デザイン経験のない私たちがPhotoshopやIllustratorの講師になった理由|講師インタビュー:株式会社Too

株式会社Tooは、1919年に画材専門店「いづみや」からスタートし、現在はコンピューター関連機器、ソフトウェア、クラウドサービスなどの販売・導入・運用支援・保守を手掛ける総合商社で、長年にわたり多くのデザイナーやクリエイターの創作活動を支えてきました。また、PhotoshopやIllustratorなどのアドビ製品を基礎から学べるスクール「Desi(デジ)」の運営も行っています。

今回は、そのDesiで講師を務めながら、クリエイティブカレッジの講師としても活躍されている前田 勝規さん、るいさん、そいさんのお三方に登場していただきました。

デザイン未経験から、いきなり講師に転身

クリエイティブカレッジでは唯一、法人企業として講師陣に参加されているTooさん。「Adobe Illustratorコース|基礎編」を担当する るいさん、「Adobe Photoshopコース|基礎編」を担当する そいさん に、講師になるまでの経緯を、それぞれ聞いてみました。

るいさん:「私は特にデザインの学校とかを出ているわけではなく、一般の4年制大学を卒業して、ブライダルサービス業の会社で接客の仕事をしていました。そこで数年働いた後に転職を考え、Tooに見学に来た際に、ちょうどDesiの講習をやっていたんです。それを見て『私も講師として教えてみたい』という気持ちが芽生え、転職を決めました。PhotoshopやIllustratorなど、それまで全く触ったことがなかったので、一から勉強して、前田をはじめとする先輩方にもサポートしてもらい、実際に教室で教えるようになりました」

そいさん:「私も一般の4年制大学から新卒でTooに入社しました。最初の1年目は営業職として配属されたのですが、キャリアチェンジのタイミングで、人事部から『Desiで講師をやってみない?』と声をかけてもらい、もともと人に何かを伝えるために資料や台本などを作るのが好きだったので、やってみようかなと思い立ち、今のポジションに就きました。私の場合もアドビ製品は全く触ったことがなかったのですが、よく趣味でイラストを描いたりしていたので、Photoshopにもすぐ馴染むことができました。もちろん先輩方の熱心な指導があったおかげです」

デザイン経験ゼロだからこそ、初心者に寄り添える

Desiの講座や企業向けセミナーなどで、アドビ製品の機能と使い方を余すことなく伝えているベテラン講師の前田さん。クリエイティブカレッジではお二人の講座作りのサポートをするほか、オフィスアワーの講師も務めています。前田さんが考える自身の講座哲学とは何でしょう。

前田さん:「僕もデザインの経験が全くない状態でこの世界に飛び込んだわけですが、長年講師を続けてきて思ったのが、特に初心者向けの講座は 経験のなかった人が講師をやるほうが実はいい んじゃないかと。たとえば初心者の人と同じ目線で、自分も疑問に思っていたことを教えられる。これが経験豊富な講師だと当たり前のこととして流してしまいがちなんですね。でも受ける側としてはそこが一番大事だったりするんです。だからDesiでは、経験のない人にゼロから勉強してもらい、そこでつまずいたりした部分をしっかり講座で教えてもらいたい。そう考えています」

私(校長)自身、クリエイティブカレッジを立ち上げる前に、実際にDesiの講座を受講しました。初心者の視点に立った丁寧な教え方に感銘を受け、「こういうふうに教えてもらえたら、初めての人でも安心して学べる」と強く感じたのを覚えています。その体験がきっかけとなり、カレッジを始める際には、ぜひTooさんに講師として参加していただきたいと思い、お声がけしました。

