プロダンスチーム CyberAgent Legitがダンス映像制作に挑戦!<STEP7 スタビライズダンスの作り方>

CyberAgent Legitのメンバーが、ダンス動画の撮影からPremiere ProとAfter Effectsを使った編集まで、映像制作に挑戦する様子をお届けします!

「かっこいい映像を作れるようになる」ために、撮影の心得や編集のノウハウを講師の方々から教わり、実践していきます。

ひと味加えたダンス動画を作りたい方はもちろん、映像制作初心者の方も、一緒に挑戦してみませんか?

テキスト
自動的に生成された説明

この連載では、CyberAgent Legitのメンバーが、ダンス動画の撮影からPremiere ProとAfter Effectsを使った編集まで、かっこいい映像制作に挑戦する様子をお届けします!

ひと味加えたダンス動画を作りたい方はもちろん、映像制作初心者の方も、一緒に挑戦してみませんか?

<連載内容>

Step1 完成イメージが大事!コツをおさえて撮影してみよう

Step2 Premiere Proでダンス映像を編集してみよう 〜基礎編〜

Step3 Premiere Proでダンス映像を編集してみよう 〜応用編〜

Step4 After Effectsでダンス映像にアニメーションを入れてみよう 〜カメラワーク作成編〜

Step5 After Effectsでダンス映像にアニメーションを入れてみよう 〜分身編〜

Step6 After Effectsでダンス映像にアニメーションを入れてみよう 〜フラットアニメーション合成編〜

Step7 After Effectsでダンス映像をバシッと止めるスタビライズダンスの作り方 →今回はここ!

Step7 After Effectsでダンス映像をバシッと止めるスタビライズダンスの作り方

今回のテーマ「After Effectsで、スタビライズダンスを作ってみよう!」

Step7では、Kotoriさん(CyberAgent Legit)のダンス動画を使い、以下のようなダンス動画を作っていきます!

(完成動画)
https://vimeo.com/562600928

前回に引き続き、After EffectsのワークショップやYouTubeのチュートリアル動画でもおなじみ、 ダストマンさんが講師をつとめます!

テキスト, 手紙
自動的に生成された説明

映像制作に挑戦していただくのは、第一生命D. LEAGUEで活躍されているプロダンスチームCyberAgent Legitのみなさん!

※TRACEYさん、enaさん、BBOY SHOSEIさんはお仕事のため、今回のワークショップは欠席です。

今回はKotoriさんの映像を編集して、スタビライズダンス動画を作っていきたいと思います。

それでは編集ワークショップの様子を見ていきましょう!

1.MochaAEでトラッキングをしよう!

テレビの上にあるモニターとノートパソコン
低い精度で自動的に生成された説明

ワークショップに参加するCyberAgent Legitのメンバーと講師のダストマンさん

ダストマンさん:
前回はシェイプレイヤーを使った動画を作りましたが、今回はトラッキングのやり方を教えていきたいなと思って、スタビライズダンスを選びました!

それでは始めていきましょう!

使用する素材をAfterEffectsに読み込んだ状態にしておきます。今回のワークショップでは、Kotoriさんのストリートダンス動画を使っていきます。

(Kotoriさんダンス動画)
https://vimeo.com/560686040

スタビライズ動画を作るには、トラッキングする対象が画面の中心にいる素材を使うのが最適です!

