街は文字でできている。「フォントさんぽ2026 御徒町編」イベントレポート

2026年4月11日(土)、御徒町エリアにて「フォントさんぽ2026 御徒町編」が開催されましたのでご紹介します。

本イベントは、“フォントの日(4月10日)”にあわせて実施された、街にあふれる文字に目を向け、その魅力を体験するフォトウォークイベントです。御徒町〜秋葉原の街を舞台に、フォトウォークと展示・交流の場「フォントさんぽステーション」が展開され、フォントを“体験する”1日となりました。

今回で2回目となった本イベントは、Adobe Community Expertsである、酒井優さん(Gurutai)とモリケントさん(MORYARTI株式会社)共催によるもので、フォントを“知識”として学ぶのではなく、日常の中で体感するものとして捉え直す——そのきっかけを提供しています。

フォントさんぽ2026 御徒町編
https://fontowalk-okachimachi2026.peatix.com/

フォントという視点で、街を再発見。体験を拡張する「フォントさんぽステーション」

今回のイベントの中心となったのが、御徒町と秋葉原の間にある高架下の施設に設置された「フォントさんぽステーション」です。

御徒町〜秋葉原エリアは、古くからの商店文化と現代的なカルチャーが交差する街。手書きの看板や歴史を感じさせるロゴ、そしてポップな販促物や洗練されたサインが混在しています。そうした豊かな“文字の密度”を持つこの街だからこそ、フォントをテーマにした体験がより鮮やかに立ち上がります。

「フォントさんぽステーション」では、文字・デザイン・街をテーマに、多数の協賛企業やクリエイターによるブースが展開されました。参加者は出展者との対話やワークショップを通じて、フォントを“見るもの”から“体験するもの”へと深めていきました。

本イベントは、ジェイアール東日本都市開発が運営する「2k540 AKI-OKA ARTISAN」を会場の中心に据え、地域の企業や店舗と連携しながら展開されました。台東区のリノベーションホテルや、蔵前のコーヒー豆販売店、蒸留所など、地元に根ざしたプレイヤーが関わることで、イベント全体が“街とともにつくられる体験”として成立していました。

街で見つけた“文字”を楽しむ写真展示コーナー

会場となった「2k540 AKI-OKA ARTISAN」

地元の店舗も出展し、来場者との交流が生まれたブース

フォントを “体験するもの”へと変化させることは、街への理解や愛着、すなわち“地元愛”へとつながる体験でもありました。SNSで街の文字を共有するオンラインキャンペーン「フォントさんぽビフォー」や、クリエイターの解説とともに街を巡る「フォントさんぽツアー」を通じ、参加者は街を“読む”ように歩き、その背景にある文化への理解を深めていました。

「見る」「歩く」「語る」「共有する」。

この体験の積み重ねによって、「フォントさんぽ」は街を読み解き、フォントを再発見する体験へと昇華されました。ここでの気づきは、参加者それぞれの中に新しい視点として蓄積され、次のクリエイティブへとつながっていくはずです。

クリエイターのガイドとともに街を巡る「フォントさんぽツアー」

活版印刷を体験できる、東洋美術学校タイポグラフィ研究サークルのブース

出展者と参加者の対話が広がる各ブース

“街×文字×人”がつなぐ、新しい価値をつくる

本イベントを主催する、Adobe Community Experts 酒井優 氏〈左〉、Adobe Community Experts モリケント 氏〈右〉

本イベントを主催するAdobe Community Expertsの酒井さんは、活動の原点について「街歩きの中で気になる文字を撮影する、個人的な習慣だった」と振り返ります。その楽しさを誰かと共有したいという純粋な想いが、現在のイベントという形へ発展していきました。

「フォントさんぽは、デザイナー向けのイベントではありますが、誰でも参加できる“開かれた体験”にしたいと考えています。街に出て、文字をきっかけに新しい視点を得ることで、これまで交わらなかった人同士のつながりも生まれていきます。このフォーマットは、街ごとの個性を活かしながら、他の地域でも展開できる可能性があると思っています」と、酒井さんは語ります。

モリケント 氏が手がけた本イベントのキービジュアル

本イベントの象徴的なキービジュアルを手がけたのは、共催者のモリケントさん。単に目を引くためだけではなく、風景の中で文字を自然と“気づかれる”存在として設計されました。

「コンセプトは“街を題材にしたデザイン”です。看板のような表現にすることで、街の風景に文字が自然と溶け込むことを意識しました。“感じる”と“読む”の間を行き来するような体験をつくりたかったんです」

風景の一部として感じられ、よく見ると読める。このアプローチは、街を歩きながら文字を発見していく「フォントさんぽ」の体験そのものと重なります。
イベントをつくる視点と、ビジュアルで伝える視点。 それぞれが重なり合うことで、“街 × 文字 × 人”をつなぐ体験が形づくられています。

会場内のフォトスポットで撮影を楽しむ参加者

Adobe Community Expertsが支える、コミュニティの広がり

今回のようなイベントを支えているのは、Adobe Community Expertsの存在です。
Adobe Community Expertsは、クリエイターや教育者、コンテンツ制作者などが、自身の経験や知識を共有しながら、ユーザー同士をつなぎ、刺激し合うコミュニティプログラムです。こうした活動の特徴は、それぞれのエキスパートが、自身の関心や地域を起点に、自発的に活動している点にあります。

アドビで本プログラムを担当する、コミュニティ エンゲージメント マネージャーの齊藤葉子は、Adobe Community Expertsの活動は、必ずしも製品の使い方を起点としたものだけではないと話します。

「今回のように、地域や文化と結びついた活動も含めて、クリエイティブの広がりとしてとても重要だと考えています。エキスパートの皆さんが自発的に活動し、その知識や経験をコミュニティや地域に還元していく。その動きを、アドビとしてしっかりと支えていきたいと思っています。こうした取り組みが、都市部だけでなく、さまざまな地域へと広がっていくことにも期待しています」

アドビは、クリエイティブツールを提供するだけでなく、人と人、地域と表現がつながることで生まれる新しい価値を支援することを、重要な役割と考えています。
そしてその活動は、「フォントさんぽ」のようなイベントを通じて、“街”というリアルな場へと還元されています。

アドビ コミュニティ エキスパート プログラム 日本で展開開始
https://blog.adobe.com/jp/publish/2022/12/23/jp-discover-new-adobe-community-experts-program

フォントが彩るクリエイティブの可能性。創造を次のステージへ

今回のイベントを通じて改めて感じられたのは、フォントとの出会いや気づきが、クリエイティブの発想そのものにポジティブな影響を与えるということです。

街の中で見つけた文字や、参加者同士の会話の中で生まれた視点。そうした体験は、単なる発見にとどまらず、それぞれの中に新しい“引き出し”として蓄積されていきます。

日常の中で得たインスピレーションを、制作へ。フォントを“知る”から、“使いこなす”へ。今回のような体験をきっかけに、文字表現の可能性はさらに豊かに広がっていくことでしょう。

イベントをつくり上げた関係者による記念撮影

「フォントさんぽ」は、文字を愛する“文字っ子”たちが集い、地域を歩き、デザインを通じて街を再発見するコミュニティイベントです。その体験は、単なるイベントにとどまらず、日常の見方そのものを変えるきっかけとなります。

あなたの街にも、まだ気づいていない“フォントの魅力”が隠れているはずです。
ぜひ一度、視点を変えて街を歩いてみてください。

フォントを活用することで、あなたのクリエイティブはより自由に、そして豊かになるはずです。