どんな層にも刺さるスクール

Desiとクリエイティブカレッジ、2つのスクールの講師を手掛ける皆さんにとって、クリエイティブカレッジの印象はどんなものなのでしょうか。

るいさん:「まずクリエイティブカレッジは、受講生の層がすごく広いことに驚きました。初心者の方がほとんどなのかと思っていたら、何十年もIllustratorを使ってきたという方もいらして、そういったベテラン層の方から『ずっと独学でやってきたので、今回のクリエイティブカレッジですごく学び直しになりました』という声をいただいたりして、どんな層にも刺さるスクール なんだなと改めて感じました。2年に1回くらいのタイミングでリニューアルもあり、学び終わりがないというか、何回も学び直しができる ところも魅力なんだと思いました」

そいさん:「一番に感じたのが、一方通行じゃない というところですね。通常のオンデマンド講座のように発信者が一方的に伝えて終わり、ではなくて、講師が受講生からの質問をすぐ聞けるし、受講生は講師からのフィードバックをすぐ聞ける、そのスピード感がすごく特徴的だと思います。たまにオフィスアワーのコメント欄を見ていると、受講生の質問に他の受講生が答えていたりして、受講生間でもすごくいい関係性が生まれている のも、他の講座にはないところですね」

1つでも多くの機能を紹介したい

PhotoshopもIllustratorも非常にたくさんの機能を備え、その使い方もさまざまです。どんなところに重点を置かれて講座を作られているのでしょうか?

るいさん:「Illustratorコースの場合、最初から最後まで受けていただくと1つのチラシが完成するという、成果物を作る上でのステップを意識して講座を作りました。その中で使う機能を紹介していくのですが、あまり使わないなと思っていた機能も、実は受講生たちはよく使う機能で多くの質問が寄せられることがありました。そのため、特定の機能に絞らず、網羅的に解説しようと思いました。第9期からのリニューアルの時は、そうした受講生のフィードバックをできる限り反映させて講座作りに取り組みました」

前田さん:「PhotoshopコースはIllustratorコースとはちょっと違って、全講座を通して1つの成果物を作るというのではなく、写真の修復、色調補正、合成といったテーマごとにサンプルを用意し、それぞれの機能の使い方を教えていくという構成になっています。Photoshopって、色調補正ひとつとっても色々なやり方があるじゃないですか。なので、使う人の選択肢が広がるように、1つでも多くの機能を紹介できるように心掛けています」

突然やってくる製品のアップデート

るいさんは第1期から、そいさんは第9期から講師を務められていますが、苦労した思い出もたくさんあったかと思います。特に大変だったエピソードはなんでしょう。

るいさん:「Illustratorに限らず、アドビ製品はアップデートが早いので、去年の講座で使っていたバージョンのUIが今のバージョンでは違うものになっていることも多く、その対応が大変ですね。そういった時は、テキストだけ修正してオフィスアワーなどでフォローしたりしています。第9期のリニューアルの時は、動画を収録したすぐ後にアップデートがあって、時間のない中で急いで再収録したという経験もあります」

そいさん:「Photoshopって使い方に答えがないんですね。それぞれ使う人の感覚でこうするこうしないとかあると思うんですけど、そこの明確な答えがない分、どこまで教えればいいのか、自分自身でもどこまで学べばいいのか、すごく悩んだこともありました。前田が言ったように、今は1つでも多くの使い方を教えられるよう、取り組んでいます」

デザインはどこにでもある、誰にでもできる

デザインの経験がなかった皆さんが、今ではデザインに囲まれた中で仕事をしています。皆さんが考える「デザイン」とは何でしょう?

るいさん:「デザインって、身の回りの至るところにあるんですよね。ポスターやチラシもそうですが、仕事の中で作成する資料も立派なデザインだと思うんです。人に何かを伝えるために作る、そこには情報量だけでなく、デザインの知識次第で、どれだけ魅力的に伝わるのかが決まる んじゃないでしょうか」

そいさん:「言葉やテキストでは簡単に伝わらないものが、デザインに落とし込むことで格段に伝わりやすくなる、それがデザインの力であり魅力ではないでしょうか。カレッジ受講生の課題作品を見ていて、その人個人の考えや世界観が色であったり構図であったりに反映されたりしていると、すごく楽しくなってきますよね」

