンテンツ爆発」ともいえる状況に直面している
クリエイティブチームへの期待と負荷は増大しており、80%以上のチームが業務量の増加を実感しており、多くのクリエイターがより短い納期を求められ 、品質とスピードのどちらを優先するかという難しい判断を迫られている現状を伝えました。
これまで以上にクリエイティブチームへの期待と負荷が増している
特に動画コンテンツの重要性は増す一方で、顧客の関心を引きつけ、購買行動を左右する主役となっています。消費者の64%がブランドについて知る手段として動画を好み、Webサイトのコンバージョン率を86%向上させる効果もあるとされています。その結果、95%もの企業が動画への投資を強化していると解説しました。
動画が顧客の関心と購入行動を左右する主役に
こうした爆発的な需要に応えるため、アドビは「Firefly Video Model」の新機能を発表。クリエイターが映像表現をより正確に調整できる新しいコントロール機能を提供。リファレンスとなる動画から構図やスタイルなどを参照できる動画の「構成参照」、開始フレームと終了フレームでサイズが異なる場合に微調整できる「キーフレームのクロッピング」、一貫したビジュアルデザインを適用できる「スタイルプリセット」などがあります。さらに、アップロードした動画からカメラモーション(パン、ズーム、チルト、モーションパスなど)を抽出することで、高度なカメラコントロールも実現し、より魅力的で印象的な映像を作り出すことが可能になりました。
アップロードした動画からカメラモーションを抽出することで高度なカメラコントロールを実現
その他、テキストプロンプトや音声から効果音を生成するベータ機能も搭載され、映像にサウンドエフェクトを与えることが容易になり、「テキストをアバターに変換(ベータ版)」ではプレゼンタースタイルの動画に変換でき、教育用ビデオやソーシャルメディア対応の動画化などを効率化することができると締めくくりました。
加藤 氏が作成したアバター”マイケル”がスクリーンに登場し、次の登壇者を紹介するという斬新な演出
生成AI最新動向とAdobe Fireflyのベストプラクティス
2つ目のセッションは私(境)が Adobe Community Evangelistという立場で「生成AI最新動向とAdobe Fireflyのベストプラクティス[2025年8月版]」と題して、「Fireflyボード」の活用方法と、Firefly Image Model 4やFirefly Video Modelによる生成成果を他社技術と連携して品質向上させるための方法について解説しました。
Fireflyボードによる番宣CMのプランニング
生成AIがクリエイティブプロセスにもたらす最も根源的な変化は、制作段階の効率化に留まらず、最も上流に位置する「アイデア創出(Ideation)」の段階から活用していく「AIファースト」への移行です。この思想を体現するツールとして、Fireflyボードが登場しました。
「アイデア創出(Ideation)」の段階から活用していく「AIファースト」のプランニングツール
Fireflyボードは、Fireflyウェブ版のベータ機能として提供されている革新的なプランニングツールで、その中核機能はムードボード作成、ビジュアルストーリーテリングの構築、クリエイティブなブレインストーミングなどを複数のユーザーで共同作業できる環境を提供する点にあります。
ユーザーは、テキストプロンプトを入力して新たなビジュアルを生成し、ボード上に展開することができます。これにより、アイデアを収集・整理する「プランニング」と、アイデアを具現化する「クリエイション」の境界線が曖昧になり、思考の速度とアウトプットの質が飛躍的に向上します。
Fireflyボードによって思考の速度とアウトプットの質が飛躍的に向上
Fireflyボードの具体的な活用事例として、架空のYouTubeチャンネル「ひかりの天然無双」のプロモーションCMのプロトタイピングを紹介しました。日常の姿から空想世界のヒロイン、そしてクールなファッションアイコンへと変幻自在に姿を変える主人公の多面的な魅力を描くことで、視聴者に強いインパクトを与えることを意図しています。
この企画では、Fireflyボード上で以下のような3つのシーン構成を作り出しました。
SCENE 1:
- 日常からの起動: 和室でリラックスする主人公が、決意を胸にゴーグルとバックパックを装着する。
SCENE 2:
- 空想世界のヒロイン: 背景がポップな異空間に変化し、アクティブな衣装でバブルガンを構え、クールなポーズを決める。
SCENE 3:
