【イベント】子どもたちの創造性あふれる「SDGsクリエイティブアイデア コンテスト2021」オンライン作品発表会

グラフィカル ユーザー インターフェイス, Web サイト
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朝日新聞 SDGs ACTION!とアドビが開催する「SDGsクリエイティブアイデア コンテスト2021」では、全国の小、中、高等学校よりSDGsの達成に向けた解決のアイデアを募集してきました。1500点を越える応募作品の中から厳正な審査を経て11月に優秀賞が決定し、12月19日(日)には受賞した全12校の児童・生徒によるオンライン作品発表会が開催されました。

自分なりの視点で考えたSDGsの解決アイデアを堂々と発表

本コンテストの応募条件は、自分の考えるSDGsの解決アイデアをAdobe Spark(※)で動画を含むウェブページにまとめるというもの。審査は「SDGsの理解・課題発見・達成のための解決アイデア」と「デジタルツールの特性を生かしアイデアを伝える力・表現力」の2つの軸で行われました。

優秀賞を受賞したのは小、中、高等学校それぞれ各4校ずつの全12校で、いずれの作品も自分なりの視点で解決策を考えメッセージ性の高い表現でまとめたものばかりでした。オンライン作品発表会では、受賞作品の制作者が自分のアイデアとそこに込めた思いをプレゼンテーションし、審査員からの質問に答えて考えを深めました。

本コンテストの審査員のみなさん。蟹江憲史氏(審査委員長)、石井雅章氏、大島まり氏、平井聡一郎氏、高橋万見子氏

全受賞作品のポイントを紹介しましょう。作品タイトルからコンテストの応募作品であるウェブページにリンクしていますので、ぜひチェックしてみてください。

「知って欲しい!」という思いがあふれた小学校部門

小学校部門では、SDGsの大切さに気づいた子どもたちが、多くの人にもっと関心をもって欲しいという思いを形にした作品が多く集まりました。目の前の小さなことから自らアクションを起こそうというメッセージが力強く響きます。

<優秀賞受賞校>

加西市立西在田小学、京都市立向島秀蓮小中学校、那須塩原市立黒磯小学校、日之影町立日之影小学校

ポーズをとる男性たち
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小学校部門受賞校のみなさん

加西市立西在田小学校

ぼくたちにできること〜エコスクール×SDGs~

自然豊かな町で日頃から川を守る環境活動などに取り組んでいる同校では、6年生全8名でSDGsについて自分たちのできることを考え行動してきたことを作品にまとめました。地域の関心を高めるために、ポスターや動画、ウェブページを作成して発信したり、チラシ配布や看板設置を行ったり、学校で「エコ万博」を開催するなどそのアクションは様々です。現在は学習発表会に向けてマインクラフトで「自然と共に幸せに生きる町」を創作しているところです。

「エコ万博」では特にプラスチックの蓋で作ったエコアクセサリーが人気だった

京都市立向島秀蓮小中学校

水と共に生きる向島

学校で地域の学習をしていた際、かつて向島で大きな水害が起きていたことを知り、水害に負けない町づくりについて考え防災対策をまとめた個人作品です。いざというときに子どもが率先して声をかけて避難することを提案すると同時に、台風や大雨が迫ったときにだけ行動するのでは不十分だと指摘。日頃から地域の人との連携を強めることが大切だと考え、子どもと地域の大人が関わるきっかけを増やすアイデアを複数提案しました。

朝市に参加したり、お便りを作って地域に配布するなどして大人と子どもたちの接点を作るアイデア

那須塩原市立黒磯小学校

SDGs 持続可能な社会をつくるために

日本の食品ロスの量と世界で栄養不足に苦しむ人の割合に矛盾を感じ、ケーキ屋、スーパーマーケットなどにインタビューをして日頃どのように食品ロスが出ない工夫をしているのかを調査して考えを深めた個人作品です。食品ロスを減らすための効果的なアイデアとして、スマートフォンと連動して生ゴミ量を可視化する「応援してくれるゴミ箱」を提案しました。また、ひとりひとりが日常の行動を少し変えることで食品ロスを減らせるのではないかと呼びかけました。

