Adobe Photoshopのメジャーアップデート:デスクトップ版およびiPad版における機能拡充と、手軽な編集とコラボレーション機能をブラウザで実現するAdobe Photoshop web版(ベータ版)のご紹介

Adobe Photoshopデスクトップ版およびiPad版がメジャーアップデートしました。基本的な編集機能がブラウザ上で動作するAdobe Photoshop web版のパブリックベータ版も提供を開始しました。

Adobe Photoshopデスクトップ版Adobe Photoshop iPad版をぜひダウンロードしてください。

本日のAdobe MAX 2021で、Adobe Photoshopデスクトップ版ならびにiPad版のメジャーアップデートを発表しました。

今回私たちは、Adobe Photoshopでのドキュメントの共有およびコラボレーションのワークフローをブラウザベースで実現するという、まったく新しい取り組みにも挑戦を始めました。その一環として、基本的な編集機能の一部がブラウザ上で動作するAdobe Photoshop web版のパブリックベータ版を提供します。このベータ版では、Adobe Photoshopをダウンロードしたり起動したりすることなく、ユーザーや共同作業者がブラウザ上でクラウドドキュメントを開いて確認し、フィードバックや、簡単な編集を行ったりすることができます。

Adobe Photoshop web版(ベータ版)は、本日発表したAdobe Creative Cloud Web版という大きな構想の一部です。この領域における私たちの取り組みについては、アドビのデザイン担当バイスプレジデント、エリック スノーデン(Eric Snowden)のブログ記事をご覧ください。【エリックのブログ記事へのリンク

今回はAdobe Photoshopにとって重要な発表となりました。この記事では、本日発表された新機能の数々についてご紹介します。

Adobe Photoshop デスクトップ版

オブジェクト選択ツールの「ホバー選択」モード

オブジェクト選択ツールが大幅に強化され、画像内の選択したいオブジェクトの上にカーソルをホバーしてクリックするだけでそのオブジェクトを選択できるようになりました。

詳しくはこちらをご覧ください。

レイヤー内のすべてのオブジェクトのマスクをワンクリックで作成

選択範囲やマスクの作成をスピードアップするこの新しい機能をお見逃しなく。これは、オブジェクト選択ツールの優れた機能を利用したもので、「レイヤー/全オブジェクトをマスク」コマンドを選択すると、レイヤー内で検出されたすべてのオブジェクトに対して、ワンクリックで簡単にマスクを生成することができます。

新しいニューラルフィルター

昨年リリースした「ニューラルフィルター」を覚えていらっしゃることと思います。これは、Adobe Sensei のAIと機械学習を利用した新しい非破壊型フィルターを試行錯誤できるようにAdobe Photoshop内に設けられたワークスペースで、クリエイティブなアイデアを数秒で探求できるものです。

今回のアップデートでは、Adobe Photoshopが得意とするさまざまな処理に着目し、それまでの複雑なワークフローを機械学習の力で、ワンクリックまたは簡単なスライダー操作にまとめ、進化させたフィルターをいくつか搭載しました。また、特定のアートスタイルや修復機能を備えたフィルターの数が増え、機能も強化されています。このワークスペースでは、一発で求める結果が得られるとは限りませんが、コンセプトを練ったり方向性を検証したりするための時間を短縮できるでしょう。もちろん、最後の仕上げにはAdobe Photoshopのすべてのツールをお使いいただけます。

さらに今回、「ベータ版」の概念をニューラルフィルターに導入するとともに、出力結果がユーザーのクリエイティブな期待どおりかどうかを報告できるツールも用意しました。さまざまなニューラルフィルターを皆さんにお試しいただき、このタイプの画像には効果があるがこのタイプではそれほどでもない、といったご意見を寄せていただくことで、今後のニューラルフィルターの改善に役立てていきたいと考えています。

ニューラルフィルターに追加された、3つの新しいベータ版フィルターをご紹介します。

風景ミキサー(ベータ版)

風景ミキサー(ベータ版)は、任意の2つの風景画像を組み合わせることで、全く新しいシーン、コンセプトアート、風変わりなシーンを一瞬で作成します。 同じことを手動でおこなう場合は何時間もの作業が必要ですが、このニューラルフィルターがあれば、ほぼ自動的に、しかも一瞬で作ることができます。

海岸線に沿って歩く旅行者を撮影した画像に風景ミキサーを適用した例です。地形は別途用意した砂漠の風景とブレンドされ、旅行者は生成されたシーンの照明と調和するように自動調整されました。