- 日常への帰還: ゴーグルを外すと再び和室に戻り、夢から覚めたようなアンニュイな表情を見せる。
このシーン構成は全てFireflyボード上でプランニングされています。
高品質な最終成果物を得るためには、単一のベンダーが提供するAIモデルでは不十分。Fireflyボードは、複数のモデルを組み合わせた「カクテル」のようなワークフローを実現しています。この企画では、動画生成のプロセスでGoogle Veo 3を使用しています。
SCENE 1
SCENE 2
SCENE 3
たとえ動画生成でVeo 3が使用されたとしても、プロジェクトの企画ドキュメント、参照画像、アセット管理といった「信頼できる唯一の情報源」がFireflyボード内に存在し、それらがCreative Cloudと連携しています。Fireflyボードは、競合モデルへの一時的な利用を許容しつつも、クリエイティブワークフローの始点と終点を抑えているのが特徴だと言えるでしょう。
Firefly BoardsによるCMプロトタイプ制作
https://note.com/creative_edge/n/n8d594a923e48
プロジェクトの企画ドキュメントから参照画像、アセット管理まで「信頼できる唯一の情報源」がFireflyボード内に存在する
通常のAIアップスケーリング vs 生成アップスケーリング
クリエイティブプロセスがアイデア創出から制作段階へと移行する中で、生成AIがもたらすアウトプットの品質は、プロフェッショナル利用における決定的な要素となります。
Fireflyなどの生成AIで得られる画像を最終的な制作物として利用する際、解像度や細部の画質をいかに高めるかが重要な課題だと言えます。美しく見える生成画像も、印刷や大画面表示では、サイズや精細さが足りない場合があるからです。
そこで活用したいのがアップスケーリングの技術ですが、大きく分けてAIアップスケールと生成アップスケール(Creative Upscale)の2つのアプローチがあります。
AIアップスケーリングは、元の画像を忠実に拡大する手法。ディープラーニングを用いた高性能な拡大アルゴリズムによって、エッジをシャープに補完したりノイズを低減するなど、オリジナル画像より高解像度な画像を作り出します。元画像の品質が良好であれば、大判印刷に耐えるレベルまで劣化なく拡大することも可能ですが、元画像に無いディテールは追加できないため、そもそもピンぼけだったり低解像度の素材では、画質向上にも限界があります。
Photoshopのウェブ版に実装されている生成アップスケール機能
これに対して生成アップスケーリング(Creative Upscale)は、生成AIの力で画像そのものを再生成するアプローチです。単純に画素を補間して拡大するのではなく、AIが画像の内容を解析し、「低解像度ゆえに失われている細部や質感」を一から描き直します。
たとえば、人物の顔の産毛や景観の奥行きなど、元画像では潰れて見えない微細構造も、生成AIが学習した膨大な美学知識をもとに補完・創出してくれるのです。その結果、オリジナルには存在しなかったディテールが加わり、解像度以上に印象的な高精細画像を得ることが可能です。
※パラメータの値によっては、被写体の顔が別人のように変化してしまうこともあるため、ある程度の試行錯誤は必要になります。
2025年9月現在、生成アップスケール機能はAdobe Photoshopのベータ版およびPhotoshopのウェブ版で提供されていますので、自由に試すことが可能です。
生成AIの未来
最後に、生成AIを取り巻く今後のトレンドについて展望します。生成AIの技術とツールは、ちょうどパーソナルコンピューターが1980年代に普及し、インターネットが1990年代半ばに商用化されたのと同じように、民主化の段階に入ったと考えられます。
生成AIがクリエイティブ産業にもたらす変革が、単なる技術的なアップデートではなく、ワークフロー、スキルセット、ビジネスモデル、そして倫理観の全てに及ぶ構造的なシフトであることを示しています。
民主化が進むほど差が出るのは道具ではなく方法と審美眼です。“変わり続ける世界”をこちらから統御する。その体制こそが、制作現場のスピードと品質、そしてビジネスとしての持続性を同時に引き上げることになるでしょう。
クリエイティブ業界における3回目のパラダイムシフト
AIは進化した。人間はどうする。
最初のゲストスピーカーである横山真之介氏(株式会社 博報堂 クリエイティブ局 AIフィルムディレクター / プロンプトライター)は、生成AIの進化と、それに伴う人間の役割の変化についての考察を発表 しました。
