ファーストアメリカンズミュージアムでさらなる迫力を放つbatwin + robinの没入型ストーリーテリング

オリジンズシアターは、ポーニー族、カド族、ユチ族、オトー・ミズーリア族の創世の物語を特集しています。上の2つの画像には、Raven Halfmoon氏(カドネーション)、Robin “Bihku” Williams氏(カド、ウィチタ)、Randy Kemp氏とRykelle Kemp氏(チョクトー/ムスコギ‐クリーク/ユチ/ナバホ)による見事なアートワークが含まれています。

美しくまとめられたプロジェクションマッピングの展示、示唆に富む3Dのインスタレーション、あるいは迫力に満ちたライトショーなど、テクノロジーはエクスペリエンスデザインの境界を押し広げる手助けをしています。batwin + robin (b+r) productionsは、テクノロジーとデザイン、そしてストーリーテリングを組み合わせ、数々の没入型の体験を生み出してきた制作スタジオで、その作品には制作と開発の両面における細部へのこだわりが感じられます。

つい先頃、batwin + robinのチームの皆さんと話をし、彼らが創造するエクスペリエンスの中でAdobe Stockが果たしている役割について、またオクラホマシティにあるファーストアメリカンズミュージアム(First Americans Museum)の教育的なリアルな没入体験の制作に彼らが用いたスキルやアドビのツールについて伺いましたので、ご紹介します。

じっくりと時間をかけて

ノーラ エフロンの「Lucky Guy」の舞台制作から、ホーランドアメリカラインのクルーズ船で上演される「Humanity」のようなショウの空間、あるいはEarth’s Call concertなどのイベントまで、b+rは没入感の演出のあり方を再定義してきました。対象となる空間の建築物と融合した多感覚のエクスペリエンスを提供してオーディエンスの心をつかみ、注意を引きつける、というのが彼らのアプローチです。

b+rのプリンシパル/クリエイティブディレクターであるMegan Gargagliano氏は次のように語っています。「私たちはクライアントと彼らのストーリーからインスピレーションを得て、それをもとに心に残るエクスペリエンスを作り上げます。まずはストーリーに着目し、次にそのコンテンツづくりに最適なテクノロジーを慎重に選んでいきます」。

彼らが手掛ける大規模なメディア向けのビジュアル制作は、意図する通りの仕上がりになるまで(数年ではないにせよ)何カ月もの時間を要することがあります。b+rのチームは、ストーリーテリングの魅力を損なわないために、必要であれば、制作に惜しみなく時間を費やします。

様々な部族が一つの場に

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オクラホマ州オクラホマシティのファーストアメリカンズミュージアム

b+rの最新のインスタレーションのひとつは、2021年9月18日に開館するオクラホマシティのファーストアメリカンズミュージアム(FAM)で見ることができます。同博物館は、現在オクラホマ州に存在する代表的な「ファーストアメリカンネーション(先住民)」の39部族の集団的な歴史を広く知ってもらうことに重点を置いているため、その文化的多様性、歴史、そしてレジリエンスを紹介する展示やインスタレーションが企画される予定です。

b+rのチームが請け負ったのは、館内における大規模な4つの没入型エクスペリエンスの創出でした。オリジンズシアターでは、ポーニー族、ユチ族、カド族、オトー・ミズーリア族のそれぞれの起源をめぐる4つのストーリーを取り上げた10分間のコンテンツが上映されます。各ストーリーは、部族の文化的概念を伝えつつ、自分たちを星や空、水や土から来た者と捉える彼ら独自の「創世記」を表現します。

各部族には唯一無二の物語がありますが、展示における重要なメッセージである多種多様な文化哲学を簡潔に紹介して共有するために、4部族が選出されました。これに関しては、FAMと部族側の代表たち、さらには部族の一員であるライター、ナレーター、ミュージシャン、ビジュアル・アーティストたちとの間で、すばらしいチームワークが発揮されました。

b+rのチームが任されたのは、彼ら全員の声をまとめ上げ、一つのエクスペリエンスを創造することです。それは、基本的価値を本質的に表現し、来館者がミュージアムの他の箇所を鑑賞する際に役立つビジョンを提示するエクスペリエンスです。

物語を作り上げる

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ストックメディアと委託制作によるアート作品の融合により、劇場は観客を没入させるビジュアル・エクスペリエンスの場に。

様々な部族のコントリビューターによるイラストレーションを使用し、それらとAdobe Stockのビデオアセットを重ね合わせ、チームは各ストーリーのビジュアルランゲージ(視覚言語)を作り上げていきました。幅9600ピクセル、高さ1200ピクセルの投影面にビジュアルをデザインする必要があり、制作者の合成技術がものをいいます。

FAMの劇場のスクリーンは、幅約24m、高さ約3mで、周囲240度を取り囲むように設置されています。b+rの数々のインスタレーションと同様、今回も彼らは現場でデザインを行わなかったため、空間の感覚をつかむのにさらなる努力が必要でした。「ビジュアルのフォーマットが複雑だったり、大規模だったりする場合は、実際に空間の中にいたらビデオコンテンツはどう見えるのかを把握しやすくするために、3Dレンダリングやプレビジュアライゼーション(事前に視覚化すること)を行います」とGargagliano氏は説明します。

プレビジュアライゼーションにより映像空間の理解を深めることで、チームは、自然で心地よく、魅力的に感じられるような方法で、スクリーンを様々なタイミングで分割して変化させ、オーディエンスの注意を誘導していくエクスペリエンスをデザインできるようになります。

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プレビジュアライゼーションは、現場でメディアがどう映し出されるのか理解を深めるために不可欠なステップです。

b+rのチームがこれまで制作したビジュアルには、2~20点ほどのストック画像が含まれています。彼らはそれを様々なアーティストのオリジナル作品やその他のアセットと合成して融合させ、斬新なシーンを生み出してきました。ぼかしや反復、融合など多様なテクニックを駆使してストックアセットを変貌させ、それを幅9600ピクセルのキャンバスに乗せるのです。Gargagliano氏は次のように語っています。「どうやれば元の素材がわからなくなるのかを考えるのがとても楽しいんです。色や設定、動きなどによりそれが可能になります」

通常のb+rのプロセスで本作品を制作していくなかで、最も良かった点は、作業が完全にリモートで、しかも特別な設備もさほど必要とせずに行えたことだそうです。「容量の大きいローカルドライブにiMac、それに古いApple Mac Proで作業をしました。大部分をAdobe After Effectsで行い、ちょっとした作業にCinema 4Dを使用しました」とGargagliano氏は説明します。

パワフルなストーリー

Originsのインスタレーションの制作の裏側を知るのは刺激的ですが、ミュージアムでの体験はどれほどの迫力だろうと想像するとさらにワクワクします。この視覚的なストーリーテリングに、これから部族のミュージシャンやその音楽をフィーチャーしたサウンドスケープが組み込まれていく予定で、訪れる人すべてに多感覚体験をもたらす作品がまもなく完成しようとしています。

2021年の9月以降にオクラホマシティへ行く予定のある方は、ぜひファーストアメリカンズミュージアムを訪れてみてください。オクラホマの39の部族について学べるだけでなく、Adobe Stockのビデオの助けを借りて制作されたbatwin + robinの素晴らしい没入型のインスタレーションをお楽しみいただけるはずです。

batwin + robinの方々に伺った詳しいお話やビデオ業界の最新情報を知りたい方は、こちらのオンデマンドウェビナー(英語)をご覧ください。

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