エンジニアとしての価値を高めるデザイン教育〜1年次からアドビツールに親しむ東京電機大学未来科学部情報メディア学科

人, 屋内, ノートパソコン, コンピュータ が含まれている画像
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東京電機大学未来科学部情報メディア学科では、1年次の必修授業である「ワークショップ」の時間に学生の個人 PCのセッティングや基本的な使い方を指導しています。ソフトウェア開発の教育に力を入れている同学科では、プログラミングの環境を構築するのが必須ですが、2022年度からはそれに加えてアドビのアプリケーション群のインストールを行い、デジタルクリエイティブの環境を整える取り組みを始めました。その一環として、2022年5月9日(月)にアドビのエデュケーションエバンジェリスト井上リサが招かれ、Photoshopの機能のトピックスや、Adobe Creative Cloudの全体像を紹介する講演を行いました。

ボタンひとつで実行できる便利な機能を次々に紹介

講演では、Photoshopの中でも特に、Adobe Senseiと呼ばれるAIによる自動処理の機能を中心に紹介。今後、技術者としての学びを深める新入生に、デザインが本業ではなくとも直感的に便利に使えるイメージをつかんでもらいました。

ノートパソコンの画面を見ている人たち
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100名以上の学生が講演に集まった

例えば、ワンクリックでオブジェクトを自動判定して切り抜く機能や、空の部分を自動判定で別の空に差し替える機能、人の表情を変えたり風景を別の画像と合成したりするニューラルフィルターの機能などを、井上は次々にデモンストレーションしていきます。

パソコンの画面
中程度の精度で自動的に生成された説明

オブジェクトの境界を自動で判定してワンクリック出切り抜き

アパートのビル
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ニューラルフィルターの風景ミキサーはワンクリックで世界観を変えることができる

スマートフォンでは写真を扱うことに慣れている学生にとって、Photoshopの機能の一端を知ったことはとても刺激になった様子で、授業後のアンケートは大変好評でした。

技術を学ぶ学生にデザインと出会うきっかけを与えたい

同大未来科学部情報メディア学科助教の井ノ上寛人先生に、新入生必修の「ワークショップ」においてデザインとの出会いの場を設けた背景や目的をお聞きしました。

学生に話をする東京電機大学未来科学部情報メディア学科助教 井ノ上寛人先生

同学科で行うソフトウェア教育は、例えばペイントソフト自体をプログラミングで作るというエンジニアの技術力が中心です。「機能としてちゃんと動くものを作れるスキルを身につけられるのですが、出来上がったものの見た目はある意味とてもチープなんですね。デザインについて学ぶ機会が少なく、そもそもそういう世界を知らないからやろうと思うきっかけがないんです」と井ノ上先生。

エンジニアを志す学生は、デザインと聞いただけで拒否感を持ってしまったり、自分には全く関係ないものだと捉えたりするケースもあり、なるべく早い段階でクリエイティブなツールに触れ始めて欲しいと井ノ上先生は考えています。「今回のように授業の中で自然にきっかけを作ることは、強い動機付けになると思うんですね。授業を通してだんだん飛び立てるような段階を作って行きたいです」。

一方で、中にはデザインに興味があり入学前からアドビのツールを使っている学生もいるというのが同学科の特徴。まずはサークル活動や個人の趣味の領域でツールを自由に使い、学生同士の学び合いが生まれることも期待しています。

なぜエンジニアにデザインが必要なのか?

そもそもなぜエンジニアにデザインの学びが必要なのでしょうか? 井ノ上先生は、時代が求める人材の変化を指摘します。「大手IT企業のインターンシップの募集を見てもフロントエンドエンジニアはかなり多くなっています」。デザインを全く知らないと、この分野への応募すらかなわず、エンジニアとしての幅が狭くなってしまうことを井ノ上先生は危惧しています。

「ソフトウェアやITサービスを作るときには、絶対に見た目や使い勝手にも関わらなければいけなくなります。エンジニアがデザインの基本もわかっているということは、エンジニア視点でアイデアをわかりやすく共有することができるので、自分の価値を大幅に上げられるのではないでしょうか」。もちろん、同大では美大のようなデザイン教育を目指しているわけではありませんが、限られた時間の中でも、エンジニアの強みとしてのデザイン教育の必要性を井ノ上先生は強く感じています。

さらに、デザインの知識は、エンジニアとしてデザイナーとチームで仕事をする際に、デザイナーの意図を理解してスムーズなコミュニケーションをとることにつながるというのもポイントです。専門性を持った上で幅広い知識を併せ持つT型人材をイメージして幅を広げて欲しいと、新入生に期待を寄せます。

キャリア形成に学生の関心が集まる

アドビの井上が講演した際に学生との質疑応答で目立ったのは、キャリア形成についての質問です。例えば、将来の道を定めるためにどのようなことをしたか問われると、井上は自身がアメリカ留学中に大学で専攻する学部を途中で変更したことを紹介。「自分の感覚を大切にして何か違うと思ったら、とにかく調べたり人に聞いたりして自分で情報を取りに行きました。今はインターネット上にもたくさん情報があるので、学校の枠にとらわれずに、調べたりセミナーに参加したりして、迷いながらでも、積極的に動いて人とつながると何か見えてくるのではないかと思います」とアドバイスしました。

ほかにも、プロのデザイナーとして、学生の皆さんの悩みに新たな視点を投げかけるようなやりとりが多く、納得感の高い時間となったようです。

屋内, テーブル, 部屋, コンピュータ が含まれている画像
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質疑応答で話をするアドビ井上リサ

今回の取り組みは、学校のWebサイトでも紹介していただいております。1年次からアドビのツールに親しむ皆さんがこれからどのようなエンジアとしての学びを積み重ねていくのかが楽しみです。