アバターによるユニークな講座の裏に隠された意外な素顔とは?|講師インタビュー:イラレ職人 コロ
素顔は知られていなくても、メガネをかけた犬のアバターでおなじみの「イラレ職人 コロ」さん。その名のとおり、Illustratorのチュートリアルを中心に、SNSでの情報発信や書籍執筆などを行なっています。主な活動として、1〜2分の超短チュートリアル動画『本日のイラレ』(Xのフォロワーは12万人!)の投稿や、『イラレのスゴ技』『はじめてイラレ』など4冊の著書を手掛けています。
今回は、クリエイターとして、そして「Adobe Illustratorコース|基礎編」の講師として、普段滅多に見せないコロさんの素顔に迫ります。

自分が学んだことや気づいたことを他の人にも伝えたい
もともとは制作会社でグラフィックデザイナーとして仕事をしていたコロさん。Illustratorの情報発信者に転身したきっかけは何だったのでしょう。
「Illustratorは学生の時に本やネットの情報を見て独学で学び、友人に操作を教える機会も多くありました。その後、制作会社に入ってからも、仕事の効率化のために使い方の研究を続けていましたね。
そうして得た知識や自分が気づいたことなどをもっとたくさんの人に伝えたい と思うようになり、仕事の合間にIllustratorの使い方や自分なりのテクニックをSNSに投稿するようになったんです。
最初は趣味程度にやっていたんですが、それがだんだん仕事になり始めました。本業との両立が難しくなってきたところで独立を決意し、今では情報発信を生業として活動 しています。」
クリエイティブとは、社会と関わっていくためのコミュニケーション手段
これまで多くのクリエイターの活動を支援するための情報発信を行なってきたコロさんですが、ご自身は「クリエイティブ」をどのように捉えているのでしょう。
「僕にとっての クリエイティブとは、他人とのコミュニケーション手段 ですね。僕こう見えて、口下手で人付き合いが苦手なんですよ。だからこそ、僕の作ったものが役に立ったとか面白かったとか、そういって喜んでもらうために、社会と関わっていくために発信しているっていうところが一番大きいですね。
自己満足じゃ意味がなくて、みんなに喜んでもらうものを作る、伝える、それが僕の喜びであってクリエイティブなのかな と思います。」
クリエイティブカレッジの講座では明るくハキハキと話すコロさんが、実は人前で話すのが苦手だったというのは意外でした。
「だからこのアバターも、僕にとってのコミュニケーション手段の一つなんです。人前で楽しくわかりやすく伝えるための手段。これがなかったら、きっとここまで来れなかったでしょうね。」
Adobe MAX Japanのセッションに登壇したコロさんは、なんと素顔を披露
Illustratorは専門家だけのものじゃない
多種多様な受講生であふれるクリエイティブカレッジ
「オンラインスクールっていうと、プロになるとか、副業で稼ぐみたいなイメージが正直、僕も最初あったんですが、クリエイティブカレッジに関しては、受講生は目標も目的も、熱量や経歴も本当にバリエーション豊か なんですよね。若い方もいれば、お子さんがいらっしゃる方もいて、定年退職された方もいらっしゃいます。
だから、Illustratorは専門家だけのものじゃなくて、誰でも学んでいい、誰でも使っていいものになっているんだな って、すごく感じますね。」
伝えたい思いがはっきりしている作品は目を引く
コロさんはこれまで「Illustratorコース|基礎編」の卒業課題制作「実践ワークショップ」を担当し、毎回たくさんの卒業課題作品を見てきました。その中でコロさんの印象に残った作品とは、いったいどういったものですか。
「上手い下手というよりは、『これを伝えたい』という思いがすごくはっきりしている人の作品は、たとえ技術的につたなくても目を引きますね。
ほどほどに良いデザインって山ほどあるなかで、目を引くものは何かってなったら、伝えようとする熱意だったり、工夫だったりが見てとれる作品というのはやっぱり強いなって、毎回見てて感じますね。」

ライブ配信講座が一転して人生相談トークに?
クリエイティブカレッジには通常の講座以外にも「ゲストトーク」というライブ配信があり、毎回ゲストを呼んでクリエイティブに関する知識やノウハウなどを紹介しています。コロさんにも度々ゲストとして登場していただいていますが、そのなかで何やら面白いエピソードがあったようです。
「 第1回目のゲストトークに出たときに、前半はアプリの使い方を解説していたんですが、話の流れで僕の人生経験というか、こんな悩みがあったとき、こんなふうに乗り越えた、みたいな話をしたんですね。そしたら配信を見ている人から『私はこんなことがありました、コロさんどうしたらいいですか?』というようなコメントがチャットでたくさん来て、僕もついそれらを拾っちゃって、そのあと半分くらい人生相談トークになっちゃったことがありました。
こんなふうに 講師と受講生との距離が近いのも、クリエイティブカレッジの楽しいとこ ろかなって思います。」
僕らは一生勉強中。できることを毎日1つずつ増やせばいい
最後に、これからクリエイティブカレッジを受講してみたいと思っている方、興味はあるけど受講をためらっている方に向けて、コロさんからメッセージをいただきました。
「『Illustratorって難しいソフト』というイメージを持っている人はたくさんいると思うんですよ。実際に機能がものすごく多くて、『これ全部覚えなければならないの』ってなると挫折してしまうこともあります。だから、最初から全部を完璧にやろうとしないことが大事。プロでも3割使えれば十分だっていう話もあるくらいですから。
一度にすべて覚えるのではなくて、できることが昨日より一つ増えれば上出来、というくらいの感じで進んでいくのが、Illustratorを続けるコツなんじゃないかなと思います。僕らは一生勉強中なんだよっていうことを伝えたいですね。」
クリエイティブカレッジ 第9期からは「Illustratorコース|基礎編」の講座内容がリニューアルし、コロさんの担当する「実践ワークショップ」も新しい卒業課題のテーマへ変更となりました。
「第8期からは『実践 印刷デザイン編』というコースもできたので、そこにシームレスにつなげていけるよう、受講生の皆さんたちにはより実践的な課題制作に取り組んでもらおうと思っています。ぜひ楽しみにしてください。」

イラレ職人 コロ
Adobe Illustratorチュートリアル専門のクリエイター。主なSNS投稿は『本日のイラレ』、著書は『イラレのスゴ技(技術評論社)』『はじめてイラレ(インプレス)』など4冊。Adobe Community Evangelist(2022〜2025)。京都芸術大学 通信教育部 イラストレーションコースにて講義・講評を担当。
YouTube|https://www.youtube.com/@irare