Illustratorベータ版に新搭載|美しい日本語組版のための新プリセット「ベタ組み」「ツメ組み」の使いかた

アドビでは現在、Adobe Illustratorでよりスムーズに美しい文字組みを実現するための機能強化に取り組んでいます。この記事では、Illustrator ベータ版(30.4 #187)に先行搭載された文字組みプリセット「ベタ組み」「ツメ組み」の使いかたを紹介します。

この記事で紹介しているIllustrator ベータ版は、Adobe Creative Cloudのデスクトップアプリケーションから、どなたでもインストールできます。今後、搭載される予定の機能をいち早く体験いただき、Xで #文字組はベタ組み派 または #文字組はツメ組み派 と、どちらかお好みのプリセットでハッシュタグをつけて、今回のプリセットのフィードバックを投稿してください。抽選でアドビグッズプレゼント致します。ぜひともフィードバックをお寄せください。

ベータ版ダウンロード

Illustrator ベータ版をインストールするには、Adobe Creative Cloudのデスクトップアプリで「アプリ」→「ベータ版アプリ」を選び、「Illustrator(Beta)」の「インストール」ボタンをクリックします

新プリセット「ベタ組み」と「ツメ組み」

今回、あらたに搭載されたプリセット「ベタ組み」「ツメ組み」は、Illustratorの「文字組みアキ量設定」として追加されるものです。
「文字組みアキ量設定」は、Illustratorで美しい文字組みを実現するためには欠かすことができない重要な機能で、おもに文字同士の間隔(アキ)や行頭・行末の約物処理をコントロールする役割を担っています。
この機能を活用することで、一定のルールに基づいた文字組みをスムーズに実現できるようになります。

「文字組みアキ量設定」は、「段落」パネルの「文字組み」の項目から指定します。現在のIllustratorには、5つの文字組みアキ量設定がプリセットされていますが、ベータ版では「ベタ組み」「ツメ組み」の2つが追加されています。

文字組設定リスト

新プリセット「ベタ組み」の使いかた

ベタ組みとは、正方形を基準に作られた日本語の文字を、隙間なく並べる組みかたです。文字が均等に並ぶため、一定のリズムで読み進めることができ、本文などの長い文章に適しています。Illustratorでベタ組みを行なう際には、テキストボックスのサイズを[文字サイズ×文字数]に設定することで、理想的な体裁にすることができます。

ベタ組み・サンプル

新プリセット「ベタ組み」は、その名の通り、ベタ組みをきれいに組み上げるために、あらたに開発された設定です。この設定をテキストに反映するには、「文字」「段落」の各パネルを以下のように設定します。

1.「文字」パネルのカーニングを「和文等幅」にする
「文字」パネルにある「カーニング」を「和文等幅」にします。

ベタ組み・文字

2.「段落」パネルの「文字組み」を「ベタ組み」にする
「段落」パネルにある「文字組み」のリストから「ベタ組み」を選択します。あわせて「禁則処理」を「弱い禁則 v2」(後述)に設定すると、より理想的な文字の並びになります(任意設定)。

ベタ組み・段落

3.「ベタ組み」の適用結果を確認する
組み上がりを確認します。新プリセット「ベタ組み」を適用すると、おもに英数字と日本語の間隔が調整されます。

ベタ組み・設定前後

新プリセット「ツメ組み」の使いかた

「ツメ組み」は字幅にあわせて文字をつめて並べる組みかたで、文字間の余白を減らすことで、行にまとまりを持たせることができます。タイトルやリードなど比較的大きな文字サイズの文章に適しているほか、視覚的な一体感を出したい場合や、狭い領域や行長に多くの文字を収容したい場合に適しています。

ツメ組み・サンプル

新プリセット「ツメ組み」は、文字同士の不要な間隔を減らし、ツメ組み時のテキストをきれいに組み上げるために、あらたに開発された設定です。この設定を理想的な体裁でテキストに反映するには、「文字」「OpenType」「段落」の各パネルを以下のように設定します。

