【事例】アドビの資格試験「アドビ認定プロフェッショナル」に高校生が挑戦!

建物の前にある駐車場
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アドビ認定プロフェッショナル(Adobe Certified Professional)」は、Adobe Photoshop、Illustrator、Premiere Proのアプリケーションの活用スキルをチェックするアドビ公認の国際認定資格です。CBT(コンピューターベーストテスト)方式で知識問題とアプリケーションの操作実技でスキルを測ります。同試験のうちPhotoshopの認定である「Visual Design using Adobe Photoshop CC 2020」に、日立工業専修学校の現役高校生がチャレンジしました。同校は株式会社日立製作所が運営する企業内学校で、高等学校卒業の資格と共に数々の専門技術・技能を学び、卒業後は同社のグループ企業に就職します。同校国語科教諭でAdobe Education Leaderの遠島充先生と、認定試験に挑んだ生徒さんにお話を聞きました。

モノづくりの力×デザインの力で可能性を広げたい

同校には電気科、機械科、溶接科があり、モノづくり人財の育成を目指しています。生徒たちはさまざまな知識と技能を学び、在学中に数々の資格を取得します。卒業後に工場の技能者として即戦力となる高い技能を身につけられる学校ですが、遠島先生は現在まだ十分教えられているとは言えないデザインやデジタルツールのスキルを学ぶことも大切だと考えています。

遠島先生は、自動化が可能な仕事は機械やAIが担うようになると言われる世の中で、将来生徒たちが向かう職場が今後どのような変革を迫られるかわからないと考えています。「モノづくりの力とデザインの力を組み合わせることが、今後の生徒たちの人生には大きな力になると確信しています」と話し、この試験が今の生徒たちに足りない学びを補う機会になると考えたとのこと。

人, 屋外, 男, 建物 が含まれている画像
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日立工業専修学校遠島充先生

今回試験にチャレンジしたのは電気科3年生の菅野愁斗さんと檜山竜輝さん。校内でICT委員を務め、同校で整備済みの1人1台のChromebookの活用方法の勉強会を開いたり、生徒集会のオンライン配信を担当したりしています。学校が行うオンライン保護者会の配信サポートをしたこともあり、校内でいざというときに頼られる存在です。それぞれ、もともと写真撮影や動画編集などに興味があり、今回ぜひ挑戦したいと考え勉強を始めました。

ポーズをとる男女
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語学研修で訪れた、ブリティッシュヒルズ(福島県)にて

屋内, 人, 男, テーブル が含まれている画像
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ICT委員による配信の様子

机の上のノートパソコンを見ている人たち
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ICT委員会による配信の様子

Photoshopへの驚きと身の周りのデザインへの気づき

11月の試験に向けて、ふたりがPhotoshopを勉強し始めたのは夏休み。試験用テキストを中心にYouTube動画なども参考にしながら、とにかく使っていろいろな機能を試してみました。檜山さんは「ツールのすごさに驚きました。こんな加工も実際に自分でできるんだと感激しました」と振り返ります。菅野さんはスマートフォンでの撮影や画像編集には慣れていましたが、「Photoshopの方が細かいところまで調整できて、パソコンの方が画面も大きくてやりやすかったです」と話します。

本を読んでいる子供
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Chromebookでは利用できないアプリケーションは学校に設置されたiMacを使用。Photoshopの学習にも使用した

自分で実際にPhotoshopを使ってみたことで、例えば街で見かけるきれいなポスターがどうやって作られているのかということに興味を持ったり、SNSで見かける写真の個性に気づいたりと、身近なものの見え方にも変化がありました。また、画像の色調補正やサイズ変更などを感覚だけで行っているのではなく数値でコントロールしていることを知り、面白さを感じたそうです。

「資格のため」を越えて未来のイメージが広がる

惜しくも檜山さんは今回は資格取得に至りませんでしたが、チャンスがあればぜひ再チャレンジしたいと前向きです。「入社した後の現場ではまずモノづくりの仕事をすると思うのですが、自分のやる仕事内容が変わって何か別のことを任されるときにPhotoshopの資格を持っていると強いのではないかと思います」と、資格の意義を感じています。工場実習で見かけた安全を呼びかけるポスターなどを作成できたら会社に貢献できるのではないかと具体的なイメージも広がります。

また、今回認定資格を得た菅野さんは、「大人になったら自分でパソコンを買ったりできると思うのでいろいろチャレンジできたらと思います」と話し、写真だけでなく動画編集のできるPremiere Proも使ってみたいと考えています。檜山さんも「今後は問題を解くために作るのではなく、自分で考えて創造力を生かして作ってみたいです」と、新しい力を伸ばすことにとても意欲的です。

デジタルクリエイションのツールと出会ったふたりが、資格取得という枠を越えて自分の世界を広げたことが伝わってきます。遠島先生は「近い将来、どんな仕事でもデザインの考え方やスキルが必要となるはずです。職場にはデザインを志向する人が必ずいると思うんですよね。デザインに関する知見、デジタルツールを活用できるスキルがあることが、職場でステップアップチャンスに繋がるのではないかと期待しています。」と、ふたりの未来の可能性の広がりをうれしそうに語りました。