【海外導入事例】ポートランド州立大学:Adobe Acrobat Signでワークフローの革新と一元化を実現
ポートランド州立大学(PSU)では、大きな変革をもたらすことができる、未来のリーダーになるための教育を学生に授けています。U.S. News & World Report誌による2022年の世界大学ランキングにおいて、PSUは、遠隔授業、経済的支援、ラーニングサービスへの取り組みが評価され、オレゴン州で最も革新的なキャンパスに選ばれました。
受賞理由となった人生を変える数々のプログラムを支えるのは、講義だけでなく、適切なテクノロジー基盤の上に基づいた、合理的な事務管理アプローチがあったからです。PSUでは、インフラストラクチャ&クラウドアプリケーションチーム(準備チーム)が学内の関係者と協力して、校務上およびビジネス上のニーズを満たす技術ソリューションを見つけ出したのです。
PSUには広大なキャンパスで日々書類をやり取りする、紙ベースの作業負担という課題がありました。多くの学内関係者は、電子サインソリューションの使い勝手の良さを求めていましたが、各自でソリューションを購入する状況となり、大規模な大学の異なる部門間での確認が取れないというリスクがありました。
準備チームは、大学全体を単一のエンタープライズ向け電子サインソリューションに統一する必要性を切実に認識しました。関係者への調査の後、準備チームは最大受信者数、シングルサインオン、監査証跡、強力なデジタルアクセシビリティなど約35のデータポイントで、Adobe Acrobat Sign(当時は旧製品名Adobe Sign)、DocuSign、Hello Sign、Panda Doc、Sign Nowなどのソリューションを評価しました。
「総合的に検討した結果、Adobe Acrobat Signが明らかに費用対効果、拡張性、効果が高く、広範な関係者から賛同を得られると判断しました」とデジタルワークプレイス&インフラアプリケーション担当マネージャーのJustin Moore氏は語っています。
電子サインの一元化
準備チームによる電子サインの一元化ソリューションの調査は、2020年5月というタイミングもあり、緊急性の高いものでした。新型コロナウイルスによるロックダウンで、教員がデジタル授業に追われたように、管理および校務スタッフもリモートワークへの移行を余儀なくされました。
サービス品質と一貫性を確保するために、集約型電子サインソリューションを迅速に立ち上げることが最重要課題でした。Adobe Acrobat Signの導入にあたっては、大規模な部門や各事業部を含めて3か月間のパイロットプログラムを実施し、約2,300件の処理を確認した後、大学全体での運用を開始しました。スポンサープロジェクト管理部門、教育学部、PSU図書館など、利用頻度の高いユーザーの意見を取り入れながら、Adobe Acrobat Signの導入を最大限に活用し、ユーザーの同期や文書のバックアップなど部門単位での対応が困難な機能も広範囲に可能にする一方で、webフォームなどは各部門固有のニーズに合わせました。webフォームの機能は奨学金部門で特に効果を発揮しました。ロックダウンにより、PDFテンプレートを印刷してペンでサインしていたものを、電子サイン付きのデジタルフォームに変更する必要が生じたからです。デジタルフォームを速やかに展開したことで、パンデミックの間も学生に安全に対応することができました。
利用頻度の高いユーザーの多くは元々DocuSignで電子サインを使用していましたが、Acrobat Signへの切り替えは簡単にでき、Acrobat Signの合理的で洗練されたワークフローを高く評価する声が多かったことが、一元化への後押しとなりました。例えば、Workflow Designerなどを使えば、重複する文書をまとめ、署名が任意か必須かに分類して複数の署名者に送信するなど、非常に複雑で件数の多い作業も自動化することができます。また同じ機能でワークフローのテンプレートを作成および管理することで、どのような契約でも簡単に文書を組み立てることができます。
「パンデミックが発生しても教育を求める学生のニーズは変わらず、重要なリソースを提供する事務局の能力も低下しませんでした」とMoore氏は語っています。「Acrobat Signの使いやすさは、当初他のソリューションを採用していた部門でも認めるところでした。その結果、多様なニーズを持つ関係者に迅速かつ容易にAcrobat Signを導入することができました」
