“アドビっぽくない”仕事「PSS」、 現役社員が語るその魅⼒とは?

A person in a suit

製品ベンダのイメージが強いアドビですが、実は社内には「プロフェッショナルサービス」と呼ばれるコンサルティングサービスを提供する部⾨があります。そのプロフェッショナルサービスをお客様に提案するのが、PSS(Professional Service Sales)の役割です。コンサルティングという形のない商材を、ビジネス課題を抱えたお客様に“売る”という仕事は、課題解決の道筋を⾒定めつつ、商談をクロージングする営業スキルが求められるクリエイテ ィブな仕事。そんな仕事の魅⼒について、現役 PSS の 3 名が語りました。

PSS は“アドビっぽくない”仕事?

現在の仕事内容を含めて⾃⼰紹介からお願いします。

古賀:2021 年 4 ⽉に⼊社した古賀です。3 ⼈とも同じ PSS なので、仕事内容に⼤きな相違はありません。ただし「コンサルティングサービスを商材とする」と⼀⼝にいっても、アドビのデジタルマーケティング製品だけでなく、Adobe Creative Cloud や Adobe Document Cloud も扱っているので、⾮常に幅広い領域に関われるという特徴があります。

古賀 圭⼀郎 ― Professional Services Sales

古賀 圭⼀郎 ― Professional Services Sales

松葉:2021 年 7 ⽉に⼊社した松葉です。いまの話に少し補⾜すると、コンサルティングサ ービス全般に関していえることかもしれないのですが、PSS はあまりアドビっぽくない仕事です。

どういうことかといえば、アドビはソフトウェアベンダですが、デジタルマーケティング分野においては、アドビ製品のユーザー/⾮ユーザーにかかわらず、「何から始めたらいいか分からない。どう改善していけばいいか悩んでいる。アドビのコンサルティングサービスの話を聞きたい」と相談されることが多いんです。アドビは戦略コンサルタントのようなビジネス戦略領域、広告代理店業界のようなコミュニケーション領域、制作会社のようなクリエイティブ領域、SIer など構築領域まで踏み出していて、お客様のご要望も実際そういうものが多いんです。なので、ソフトウェアベンダのアドビをイメージしていると、その範疇から少し逸脱しているかもしれません。

松葉俊⼆ ― Professional Services Sales

松葉俊⼆ ― Professional Services Sales

⼤⽵:2020 年 3 ⽉に⼊社した⼤⽵です。2 ⼈より社歴も少し⻑く、年齢も少し上になりますね。仕事内容としては、いま説明があったように、お客様からご要望があってヒアリングをし、当社のコンサルタントやパートナーなどのエキスパートでサービスや価値が提供できるものに関して商談を進めていきます。ないメニューは作り、⽤意しているメニューで対応できればそれをご案内して、お客様をご⽀援していく形になります。

⼤⽵徹 ― Senior Professional Services Sales

⼤⽵徹 ― Senior Professional Services Sales

達成までの道のりが⻑く、新たな発⾒があるのが魅⼒

仕事の充⾜感ややりがいを感じるのはどういう時ですか?

⼤⽵:難しいですね。前職では SaaS のライセンス営業をしていたのですが、導⼊時からパ ートナーに任せることが⼀般的で、導⼊後の利⽤や活⽤⽀援まで関われることはほとんどなかったんです。私はお客様と伴⾛していく業務に興味があり、アドビに⼊社したのですが、⽇々「まだまだだな」と感じることが多いです。

リテラシーの⾼いお客様もいれば、そうでない⽅もいますし、解決したい課題もそれぞれに異なるので、提案するサービスはもちろん、提案⽅法も変わります。アドビ製品の知識も必要ですし、課題に対する提案をゼロから作っていくので、ビジネスコンサルタント寄りの発想⼒も必要です。最初の 1 年は「かなり難しい仕事だな」と感じました。2 年⽬になり「こういう提案をしたいです」「このようにプロジェクトを進めたいです」と⾃分がリードできるようになり、少しは達成感ややりがいを感じながら仕事ができるようになったと思います。

松葉:私は前職で、事業会社で営業と事業開発、マーケティングの側⾯を経験したので常々感じていたんですけど、世の中はさまざまなマーケティングやデータ管理関連製品であふれているんですよね。しかし、総合的な提案できる⼈材や企業は少ないんです。広告なら広告代理店、Web なら制作会社というように、バラバラなんです。

翻って⾃分の成⻑を考えた時、⼀気通貫とまでいかなくても、⼤きな視野で提案できる会社はどこだろう、という視点でアドビを選択しました。

アドビは集客、Web、クリエイティブ、マーケティングなど、本当にいろんな領域に広がっています。私はアドビのことを、お客様が持つ課題に対して、デジタルでの顧客体験観点においては全⽅位からカバーできる唯⼀の会社だと思っていますし、世界で唯⼀の仕事ができるというのがやりがいになっていると感じます。