まずはじめに、ショートカットキーで新規コンポジションを作ります。

Windows : Ctrl + N
Mac : ⌘ + N

コンポジションに名前をつけて、以下の通りに設定します。

幅 : 1920
高さ: 1080
フレームレート : 30
デュレーション : 11秒

グラフィカル ユーザー インターフェイス, アプリケーション
自動的に生成された説明

この時点では、コンポジションの幅と高さは使用する素材に合わせて設定します。

今回はコンポジションの中に素材を入れる前に、Kotoriさんのダンス動画の中から使用する部分の切り出しを行います。

プロジェクトパネル内のKotoriさんの動画をダブルクリックして、[ フッテージパネル ] を開きます。

コンピューターのスクリーンショット
中程度の精度で自動的に生成された説明

動画後半、Kotoriさんが画面の右側へ向かうあたりに再生ヘッドを配置し、[ インポイントを現在の時間に設定 ] をクリック。使う部分を切り出します。

動画のインポイントを設定できたら、先ほど作成したコンポジションの中にKotoriさんのダンス動画を入れます。

コンピューターのスクリーンショット
自動的に生成された説明

次に、[ エフェクト&プリセット ] パネルで [ MochaAE ] を検索して、コンポジションパネルまで MochaAE をドラッグします。

コンピューターのスクリーンショット
自動的に生成された説明

すると、[ エフェクトコントロール ] パネルに表示されるので、[ MOCHA ]のマークをクリックします。

MOCHAを開いた時に、以下のような登録画面などが出てきますが、閉じてしまって構いません。 グラフィカル ユーザー インターフェイス, Web サイト
自動的に生成された説明

左上のツールから、[ Create X-Spline Layer Tool ] を選択し、Kotoriさんの顔を囲んでいきます。囲む範囲が大きい方がトラッキングしやすいのでオススメです。

グラフィカル ユーザー インターフェイス, Teams
自動的に生成された説明

最後に右クリック、もしくはタッチパネルを二本指タップすると、囲い込みが終わります。

囲い込みが終わったら、[ Track motion options ] を [ Trans ] のみオンの状態にします。

次に、[ Track ] の再生ボタンを押して、トラッキングを始めていきます。

グラフィカル ユーザー インターフェイス, アプリケーション
自動的に生成された説明

再生してトラッキングを進めていくと、途中で囲みが顔からずれてしまうので、ずれてしまったところで停止し、囲みの中心に顔がくるよう、調節してください。

囲みの位置を修正したら、再度トラッキングの再生ボタンを押してトラッキングを再開します。顔が隠れたりすると囲みのズレが生まれるので、細かく囲みをずらしてください。

途中、エラー画面が出てくることもありますが、閉じてトラッキングを進めてください。

手動で手直しをしながら、最後までトラッキングができたら、画面下部の再生ヘッドを最初に戻し、トラッキングの再生ボタンをクリックして通しで確認します。

手動で記録したポイントを目安に再度トラッキングされるので、より確実に動きを追うことができます。

確認できたらMOCHAの画面の左上、[ Save the Project ] をクリックして、トラッキングを保存します。保存できたらMOCHAの画面を閉じてください。

コンピューターのスクリーンショット
低い精度で自動的に生成された説明

万が一、保存できていない状態でMOCHAの画面を閉じようとすると、保存を選択する画面が出てきます。忘れずに保存しましょう。 グラフィカル ユーザー インターフェイス, Web サイト
自動的に生成された説明

画面が最初のワークスペースに戻ったら、エフェクトコントロールパネルで [ Tracking Data ] を開きます。

モニター画面に映る男性
低い精度で自動的に生成された説明

[ Tracking Data ] を開き、[ Create Track Data ] をクリックすると、先ほどMOCHAの画面で作ったレイヤーを選択できるので、[ Layer 1 ] をクリックします。

グラフィカル ユーザー インターフェイス, アプリケーション
自動的に生成された説明

[ Invert ] の欄にチェックを入れると、画面がトラッキングと逆の動きをするので、スタビライズできるように設定できます。

[ Export Option ] を [ Transform ] に設定し、[ Layer Export To ] の項目では、Kotoriさんのダンス素材を選びます。

コンピューターのスクリーンショット
自動的に生成された説明

最後に [ Apply Export ] をクリックして動画を再生すると、Kotoriさんの顔をトラッキングした映像がコンポジションパネルに映し出されます。

人, ノートパソコン, 座る, コンピュータ が含まれている画像
自動的に生成された説明

協力して編集を進めるKAI→さんと地獄さん

2.ヌルオブジェクトで画面を固定しよう!

ノートパソコンで作業をしている人
自動的に生成された説明

トラッキングを進めるTAKUMIさん

ダストマンさん:
先ほど皆さんのトラッキングの様子をみたところ、MOCHAの調整によって動きが異なっているので、ヌルオブジェクトを使っていきたいと思います!