冒頭で横山氏は、発言は個人の見解であり、生成AIの活用を中心にした話だと断ったうえで、博報堂のクリエイターとして映像制作やプロンプト設計に携わってきた経歴を紹介。

博報堂初のAI関連職種の肩書きを持つ。博報堂DYグループのAI研究機関「Human-Centered AI Institute」のコンセプトムービー制作を担当。
まず、AI技術は「印刷技術が知識を」「インターネットが情報を」民主化したように、創造性を誰もが手にできるものにしたと述べています。ChatGPT-3.5の登場からわずか2年ほどの間に、AIの能力は飛躍的に向上しました。同じプロンプトで生成した画像を比較すると、初期版と最新版では雲泥の差があることが分かります。
注目すべきは、技術的制約の壁が突破されたという現状認識です。以前は技術的制約による「完成度の妥協」が必要でしたが、現在ではその必要がなくなったと指摘しています。つまり、制作物の完成度をAIの限界に責任転嫁することが難しくなり、クリエイター自身の能力が問われる時代に入ったということです。
生成AIの発展を振り返ると、その進歩の速さは驚異的
クリエイター自身の能力が問われる時代に入った
この変化を受けて、横山氏は「1億総クリエイター時代」ではなく「1億総ディレクター時代」だと表現。AI時代のディレクターに必要な能力として、クリエイティブディレクション力とAIディレクション力の2つを挙げています。
AIディレクション力の重要性は、コンピュータ科学の古い格言「Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れれば、ゴミしか出てこない)」で説明されます。質の悪い指示を出せば美しくても無価値な「キレイなゴミ」しか生成されません。見た目が美しくても企画意図や価値が伴わなければ“きれいなゴミ”になる、という痛烈なメッセージを示されています。
見た目が美しくても企画意図や価値が伴わなければ、それは“きれいなゴミ”なのかもしれない
これからの時代に求められるのは「AIスキルを鍛える」ことと、本質的な「クリエイティビティを鍛える」ことの両方です 。クリエイティビティとは、本質的な課題を見つける「問う力」、数多の生成物から最良のものを見極める「選ぶ力」、そしてそれをさらに洗練させる「磨く力」から構成されると述べられています。
AI時代のクリエイティビティとは、「問う力」「選ぶ力」「磨く力」から構成される
AIは人間の創造性に取って代わるものではなく、人間のクリエイティビティを拡張するための強力なパートナー。技術の進歩に翻弄されるのではなく、AIを味方につけ、人間ならではの感性や価値創造を追求することが、これからのクリエイターの進むべき道であると強調。技術の進歩を前提に、価値の責任を人間側が取り戻す姿勢を明確に示しています。
HCAI Concept Movie
博報堂DYグループのAI研究所である「Human Centered AI Institute(HCAI Institute)」のコンセプトムービー。実写シーンと生成されたシーンの区別がつかない高度な映像技術に注目してほしい
AIと対話する技術と感性
本イベントのトリを飾るセッションは、コンスタンス リカ 氏(株式会社アマナ EVOKE Chief Creative Officer / Director)と堀口高士 氏(株式会社アマナ EVOKE Chief Brand Officer / Director)による「AIと対話する技術と感性」です。プロンプトアーキテクチャの設計思想から、チーム全体で品質を担保するマスタープロンプトの構築手法まで、現場で検証済みの実践的ノウハウを披露していただきました。

まず、実務の文脈として、アサヒグループジャパン株式会社の「LIKE MILK」のパッケージデザインやパナソニック株式会社の事例を紹介し、AIがブランド開発やコミュニケーション設計の現場で既に使われていることを示します。LIKE MILKプロジェクトでは「シズル」「親しみ」「洗練」「キャラクター」といった感性軸を設定し、ブランドの一貫したトーンでのイメージの量産を実現。パナソニックのプロジェクトでは、ブランドの「らしさ」をAIが理解できる構造に翻訳することを支援。抽象的表現を、AIが処理可能な「感情+視覚」キーワードに変換するプロセスが必要になりますが、単なる翻訳ではなく、意味の解釈と思考のフィルターを通した変換作業といえます。
アサヒグループジャパンの「LIKE MILK」のパッケージデザイン/ビジュアル
実際に使ってきたAIツール群も領域別に整理され、調査・発想・執筆・コーディング、ビジュアル制作、動画・音声など、ワークフロー全体でAIを組み合わせて活用されていることが分かります。