前田さん:「デザインとかクリエイティブって、経験ではないんですよね。デザイナーさんたちが何かを作るためにIllustratorやPhotoshopを使うというのが普通なんですけど、我々みたいにデザインの経験がない者が IllustratorやPhotoshopを触っているうちに何か作ってみたくなる。おそらく逆のルートなんだけれども、それが面白さでもありますね」

学びの場がある、つながりの場がある

最後に、これからクリエイティブカレッジを受講してみたいと思っている方に向けて、お三方から次のようなメッセージをいただきました。

るいさん:「本当に 全くツールを触ったことない人でも、身構えずにとりあえずやってみようっていう心意気だけで始められる講座 だと思います。また決して一人だけで頑張るわけじゃなく、他のたくさんの受講生たちと一緒に課題に取り組んだり、作品や情報を共有し合ったりする機会や場もありますので、積極的に参加していただくことで、より強い達成感を得ることができると思います」

そいさん:「講座ではPhotoshopの機能の使い方をわかりやすくお伝えしているのと、プラスアルファで『こうするともっと良くなる』というちょっとしたコツなども散りばめています。初心者の方はもちろん、長く使っているけど実は使いこなせていなかったというベテランの方にとっても、とても身になる内容 になっていると思います。あと、講座の中で課題をいろいろと設定していますので、自分がどこまでできるかという指標にもなりますし、自分の成長度合いも測れると思います」

前田さん:「今二人が言ったことに尽きますが、講座だけでなく、オフィスアワーがあったり、コミュニティがあったり、入校した後にずっと継続できる仕組みがある というのは、講師側の私からみても受けてみたいなと思います。まだ受けていないPremiere Proコース、ぜひ申し込んでみます」

これまでデザインの経験がないけれど、クリエイティブカレッジで学べるだろうか?そう考えていらっしゃる方々にとっては、背中を押してもらえるお話だったのではないでしょうか。クリエイティブカレッジには同じ思いをもった仲間がたくさんいます。ぜひ一緒に学んでみませんか。

前田 勝規

株式会社Too ソリューションサービス部、Too Training Center Desi(デジ)講師。前職の印刷会社での現場経験、Tooでの多数のDTPシステム構築などサポート実績を元に、セミナーを聞いたお客様がすぐに自分の環境で試してみたくなるような内容をお届けできるように日々研鑽中。声の大きさには自信あり。

るい

株式会社Too ソリューションサービス部、 Too Training Center Desi(デジ)講師。Illustrator・Photoshop・InDesignなどDTPアプリを中心に講習を実施。2023年以降はDesiの講習を動画で視聴できるサービスを管理。知識を一方的にお伝えするのではなく「さっそく明日から使いたい!」と思っていただけるような実務的で納得感のある講習づくりを意識。

そい

株式会社Too ソリューションサービス部、 Too Training Center Desi(デジ)講師。Illustrator・Photoshop・Adobe ExpressなどDTPアプリを中心に講師業務に携わる。自社のマーケティング活動にも従事し、バナーやハンドブックの作成などのデザイン業務も担当。初めてアドビ製品に触れる方にもわかりやすいように丁寧な講習の組み立てを意識。

株式会社Too

1919年創業、デザイン・クリエイティブ分野における機器や用品の開発から販売、保守、技術サポートを手掛ける総合商社。アドビ製品の使い方を学べるスクール「Desi」の運営も手掛ける。アドビの国内販売代理店。

web:https://www.too.com/adobe/

YouTube:https://www.youtube.com/@too_corp

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ここで、Too様からの告知があります。Too主催のイベント「design surf seminar 2025」が11/7に開催されます。テクノロジーの波を乗りこなしながらも、デザインの在り方、表現の仕方を最前線で試行錯誤されている方々にご登壇いただき、トライアンドエラーによって生み出された数々の貴重なノウハウやエピソード、創造の原動力などをお話しいただきます。Tooの前田さん、クリエイティブカレッジ教頭の岩本も登壇します。参加は無料。詳細・お申し込みはこちらから