タイムラインパネルの空いている部分で右クリックをし、[ 新規 ] > [ ヌルオブジェクト ] を選択します。もしくは画面上部の [ レイヤー ] メニューから [ ヌルオブジェクト ]  をクリックして作ることもできます。

グラフィカル ユーザー インターフェイス, Web サイト
自動的に生成された説明

この時点でヌルオブジェクトは赤い四角で表現されていますが、書き出した時には見えなくなるレイヤーです。

デスクトップコンピューターのスクリーンショット
中程度の精度で自動的に生成された説明

赤い四角はKotoriさんの顔を囲むように配置します。

タイムラインパネルで、Kotoriさんのダンス動画の [ 親とリンク ] のグルグルマークを [ ヌル 1 ] レイヤーへドラッグして、親子関係を作ります。

この親子関係を作ることで、Kotoriさんのダンス動画はヌルオブジェクトに追従して動くようになります。

次に、コンポジションパネルの下部にある [ グリッドとガイドのオプション ] から [ タイトル / アクションセーフ ] を選択し、ガイドを表示させます。

テレビの画面のスクリーンショット
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このグリッドで画面の中心がわかるので、先ほどのヌルオブジェクトをドラッグしながらKotoriさんの全身が中心に来るように移動させます。

再生すると、常にKotoriさんの顔が中心にあるようなスタビライズの処理ができます。

ただ、この時点ではヌルオブジェクトがKotoriさんの顔からずれてしまうところもあります。

そこで、ずれ始めた秒数のところで、[ ヌル1] の [ トランスフォーム ] を開いて [ 位置 ] のストップウォッチをオンにします。

コンピューターの画面のスクリーンショット
自動的に生成された説明

以下の動画のように、ヌルオブジェクトのずれをドラッグして直して、キーフレームを打っていきましょう。

ここまでの作業で、Kotoriさんの顔を中心に素材が動く映像を作ることができました。

3.新規コンポジションで動画を仕上げよう!

デスクの上のラップトップコンピューターを使っている男性
中程度の精度で自動的に生成された説明

真剣な表情で編集するKotoriさんとSORAさん

画面の大きさが素材のダンス動画と同じままなので、新しい正方形のコンポジションでサイズを整えていきます。

以下のショートカットキーで、コンポジションをもう一つ作ってください。

Windows : Ctrl + N
Mac : ⌘ + N

コンポジションに名前をつけて、それぞれの値を以下のように設定します。

幅 : 1000
高さ: 1000
フレームレート : 30
デュレーション : 11秒

グラフィカル ユーザー インターフェイス, アプリケーション
自動的に生成された説明

設定が完了したら、プロジェクトパネルの中にある、最初に作成したコンポジション(スタビライズダンス1)を、新しく作成した正方形のコンポジション(スタビライズダンス2)に入れます。

コンピューターのスクリーンショット
自動的に生成された説明

このまま再生すると画面の端が見えてしまうので、極力見えないような工夫として、スタビライズダンスの [ トランスフォーム ] を開き、スケールの値を拡大します。Kotoriさんの上半身が納まるのを目安に調整してください。

コンピューターのスクリーンショット
自動的に生成された説明

ただ、スケールを拡大しても、ダンスの最後でKotoriさんが画面の端に出てしまうので、ここは調整が必要になります。

タイムラインパネルの [ スタビライズダンス ] レイヤーをダブルクリックすると、最初に作業をしていたコンポジションパネルが開かれます。

タイムラインパネルからKotoriさんのダンス動画の [トランスフォーム ] を開くと、トラッキングを [ Invert ] で反転させた時に設定されたキーフレームの列があります。

テレビの画面のスクリーンショット
中程度の精度で自動的に生成された説明

再生ヘッドをKotoriさんが画面の端へ向かい始める時間に合わせ、その秒数から11秒までの [ 位置 ] の列にあるキーフレームを選択し、削除します。

コンピューターのスクリーンショット
中程度の精度で自動的に生成された説明

この方法でも画面端の黒い部分が見えてしまう場合は、親子関係を結んだヌルオブジェクトを動かす方法を使ってみましょう。

先ほどと同様に、Kotoriさんが画面外へ向かい始めるタイミングで [ ヌル1] の [ 位置 ] にキーフレームを打ち、画面外へ出たタイミングで、Kotoriさんの反対方向へヌルオブジェクトをドラッグさせます。

調整が終わったら、[ スタビライズダンス2 ] のコンポジションに戻ります。

すると、黒い画面端が映らないスタビライズダンス動画が完成します!