インタビューの内容やアイデアの説明は手書きのイラストを使った動画でわかりやすく表現

日之影町立日之影小学校

10年後の私たちへ ~今の私たちにできること~

同校の6年生全6名は、地球環境を守る目標であるSDGsと自然豊かな日之影町を守ることがつながっていると考え、世の中の多くの人にSDGsについて知ってもらいたいと様々な創作を行いウェブページにまとめました。動画やポスターで基本的な考え方を解説し、楽しみながら学べるよう動画で見る絵本、Scratchで作ったゲーム、オリジナルソングなど、幅広いクリエイティブな手段で表現しました。また、自分たちがすぐにできる行動の提案もしています。

動画の表現が多数掲載されている。オリジナルストーリーの動画絵本も

大きな課題を身近に捉えた中学校部門

中学校部門では、大きな課題を身近に引き寄せて考え、具体的な解決策を提案する作品が並びました。アイデアの実現可能性は様々ですが、大きな提案をすると同時に、一人一人の小さな行動の変化で世の中を変えていこうと呼びかける姿が印象的です。

<優秀賞受賞校>

神戸市立長峰中学校、香蘭女学校中等科、青翔開智中学校、成田高等学校付属中学校

スーツを着た男性の写真のコラージュ
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中学校部門受賞校のみなさん

神戸市立長峰中学校

CHANGE for the future 〜私たちの明るい未来へ〜

環境活動家グレタさんの活動に刺激を受け、日本で気候変動についての意識を高めるためにできることを考えた個人作品です。公共の場を利用し、壁に多くの人の目につくよう気候変動の現状を知らせる掲示をして関心を持ってもらい、募金箱を設置することを提案しました。市長に声を届けられる神戸市の仕組みを使ってこのアイデアを投稿し、市と連携したいと考えています。また、個人ができる工夫を挙げ、少しの行動や声を上げることが問題解決の一歩につながると呼びかけました。

壁にメッセージを掲示するアイデアなどを動画で表現

香蘭女学校中等科

ヴィーガン食から考える食と私たちの未来

畜産が様々な側面で温暖化の原因のひとつとなっていることに注目し、環境負荷を減らすヴィーガン食に注目した個人作品です。代替肉への関心を高めるために動画を作成し、代替肉を実際に自分で調理した様子や、姉妹で開発中のレシピアプリでヴィーガン食レシピを扱うことなどを紹介しました。ヴィーガン食を完全に実行することはできなくても、週に一回肉を食べない日を作るなどのささやかな行動から地球の環境を改善につながるのではないかと呼びかけました。

調理の様子やアプリ開発などについて紹介

青翔開智中学校

もしもを見据えた持続可能なまちづくり

日本各地で地震や豪雨被害が起き、鳥取でも近年大きな地震を経験していることから防災に注目し、避難に役立つアプリのアイデアを提案したグループ作品です。提案したのは「みんなでつくるハザードマップ」。アプリ利用者が、避難に役立つ様々な情報を地図情報に追加することができる仕組みです。現在は小学生もタブレットで学習をしているので、学校で活用し、防災意識が子どもから家族へ、さらに地域、国、世界へ広がっていくことを期待しています。

防災意識を高め非難の役に立つアプリのアイデアを考えた

成田高等学校付属中学校

SDGs みんなで考えよう 身近な海洋プラスチック問題

海洋汚染による生き物への影響に関心を持ち、実際に海で検証するなどして考えを深め解決策を考えた個人作品です。自ら近くの砂浜に出かけて砂を掘り起こし、どのくらいの海洋プラスチックが埋まっているかを調査して動画にまとめて課題を身近に感じてもらう工夫をしました。特にペットボトル注目し、仮に海に流出しても水に浮けば回収しやすいと考え、ペットボトル同士を連結できる溝を作るアイデアを提案しました。

自ら海岸を調査して動画にまとめ、プロダクトデザインによる解決を発案した

社会を変える解決策を考えた高等学校部門

高等学校部門では、課題をデータで多角的にとらえた上で、課題解決の方法をより詳細に検討したことが伝わるアイデアが並びました。社会を変えたいという主体的な気持ちを、具体的な仕組みとして形にして提案した力作です。

