Adobe Firefly Camp Special 2025 レポート:最新のクリエイティブ生成 AI 情報が幅広く紹介されたアドビセッション

次々に新機能が登場するアドビのクリエイター向け生成 AI の最新情報をキャッチアップしたい人に向けて Adobe Firefly Camp Special 2025 が 11 月 26 日に開催されました。この記事は、生成 AI 関連の最新情報がわかりやすくまとめて紹介された「アドビセッション」の概要をお伝えします。

「アドビセッション」はアーカイブ動画が公開されています。実際のデモも含めて確認したい方は以下の動画を是非ご覧ください。より深く生成 AI の活用方法を理解できると思います。

3 つのモデル

最初に紹介されたのは、アドビが提供する以下の 3 つのモデルです。

  1. アドビモデル
    • 商用利用に適した学習データとクリエイティブな活用を最優先で開発されたアドビ独自のモデル
    • 画像、ベクター、動画、音声など、様々なクリエイティブ領域向けのモデルが公開されている
  2. パートナーモデル
    • Creative Cloud 製品からアドビ以外の生成 AI 技術を利用可能
    • 各社の最先端のモデルの得意分野を、アドビのアカウントさえあれば使い分けられる
  3. ユーザーモデル
    • 数十枚の画像を学習することで、特定のスタイルを学習したモデル
    • ブランディングに沿ったデザイン生成や画像のバリエーション展開に一貫性を提供

アドビモデルからは、先日の Adobe MAX で公開されたばかりの Firefly Image 5(プレビュー)の作例 が紹介されました。Image 5 では高品質の画像生成だけでなく、プロンプトによる画像の追加編集が可能です。下の 2 枚の画像は、正面を向いた人物画像を元に、顔を横向きにして眼鏡をかけた状態の画像を生成した例です。従来、生成 AI を使って同一人物のバリエーション生成することは困難でしたが、プロンプトを使った編集機能はこれを容易にします。

パートナーモデルは、もっといろいろな選択肢が欲しいというクリエイターの声に応える取り組みです。得意分野が異なる各社の生成 AI を、Createve Cloud 製品から直接利用できるため、クリエイターは使いたいモデルがあれば手軽に切り替えられます。下の表は、現在利用可能なパートナーモデルの一覧です。

Adobe Firefly ボード

Adobe Firefly ボードは、アイデア出しとデザインの初期プロセスを支援する新しいサービスです。Firefly ボードは、アイデアの視覚化を支援し、それを無限のキャンバス上に展開できるため、利用者は短時間でたくさんのアイデアを検討できます。キャンバスをメンバーと共有すれば、ブレインストーミングやコミュニケーションの場としても利用できます。

ステージで紹介されたデモは、架空のプレミアムビールを宣伝するためのアセット制作プロジェクトでした。下の画像は、Firefly ボード上で、黒いアルミ缶のモックアップに画像を合成して生成された商品パッケージのイメージです。

Firefly ボードには「プリセット」という機能があります。これは、Firefly ボードから利用できる様々なパートナーモデルの得意な分野を上手に活用するためのレシピになっており、事前に個々の生成 AI を試して特徴を把握していなくても、目的に適したモデルを使用できるように用意されたものです。

たとえば、プリセットから「製品写真」を選択すると、製品写真の生成が得意なモデルが使用されます。下は、Firefly ボード上で生成された商品画像の一覧です。

このようにして Firefly ボードとパートナーモデルを組み合わせれば、圧倒的な量のアイデアを素早く検証できて、さらにチームの合意形成も加速させられます。これがアドビの提案する新しいクリエイティブのプランニングの形です。

Adobe Photoshop

続けて Adobe Photoshop の生成 AI 関連の機能が紹介されました。紹介された項目は以下の通りです。

ここでは、これらの中から新機能「調和」のデモの内容を紹介します。まず、下の画像のように、背景画像の上に商品画像を配置した状態から始まりました。この状態から 2 つの画像を馴染ませていきます。

商品画像のレイヤーを選択し、レイヤーメニューから「調和」を選びます。すると、AI が背景画像から光源を読み取って、製品画像に同じライティングを適用します。そのため、あたかも背景写真の撮影現場に商品が置かれていたかのように見える画像になります。

上の画像を見ると、影もちゃんと生成されていることが分かります。このように、従来であれば時間もスキルも必要だった作業が「調和」を使えば簡単にできます。

Photoshop のワークスペースからパートナーモデルが利用できることもデモされました。下の画像は、パートナーモデルを使用して、缶の背景を置き換えた例です。

Adobe Photoshop web 版

まだ開発中の機能ですが、Adobe Photoshop web 版の AI アシスタントが紹介されました。AI と対話的に画像編集を行える機能です。ステージでは、「右側から朝の陽光が差し込む」と伝えることで最初の画像から 2 つ目の画像を生成しました。

その他にも、レイヤー名がわかりやくなるように整えて欲しいとお願いできることが紹介されました。下の画像をよく見ると、上の画像とからレイヤー名が変わっていることが分かります。

FAdobe irefly web 版の動画編集

開発中の機能はもう一つ紹介されました。こちらはビデオコンテの制作に活躍してくれそうな Firefly web 版の動画編集機能です。動画素材や音声素材をタイムラインに並べて一つの動画にしたり、不要な部分を切り取ったりできます。

素材が足りなければ、フレームを指定して、そこから新たな動画を生成する機能もあります。下の画像のように、フレームを選択すると、画面右側に動画生成パネルが表示されます。

Adobe Illustrator

Adobe Illustrator からは以下の機能が紹介されました。

ターンテーブルは、Illustrator デスクトップ版(Beta)で利用できる最新の機能です。この日のステージでは、クッキーとクリスマスケーキを題材にしたデモが紹介されました。下の画像のように、複雑なイラストも回転させることができるため、角度を変えたイラストを簡単に作成できます。

実際には、下の画像のように 50 を超えるバリエーションを生成しています。

Adobe Premiere

Adobe Premiere のデモで紹介された生成 AI 機能は、オブジェクトマスク(ベータ版)です。被写体をあっという間に選択できる機能で、フレーム間のトラッキングもかなり正確に速く行えるため、映像から人物だけ抜きだすといった作業が容易にできます。

デモではさらに、「Film Impact」を使用して、人物やテキストにエフェクトを追加したり、背景をモノクロにする様子が紹介されました。こうした機能を活用すれば、イメージしているビデオコンテをあっという間につくることができます。

さらに、サウンドトラックを生成する機能もデモされました。動画を書き出して、Firefly web 版の「サウンドトラックを生成」に読み込むと、AI がその動画に合いそうな曲のイメージを提案してくれます。一度に 4 曲生成されるので、好きなものを選んで、動画と一緒にダウンロードすることもできますし、曲だけダウンロードして Premiere に取り込む使い方も可能です。

おわりに

アドビセッションでは、生成 AI 機能を中心に 50 分にわたって様々なクリエイター向けの新機能が紹介されました。ただ、これらは先日 Adobe MAX で発表された機能の一部にすぎません。生成 AI 機能だけでなく、新機能の追加、既存機能の改良、パフォーマンス改善などが多数行われていますので、ぜひアップデートして試しみてください。

Firefly を利用するには生成クレジットが必要です。現在お持ちの生成クレジットを確認する方法は、こちらをご覧ください。

その他の生成クレジットに関するよくある質問は、こちらのページをご覧ください。