仕事は正直、⼤変なこともあります。コンサルのセールスとは、コンサルタントのスキルや知識、知⾒といったものを、「⼈の稼動」として販売することなので、価格や提案内容共に根拠に基づくものであり、且つお客様にとって価値があるものでなくてはなりません。最終的なゴールをお客様と共有し、認識を擦り合わせなければ、ただ時間を使っただけで、⽬指すべき状態になれないという事態もあり得ます。そうしたことがないよう、しっかりお客様とコミュニケーションをとりながら⾃分の提案を作っていくという点は、やりがいも難しさもありますし、⾃分⾃⾝を成⻑させてくれるものだと捉えています。

古賀:私も松葉さんと同じ思いですね。営業活動をするなか、答えがないなかで何が最適なのかをディスカッションして導き出すことが⾮常に多いので、⽇々新たな学びがあります。達成感とは少し違うんですよね。「達成するまでに⻑い道のりがある」ということを常に感じつつ、いろんな発⾒があるのがこの仕事です。

アドビカルチャーの源泉「クリエイティブ」と「顧客への寄り添い」が転職の決め⼿

改めて、なぜみなさんがアドビに⼊社されたのか教えてください。

⼤⽵:先ほども話したように、前職と違ってお客様に伴⾛する⽴場で関わりたかったという点が⼤きいですね。アドビ社員に 2 ⼈ほど知り合いがいて、紹介で⼊社しました。その時にたまたまポジションが空いていたのが PSS で、⻑いと 5 年くらいお付き合いするお客様もいるとのことで興味が湧きました。中⻑期的にサービスを提供するなかで、新しい課題やチ ャレンジを発⾒し、アドビの製品以外のアイディアも含めてご提案できるという点に魅⼒を感じ、⼊社を決めました。

松葉:前職は⽇本の企業で、通信や投資などいろいろな事業を展開していました。4 回ほど⾃分の希望で異動しているのですが、部署ややっていることがまったく異なるので、転職しているような感覚でした。アドビの前は、⼦会社となった事業会社へ投資部⾨から出向し、セールスやマーケティングの責任者として⽇々忙殺されていました。

アドビに転職した理由は 3 つあります。1 つは先ほども話したとおり、全体を俯瞰して提案できる会社で⾃分の視座をより広げていきたいと考えたこと。もう 1 つは⼤⽵さんと似ていますが、ツールを売って終わりではなく、導⼊後からスタートし、お客様と⼀緒に成⻑していきたかったこと。そして最後は、アドビがクリエイティブを⾮常に⼤事にしている会社という点です。

データにコミットしている会社は多いけど、クリエイティブにコミットしている会社はほとんどありません。私⾃⾝、事業会社時代にロゴを制作する過程で「うちの会社らしさって何?」と⼾惑った経験があるんですね。データ×クリエイティブという切り⼝から、お客様に寄り添って課題に⼀緒に向き合える唯⼀の会社だと思うので、これは転職を考えるうえで⾮常に重視しました。

古賀:私は制作会社からスタートし、前職はスタートアップで Customer Success(CS)担当として⼈事系や広報向けのコンテンツ作りに携わっていました。事業会社の多くがコンテンツ作りへの課題を抱えていました。だから松葉さんの「クリエイティブを重視した」という思いにすごく共感します。実際、私もそれがアドビの⼊社を決めた理由の 1 つなので。

もともと私はコンテンツ領域の世界で⽣きてきた⼈間で、事業会社の多くが課題としているコンテンツ作りを⽀援してきました。ある製品が購⼊された後、どう使われているのか、どのように活⽤を促すのか等の課題がありますが、そこで最⼤のボトルネックとなるのがコンテンツ作りなんです。

そうしたなか、プリセールスに興味が出てきたんです。お客様にファーストコンタクトとして接点を持って、興味を持っていただき、導⼊に⾄るまでの仕事に携わってみたかった。また、コンテンツ領域だけに⾃分の可能性を閉じるのももったいないな、という気持ちもありました。

実はアドビはかつて⾃分のお客様として、⼈事系コンテンツのインタビューや記事作りをやっていたんです。神⾕社⻑をはじめ、多くのアドビ社員にインタビューして、事業内容やカルチャーもある程度理解していましたし、クリエイティブに対する熱い気持ちがあるのも肌で感じていました。クリエイティブを⼤事にするということは、お客様や⼈に何かを伝えたり、理解を促したりする配慮に通じます。アドビに限らず、そういう意識の⾼い会社に⾏きたいと常々考えていたことも理由の 1 つです。

英語⼒や技術⼒ではない! アドビ PSS で活躍できるのはこんな⼈

⼊社する前と後でアドビの印象は変わりましたか。また、⼊社前に習得しておいた⽅がいいスキルなどがあれば教えてください。

⼤⽵:⼊社前後のギャップという意味でいえば、PSS 部⾨にはいい⼈が多いという印象があります。前職の外資系では、各⾃プロフェッショナルとして⾃分の⼒を伸ばしていくという雰囲気がありましたが、アドビの場合はチームで、困っていれば相談に乗るし、⼀緒に考えるカルチャーがあります。