このように画像の構造やスタイルをミックスすることで、二枚の風景写真からまったく新しいシーンを作成できます。フィルターには複数のプリセット画像も含まれているので、画像を準備しなくてもすぐにお試しいただけます。効果の強度も繊細なものから誇張的なものまで思いのままに設定できます。

カラーの適用(ベータ版)

素晴らしい色彩やトーンを持つ画像に触発され、同じような色調を再現したいと思ったときに使えるフィルターです。参照画像のカラーを手元の画像に適用することで結果を素早く再現します。

画像の色調の再現は一般的なタスクですが、参照画像からカラーパレットを抽出して他の画像に適用する一連のワークフローは、これまでは時間のかかる作業でした。このフィルターはその時間を大幅に短縮し、求める最終結果への近道を示してくれます。

色調和(ベータ版)

Adobe Senseiの機械学習を利用し、任意のレイヤーのエレメントのカラーとトーンを別のレイヤーのものとマッチさせます。色調和フィルターは、合成写真が不自然でなくリアルに見えるように色相と輝度を調整し、思い通りの調和を短時間で実現してくれます。

ニューラルフィルターの機能強化

私たちが昨年ニューラルフィルターを発表した際、この機能は機械学習と人工知能をベースにしているため、ユーザーの皆さんから寄せられたフィードバックを元にモデルを改良し続けることでより良い結果を生むように進化するとお伝えしました。その言葉どおり、今回のリリースではいくつかのニューラルフィルターが大幅に強化されています。以下に主だったものをご紹介します。

深度ぼかしフィルター

深度ぼかしに新しい機械学習モデルを採用したことにより、写真の背景のぼかしがより自然になり、被写体によりフォーカスが当たるようになりました。しかし、単純にぼかしを加えるだけでは非現実的な効果になってしまうことがあるため、ぼかしに粒状感を加える機能を追加しています。私たちは、ワンクリックでどんな画像にも美しいボケ味を演出できるようになることを目指しており、今回の改良はそのための大きな一歩となります。

スーパーズームフィルター

スーパーズームが画像全体を処理できるようになりました。新規ドキュメントとして出力すれば、プレビューウィンドウ内のズームされた領域だけでなく、画像全体に結果が適用されます。ズーム倍率が大きい場合は処理に時間がかかるため、便利な進行状況表示も追加しました。

スタイルの適用フィルター

より絵画的で芸術的な効果を与えられるように、スタイルの適用をアップデートしました。その過程で、ピカソやゴッホなどの古典的な巨匠を深く研究し、彼らのスタイルに特化したモデルを作成しました。これらのプリセットを使用したときの結果は、劇的に改善されています。

カラー化フィルター

昨年、カラー化に採用している機械学習モデルにいくつかのアップデートを実施しましたが、今回のAdobe MAXリリースではさらに追加の改良をおこないました。これにより、モノクロ画像をさらに鮮やかで自然な色でカラー化できます。

ニューラルフィルターの新機能についてはこちらをご覧ください。

グラデーションの強化

グラデーションは、多くのワークフローにおいて基本的なツールですが、新たに補間オプションを追加し、よりクリアで明るく美しいグラデーションを作成できるようになりました。自然界で見られる夕焼けや日の出の空のグラデーションに似た、より自然なブレンドを再現できます。以下の3タイプから選択が可能です。

強化されたグラデーションについての詳細はこちら(英語)をご覧ください。

Adobe Illustratorデータとの連携強化

最もご要望が多かった機能の1つです。Adobe Illustratorのドキュメントから長方形、多角形、円、線、複合パスなどのベクターシェイプをコピーし、塗り、線、ブレンドモード、不透明度などの属性が編集可能な状態でAdobe Photoshopにペーストできるようになりました。

さらに、パスファインダーで作成した複合パスならびにシェイプや、クリッピングマスクにも対応しています。また、グループやレイヤーは、Adobe Illustratorで作成されたものに可能な限り近い形でAdobe Photoshopにペーストされます。Adobe Photoshopが機能をサポートしていないなどの理由で、Adobe Illustratorからの編集性を維持できない場合は、視覚的な忠実性を維持するようにしています。

Adobe Illustratorデータの扱いの強化についてはこちら(英語)をご覧ください。

カラーマネージメントおよびHDR機能の強化

Adobe Photoshopは、AppleのPro Display XDRをサポートし、デザインをフルHDRで確認できるようになりました。これにより、黒はより深く、白はより明るく、その間のすべてが自然界に近い豊かなカラーで表示されます。ディスプレイの設定については、こちらをご覧ください。