ノートパソコンの画面を見ている人たち
自動的に生成された説明

今回のワークショップに参加したCyberAgent Legitメンバー

YouaTubeダストマンTipsにて、今回のチュートリアル動画も公開されておりますので、ぜひ合わせてチェックしてみてください。

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4.今回の感想と全ワークショップを通して…

ノートパソコン, 人, コンピュータ, 屋内 が含まれている画像
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KAI→さん:
スタビライズダンスを作るにあたって、これまで自分が時間をかけてやっていた方法とは違う、MochaAEを使った裏技を知れたので、自分のダンス素材を使ってもう一度やってみたいと思います!

ヌルオブジェクトの存在も知ってはいましたが、活用方法がわからなかったので、今回使い方を学べて良かったです。

(全ワークショップを通して)

最初のSASAKIさんの撮影講座で照明の大切さと奥深さを知り、自分用の小型ライトやモニターまで買ってしまいました(笑)。

これまで映像に触れる時間は少なかったのですが、このワークショップを通じて、映像に向き合う時間が増えました。YouTubeの関連動画が編集のチュートリアルだらけになるほどです!

これからもたくさんアドビ製品を使いこなしていきたいです。

赤ちゃんを抱いている女の子
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Kotoriさん:
今日のワークショップは難しすぎて、何回もミスと修正を繰り返して、挫けそうになりました。でも、最後に完成した映像を見た時は嬉しかったし、達成感があって楽しかったです!

(全ワークショップを通して)

自分のダンスをカメラで撮ったことさえなかったので、撮影の方法を教えてもらったり、編集の仕方もいろいろ学べて、こんな機会をいただけたことがとても嬉しいです。もっと活用できるようになれたらいいなと思います!

帽子を被っている男性
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SORAさん:
3回目となる今回のAfter Effectsのワークショップを通して、やっと自分でも使っていけそうだなと自信を持てました。いろいろなエフェクトがあることも知ったので、これからも触っていって自分に合ったものを見つけていきたいです。そして、編集したものをリールなどで発信していけたらなと思います。

編集すれば見栄えも良くなって多くの人に見てもらえるので、自分のプラスアルファになるので頑張りたいです!

(全ワークショップを通して)

カメラやスタビライザーを使って撮ったり、Premiere ProやAfter Effectsで編集することで、映像の作り手の大変さを実感できました。また、自分の想像したものを形にできるツールは、ダンスとの相性もすごく良いと思いました。

TAKUMIさん:
今回、パソコンがフリーズしてしまい最後までできませんでしたが、ワークショップでやった内容はInstagramなどでダンス動画を発信するのに相性が良いなと思ったので、作り方を知れて良かったです。

(全ワークショップを通して)

まだ確実に技術が身についたわけではありませんが、撮影から編集までの講座で学んだ技術だけでもいろいろな映像が作れそうだなと思いました!この経験を活用して、スキルアップしていきたいです。

地獄さん:
パソコンのスペックが足りなくて途中で終わってしまいましたが、他のメンバーが作った映像を観てすごいと思いました。初めて知ったヌルオブジェクトも使いこなしてみたいので、ダストマンさんのチュートリアルを観ながらもう一度作ってみみます。

(全ワークショップを通して)

今まで撮影や編集をしてもらう立場だったので、実際どんなことをしているのか深く考えてきませんでした。でも、Adobeのソフトを初めて触ったりと未体験のことばかりで、映像を作る面白さを学べたことが新鮮で嬉しかったです。

大変な部分もありますが、映像を作る達成感と、作品をみてくれた人からの反響が嬉しかったので、今後SNSでダンスを発信する際に生かしていきたいなと思いました!

まとめ

全7回のブログ記事を通して、CyberAgent Legitのメンバーが映像制作に挑戦する様子をお届けしました。未経験者や初心者でも、撮影や編集の基礎とコツや裏技を学べば、かっこいい映像を作ることができます。

これまでの記事で紹介した方法やチュートリアル動画を参考に、映像制作を楽しんでいただけると嬉しいです。