コンスタンス リカ 氏が現在使用しているAIツール群
次に、AIによるビジュアル生成において、なぜ単なる画像参照ではなく、テキストによる「プロンプト」が重要なのかが述べられています。
プロンプト主導のアプローチには3つの利点があります。まず診断可能性として、設計されたプロンプトの方が原因の切り分けが速やかに行えます。次に創造的偶発性として、プロンプトはモデルの解釈余地を残すため、意図せぬ創造的な発見(セレンディピティ)が生まれやすくなります。最後に移植性として、モデル非依存のプロンプト構造を持っていれば、次世代のツールにも素早く対応することができます。
なぜ参照ではなくテキストによる「プロンプト」が重要なのか
さらに、一貫した品質のビジュアルを効率的に制作するための「プロンプトアーキテクチャ」という設計思想が提案されています。これは、雰囲気(Atmosphere)やスタイル(Style)といった固定したい要素と、被写体(Subject)などの変更したい要素をあらかじめ分離してプロンプトを設計する考え方です。
このモジュール型のアプローチにより、個人の感覚に頼った曖昧な指示から脱却し、誰が使ってもブランドイメージに沿った画像を安定して大量生産することが可能になるわけです。
一貫した品質のビジュアルを効率的に制作するための「プロンプトアーキテクチャ」
クリエイティブの現場では「方向性が決まっていない」「言語化が難しい」「英語が苦手」といった課題も存在します。この問題に対し、抽象的な日本語のインプットを、AIが理解しやすい具体的かつ客観的な英語のプロンプトに自動で変換する「マスタープロンプト」という仕組みを紹介。このアプローチにより、一つの要素変更で多様な画像を一貫したトーンで大量生産することが可能になります。これは現代の制作現場に求められるスケーラビリティを実現する有効な手法です。
抽象的な日本語をAIが理解しやすい具体的な英語のプロンプトに変換する「マスタープロンプト」
AIをスマートに活用しつつも、人間の創造性を鍛えることが重要。正確な指示書としての「プロンプトエンジニアリング」だけでなく、ニュアンスや余白を設計し、学びを促す設計書としての「プロンプトアーキテクチャ」が、これからのAIとの共創時代には不可欠だと言えるでしょう。
最後は、堀口高士氏に、「AIが理解できるブランドらしさの抽出」「AIが扱える構造に翻訳し可視化する」「AIで評価し改善点の提案を受ける」を実現するビジュアルコンサルティングサービスについて紹介していただきました。
書籍「 between us: 私たちはAIと、創造性を問い直す」
書籍:between us: 私たちはAIと、創造性を問い直す
アマナのクリエイティブチームEVOKEが、生成AIの進化に呼応して取り組んできた実践の記録。
AIと対話する技術と感性
https://note.com/constance_rika/n/n5252d46a6e09

まとめ
ゲストスピーカーである両氏の議論は、奇しくも同じ地平を見据えていました。それは、AIを単なる効率化のツールとしてではなく、人間の創造性を拡張し、新たな表現を生み出すための強力なパートナーとして捉える視点です。
横山真之介氏は、AIによって技術的制約から解放された今、「1億総ディレクター時代」が到来し、クリエイターには本質的な課題を見抜く「問う力」、生成物から最良のものを見極める「選ぶ力」、そしてそれを洗練させる「磨く力」がより一層求められると述べました。AIに責任を転嫁できない時代だからこそ、人間のクリエイティビティそのものが問われるのです。
一方、コンスタンス リカ氏は、そのクリエイティビティを組織的に、かつ安定的に発揮するための具体的な方法論を示しました。ブランドの世界観を維持しつつ、多様なビジュアルを量産する「プロンプトアーキテクチャ」や、言語化の壁を越える「マスタープロンプト」は、まさに制作現場が求めるスケーラビリティと品質担保を両立させる実践的なアプローチです。
AI技術の進化は、私たちを単純作業から解放し、より高次の創造的な思考へと誘います。重要なのは、技術に振り回されるのではなく、その特性を深く理解し、的確な指示を与え、最終的な価値の責任を人間が引き受けるという姿勢です。
まさに「AI共創時代のクリエイティブ・ルネサンス」の幕開けです。
AIという名の新たな絵筆を手にした私たちは、自らの感性や創造性を研ぎ澄ませ、これまで想像し得なかったような新しい価値を生み出していくことになるでしょう。
その可能性の探求は、まだ始まったばかりです。
Adobe Firefly Meetup 2025 #2の様子