また、適切に接続されていれば、Adobe PhotoshopはHDR対応のディスプレイに直接表示されます。詳しくはこちらをご覧ください。

共同制作がより簡単に

デスクトップ版とiPad版の両方に搭載された新しい「コメント」パネルを使えば、クライアントや同僚に作品レビューのための共有リンクをすばやく送信し、Adobe Photoshopアプリを離れることなくフィードバックを受け取ることができます。リンクを受け取った相手は、Adobe Creative CloudのWebサイトでドキュメントにアクセスし、コメントを残したり、ピンや注釈を追加したりすることができます。その情報はAdobe Photoshopアプリに直接届くので、作業環境にいながらにしてフィードバックを確認し、対処することができます。

デザイン作業中にアプリ内でフィードバックを受け取って対処できるので、時間を大幅に節約できます。

詳しくはこちらをご覧ください。

「書き出し形式」の強化

Apple silicon M1マシン限定で提供されていた「書き出し形式」機能が、すべてのデスクトップOSでデフォルトの書き出し機能になりました。

プラグインの充実

Unified Extensibility Platform(UXP)は、Adobe Creative Cloud全体で共有する新しいテクノロジースタックとして、統一された最新のJavaScript実行環境を提供します。昨年登場したUXP対応Adobe Photoshopプラグインはエコシステムにとって大きな飛躍となり、サードパーティの開発者がAdobe Photoshopのプラグインを簡単に作成できるようになりました。今年は、追加のAPIと拡張性の向上をリリースします。

Adobe Creative Cloudデスクトップアプリ内で、Adobe Photoshopにインストールしてすぐに使用できる、新しいサードパーティープラグインを検索することができます。

プラグインは常に追加されており、今後も下記をはじめとしたプラグインが続々と登場します。

ドキュメント表示の高速化

レイヤーの移動や表示オン・オフ切り替え時の応答がさらに高速になりました。レイヤー数が多いほどその違いを実感できます。これにより、大きく複雑なドキュメントを扱う際のワークフローが高速化しました。

テキストレイヤーの言語サポートの強化

Adobe Photoshopのテキストレイヤーの言語サポートが強化され、アラビア語、ヘブライ語、インド系スクリプト、日本語、中国語、韓国語など、世界中のスクリプトや言語に対して、シームレスで統一されたタイポグラフィサポートを提供できるようになりました。

言語サポートの強化と併せ、テキストレイヤーに搭載されたテキスト処理エンジンが統一され、高度なタイポグラフィ機能がすべてAdobe Photoshopの「テキストレイヤー」プロパティパネルにまとめられています。

テキストレイヤーの言語サポート強化:

詳細についてはこちらをご覧ください。

油彩フィルターの高速化

油彩フィルターを、GPUによる高速処理の恩恵を受けるために設計し直しました。フィルターの機能はすべて同じですが、処理速度と反応速度が向上しています。

アプリ全体にわたる安定性とバグ修正スピードの向上

ユーザーによっては最大の改善点が新機能ではない場合もあります。私たちは今年、GPU関連の問題が引き起こすクラッシュの修正に多くの時間を費やしました。今回のリリースには、それらの影響を受けた経験のある皆さんに喜んでいただける修正が多数含まれています。また、8月に発表した新しいAdobe Photoshopベータプログラムの実施に伴い、私たちが報告を受けた問題に対する修正のスピードを向上させる体制も整えています。

Adobe Photoshop iPad版

定期的に新機能が追加されるAdobe Photoshop iPad版ですが、本日、ご要望の多かったいくつかのメジャーな機能をリリースしました。

Camera Rawファイルのサポート

フォトグラファーにとって最も重要なAdobe Photoshopデスクトップ版プラグインであり、Adobe Photoshop iPad版への搭載が最も待ち望まれていた機能です。

iPhone 12および13 Pro(ProRAW)やデジタルカメラで撮影したRAW形式の写真を読み込み、Adobe Camera Rawのパワーを活かした調整や設定で、画像を編集できるようになりました。

詳しくはちら(英語)をご覧ください。

スマートオブジェクト

非破壊型ワークフローはAdobe Photoshopの基本です。今回のアップデートで、レイヤーをスマートオブジェクトに変換できるようになったため、オリジナルの画像を損なうことなく変換やフィルターを非破壊で適用できるようになりました。

1. レイヤーをスマートオブジェクトに変換

2. スマートオブジェクトをレイヤーに変換

詳しくはちら(英語)をご覧ください。

覆い焼きと焼き込み

覆い焼きツールと焼き込みツールを使い、画像の一部の明暗を調整する暗室作業を素早く再現できるようになりました。これは、フォトレタッチや調整のワークフローにおいて、最も多く要望が寄せられていた機能です。