1.「文字」パネルのカーニングを「メトリクス」にする
「文字」パネルにある「カーニング」をデフォルトの「和文等幅」から「メトリクス」に変更します。

ツメ組み・文字

2.「OpenType」パネルの「プロポーショナルメトリクス」をオンにする
「OpenType」パネルにある「プロポーショナルメトリクス」のチェックボックスをオンにします。

ツメ組み・OpenType

3.「段落」パネルの「文字組み」を「ツメ組み」にする
「段落」パネルにある「文字組み」のリストから、「ツメ組み」を選択します。あわせて「禁則処理」を「弱い禁則 v2」(後述)に設定すると、より理想的な文字の並びになります(任意設定)。

ツメ組み・段落

4.「ツメ組み」の適用結果を確認する
組み上がりを確認します。新プリセット「ツメ組み」を適用すると、おもに英数字と日本語の間隔、約物前後のアキが調整されます。

ツメ組み・設定前後

参考…「メトリクス」にしても体裁が変わらないときは

フォントによっては、「和文等幅」を「メトリクス」に変えても体裁が変わらない場合や「プロポーショナルメトリクス」がグレーアウトする場合があります。このときはカーニングを「オプティカル」に選択したうえで、文字組みを「ツメ組み」に設定します(なお、「オプティカル」カーニングは、もともと欧文書体向けの機能のため、日本語の縦組みでは機能しません)。

ツメ組み・文字パネル

技術情報|文字組み関連の機能強化について

現在提供中のIllustrator ベータ版では、この記事で紹介した2つの新プリセットを追加したほか、「文字組み」「禁則処理」の機能強化も行なわれています。

新機能 1:「文字組みアキ量設定」に「優先順位」フィールドを追加
文字組みアキ量設定による調整が複数重なる場合に、どの文字間の調整を優先させるかをコントロールできる 「優先順位」 フィールドが追加されました。

新機能 2:「文字組みアキ量設定」で英字・数字を個別にコントロール
これまで一括で扱われていた和文/欧文のアキを、「半角英字」と「半角数字」でそれぞれ個別に調整できるようになりました。

文字組みアキ量設定ダイアログ・変更点

「優先順位」が加わった新しい「文字組みアキ量設定」ダイアログ

文字組みアキ量設定ダイアログ・変更点

これまで統合されていた[半角英数字:非約物]のアキ量は、英字と数字で個別に設定できるようになります

この2つのオプションが加わったことで、Illustrator上でより繊細なテキストコントロールが可能になりました。「ベタ組み」「ツメ組み」はこうした新機能をベースに開発されたもので、英数字が頻出する現代のテキストをより美しく、よりスムーズに組むことができるようになっています。

文字組み・変更点

上は「行末約物半角」、下は「ベタ組み」。数字の前後はベタに、英字の前後は8分(12.5%)アキに調整されています

文字組み・変更点

上は「行末約物半角」、下は「ツメ組み」。英数字の前後はベタに、約物前後のアキもタイトに調整されています

新機能 3:禁則プリセット「弱い禁則 v2」
このほか、従来の「弱い禁則」に以下の文字を加えた新しい禁則プリセット「弱い禁則_v2」が追加されています。

一部の括弧類が行頭禁則、行末規則に追加されているほか、2字並べて使用するダーシが分離禁止(分割禁止)に加えられています。
これまで「弱い禁則」を使っていたテキストに対しては、「弱い禁則 v2」を使うことで、より効率的な組版が行なえます。

新しい禁則プリセット

アドビでは現在、この機能を製品版に実装するための開発を続けています。さらに簡単に、美しい日本語組版ができるようになったIllustratorをお試しいただき、Xで #文字組はベタ組み派 または #文字組はツメ組み派 と、どちらかお好みのプリセットでハッシュタグをつけて、今回のプリセットのフィードバックを投稿してください。抽選でアドビのグッズプレゼント致します。ぜひともフィードバックをお寄せください。

#1473e6
この記事は、ベータ版のIllustrator(30.4 #187)の情報をもとに作成しています。UI、動作の仕様等については変更になることがあります。また、新しい文字組み・禁則プリセットを使用したファイルを共有する場合、30.4 #187以降のバージョンで使用することを推奨します。それ以前のバージョンでは設定が正しく反映されない場合があります