アドビのエージェント型AIへの取り組み: あなたのために働き、あなたの好きなアプリで活躍するAIアシスタント

今日私たちが目にしている最大の流れのひとつは、対話型インターフェイスの台頭です。これは、ユーザーが達成したいタスクを言葉で説明すると生成AIがそれを具現化してくれるというものです。私たちは、このアプローチは、近いうちに創造性を何倍にも増幅する強力な手段となると考えています。

生成AIは、人々の想像力を広げ、新しいアイデアを探求したり、画像を生成したり、手早く編集したり、さまざまなタスクを効率化する手助けをしてきました。しかしコンテンツ制作は、単に見た目が美しいものを作るだけではありません。トレンドの発見、シナリオ作成、編集、コラボレーション、公開、結果分析といった作業、そしてそれらの繰り返しで構成されるコンテンツサイクル全体をうまく回していくことも含まれます。

そこで活躍するのが、私たちがAdobe Creative Cloudのアプリで開発を進めている対話型インターフェイスです。エージェント型AIは、単に画像生成や編集支援を単発で処理するだけではなく、創造プロセス全体をつなぎ、ユーザーの目標を理解し、タスク間で文脈を引き継ぎながら、アイデアから最終成果物までの作り込みを迅速に支援します。そして何より、常にユーザー自身が主導権を握ったかたちで創造を進められるよう、設計されています。

ユーザーの制作スタイルに適応する対話型インターフェイス

アドビでは、創造性が生まれる場所、つまり既存のアドビのアプリ内で機能するエージェント型インターフェイスを開発しています。私たちは数十年にわたり、人々の創造プロセスを深く理解してきました。この知見に基づいて、ユーザー自身の言葉で指示できる手軽さと、直接的な操作による精密なコントロールを融合させ、対話と制作作業を自由に行き来できる体験を提供します。

これは、汎用的な提案しかできない従来のチャットボットとは異なります。アドビのAIアシスタントは、タスク間の文脈を理解しながら、ユーザーの創作意図を把握して次のニーズを予測します。さらに、ユーザーが公開した情報から学習し、制作スタイルに適応して進化していきます。まるで有能なチームメイトのように、創作活動の集中を妨げるような作業を引き受けることで、ユーザーは創造的なコントロールを保ちながら、より多くの成果を上げることが可能になります。

そして、アドビのクリエイティブアプリ内の対話型インターフェイスを通じて、AIアシスタントと会話しながら、コンテンツライブラリの整理、プリセットの一括適用、アセットの公開といった時間のかかる作業を任せることもできます。エージェントとの連携のタイミングや方法は、ユーザー自身が決めることができます。自然な会話で操作し、精密な操作が必要な場面ではシームレスに手動編集に切り替えることができます。このように、体験そのものがハイブリッドであり、自然な会話と精密なコントロールをシームレスに融合しています。

対話型エージェントの実現

今年の初め、私たちはこの未来に向けた第一歩をプレビューAcrobat StudioとPDF Spacesにおける AIアシスタントの機能を拡張しました。 これにより複雑な文書の要約作成、インサイトの発見、検証可能な引用元の表示などができるようになりました。

そしてAdobe MAXでは次の段階として、日々使用するクリエイティブアプリにエージェント型AIによる対話型インターフェイスを深く統合し、より素晴らしいコンテンツ制作を実現します。

Adobe Express AIアシスタント(本日より英語版ベータのウェイティングリストへの登録開始):スキルレベルを問わず、ユーザーが内容を説明するだけで、独自のブランドやスタイルを反映した、テンプレートを超える洗練されたコンテンツを作成できます。他の編集ツールとは異なり、このAIアシスタントではコンテンツのあらゆる側面を再生成し、個々の要素やアセットのレイヤーに変更を加えることができます。気に入った部分を失うことなく、部分的な変更や微調整を進められます。詳細はこちら

Adobe Photoshop AIアシスタント(Adobe Photoshop web版でプライベートベータのウェイティングリストへの登録開始):クリエイティブプロフェッショナルはAdobe Photoshop内で直接AIアシスタントと対話し、複数のクリエイティブ作業を連続して実行したり、パーソナライズされた提案を受けたり、複雑なワークフローをガイドしてもらうことが可能になります。エージェントとの対話と、明るさやコントラストのスライダー移動といった手動ツールをシームレスに切り替えることで、精密な調整を行うこともできます。

しかし、それだけではありません。私たちは、複数のAIアシスタントがアプリ内でシームレスに連携した時にこそ、本当の魔法が生まれると信じています。そしてその実現に向けて私たちが取り組んでいるのがAdobe Firefly向けの「Adobe Project Moonlight」です。

Adobe Project Moonlightは、複数のアドビアプリや他社製のツールを横断的に連携できるパーソナルなオーケストレーション的なAIアシスタントです。各アプリのAIアシスタントは、例えば画像編集ならAdobe Photoshop、動画ならAdobe Premiere、写真ならAdobe Lightroomと、それぞれの領域の専門家として機能します。一方、Adobe Project Moonlightはオーケストラの指揮者のように機能し、すべてのAIアシスタントを調和させます。必要なことをAdobe Project Moonlightに伝えるだけで、複数のAIアシスタントがひとつのクリエイティブチームとして連携し、あなたのビジョンの実現を支援します。

Adobe Project Moonlightを使うことで得られるメリットは以下の通りです:

Adobe MAXでは、アイデア出しと創作に焦点を当てたAdobe Project Moonlightをプライベートベータ版として初めて発表します。これは、クリエイターたちがエージェント型AIとのコラボレーションに最も期待している創造プロセスの最も初期段階です。

これはまだ始まりに過ぎません。私たちは、アドビのクリエイティブエコシステム全体にわたって、このアプローチを拡大し近日中に、さらに多くの機能を追加する予定です。クリエイターの皆さまには、ぜひベータ版にご参加いただき、一緒にAdobe Project Moonlightの未来を形作っていきましょう。皆さまからのフィードバックが重要な役割を果たします。ぜひウェイティングリストにご登録ください。

アドビのアプリの今後を見据えて

創造性は1つの場所だけで生まれるものではなく、ユーザーが作業する環境もさまざまである事を理解しています。だからこそ私たちは、人気サードパーティアプリにアドビの対話型エクスペリエンスの提供に取り組んでいます。これにより、ユーザーはどんな環境でもアドビのクリエイティブ機能を利用できるようになります。

Adobe Expressアカウントを連携させたサードアプリ上で、イベントのフライヤーなど目を引くコンテンツをデザイン、カスタマイズし、自然言語で個人的なタッチを加えることを想像してみてください。デザインがほぼ完成したら、Adobe Expressアプリにシームレスに移行してさらに磨きをかけ、あらゆるSNSチャネルに予約投稿することができます。これは、洗練されたクリエイティブワークフローをあらゆる環境でより直感的かつアクセスしやすいものにするという、私たちの取り組みの一端です。

この記事は2025年10月28日(米国時間)に公開されたOur view on Agentic AI: AI assistants that work for you, in your favorite appsの抄訳です。