[ペーパーレスからはじめるDX] Acrobat Signで対応する改正電子帳簿保存法
2022年1月より改正電子帳簿保存法が施行されました。これまでの制度に比べ、要件が大きく緩和されるようになった一方、従来は紙文書での保存が義務付けられていた「メールで送付した見積書や発注書、請求書のPDF文書」や「電子契約書」については電子的な保存が求められるようになっています。2022年3月24日に開催されたオンラインセミナー「Adobe Sign(現Acrobat Sign)を活用した電子帳簿保存法対応のポイント」では、Acrobat Signを活用した改正電子帳簿保存法の対応方法について解説しました。
(セミナーはこちらからオンデマンドでご視聴いただけます。)
改正電子帳簿保存法とは
1998年に施行された電子帳簿保存法は、税法に規定されている帳簿書類の保存管理について定めている法律です。一般に帳簿類は書面での保存が義務付けられていますが、そのなかで「一定の要件のもと電磁記録等による保存を認める」とされています。
そんな電子帳簿保存法が2022年1月に改正されました。新しい改正電子帳簿保存法では電磁記録に関する要件が大幅に緩和されており、たとえば改正前では必要だった電子帳簿保存に関する税務署長への事前申請・承認が廃止となっています。
データ保存要件も変わりました。もともと電子帳簿保存法ではデータ保存要件として、認定タイムスタンプの付与による「真実性の確保」、マニュアル等など「関係書類の備付」、画面やプリンターで内容が確認できる「見読性の確保」、主要項目による範囲指定や組み合わせで検索できる「検索性の確保」の4つを定めていました。このうち「真実性の確保」「検索性の確保」の2つに関しては技術的な対応が必要になります。
ただし真実性確保については、実は2020年の改正の際に「データの削除や変更に関する事務処理を規定していれば必ずしもタイムスタンプは必要ない」との変更されており、検索性確保についても、細かく規定されていた検索要件が今回の改正法からは「日付」「金額」「取引先」という3項目のみとなっています。
大きく改正されたのは、電子取引における領収書や請求書の扱いです。以前はメール等でやり取りしていた電子取引の領収書や請求書は紙に印刷して保存しなくてはなりませんでしたが、改正電子帳簿保存法では電子的に保存することが義務付けられました。今後は紙で保存しても、法的に有効な文書とは認められないのです。なおこの点について、国は「電子化保存の義務化は2年間の猶予を持たせる」という見解を発表しています。
2年間の猶予があるとはいえ、これは法改正なので業種・規模を問わず、あらゆる法人・組織や個人はいまのうちに改正電子帳簿保存法に対応しなければなりません。そこで以下、Acrobat Signで電子帳簿保存法にどのように対応できるかをご紹介します。
Acrobat Signによる電子帳簿保存法への対応
Acrobat Signは、PDFの開発元であるアドビが提供している電子サインのソリューションです。ワールドワイドで年間80億件のトランザクションを処理しており、日本国内にもデータセンターを構えているので、セキュリティ要件の厳しい行政機関や金融業界でも安心して利用できることが特徴です。
Acrobat Signは、さまざまな業務で発生する契約プロセスをデジタル化し、APIを通じて契約の前後にある業務プロセスとシームレスに連携して業務そのもののデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進します。そのため「Acrobat Sign=電子帳簿保存法対応のためのソリューション」ではないのですが、専門家である税理士の方からは「Acrobat Signの運用を工夫することで電子帳簿保存法へ対応できる」という見解が寄せられています。実際、フィールドやメモ欄に取引先名や金額を入れて、Acrobat Sign内で検索できるようにしておくという方法もあります。
税務・法務コンサルティング事業を手がけるケインズアイコンサルティンググループでは、サイボウズ社のkintoneとAcrobat Signを活用して電子帳簿保存法に対応しています。Acrobat Signで税理士顧問契約やコンサルティング業の発注書、請負書の発行を行い、署名済みドキュメントをkintoneで管理するというやり方で検索性を確保しています。
外部ストレージや契約管理システムとの連携で対応強化
ここで電子帳簿保存法における電子サインソリューションの位置付けを見ていきましょう。
電子帳簿保存法では契約書だけではなく、税務に関係するさまざまな書類を対象にしているので、Acrobat Signだけで電子帳簿保存法に完全に対応できるわけではありません。メールで送付された見積書などのPDFファイル、紙でやり取りした文書も対象になっています。Acrobat Signで進めた契約に関してはファイルサーバーに自動保存し、さらにそれ以外の文書についても適切に保存管理する必要性を考えると、やはり文書管理システムと組み合わせたドキュメント管理が必要になります。
Acrobat Signでは、Microsoft SharePointやBoxといった文書管理システムやクラウドストレージのほか、OPTiM Contract、BunTan、Contract Oneなどの電子契約管理システムと連携しています。SharePointは専用のプラグインを用意しているほか、Power Automateの標準コネクタとしてAcrobat Signコネクタが提供されているので、署名が完了したドキュメントを自動でSharePointのドキュメントライブラリに保存するという設定が簡単に行えます。契約管理だけでなく、電子帳簿保存法を踏まえてこうしたソリューションを活用するのも一手です。
業務システムとAcrobat Signを連携しDXを促進
またAcrobat Signは、文書管理だけでなくさまざまな業務システムと連携できるので、契約を含む業務自体をデジタル化することも可能です。ケインズアイコンサルティンググループのようにkintoneと連携したり、またSAP AribaやSalesforce、intra-martにも対応しているので、これらの業務システムをフロントで使いながら契約プロセスをAcrobat Signでカバーし、文書を自動で業務システム内に返す仕組みを構築することで、業務のやり方そのものを改革するデジタルトランスフォーメーションを実現できます。
セミナー参加者からは「Acrobat Signを使った電子帳簿保存法への対応法を学べて良かった」「既存の文書管理や基幹システムと連携し、DXを進めたい」といった声が聞かれ、多くの方にご満足いただけました。
(セミナーはこちらからオンデマンドでご視聴いただけます。)
Acrobat Signは電子サインソリューションですが、文書管理システムとの連携により電子帳簿保存法へのスムーズな対応を実現するほか、さまざまな業務システムとの連携によりDXの推進を促します。
アドビのWebサイト内では様々な動画やお役立ち資料をご用意しています。Acrobat DCとAcrobat Signで脱ハンコ・ペーパーレス化の第一歩を踏み出してみてください。
*2022年3月にAdobe SignはAcrobat Signへリブランドしました。オンデマンドセミナー内では旧ブランド名であるAdobe Signとしてご紹介していますのでご留意ください。
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