食と文化を融合して新たな味を生み出す・料理写真家:Simi Jois

クレジット:Adobe Stock /Simi Jois

料理写真家兼スタイリストのSimi Joisさん、伝統や家族、コミュニティをつなぐ自分の仕事にたくさんの情熱を注いでいます。肖像画を専門とした刺繍アーティストの母と、同じくアーティストの妹を持つクリエイティブな家庭で育ったJoisさんは、自分の天職を模索していました。

「私は色や光に囲まれながら育ちました。毎晩、母の作品について語り合うことが日課でした。それが私の光や色、構図を見る目を養ったのだと思います」とJoisさんは幼少期を振り返ります。

Joisさんは興味の赴くままに広告の仕事に就きましたが、思っていたほどクリエイティブな業務ではありませんでした。その後、仕事を辞め専業主婦となり、ピアノを習ったりスケッチをしたりと自分の表現欲求を満たすことができる理想的なメディアを探していました。

「見つかるまではブログにレシピを書きながら自分のストーリーを世界に発信していこうと思いました。書くことが私の仕事なのかもしれません。家族のことや、家族と取る食事が私にとっていかに大切であるかを書き始めました。そして写真に恋をしてしまったのです」と語ります。

Image of Simi Jois.

クレジット:(画像提供元)Simi Jois

味、伝統、そして家族の絆を結ぶ

長年Adobe Stockのコントリビューターであり、2021年のArtist Development Fund(アーティスト開拓ファンド)の受賞者でもあるJoisさんにとって、彼女の家族がアート以上に愛する唯一のもの、それが「食」と言えるかもしれません。

「我が家はみんな食べることが大好きなんです。朝食を取りながら昼食の話をしたり、昼食を取りながら夕食は何にしようかと話したりします。私が生まれた育った家庭よりも、さらに10倍くらい食にこだわりがある過程に嫁いだと思います」

Joisさんの生まれは南インドですが、北インドで多くの時間を過ごしました。現在はシカゴを拠点に彼女のようなインド系アメリカ人の家庭で出される伝統料理の写真を制作しています。娘の育児をしながら新しいレシピを学び、そのレシピを見ながら料理を作ることに多くの時間を費やしていた時に、その瞬間を記録したいという気持ちが芽生えてきました。

「特別な日には、お祝いの内容によって10品、14品、18品と料理の数も変わります。バナナの葉に盛られた食事はとてもおいしいですよ。インド料理では、出来上がった料理にギー(澄ましバター)、マスタードシード、アサフェティダ、カレーリーフといった調味料を入れます。西洋料理と異なるため、インド料理で使う調味料を説明するのがとても難しいです」

料理を詳細に描写するために、写真家としてだけでなく、シェフ、スタイリスト、そして時にはモデルにもなって撮影に挑むとJoisさんは言います。

「モデルすらいなくて、私が初めから終わりまで取り仕切ることもあります。伝統的な服に素早く着替えて、時にはサリーも着て、カメラをセルフタイマーにして、私がモデルになるのです。ワンストップショップのような撮影です!」

そして彼女の家族の場合、キッチンに入ると当たり前のように協力を惜しみません。

「私は家族に恵まれていると感じます。とても協力的なんです。プロジェクトの多くがグループプロジェクトになるので、『ここに立体感を出せる?』とか、『こんなことできる?』とお願いしたり、すごくサポートしてもらっています」

Images taken by Simi Jois of food and spices.

クレジット:(左)Adobe Stock /Simi Jois、(右)Adobe Stock /Simi Jois

料理写真を学び、伝統を表現する

自然な流れで料理写真家になったJoisさんですが、写真を撮る中で学ぶべきことがたくさんあることに気づきました。

「料理写真は、ただ出来上がった料理を撮って見せるだけではありません。初めて写真を撮った時に『ちょっと待って』と思ったんです。なぜなら、テーブルに乗せられた料理が料理に見えなかったからです。料理自体は美味しそうだったのに、写真になるとひどい出来映えでした。そこで料理写真の撮り方を学ぼうと思いました」

独学で12年間学びながら、プロの料理写真家として10年間活動してきたJoisさんは、好奇心と学習意欲を持ち続けながら、自分のスキルアップにつながる様々なツールに出会ってきました。

「光や照明の技術的なことはいつでも学べます。むしろそれを『どうやって料理に反映できるか?』ということを知りたいと思いました。影は料理写真において美しく、少しもの悲しい雰囲気を醸し出します。グレートーンを加えればランダムな小さい斑点にもなります」

Images taken by Simi Jois of food and spices and an image of a Bharatanatyam dancer's feet.

クレジット:(左)Adobe Stock /Simi Jois、(右)Adobe Stock /Simi Jois

Joisさんは、講習を受けるよりも独学の方が自分に合っていることに気づきました。しかし、自分自身とコミュニティについて学び、つながり、認識できるチャンスと捉え、あらゆることに取り組んでいます。

そういった献身的な姿勢もあり、2021年にAdobe Stockが実施したアーティスト開拓ファンドのテーマの一つである「Taste of Heritage(伝統の味)」のクリエイティブブリーフを作成したことは、自然な流れでした。結果、彼女の作品は選出され、撮影を引き受けることになりました。

「アーティスト開拓ファンドとそのテーマの一つである『Taste of Heritage(伝統の味)』は、私の文化を今の時代に合わせて表現できる素晴らしい機会でした。私がどんな人間であるかなど私のアイデンティティをしっかりと伝えることができたと思います。長い間、私や友人、そしてインド系移民のコミュニティ一連の料理写真を通して紹介したいと思っていたため、このプロジェクトは私にとってとても意味あることでした」

Joisさんが言葉で描く作品は、彼女自身と同様に牧歌的で美しいものです。「私たちはインド料理を作り、自分たちの文化を楽しみ、祝福しているのです。サリーを着ていても、ジーンズを履いていても、その気持ちは変わりません」

Adobe StockでSimi Joisさんの表現する美しいポートフォリオを是非ご覧ください。料理写真は常に需要が高く、食や食材をテーマに心を込めて文化やコミュニティを芸術的に表現した作品を求めています。ぜひ、ご自身の作品をAdobe Stockにご投稿ください。

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この記事は2022年6月10日に Sarah Rose Sharp により作成&公開されたBlending flavors :Simi Jois on culinary photography and cultural merge の抄訳です。