<優秀賞受賞校>

N高等学校・S高等学校、神奈川県立秦野高等学校、渋谷教育学園幕張高等学校、東洋英和女学院 高等部

男性の写真のコラージュ
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高等学校部門受賞校のみなさん

N高等学校・S高等学校

TRANSFORMING OUR WORLD - 今考えたい ポイ捨てゴミと地球の未来 -

日常的に見かけるポイ捨てゴミについて実地調査とアンケートで掘り下げ、特に多いタバコとペットボトルのポイ捨て防止策を検討したグループプロジェクトです。いずれも海洋汚染につながる根拠を示し、対策として、啓発ロゴの作成やタバコの免許制度、コンビニ用マイボトルドリンクバーなどのアイデアを提案しました。ウェブページのデザインや構成の工夫に加え、イラストを含むグラフィックやアニメーションを含む動画、3Dモデリングなど様々な表現手段に挑戦しています。

啓発ロゴのアイデアではデザインから考えて提案

神奈川県立秦野高等学校

教育のDXに伴うICT利活用授業でのUX向上のご提案

コロナ禍で教育現場のDXが注目される中、SDGsの目標「質の高い教育をみんなに」の視点でICTの利活用を考えた個人プロジェクトです。提案したアイデアは、「NESE」と名付けた無料の授業動画共有プラットフォーム。安心で確実な学習動画だけが投稿され、学習者からの質問もできるという構想です。また、デジタルネイティブ世代のリテラシーを育てるには先生による規制ではなく生徒自身がルールを決め失敗を共有することが大切だと提言しました。

すでに存在するサービスであるかのような動画で構想を提案

渋谷教育学園幕張高等学校

Connect Bottles! 〜SDG 12: 楽しくペットボトルをリサイクル!〜

ペットボトルは回収されても他のゴミで汚れていると再利用できないことを課題として捉え、きれいな状態で確実に分別回収ができる方法を考えたグループプロジェクトです。提案したアイデアは、誰もがペットボトルを捨てたくなる専用ゴミ箱「CONNECT BOTTLES」。ペットボトルを入れると、自動でボトルキャップとラベルを分離して飲み残しを捨てる装置で、回収されたボトルキャップでゲームができます。魅力的なデザインとゲーム性で「また使いたくなる」効果を期待します。

水彩のイラストで表現した解説図や解説動画が印象的で世界観が伝わる

東洋英和女学院 高等部

Clothes 〜安さの裏側にある悲惨な現実と提案〜

ファストファッションの裏に水質汚染や過酷な労働環境、衣料廃棄による二酸化炭素排出などの問題があることと向き合い、有効なリサイクル方法について考えた個人プロジェクトです。解決策として、学校内で衣類のリユースをする仕組みを提案しました。ウェブ上の専用掲示板を介して譲りたい服を投稿したり欲しい服を探したりして無料で服を譲り合えるというアイデアです。専用ロッカーで顔を合わせずに受け渡す気軽さと、同じ学校の生徒であるという安心感で利用を促進します。

深刻な現実と明るい解決アイデアを対照的に表現した

SDGsの達成に向けて行動し続けることが大切

全員の発表を受け審査委員長の蟹江憲史氏は、いずれの作品もSDGsの17目標の関連性をよく考えていること、デジタル技術の使い方が優れていることを評価しました。また、今後のステップアップとして、自分が扱う領域でこれまでどのような取り組みが積み重ねられてきたかを調べると、さらに自分の主張が明確になるとアドバイス。研究とアクションの両方を大切にして、2030年に向けてSDGsの取り組みを続けていって欲しいとエールを送りました。

なお、このオンライン発表会の司会進行は、先に開催された大学生対象の社会課題解決デザインコンペ「College Creative Jam 2021」のグランプリチームである日本女子大学の学生3名が担当しました。自らもコンペを通じて環境問題を深く考えた経験から、発表者たちの考えやアイデアに深く共感をしながら温かい雰囲気で進行したのが印象的です。

グラフィカル ユーザー インターフェイス, テキスト, アプリケーション, チャットまたはテキスト メッセージ
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司会進行を担当した日本女子大学の嘉山さん、宮嶋さん、小沢さん

本コンテストは、SDGsの達成へ向けての通過点であり、今後も続けてアクションを起こしていくことが大切です。子ども達の発信を私たちひとりひとりが受け止め、自分の生活や行動を見直すきっかけにしていければと思います。

※Adobe Sparkは現在Adobe Creative Cloud Expressとして提供されています