準備チームは、Acrobat Signの基本機能や高度な機能、管理者向けのより詳しい研修を設定した後、2021年1月から大学全体でAcrobat Signの導入を開始しました。最初のパイロットグループからわずか数か月後のことです。Acrobat Signを全体に導入して数か月間、準備チームは新しいユーザーが質問できる相談室を設け、解決策を共有し、必要なユーザーがセルフサービスの研修や文書に簡単にアクセスできるようにしました。同大学はまた、Acrobat Signの導入プログラムを通じて、基礎、上級、管理者レベルの研修を記録しました。
多様なニーズにこたえるワークフローの高速化
PSU全体でAcrobat Signが利用できるようになると、当初の予想を超えて多くの部門で広く普及しました。大学側は、様々なグループのユーザーが1人か2人は興味を示すだろうと予想していましたが、実際には50部門、500人のユーザーが利用しました。
管理部門のスタッフは、紙ベースの元のプロセスからすぐに時間短縮を実感しました。Acrobat Signの機能を使用することで、文書の作成、署名の依頼の送信、回収にかかる時間がすべて短縮し、重要な書類を紛失することもなく、安心して使用できます。Workflow Designerを使用することで、スポンサープロジェクト管理部門の助成金と契約チームは、ひとつの契約につき6件以上もの署名を必要とする処理を高速化し、効率的にトラッキングできるようになりました。
PSUの教養学部や教育学部など、現在頻繁に利用しているユーザーは、Acrobat Signを使うことで多くの事務管理業務、特にワークフロー管理にかかるスタッフの時間と労力を削減できました。「教養学部では、学部内でやり取りするあらゆる文書のワークフローをAcrobat Signを使って構築しました」と人事担当のMelissa Scholl氏は語っています。「事務スタッフはボタンをクリックするだけで担当の文書がどこにあるかわかります」
テンプレートを使って作業することで正確性が向上し、一からやり直すようなエラーを減らすこともできます。Acrobat Signの各種機能を使うと、独自の要件に応じてテンプレートやワークフローを作成することもできます。
Acrobat Signによる時間とコストの削減は、あらゆる規模の部門、特に予算の都合でこれまで電子サインソリューションを検討できなかった小規模グループにとって朗報となっています。これまでに、同大学は主に人事、助成金、財務などの事務管理を目的としてAcrobat Signを利用し、15,000件の処理を完了しました。
「Acrobat Signが学内で広く利用され、高い評価を受けている理由には、拡張性が高く、多くのビジネスニーズに対応できる点が挙げられます」とMoore氏は語ります。「利用者からは、Acrobat Signによる作業の効率化や自律性の高さに対する評価が高く、今後も需要が増えると予想しています」
革新的な学風の拡大
Acrobat Signを導入することでPSUの各部門は、将来に渡って、よりスマートでより早く校務を遂行できる強力なリソースを手に入れることができました。これは運営上の利点だけではなく、革新的なキャンパスとしてのPSUの評判にも沿うものです。
PSUでは、Adobe Signの活用法を模索し続けていますが、準備チームでは、より高度な機能を個人とグループ管理者に直接提供することに特に集中して取り組んでいます。利用頻度の高いユーザーを対象に、ワークフローのプロセス改善に向けて、関連する機能の研修やコンサルティングに取り組むことを目指しています。
IT部門の関与が必要なく使いやすいアプリケーションを採用することで、各部門が主体的にデジタルトランスフォーメーションの学風を促進できます。このような学風は、大学のあらゆる活動と同様に、イノベーションの精神を世界に広げる学生のためにあります。
「Acrobat Signの導入により大学を支える管理と運営業務にかかる時間と労力が軽減されたため、大学全体で動的チームを組んで、学生対応の取り組みを増やすことができました」とMoore氏は続けます。「Acrobat Signは、運営方法を変えるだけでなく、働き方の意識を変える力もあるのです」