詳しくはちら(英語)をご覧ください。

共有がよりスムーズに

作品をレビューしてもらうためにすばやく共有し、確認してもらったり、フィードバックを受け取ることができます。コメントの受け取りも返信もAdobe Photoshop iPad版から離れることなくおこなえるため、時間を節約できます。この機能は、Adobe Photoshopデスクトップ版で本日リリースされたものとほぼ同等のものです。

詳しくはこちら(英語)をご覧ください。

Adobe Photoshop web版(ベータ版)

クラウド対応した新しいPSD形式により、1つのクラウドドキュメントをあらゆるデバイスから開いて編集できるようにするなど、この1年でAdobe Photoshopはモバイルおよびコラボレーションのワークフローをサポートするための重要な進化を遂げています。今年の2月には、クラウドに保存されたPSDへのリンクを作成・共有する機能を追加しています。これにより、PSDを共同編集したり、Web上でレビューやコメントを依頼するための共有リンクの発行が可能になりました。

本日、Adobe Photoshopデスクトップ版ならびにiPad版に新しく「コメント」パネルを追加し、コメントの確認・作成・返信までをアプリを離れずに完結できる機能を提供します。

また、こうしたAdobe Photoshopの一部機能をWebにベータ版として拡張しました。拡張した機能はChromeおよびEdgeブラウザで動作します。ベータ版では、Web上でコメント入力のワークフローやAdobe Photoshopの基本的な編集機能を試すことができます。これにより、ユーザーとコラボレーション相手がどちらもアプリをダウンロードしたり起動することなく、Adobe Photoshopのクラウドドキュメントをブラウザで開いて確認し、フィードバックの提供や簡単な編集ができます。Adobe Photoshopの編集機能をWebで再現する取り組みは始まったばかりですので、皆さんからのフィードバックをお待ちしています。

Photoshop web版ベータとしてリリースした機能は以下の通りです。

コメント、ピン、注釈

社内外の関係者やクライアントによるフィードバックや編集操作の権限を管理できます。ドキュメントを共有する際、編集権限のあるリンクを送って編集を依頼したり、表示専用リンクを送ってコメント、ピン、注釈だけを受け取ったりすることができます。

ライトな編集機能

今回提供するベータ版の一環として、Adobe Photoshopの編集ワークフローのブラウザ実装を始めました。シンプルなレイヤー操作、選択ツール、マスク作成など、一部の編集機能が今日からブラウザで動きます。画像のレタッチや調整において最も頻繁に使われているワークフローから始めています。ぜひお試しください。

Photoshop Web版(ベータ)のアクセス方法:

Creative Cloud web > ファイル > 自分のファイルに行き、クラウドドキュメントとして保存されているPSファイルをクリック。ヘッダーにある「Photoshop Web (ベータ版) で開く」のボタンをクリックするとそのファイルがPhotoshop Web (ベータ版) で開き、ウェブ上でPhotoshopのベーシックな編集ツールがご利用いただけます。

ユーザーの皆様からのフィードバックをお待ちしています

アプリ内にフィードバックボタンを設置していますので、ご意見をお寄せください。いただいたご意見は、開発プロセスの参考にさせていただきます。

Adobe Creative Cloudのビジョン

本日開催されたAdobe MAX 2021では、Adobe Creative Cloudの次の進化に向けたビジョンが発表されました。そこでクリエイティブツールと同じく重要だと私たちが考えているのは、コラボレーションを促進する環境の提供です。ビジョンの詳細が語られたAdobe MAX 2021の基調講演はこちらからご覧いただけます。

コンテンツ認証イニシアティブ

2年前のAdobe MAXで私たちは、虚偽の情報を広めるフェイク画像の悪用に対抗し、コンテンツのデジタル出所証明によってクリエイターを保護するコンテンツ認証イニシアティブ(Content Authenticity Initiative、CAI)を発表しました。そしてこの、デジタルの言論空間の信頼性を高めるための世界的な取り組みの一環として、誰でも使えるように実装された機能、オープンな技術基準、業界横断であらゆる組織が活用できる強固な基盤の構築を進めてきました。

本日、この取り組みの成果としてContent Credentialsを発表できることを嬉しく思います。これは、デジタルコンテンツにその出所と帰属を記載し、誰もがそれを確認できるようにする、アドビからの新しい提案です。

リリースするのは、Content Credentialsの機能とワークフローをアドビの主要な製品に実装したベータ版のエクスペリエンスで、何百万ものアドビのクリエイティブツールのお客様全員にお試しいただけます。

コンテンツ認証イニシアティブの詳細については、こちらのブログ記事をご覧ください。

Thank you

Adobe Photoshopで日々美しい作品を生み出している世界中のユーザーの皆様に感謝します。皆様は私たちのインスピレーションの源です。