松葉:外資系は社員 1 ⼈ひとりのロールとミッションが明確に線引きされている印象がありますが、アドビは個性を重要視すると感じております。もちろん線引きはあるのですが、社内異動を活⽤してキャリアデザインしていくカルチャーがあるんですよね。そこは⼀般的な外資系企業と少し異なる点かもしれません。

古賀:私もアドビ社員に社内異動事例についていくつもお話を聞きましたし、実際に数カ⽉に 1 度くらい社内異動の通知があるので、珍しいことではないと思います。本当に当たり前のことなので、⼤袈裟に発信していないのかもしれませんね。

松葉:その点でいえば、アドビの発信⼒はまだ伸び代があると思っています。特にコンサルティングサービスに関しては、⾮常に視座が⾼く、知⾒も技術⼒も豊富な⼈たちがそろっていて、掘れば掘るほどいろんなタレントが出てくる。私⾃⾝勉強を毎⽇させていただております。まだコンサルティングとしての認知にテーマはございますが、それも事業の伸び代と思っております。

古賀:世の中、フォロワー数だけすごく多くて、それで凄いと思われているケースも多々ありますが、逆にアドビにはそれがない(笑)。私も発信側の⼈間でしたが、アドビの発信⼒は決して弱くはないんですけど、なかなか発信しきれていないんですよね。松葉さんがいうように、掘れば掘るほどいろんなものが出てくる部分を、私たちコンサルティング営業が⾒える化し、お客様に提案していくことも⼤事だと思います。

松葉:もう 1 つ、⼊社前に⾝に付けておけばいいスキルですが、特筆すべきものはないですね。英語⼒も「あればベター」という感じです。

古賀:英語は⼊社後にいくらでも学ぶ機会がありますしね。

松葉:個⼈的にいえば、やはり視野を広く、好奇⼼を持って多⽅⾯にアンテナを張る姿勢のほうが⼤切だと思います。そうでないと、アドビのカバレッジの広さが効かないかもしれない。いろんな⼈と会話することが多いので、それは⼤きなポイントですね。

⼤⽵:そういう意味では、活躍できるタイプは 2 つあると思います。1 つは「⾃分がどうしたいか、どういう顧客体験が良いと思うか」という思い=⾃分の Will を考え、表明できる⼈。もう 1 つは、巻き込み⼒がある⼈です。コンサルティングサービスのマネージャーや、いろんな⼈から意⾒やアイディアをいただいてまとめていく⼒が必要ですし、調整していくスキルも求められるので、⾃分 1 ⼈で完結したいという⽅だと苦労するかもしれません。

将来幅広いキャリアに挑戦できる PSS というポジション

最後にこれからのご⾃⾝のキャリアについてお聞かせください。

古賀:いまは明確な⽬標に向かって突き進むというより、事業として⾯⽩いとか興味深いと感じる⾃分の嗅覚を⼤事にして、いろいろな可能性を広げていきたいですね。

松葉:私は逆に、⽬標から逆算して考える⽅ですね。具体的なキャリア像はさておき、広げていうと、いまが最もビジネスパーソンとして活動量を増やせ、さまざまな⽅に会え、最も知識を吸収できる時期だと思っています。今後 20 年先を考えた時、「アドビでこの⽴場にいて、提案⼒や BtoB 領域の知⾒、課題の識別から解決まで、いろんなことに触れることが、これから先⼤きなチャンスにつながる」と思います。将来的には、⾮対⾯の接客が優位になるかも知れないですが、やはり「〇〇さんから話を聞きたい、相談に乗ってほしい」というニーズも依然としてあるはずで、その時にきちんとこれまでのキャリアとスキルセットを⽣かしながら、マネタイズして事業に貢献していく⼈材になりたいと考えています。

⼤⽵:私はまだやはり⾃分の提案やお客様との関わりに伸び代があると思っているので、3年⽬に⼊ることをきっかけに、まずは「しっかりやっています」と胸を張っていえるようになることが当⾯の⽬標です。

将来的な⽬標でいえば、やりたいことはこれからも変化していくのでなかなか⼀⾔ではいえません。ただ 1 つ、ポイントとなるのは「⾃分のキャリアに需要があるか」という点です。PSS は、コンサルタントとは異なりますが、お客様とのコミュニケーションの中で課題を抽出し提案を具体化していくスキルや、マーケティング⼿法の知⾒も深められるので、⼈材市場の価値としても上げることが出来るのではないかと考えています。やりたいことが変わった時にも挑戦できるポジションだと思うので、ひとまずは当⾯の⽬標達成に向けて頑張ります。ありがとうございました。